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JIROの独断的日記
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2004年11月23日(火) 「社説:大義なき戦争の歴史的評価を恐れよ」(毎日新聞) 言い出すのが遅いが、趣旨は概ね正しい

◆記事:「大義なき戦争の歴史的評価を恐れよ」(本日付毎日新聞社説)

イラク・サマワに派遣されている自衛隊の目的はイラクの「復興支援」が建前だが、本音は「同盟国・米国支援」である。

 自衛隊はイラク南部の比較的安全な地帯に閉じこもり、武装勢力の攻撃に神経をぴりぴりさせているのが実態だ。

 アーミテージ米国務副長官の「ブーツ・オン・ザ・グラウンド」(地上部隊を出せ)などの発言がなければ、そもそも自衛隊派遣はなかったかもしれない。

 つまり、日本政府は「復興支援」とはいいながらも、イラクよりは米国を向いているのが本音だ。

 そして、日本と同様に、イラク戦争参加の多くの政府が対米関係重視から軍派遣を決めている。

 しかも、イラク戦争反対の国内意見が多数で、各国政府は国内世論と対米関係の微妙なバランスをとるのに苦慮している。

 結局、ブッシュ米政権の主張に全面賛成し、イラク戦争に積極参加したのは英豪など少数だった。

 日本はこの「有志連合」に建前では入っていない。日本の参加は「戦闘支援」ではなく、「復興支援」という立場だったからだ。

 「復興支援」ということで、「戦争放棄」を定めた憲法9条の制約も逃れた形となっている。

 しかし、実際には日本は「有志連合」に入り、「米主導のイラク戦争に参加した」と、広く世界では受けとられている。

 だから、日本は武装勢力の攻撃対象となり、すでに犠牲者がでているほか、今後、自衛隊関係者が狙われる可能性もある。

 イラク戦争の現状は厳しい。泥沼化といっていいかもしれない。 そして、最大の問題は、この戦争が歴史的に肯定的に評価される可能性が少ないことにある。

 つまり、のちに、日本は誤った戦争に自衛隊を送ったと総括されかねない状況にある。

 現実に、戦争の理由だった大量破壊兵器は発見されず、フセイン政権と国際テロ組織「アルカイダ」との関係も証明されていない。

 現在米国が主張している独裁政権打倒や中東民主化のための戦争という理論には日本はもともと賛同していない。

 戦略的に重要な国である米国との関係を損ないたくないという小泉政権の自衛隊派遣は短期的には正しい決定かもしれない。

 しかし、歴史的には日本は「大義なき戦争」に参加したとの評価につながる可能性を秘める。

 第一次大戦後、英国はインド・中東の権益を守るため、強引にイラク国家を樹立させたが、反英暴動からアラブ民族主義が吹き荒れ、とどのつまり、フセイン独裁政治へと突き進んだ。イラク近代史は現在の混乱と二重写しとなってよみがえる。

 歴史に残るような誤りに日本は関与すべきではない。誤りを正すのに躊躇(ちゅうちょ)するなかれ。自衛隊の速やかな撤退を考えるべきだ。(毎日新聞 2004年11月23日 東京朝刊)


◆コメント:「『大義なきなき戦争』に参加したとの評価につながる可能性を秘める」は間違い。既に、そう評価されている。

 

 本日付の毎日新聞の社説をまるまる引用した。

 最初にテクニカルなことに触れておく。

 私が毎回、元となる情報を、blogでやるようにリンクしないで、原則として直接引用するのは、新聞記事にリンクしてもせいぜい数ヶ月で、削除されてしまうからである。

 毎日新聞の社説は、現在、9月1日から今日までの社説はバックナンバーとして読むことができるが、それ以前のものは削除されている。

 一般の記事、特にYahoo!Newsなどポータルサイトのニュースサービスの記事はせいぜい1週間で削除される。私が原則として新聞記事にリンクしないのは、そのためである。


 

