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JIROの独断的日記
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2005年11月25日(金) 「消費者物価マイナス脱す 量的緩和、解除へ一歩」←日銀の「解除条件」を良く読め。

◆記事1:消費者物価マイナス脱す 量的緩和、解除へ一歩(共同通信) - 11月25日13時19分更新

 

 総務省が25日発表した10月の全国消費者物価指数(2000年=100、生鮮食品を除く)は、原油高などを反映して98・2と前年同月と同じ水準に並び、上昇率は0・0%と5カ月ぶりにマイナスを脱した。

 同指数は11月にもプラス転換することが見込まれ、長らく続いたデフレからの脱却が現実味を帯びてきた。日銀が続けている量的金融緩和策の解除にも一歩近づいた。

 日銀はこれまで量的緩和策について物価動向など条件が整い次第、政策変更に踏み切る意向を示しているが、政府・与党幹部は、日銀の早期解除をけん制する発言を繰り返している。

 25日午前も、安倍晋三官房長官らが「消費者物価のデフレ基調は依然として継続している」などと指摘した。

 日銀は量的緩和策解除の重要な要件のひとつとして、消費者物価の前年比上昇率が「数カ月ならして0%以上」になることを挙げており、今回の指数に注目が集まっていた。


◆記事2:<全国消費者物価指数>総合指数、5カ月ぶりマイナス圏脱出(毎日新聞) - 11月25日16時47分更新

 

 総務省が25日発表した10月の全国消費者物価指数(00年=100)によると、価格変動の激しい生鮮食品を除く総合指数は前年同月比横ばいの98.2となり、5カ月ぶりにマイナス圏から脱した。(中略)

 一方、同時発表された11月の東京都区部の同指数(中旬速報値)は97.0で、同0.3%の下落で、99年10月以降、6年2カ月連続で前年水準を下回った。


◆記事3:<中川政調会長>量的緩和解除目指す日銀の動きをけん制(毎日新聞) - 11月13日22時7分更新

 

 自民党の中川政調会長は13日、日銀による金融量的緩和政策の解除について「日銀は政策目標での独立性はなく、政権と合致させる責任がある」と指摘。

 そのうえで「どうしたらデフレを脱却できるかを考えて量的緩和の議論をすべきだ」と述べ、量的緩和解除を目指す動きをけん制した。


◆記事4(日本銀行のサイト):金融政策の透明性の強化について(抜粋)[2003年10月10日 日本銀行]

 

 日本銀行は、本日、政策委員会・金融政策決定会合において、

 金融政策の透明性を強化する観点から、以下の施策を行うことを決定した(全員一致)。

 1.経済・物価情勢に関する日本銀行の判断についての説明の充実 (略)

 2.量的緩和政策継続のコミットメントの明確化

 日本銀行は、金融政策面から日本経済の持続的な経済成長のための基盤を整備するため、

 消費者物価指数(全国、除く生鮮食品。以下略)の前年比上昇率が安定的にゼロ%以上となるまで、量的緩和政策を 継続することを約束している。

 日本銀行としては、このコミットメントについては以下のように考えている。

 第1に、直近公表の消費者物価指数の前年比上昇率が、単月でゼロ%以上となるだけでなく、

 基調的な動きとしてゼロ%以上であると判断できることが必要である(具体的には数か月均してみて確認する)。

 第2に、消費者物価指数の前年比上昇率が、先行き再びマイナスとなると見込まれないことが必要である。

 この点は、「展望レポート」における記述や政策委員の見通し等により、明らかにしていくこととする。具体的には、政策委員の多くが、見通し期間において、消費者物価指数の前年比上昇率がゼロ%を超える見通しを有していることが必要である。

 こうした条件は必要条件であって、これが満たされたとしても、経済・物価情勢によっては、量的緩和政策を継続することが適当であると判断する場合も考えられる。


◆解説:何を騒いでいるのか?

