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JIROの独断的日記
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2006年03月29日(水) 「患者宅に張り紙『呼吸器取り外しに家族は同意』」←事件発覚当初の記事と比べてみます。

◆記事1:患者家族「同意ない」病院「カルテに記載」…延命中止(読売新聞) - 3月26日23時54分更新

射水市民病院の延命措置中止の問題が発覚するきっかけとなった男性(当時78歳)の家族が26日、病院側から人工呼吸器を外すと聞かされたことはなく、家族から頼んだこともないと、読売新聞の取材に話した。

この患者について病院のカルテには「家族の希望」と書いてあるといい、捜査の焦点となっている家族の同意の有無を巡り、食い違いが明らかになった。

家族によると、男性は昨年10月9日、自宅で倒れて同病院に運ばれ、外科部長(50)が担当医となった。

脳梗塞(こうそく)と診断され、心肺停止状態で意識もなかったため人工呼吸器が装着された。意識が戻らないまま、21日に病院から「血圧が下がり、きょうが山場」と連絡があり、親類が集まってみとった。

病院によると、この男性については、外科部長が同月12日、呼吸器を取り外すよう指示しているのを内科の看護師長が気づき、麻野井英次院長がやめさせた。

病院側が県警に提出したカルテには「家族の希望」と書いてあるという。

これに対し、家族は入院当時、病院から「年だし、長くないかもしれない」と説明を受けたというが、「家族3人とも呼吸器を外すということは、一切聞いていない」としている。

男性が以前けがをした時も外科部長の治療を受けており、家族に「熱心でいい先生にかかった」と話していたという。

家族は「入院から10日以上も命を維持してもらい、治療も丁寧にしてもらい、恨むようなことはまったくない」と話している。


◆記事2:患者宅に張り紙「呼吸器取り外しに家族は同意」(2006年3月28日23時4分 読売新聞)

射水市民病院の延命措置中止問題で、発覚のきっかけとなった男性(当時78歳)の家族が28日、自宅玄関に「(人工)呼吸器取り外しに家族は同意した」とする張り紙を掲示した。

張り紙には「父が倒れて病院に搬送されてから数日後、呼吸器取り外しの話が出て同意した。しかし、院長の認められないとの説明に納得した」と書かれている。

家族は、読売新聞の取材に3人が「呼吸器を外すという話は一切聞いてない」と話していた。

これについては、「今回の問題が私たちとは関係ないということにしたかった」としている。


◆コメント:家族は嘘をついていたわけですね?

要するに、患者の家族の言葉を信じるならば、事件の発覚のきっかけとなった78歳の男性の家族は、つい3日前、読売新聞の取材に対して、

「人工呼吸器を外すことを医師から聞かされていなかったし、家族から頼んでもいなかった」

とはっきり述べたのです。ところが、同じ家族は昨日(28日)、
「(人工)呼吸器取り外しに家族は同意した」とする張り紙を掲示した。

そうです。つまり、患者の家族は嘘をついていたということです。とんでもないですよ。
「今回の問題が私たちとは関係ないということにしたかった」


冗談じゃないよ。これじゃ、医者も「やってられねえよ」という気分になるのではないでしょうか?

何しろ、医師は殺人犯にされるところだったのですよ(今後、どのように捜査が進展するか、まだ分かりませんが)。

しかし、何かというとマスコミは医師を悪者にしたがるので、医師側が限りなく黒に近いグレー、という印象を読者に与える記事を書きました。

読売だけではない。毎日新聞などは、
<尊厳死疑惑>殺人容疑も視野、慎重に捜査 富山県警」

という見出しで記事を書いています。

こういうのを、ミス・リーディングな報道、といいます。

揉め事が起きたときはとにかく当事者双方を念には念を入れて取材し、読者に先入観を与える報道をしてはならないのです。



私は、自己宣伝するつもりは毛頭無いけれども、3月26日の記事で、次のように書きました。ちょうど真ん中あたりです。
本件に関しては、事実の全貌がこれだけの新聞記事で全て明らかになっているとは到底考えられず、事実認定が出来ないまま、判断は出来ないから、私はまだコメントしない。

