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JIROの独断的日記
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2005年10月14日(金) 楽天が経営統合申し入れ、TBSは「慎重に対応」 何が問題なのか。

◆記事1:楽天が経営統合申し入れ、TBSは「慎重に対応

 

 電子商取引最大手の楽天は13日、在京民放キー局TBSの発行済み株式の15・46%を取得して筆頭株主になり、TBSに対して、共同持ち株会社の設立による経営統合を申し入れたと発表した。

 同日夕、記者会見した楽天の三木谷浩史社長は、「経営統合により、日本初の世界に通用するメディアグループを目指す」と語った。

 これに対しTBSの井上弘社長は同日夜、記者会見し、「唐突な印象を受ける。慎重に対応を検討していくが、協議を始めたわけではない」と述べ、経営統合には消極的な姿勢を示した。

 TBS株については、村上世彰氏が率いる村上ファンドも7%程度を取得していると見られる。

 楽天が提案した経営統合は、両社が共同で持ち株会社を設立、楽天グループとTBSグループがそれぞれぶら下がる内容だ。

 持ち株会社への出資比率や、トップ人事は今後、協議するとしている。

 TBSのブランドや経営陣、人事制度などは統合後も引き継ぐほか、統合後も放送の中立性、公共性を保つため、第三者による諮問委員会を設立する。

 三木谷社長は、「TBSは技術力、コンテンツ(番組)制作の能力が高く、報道も強い」と述べ、経営統合で、インターネットとテレビの連動による広告料収入の拡大、TBS番組のブロードバンド(高速大容量通信)配信など、双方にメリットが生まれると強調した。

 プロ野球球団の東北楽天ゴールデンイーグルスを所有する楽天と、横浜ベイスターズの株式の過半数を持つTBSとの経営統合が、野球協約に抵触する恐れがあるとの指摘には、「コミッショナーとも相談して検討していきたい」と述べた。

 また、楽天の国重惇史副社長は、村上ファンドとの間では「TBS株については話はしていない」とした。

 楽天が13日、関東財務局に提出した大量保有報告書によると、楽天は8月10日〜10月12日の間に2つの子会社を通じて2938万株のTBS株を所得した。取得金額は約880億円。

 13日午後には、三木谷社長がTBSの井上社長と面談、経営統合の提案書を提出して説明した。

 一方、TBSの井上社長は会見で、楽天とは以前から業務提携の話はしてきたとしたうえで「株を持つなら事前に明確な意思表示がほしかった。少々、心外な気持ちだ」と不快感を示した。そのうえで、経営統合の提案は「我々の思っていた提携のレベルと違う」と述べた。(読売新聞) - 10月13日23時16分更新


◆記事2:楽天KCで個人情報流出 紛失5千件、カード番号も

 

 信販会社の楽天KC(福岡市)は12日、クレジットカード番号を含んだ顧客の個人情報5518件分を記載した書類を紛失し、うち1186件分の外部流出を確認したと発表した。

 クレジットカード番号を使った不正取引は確認されていないが、不正取引があった場合、全額を補償する方針。

 同社によると、今月6日、東京都内の住民から「貴社の顧客リストと思われる資料が家の前に置いてある」との情報が寄せられた。

 11日に社員が確認したところ、同社の顧客情報1186件分の書類と分かり、警視庁丸の内署に届けた。

 楽天KCが調べたところ、同社の前身の旧「国内信販」時代に作られ、東京支店に保管されていた5518件分の個人情報を記した書類がなくなっており、見つかったのはこの書類の一部と判明した。 (共同通信) - 10月13日0時19分更新


◆コメント:どうして楽天はTBSの株を買ったのでしょうか。

 

 株式を上場している以上、誰が買ってもいい訳です。いいのですが・・・・。

 民間放送局は広告料で成り立っているから、たとえば、大広告主が社会的に大きな事件を起こしたり、問題的な行動をしても、報道できない。 報道機関としての民放は、そう言う意味では、本質的・構造的な欠陥があるのですが、それでもやはり、非常に影響力のあるメディアです。

 急に、他の会社に乗っ取られて、その会社の儲けのために都合の良い番組ばかりを放送することになったら、やはり好ましくありません。

 楽天のサイトで、企業情報・楽天の歴史というページを見ると、よくもこれだけ、と言うぐらいあちらこちらの会社を買収して、要するに、自社よりもずっと昔から商売をしてきた他の会社の株を買い占めて、子会社化して来たわけです。

 どうして、そう言うことをするかというと、これだけ色々な商売を楽天だけで、ゼロから始めるのは、絶対無理です。

 しかし、子会社化してしまえば、その会社の利益を連結決算では、楽天グループの利益になるわけです。

 グループとして大きくなればそれだけ社会的影響力が大きくなります。ブランド力が強くなり、お客さんがより一層集まり、即ち、今よりも、もっと儲かる。


◆敵対的買収とは何でしょう。

 

