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JIROの独断的日記
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2005年01月21日(金) 「もはやバブル後ではない 竹中経財相が経済演説」 問題の本質を誤魔化すな。

◆経済政策の誤りをもう一度検証する。

 

 竹中金融相は平成14年11月5日(金融相就任直後)、定例記者会見で次の通り発言した。



◆記事:竹中金融・経済財政担当大臣記者会見録(平成14年11月5日)

このデフレの要因はたくさんありますけれども、そのうちの1つの重要な要因が、やはり不良債権によって金融仲介機能が低下しているということにあって、まさにデフレと不良債権問題の悪循環が存在しているのではないか、これをいかに絶つかということが大変強い政策上の問題意識として出てきていると、そのように理解していただきたいと思います。



 

解説を加える必要がないほど、はっきりと、竹中氏は不良債権がデフレの原因であると述べているのである。その発言通り、メガバンクを中心に金融庁は特別検査を1年に2度も入るという、異常なペースで行い、銀行はとにかく力ずくで、不良債権を減らした。

不良債権を減らすとは、銀行にとっては、お金を返さない客に、無理にでもカネを返させるか、その債権を諦めて、それによって生じた損失を、自己資本を取り崩して埋めるか、おおざっぱにいえば、そのどちらかをやらなければならない。だから、何十万件もの企業が倒産したのだ。


◆不良債権は、ピーク時の半分になりました。しかし・・・。

不良債権は確かに減った。今日の新聞記事。



◆記事:銀行不良債権23・8兆円…ピーク時より半減

 金融庁は21日、全国127銀行の2004年9月末の不良債権残高(金融再生法ベース)が計23兆7910億円となり、同年3月末に比べて2兆8030億円減少したと発表した。

 各行が不良債権処理を進めたためで、ピークだった2002年3月末の約43兆2070億円からほぼ半減した。

 不良債権処理に伴う損失は、約1兆5000億円と、前年同期より約1兆円減った。3月末に続き、本業のもうけである実質業務純益を下回った。

 不良債権の内訳は、金利を減免したり返済に遅れがある「要管理債権」が6兆9800億円と、3月末比で4兆750億円の大幅減となった。

 一方、破たんの可能性が高い「危険債権」以下は16兆8110億円と、1兆2710億円増えた。(読売新聞) - 1月21日23時24分更新



不良債権は、一番多かったときに比べて、半分になったのである。

竹中氏の主張が正しければ、デフレ不況は回復の兆しを見せているはずだ。しかし、実際には、物価は下がり続けているのである。



◆記事:12月の都区部消費者物価、前年比0.4%下落――11月の全国も0.2%下落

 総務省が12月28日発表した2004年平均の東京都区部の消費者物価指数(2000年=100、速報値)は前年に比べ総合で0.1%、物価の基調を映す生鮮食品を除くベースでは0.2%のそれぞれ低下となった。ともに1999年から6年連続の下落で、緩やかなデフレの傾向が続いた。天候不順でコメや野菜、米国産牛肉の輸入禁止で牛丼が大幅に値上がりしたものの、パソコンをはじめとする耐久消費財や自動車保険などの値下がりが目立った。



◆どうして、こうなって、何がいけないのか?

 なんと、物価は6年連続で下がり続けている。

 どうしてこうなったのかと云えば、不良債権は、資産デフレの結果であるのに、竹中氏は不良債権がデフレの原因だ、と、間違った認識に基づいて、金融・経済政策を実行したからである。

 本来ならば、先にデフレを止め、ややインフレにもっていく、ぐらいが丁度よかったのだ(インフレ・ターゲットとか聞いたことあるでしょう?)。

たしかに、歴史的には、インフレ・ターゲットは、インフレーションの時期にこれを抑制する目標として用いられる概念である。

 デフレから脱却するためにインフレターゲットを設定するとしたら、初めての例となるから、勇気は要る。

だが、デフレが続くということは、モノの価値が下がり続けるということである。

 そこだけ見れば良いように思えるが、モノの価値つまり価格が下がれば、企業の収入が減り、従業員への給料も減る。

 だから、消費者はモノを買い控える。ますます、物価が下がると言う状況になってしまう。

 デフレ・スパイラルである。日本ではそれが、ずっと続いている。

モノの価値が下がるということは、相対的に通貨の価値は上がる。資産だけを持っている人や会社はいいが、借り入れをしている会社にとっては、借金(債務)の実質的な負担がより大きなものになってしまう。その結果、不良債権が増えるのである。

 何年も前から、いろいろな識者が警告を発していたのだが、竹中氏は無視してきた。これは、明らかに政策判断の誤りである。

 担当大臣(と、大臣に全てを丸投げした内閣総理大臣)はそれを認めなければいけない。しかし、この二人は絶対に自説が誤りだったと認めないのである。

 それは、今日、衆議院で竹中氏が行った演説を読めば明らかである。



◆記事:もはやバブル後ではない 竹中経財相が経済演説

 竹中平蔵経財相は21日、衆院本会議で経済演説を行い、不良債権処理など構造改革の進展で、民間需要中心の景気回復やデフレ克服の動きが進んでいると強調。「『もはやバブル後ではない』と明確に申し上げたい」と述べ、負の遺産を清算する「守りの改革」から、新たな成長のための「攻めの改革」に取り組む考えを表明した。

 経済活性化のため「民間でできることは民間で」と指摘。その象徴として郵政民営化を挙げ、通常国会での確実な成立を目指すと訴えた。公共サービスの受注を官民が競う市場化テストの導入やアジアとの経済連携、国・地方財政の三位一体改革の推進などにも全力を挙げる姿勢を示した。 (共同通信) - 1月21日15時47分更新




◆さんざん、民間に介入しておいて、余計にデフレを長引かせているというのに、今更・・・

 竹中氏率いる金融庁は銀行という民間企業に特別検査にはいり、その銀行の債権(貸出)をみて、あれも不良債権、これも不良債権だ、早く片づけろ。と、思い切り民間に介入しておいて、不況を長引かせているというのに、責任を取ろうとしないで論点をボカしている。

「民間需要中心の景気回復」がすすんでいるのだそうだ。

一体、どの統計を見たら、そんな結論が出てくるのか?誤魔化すな。


◆これほど、見事に舵取りを間違えている政府の責任をマスコミは何故指摘しないのか

 

 以上、私が書いたことは、私の意見というよりも客観的な事実である。

 全く、この失政のおかげで銀行や銀行から貸付を受けている企業がどれほど迷惑したか分かったものではないのだ。

 本来、このようなことは、 新聞やテレビの経済部が国民に分かりやすく説明して、政府を問いつめるべきなのだが、そういう動きを見たことがない。

 これでは、マスコミも怠慢のそしりを免れない。


2004年01月21日(水) 「自衛隊の活動は憲法に違反するとは思っていない」(小泉首相)←首相、「考える」という習慣を身につけて下さい。
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