 

 11月13日に自民党の中川政調会長が、日銀に対して恫喝的な発言をしました。

 要するに、今の金融緩和政策、ゼロ金利政策を変更したら、承知しないぞ、というのです。

 何故、そんなに怒るかというと、日銀が金融政策を変えて、少しでも金利をプラスにしたら、景気が失速するかも知れない、株が暴落する。

 即ち、政権政党である自民党が責任を問われ、次の選挙でヤバい。という、党利党略から出た発言です。

 こんな奴、放っておけばいいんです。バカですから。


◆金融政策

 

 日銀は2001年3月から、金融政策の目標を変えました。

 中学の社会科の授業で「オープン・マーケット・オペレーション」(公開市場操作)というのを習ったと思います。

 これは、市中銀行同士がお金の貸し借りをする短期金利市場においてオーバーナイト金利というのがあるのです。

 たった、1日だけ貸し借りをして翌日には返す。一晩だから、オーバーナイト金利といいます。

 金融関係者はしばしば「O/N(金利)」と書きます。

 伝統的な日銀の金融政策は毎日のO/N金利を見て、手形を買って資金を放出したり、逆に手形を売って、資金を市場から吸収することでした。

 これをオープン・マーケット・オペレーションといいました。それは今も同じですが、目標が違うのです。以前は金利水準。今は量です。


◆量的緩和

 

 デフレがあまりにも、長く続くので、日銀は2001年3月19日に、金融政策の目標を、金利水準ではなくて、

 市中銀行(東京三菱とか、みずほとか、ですよ)が日銀に置いている当座預金(日銀当座預金)の金額に変更したのです。

 方法としては、公開市場操作で市場に資金をジャブジャブと供給します。結果的に日銀当座預金が増える。

 日銀当座預金は今、30兆円から35兆円の範囲に収めることにしている。

 それは、毎月日銀が政策決定会合というのを開いて、日銀総裁の福井さんを筆頭に、理事と呼ばれる政策委員会のメンバーが集まります。

 そして、あらゆる面から経済の実体を検討して、これから先、一ヶ月の金融政策を決める。

 一番最近では、11月18日に「現状維持」と言っています。


◆どうして、そういうことをするのか。

 

 今、書いたとおり、現在の金融政策の目標は金利水準ではなくて、日銀当座預金量を増やすことなのです。

 何故かというと、バブルのあと、日本は世界のどこの国も経験したことがないぐらい、ずーっとデフレが続いているからです。

 デフレというのは、物価が下がり続けることです。



 経済学は、諸説あって、常に正しいものはありませんが、

 貨幣数量説といって、通貨供給量が物価を決める、という考え方(マネタリストいいます。これに反対するのがケインジアン、ケインズ派の人たちです)があります。

 この学説に従えば、日本に出回るお金の量を増やせば、デフレは止まるはずです。

 日銀の量的緩和は大雑把に分類するならば、このマネタリストの立場に立っている。

 量的緩和を始めたのが2001年3月で、今の福井総裁が就任したのが2003年3月です。

 4年半量的緩和を続けていますが、先月まで常に、前年同月比、マイナスでした。

 今日、マスコミが騒いでいるのは、「10月の全国消費者物価指数(2000年=100、生鮮食品を除く)は、

 原油高などを反映して98・2と前年同月と同じ水準に並び、上昇率は0・0%と5カ月ぶりにマイナスを脱した。」 ということです。



 しかし、一ヶ月(一回の発表)では何も分からない。トレンド(傾向)を見なければなりません。

 全国と同時に11月の東京都区部の消費者物価指数速報が発表されました。

 記事1の共同通信は書いていないが、記事2の毎日新聞は書いているので、写しました。

 東京は、全国で一番物価が高いところですし、経済活動が活発なところなので、

 この数字のプラスマイナス、またその幅は全国の数字を予想する材料とされているのです。

 そこで、今日発表された、東京都区部の数字を見ると、

 「11月の東京都区部の同指数(中旬速報値)は97.0で、同0.3%の下落で、99年10月以降、6年2カ月連続で前年水準を下回った」とあります。

 全国消費者物価指数が単月(ひと月)「マイナスではなくなった」というだけです。

 共同通信は「量的緩和、解除へ一歩」と書いていますが、いい加減なことを書いてはいけません。

 記事4を見て下さい。日銀が量的緩和を解除する条件を2003年10月にはっきりと発表しているではありませんか。

 

