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JIROの独断的日記
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2004年11月22日(月) 「集団的自衛権の行使容認、自民が憲法改正大綱原案」そんなに戦争がしたいですか?

◆記事:集団的自衛権の行使容認、自民が憲法改正大綱原案(11月17日)

 

 自民党憲法調査会(保岡興治会長)がまとめた憲法改正大綱の原案が16日、明らかになった。

 安全保障では、「自衛軍」を設置し、集団的自衛権の行使や国際貢献活動における武力行使を認めているのが特徴だ。
 主要政党の中で、憲法改正の包括的な案をまとめたのは今回の自民党が初めて。同党はさらに議論を進め、来年11月に憲法改正草案を決定する方針で、与野党の改憲論議は加速しそうだ。

 大綱の原案は、今年1月に始まった同調査会の論議を基に、調査会幹部がまとめた。前文のたたき台となる「基本的考え方」のほか、「総則」から「改正」まで9章からなる。

 現憲法にはない総則では、憲法の3原則として、国民主権と基本的人権の尊重、「積極的に国際平和の実現に寄与する」とした「新たな平和主義」を明記した。さらに「国旗は日章旗、国歌は君が代とする」との内容を盛り込んだ。

 憲法9条に代わり、「平和主義」の章で、戦争放棄と非核3原則を盛り込み、「国家緊急事態及び自衛軍」で、具体的に〈1〉個別的、集団的自衛権を行使するための必要最小限度の戦力を保持する自衛軍を設置する〈2〉自衛軍は、国際貢献のため、武力行使を伴う活動をも任務とする――と定めている。


◆コメント:自民党は、どうしてそんなに日本を戦争が出来る国にしたいのですか?

 

 「主要政党の中で、包括的な改憲案をまとめたのは、今回の自民党が初めて」だそうだが、早ければ良い、というものではありませんね。

 憲法ですよ。日本国の最高法規ですよ。こういう仕事を拙速というのです。

 第一、憲法前文はどうするのか書かれていないではないですか。

 憲法前文には憲法の基本的な思想が要約されているのですから、それを書かずに、いきなり各則をまとめても、「何故、集団的自衛権を認めることに変更するのか」が分かりません。

 今の憲法前文は、立派ですよ。 


 

日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであつて、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。


 一番重要なのは「われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。」というくだりです。平和を維持するという努力を通じて、国際社会で、名誉ある地位を占めたい、と宣言しているのです。
 そして、第9条では、国際紛争を解決する手段として、戦争、武力による威嚇、武力による行使は永久にこれを放棄する、と言い切っている。

 これをまとめると、日本は、武力を使わないで、世界平和に貢献し、名誉ある地位を占めたいと思う、ということになります。非常に崇高です。世界でこんな憲法持っているところはない。


◆日本の平和憲法は、世界的既成事実

 

 1999年5月、オランダのハーグ(正しくは、デン・ハーグですね)で開催されたされたハーグ平和アピールの最終日に、「公正な世界秩序のための10の基本原則」が発表されました。

 そしてその、第1原則は「各国議会は、日本国憲法第9条のような、政府が戦争をすることを禁止する決議を採択すべきである」と謳っているのです。 

 実際に、日本の憲法9条、戦争放棄は海外でも有名なのです。イラク戦争が始まってから、私は面倒だけれども、色々な国、の英語の記事を読みましたが、BBCも、クウェート国営放送も、Voice of Americaも、The Economistも、その他、皆、「日本は憲法により、武力を行使することを禁じられている」と書いていました。

 日本が武力行使が出来ないと言うことは、最早、既成事実として国際世論に定着しているのです。


◆わざわざ、戦争をする国になることに、意義が認められない。

 

 しかし、集団的自衛権を認めるとか、海外での自衛隊の武力行使を認める、という改憲案は、その対極にある考え方でしょう。

 集団的自衛権というのは、「日本が武力行使を受けていなくても同盟国(要するにアメ公)が攻撃されたら、日本に対する攻撃と見なして、アメリカと一緒に相手に武力で反撃する」ということですね。現行憲法と正反対です。

 私が不思議に思うのは、太平洋戦争後、60年間、平和憲法を維持してきたこの国を、何故、今、「戦争が出来る国」に変える必要があるのか?ということです。その必然性が認められません。自民党改憲案に賛成する人は、この点について、論理的な説明をして下さい。


 

 自分の国をアメリカに守って貰っているようでは、一人前の国家とは言えない?子供の国ですか?良く耳にします。感情的な反応です。幼稚です。

 そういう人たちは、海外で武力行使をするようになって、集団的自衛権を行使することにしたら、アメリカとの同盟関係を破棄せよ、と、いうのですね?在日米軍を追い出すのですね?そうでしょう?アメリカ軍に守られているのが半人前なんだから、一人前になるためには追い出さないとだめでしょう?そして、最早、アメリカは同盟国ではないのですから、「集団的自衛権」そのものの必要性がなくなります(集団的自衛権云々は要するにアメリカの要求です)。論理が自己矛盾に陥りますね。


 彼らは残りますよ。絶対。そうしたら、結局、実態は変わらないではないですか。

 そもそも、戦争をする国が一人前の国なのでしょうか。海外へわざわざ兵隊を送って、人殺しをする国が「大人の国」「一人前の国」だというなら、半人前の国のままでいいとおもいます。武力が平和に役立つかどうか、これだけ、イラク戦争の惨状を見てもわからないのでしょうか?

 武力行使をしない国、つまり人殺しををしない国が「子供の国」という考え方が根本的におかしいでしょう。武力に頼らず、紛争を解決することこそ、インテリジェンスが必要だ。大人の国です。


 

 また、既に日本は、随分さまざまな場面で「国際貢献」しています。それをアピールするのが下手なのです。

日本の優れた工業製品によって、世界中の人間がどれほどたすかっているか。どれだけ多額のODAを行ってきたか。

 国連加盟国は150国以上もあるというのに、国連分担金は、いいですか? 日本1国だけで、20%も払っているのです。

 ウィーンフィルのオーボエやホルンを作っているのはヤマハです。

 ウォークマンで、誰もが音楽を場所を選ばすに聴けるようになった(個人的には、ところ構わず音楽を聴くのは感心しないが、これは、余談です)。日本人が作ったのです。

 ユーロトンネルで、イギリスとフランスがつながったのも、日本のトンネル技術者の支援があったからです。

 どこが半人前なのでしょう?

 あの、馬鹿デカいアメリカに比べたら、日本は、カリフォルニア州一州と同じほどの面積しかなくて、しかも多くは山で、人が住めるところは限られている、この小さな国が世界第二位の経済大国なのですよ。


 

 結論は、日本は、決して戦争をしない、と憲法で決めて、その通りにしてきたことで、一目置かれているのです。それが、イラク戦争ではブッシュの言いなりになって、あっという間に海外に兵隊を出したことで、馬鹿にされている。協力してやっている(するべきではなかったのですが)アメリカとイギリスからも「小泉?ああ、あいつはいい奴だよ」とコケにされている。国際貢献=軍隊を海外に出して戦争すること、という自民党の一部の人々の考え方は間違っている。

 如何にして、武力紛争を食い止めるか、そこに我が優秀な日本人の知恵を投入するべきであると、私は考えます。


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