 「敵対的」と言っても、楽天が「TBSは敵だ」と考えているという意味ではありません。

 買収される側(TBS)が、取締役会でそれを了承する決議をしていないのに、買収を仕掛けることを言います。

 楽天がTBSの発行済み株式総数の過半数を買ったら、もう、TBSは楽天に完全に経営権を握られます。

 そこまで行かなくても、発行済み株式総数の3分の1を超える株を取得したら、株主総会での特別決議というのが為されても、拒否権を行使できる。

 全然関係ないけど、国連の常任理事国みたいですね。



 これは、いけないのか?と言われれば、上の段落で書いたとおり、別に犯罪ではないですから、いいのです。

 但しですよ。

 株式を買われる側は、今まで何十年もかけて築いてきた商売、会社の経営権を、突如、赤の他人に奪われたらやはり、愉快ではない。

 TBSの社長が「「株を持つなら事前に明確な意思表示がほしかった。少々、心外な気持ちだ」と記者会見で、発言しているのを見れば分かります。

 ただ、フジテレビの例が今年前半に有った訳ですし、TBSは赤坂の一等地にある。あの施設の資産価値だけでも大変なものです。

 当然、TBS株を買い占めて、どこかに売り付けたい。と言う投資家は沢山いたはずです。 

 TBSに昔からの安定的な大株主がドーンといてくれたら、手出し出来なかったけれども、あいにくTBSにはそういう大株主がいないのです。

 M&Aの専門家は危ないな、と思っていたのです。TBSも用心が足りなかったですね。


◆本当に「世界に通用するメディア」を目指しているのかは分からない。

 

楽天の三木谷社長は、テレビとインターネットが統合すれば、新しいメディアが出来るといっています。ホリエモンもそんなことを言っていました。

 しかし、それが本当かどうか分からないです。

 テレビは影響力は非常に大きいので、TBSの放送を利用して、楽天ショッピングをもっと利用させようとか、そう言うことを考えているだけかも知れない。

 或いは、TBSの株をどんどん買い占めると株価は上がります。最近TBSの株価は急騰していて、今日だけで500円以上も値上りしています。後で詳しく書きますが、上がったところで売るつもりかも知れない。


◆村上ファンドとどうして同じタイミングなのでしょうね。

 

 楽天の他に、村上ファンドが一緒に買っているのです。

 村上ファンドというのは投資家ですから、別に放送事業に関心があるわけはない。

 楽天の社長は村上ファンドとはTBSについて話していない、といっていますが、本当かどうか、少し、疑わしい。

 投資家というのは、株が安い時に買って、上がったところで売って差益で儲けて食っているわけです。

 そういう会社は、別に悪いことをしているわけではないのですが、楽天のTBS株購入のタイミングがあまりにも村上ファンドと符合している。

 もしかすると、楽天の真の目的は、株価が上がったところで、TBSに「買収されたくなかったら、この株を買い戻してください」と迫ることかもしれない、という憶測ができます。

 あくまで憶測です。真意は不明です。

 しかし、もし、そうなったらTBSの株価は急落するでしょう。他の株主が大損害を被る恐れがあります。


◆グリーンメーラー

 

 このように、本当に会社の長期的経営権を得ることが真の目的ではなくて、短期的な投機のために有る企業の株を買い占める人(会社)をグリーンメーラーというのです。

 相場は、株でも債券でも、外国為替でも、上がったり下がったりするものですから、本当は、株に手を出すからには、損をする覚悟が必要です。自己責任です。

 しかし、個人投資家も守らなくてはいけません。

 特に最近は、金利が低いから昔のように銀行で定期預金なんか作っても、殆ど儲からない。収入も減っている。 

 少しでも家計の足しに、というので株に手を出す素人の個人投資家が増えていますから、この人達のことも証券市場を管理する役所は考慮しなければならない。

 だから、最近、大量に株を取得する者がいたら、すぐに分かるように、インターネットから報告書を見ることができるシステムとかを作ったのです(EDINETといいます)。

 普通の投資家が大損して、株を買わなくなったら、株式市場は大暴落して、企業は保有している株の含み益がぶっ飛んで、戻りかけているかも知れない景気が冷めてしまう。

 金融庁と、その中の一部署、証券取引等監視委員会はよく見ていてもらいたいですね。


◆コメント2:TBS株買い占めとは関係ないけど、楽天の社長会見で気になったこと。楽天KC個人情報流出。

 

 記事2に載せましたが、昨日(12日)、楽天グループのクレジットカード会社、楽天KC(旧国内信販)から最大5,518件の個人情報が流出したことが、明らかになりました。

 今日の三木谷社長の会見はそれに、全く言及していなかったのではないかと思うのです。私の聞き逃しでしょうか。

 昨年のYahoo!BBの400万人に比べれば数は少ないけれど、そういう問題ではない。 顧客情報流出というのは、とんでもない不祥事なのです。

 三木谷社長が記者会見で何も触れなかったとすれば、ちょっと経営者としては、認識が甘いと思います。

 株よりそちらの方が深刻な問題なのです。

 この問題を記者会見で問い質さなかったマスコミにも、何をやっているのだ、と言いたくなります。


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