第1に、直近公表の消費者物価指数の前年比上昇率が、単月でゼロ%以上となるだけでなく、基調的な動きとしてゼロ%以上であると判断できることが必要である(具体的には数か月均してみて確認する)。

第2に、消費者物価指数の前年比上昇率が、先行き再びマイナスとなると見込まれないことが必要である。


 と。

 まだ、条件の1も2にもほど遠い。 量的緩和解除するわけがない。


◆中川政調会長も、安倍官房長官も、竹中も、小泉も日銀に干渉しすぎです。

 

 どうして、中川政調会長達がカッカしているのでしょう?

 日銀の政策決定会合のメンバーは、いろいろなところへ招かれて講演を行います。

 そこでは、自分の経済観、景況観(景気の現状と今後について、どう考えているか)について、自由に話すのですが、

 過去数ヶ月、何人かが連続して、「もしも、来年あたり、消費者物価指数がプラスになって、景気回復の兆しが顕著になったら、

 現在の量的緩和策すなわちゼロ金利政策をすこし、変えるかもしれないと」いったのです。

 政治家達は、それに過剰反応しているのです。


◆中央銀行は独立性を確保するべきだ。

 

 本来、中央銀行の政策は金融政策のプロに任せるべきなのです。金融のプロじゃないですよ。
 「金融政策のプロ」です。極めて限られます。

 政治家が金融政策に口を出すのは前述のとおり、党利党略なんです。

 「景気」というテーマは、この前の異常な「郵政民営化選挙」は例外で、通常、選挙では最も世論が注目することです。

 政治家は、選挙のときに景気が上向いていないと困るのです。 それで、いろいろ言うのです。

 しかし、あいつらは不勉強ですから、経済なんか分からない。実体経済の指標を経済学的にきちんと分析できる国会議員なんていません。



 あ、そういえば、「小泉チルドレン」、マドンナ議員のお姉ちゃんで一人か二人いますが、金融政策に携わったわけではない「予想屋」です。

 福井日銀総裁は日銀生え抜きです。

 2004年2月、英国の権威ある経済雑誌、"The Economist"が「世界で最も優秀な、中央銀行総裁」と絶賛したほどの人なのです

 まもなく引退するアメリかのグリーンスパン議長などを差し置いて「世界一」と評価したのです。


◆日本銀行総裁が一番、しんどいとおもいますよ。

 

 色々な大臣とか、外局(省ではない、庁など)のトップがいますが、大臣は素人でも何とかやっています。

 環境相の小池なんて、テレビで原稿を読んでいただけの、「元・カワイコちゃん」です。

 しかし、中央銀行総裁だけは、プロじゃなければできない。

 彼の舵の取り方次第で、一国の経済が大きく左右されるのです。その重圧はもの凄いでしょう。


ゼロ金利が続いたため、国民は、もらえた筈の154兆円の利子を貰い損なっている。

 

 新聞記事を読むと、日銀が無理に金利をゼロからプラスにしようとする「悪」で、

 政治家達は景気回復を失速させかねないからといって、日銀を牽制する「正義の味方」というような書き方になっています。

 それは、違う。

 ゼロ金利が続いているから、銀行の預金も金利があがらないのです。アメリカの家計における利子所得は10パーセントぐらいある。

 しかし、日本の家計では、1パーセントにも満たない。というか、ゼロに等しい。こんな先進国は他にない。

 今年の1月28日、衆議院予算委員会で、民主党の岩國哲人議員と、政府参考人として呼ばれた福井日銀総裁との間の質疑応答は大変明解です。

○岩國委員 ゼロ金利政策がいろいろな意味で必要だということは、私もその世界におりましたからわかります。

 しかし、このゼロ金利政策が、だれに恩恵を与え、だれに負担をかけてきたかということを今こそ率直に総括し、そしてその結果を私は国民に説明しなければならないと思います。