自分で云うのも何ですが、コメントを加えなかったのはやはり正しかったと思います。

あの時、私は新聞が、医師乃至は病院を「悪者」に仕立てようとしていることを感じました。そういう「はじめに結論ありき」、という取材の仕方は間違っています。

国民は、医師を殺人犯と断定したがっていました。松本サリン事件と似ている。


◆松本サリン事件をマスコミは忘れたのか?

松本サリン事件とは、これは、アンチョコから引用しますが、

「1994年6月27日の夕方から翌日6月28日の早朝にかけて、長野県松本市北深志の住宅街で、化学兵器として使用される猛毒のサリンが散布され、7人が死亡、660人が負傷した事件」

です。このとき、
「長野県警察は、事件当時に農薬を使用していたというだけの理由で、被害者でもある第一通報者の河野義行氏を重要参考人とし、連日にわたる取り調べを行った。またマスコミは、一部識者が「農薬からサリンを合成することなど不可能」と指摘していたにもかかわらず、オウム真理教が真犯人であると判明するまでの半年以上もの間警察発表を無批判に垂れ流したり、河野氏が救急隊員に「除草剤をつくろうとして調合に失敗して煙を出した」と話したとする警察からのリークに基づく虚報を流すなど、あたかも河野氏が真犯人であるかのように印象付ける報道を続けた。」

のです。真犯人はオウム真理教だったのです。

第一通報者の河野氏は被害者なのです。奥さんが、サリンで意識不明となり、今でもその状態なのです。

被害者なのに、日本中が、マスコミのミス・リードにより、河野さんが犯人である、と思いこんでいた。恐ろしいですね。

新聞で活字になったり、テレビで報道されたことは、自分では実際に現場を見ていない「疑似現実」なのですが、一般人は、どうしてもそれをそのまま信じてしまう傾向があります。


◆福知山線の脱線原因はいまだに完全に特定されていない。

昨年、4月25日JR西日本福知山線の脱線転覆事故で、100人を超える犠牲者が出ました。勿論、事故調査委員会が事故原因を特定すべく頑張っているものの、いまだに完全に特定されていないのです。

あの時の騒ぎ、マスコミの態度はひどかった。はじめからJRの責任と決めつけ、JRの社長を怒鳴りつけていました。

それに刺激され、便乗した、一般市民のJR西日本社員への嫌がらせや、暴力。覚えているでしょう?私は何度も「それは間違っている」と書きました。

事故直後は当然、事故原因が不明だった。今でも分かっていないのだから、当たり前です。

原因が不明だということは、誰の責任かも特定できないのです。

だから、「誰も責められない」というのが、客観的に正しいものの考え方です。

マスメディアは、まだ原因は分からない、という「事実」を伝えるべきでした。

残念ながら、今回の騒ぎとそれを巡る報道は、松本サリンから何も学んでいない、と云っても過言ではありません。


◆今回も同様です。

鉄道事故と終末期医療は、全く相互に関係はないけれども、私が強調したいのは、

「真実をよく吟味しないで、特定の人物や団体を犯罪の容疑者で有るかの如く扱ってはいけない。」ということです。

報道関係者は、何回でも同じドジを踏む。いい加減に過去の失敗から学んで下さい。



2005年03月29日(火) スマトラ島沖地震が活断層に圧力、地震再発生の可能性=科学者←3月17日のニュース。
2004年03月29日(月) 「防止対策の認識に食い違い 警視庁が回転扉を検証」どうしてみたところで、回転ドアは、危ない。
2003年03月29日(土) <反戦一行詩>若者がネットで募集 2日間で1200以上も←迂闊にも知らなかった・・・。

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