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JIROの独断的日記
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2003年10月14日(火) 「人は見かけによらない」という諺は正しい。他人を先入観で判断してはいけない

 私は最初はうつ病の治療のために、途中からは高血圧の治療のために月に一度か二度、同じ大学病院の精神科と循環器内科に通っている。

 永年、病院に通っていると(入院していた事もあるが)、様々な人の様々な人生の場面に出くわすものである。病院という場所の性質上、当然であろう。

 しかし、私が一番最初に遭遇した劇的な体験は、4年前に初めてこの病院を訪れたときに早くもやってきた。

 初めての駅で電車を降りて、さて、病院はどちらの方角であろうか、しばし迷った。病院の作ったパンフレットに載っている簡単な地図では、いまひとつ道順が分からない。これは誰か人に聞くしかないと思い、周囲を見回すと、殆ど人がいないのである。交番も無い。

 僅かに人の気配がするので、そちらを見ると、今はもはや見ることができない、ルーズソックス、超ミニスカート、ガングロ、金髪の高校生の女の子の集団であった。なるべくなら、あの娘たちに、道など尋ねたくない。しかし、ほかに人が居なかったのである。

 私は、意を決して、見た目はいかにも「不良」を思わせる女子高生に近づいて、辞を低くして道を尋ねた。「すみません。道を教えていただけますか?○○大学病院はどうやって行けばよろしいでしょうか?」

 返ってきた返事に私はひっくり返りそうになった。あまりにも、丁寧でまともな日本語でその娘たちは親切に道を教えてくれた。

 「そこの角を左に曲がって、最初の信号を右に曲がって、まっすぐいらっしゃると、すぐに大きな建物が見えます。それが病院です。すぐお分かりになりますよ」

 実に見事な日本語だった。物腰も優しかった。私は彼女たちは援交でもしている不良少女であろうと蔑んでいた自分を恥じ、丁寧に礼を述べて、その場を後にした。病院はまさに、彼女たちが教えてくれたとおりの場所にあった。

 無論世の中には本当にわるい少年・少女もいる。しかし、人を先入観だけで判断してはいけないことは、この時、骨身に沁みて、わかった。「人は見かけによらない」という先人の言葉は、正しい。


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