 ゼロ金利政策の担当の日銀総裁にお伺いします。

 このゼロ金利政策の結果として、過去十年間に日本の一般家庭の貯蓄が得べかりし利子が幾ら奪われたのか、それを端的に金額で御説明ください。

○福井参考人 お答えを申し上げます。

 いろいろな計算の仕方があろうかと思いますけれども、国民所得統計で、日本の家計の受取利子というものが過去の金利の低下でどれぐらい減ったか。

 平成五年、一九九三年と比べますと、十年間ということになります、毎年の受取利子の減少額を足し合わせますれば、累計で百五十四兆円ということになります。

○岩國委員 百五十四兆円、丹念に御計算いただきまして感謝いたします。

 決して福井総裁のときからこれが始まったわけではありません。

 私は、速水日銀総裁にもここへ来ていただいて、同じことを、なぜゼロ金利政策が昨年、一昨年から始まったのかということを三年前に質問しました。

 私は速水総裁に、あなたはお金の印刷ばかりしていらっしゃるけれども、お金に生活費を払っていらっしゃいますかと聞きました。

 払っておりません。世界のどこの国がこういうことをやっていますか。

 どこの国もやっておりません。あなたはどういう御心境で仕事をしていらっしゃるんですか。

 大変心苦しい思いでございます。私は、本当に率直な答弁をしていただいたと思います。


 岩國議員が福井総裁には、敬意を払っていることがわかります。他の大臣に対する質問など、辛辣きわまりないです。


◆10%の消費税を上乗せされているのだ。

 

 本来、ゼロ金利でなければ、得られたはずの家計の金利収入が、受け取れなかったということは、所得が奪われているのです。

 別の税金を課せられているのと同じ状態だ、ということも出来ます。

 その考え方で岩國議員が計算したら、毎年20兆円を国民が貰い損ねているということは、10%の消費税を取られているのと同じ事だそうです。

 つまり、実質的には日本の消費税は15%だということですね。だから、いつまでもゼロ金利では困るのですよ。

 金融は大変難しいというわけでもないのですが、取っつきにくい。だからこそ、新聞はもっと丁寧に解説するべきです。


◆小泉・竹中、自分らの経済政策の失敗を棚に上げて、日銀に干渉するな。

 

 竹中が金融相になり、プロジェクトチームを作ったときの記者会見における質疑応答はまだ残っています。

 この中で、竹中は、銀行の不良債権がデフレの原因だから、不良債権さえ処理すれば、デフレも止まると言いました。

 不良債権は予想より早く半減し、削減目標を達成したけれど、デフレは止まらなかった。

 最近になって、ようやく、ほんの少しだけ改善してきたのは、金融プロジェクトの功績ではなく、

 日本銀行がずっと量的緩和策で支えてくれたおかげです。

 そして、福井総裁は、量的緩和策を解除するようなことはまだない、と言っているのに、

 政治家どもは無礼にも、日銀は政府の意向に沿った金融政策を採るべきで、

 政府の言うことがきけないのなら、日銀法を改正するぞなどといっています。


 だからさあ、センセーたち、そういうことを言う前に、2003年10月に日銀が発表した、量的緩和策解除条件を良く読めよ。

 竹中の政策の間違っていることは、「金融庁、主要11行に対し月内の特別検査着手を予告」←竹中のバカ。こういう余計なことをするから、景気が回復しない。と、

 「大手行への「大口与信管理態勢検査」秋も実施…金融庁」 不良債権は不況の原因ではない。結果なのだ。に詳しく書きましたので、どうぞご参照下さい。


2004年11月25日(木) 「再処理政策継続の中間報告 15日に地元に伝達 」 再処理工場は原発より、危険なのです
2003年11月25日(火) 「私は今でも私が取った政策は正しいと信じている」(小泉首相)←そりゃ、そうでしょうね・・・。
2002年11月25日(月) 毎日、食べ物がある、有難さ。東京-平壌1293km。

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