 さて、本論である。毎日新聞が本日付の社説で述べていることは、概ね正しい。人道復興支援は建前で、本音は米国支援である。と断言している。

 私自身、過去にここで何回そう書いたか分からないし、常識と、普通の知能がある日本人なら、そんなことは誰でも、わかる。

 ところが、大手新聞の社説で、それを言い切った例は、なかなか、無いのである。真っ向から政府を批判するわけであるから、新聞社として取材を規制されるとか、要するに国に睨まれる危険があるということなのだろう。それにもかかわらず、書いたという決断は、評価するといいたいところだが、いささか、遅きに失した。


 

 新聞は、時の政権の政策の誤りを指弾するのが、その重要な任務である。

 国家権力が怖くて、御用新聞、大本営発表の宣伝機関になる新聞なら、ない方がマシだ。

 その意味では、何故もっと早くから、継続的に、自衛隊イラク派遣反対、イラク撤兵のキャンペーンを張る新聞がでないのか、不満だった。今もまだ、手ぬるいと思う。

 新聞は、事実を正確に伝えるとともに、正しい物の考え方を、読者に示す役割をも担っている。
 この社説に、「戦略的に重要な国である米国との関係を損ないたくないという小泉政権の自衛隊派遣は短期的には正しい決定かもしれない。」という一節があるが、それは違う。

 国際社会は、国際法をルールとしている。米国のイラク攻撃はこのルールを破った。違法行為である。

 いくら同盟国であろうが、違法行為を行った国の支援をするために、こともあろうに、日本を防衛するための最小限の実力であるところの自衛隊を、イラクに派遣するという決定は、短期であろうが、長期であろうが、日本政府の間違った判断である。


 

また、「歴史に残るような誤りに日本は関与すべきではない」という一節がある。
 今頃何を言っている。既に、十分、関与しているではないか。少なくともイラク人の多くは、そう考えている。
 ところが、日本政府はなんとか、イラクへの自衛隊派遣延長を正当化する材料を作らなければならない。そこで、つぎのようなプロパガンダ記事が、読売新聞に載っていた。


 

◆自衛隊の支援継続、イラク外相が町村外相に要請(読売新聞) - 11月23日3時8分更新
 【シャルムエルシェイク(エジプト東部)=尾山宏】町村外相は22日昼(日本時間同日夜)、シャルムエルシェイクのホテルで、イラク暫定政府のゼバリ外相と会談した。
 ゼバリ外相は「サマワにいる自衛隊はすばらしい働きをしている。日本がイラク国民とともにあるというシンボルであり、政治プロセスが完了するまで自衛隊にはイラクにとどまってほしい」と述べ、少なくとも来年末の本格政権発足までは、自衛隊による復興支援を継続してほしいと要請した。

 これに対し、町村外相は「国内で論議しているが最終的な結論には至っていない。困難なときに助けるのが真の友であり、今後とも支援を続けていきたい」と述べた。



 

これを文字通り受け止める人はかなり、人がよいか、思慮が足りない人である。

 今のイラク暫定政権は、アメリカのロボット政権である。アメリカの言うことには逆らえない。

 そこで、自衛隊派遣期間の延長に対する国内、与党内の反対論に困っている小泉首相がブッシュに、「イラクの外相に、『自衛隊駐屯の継続を希望する』と言うように、命じてくれ」と頼む。

 アメリカは忠犬ハチ公なみに従順な日本の首相のたっての頼みに、よしよし、いいだろう、というわけで、「マチムラという日本の外務大臣がお前のところに来たら、自衛隊に居続けてくれ、と云え」。

 イラク暫定政府「かしこまりました」となる。あまりにも見え透いている。


◆小泉首相は、自衛官に犠牲者が出ても撤退するつもりはない。

 

 毎日新聞が先週からイラク派遣期間延長を前に特集を組んでいる。

 冒頭に述べた原則に早くも反しているが、全ての文章を引用するとあまりにも長いので、ここは、リンクを貼らせて頂く。

 保存しておきたいと思ったら、紙2001か、WeBoXなどを用いて、ページを保存しておかれると良いだろう。

  迫る「12・14」イラク派遣延長問題/1「もう一つの9条」に首相直面迫る「12・14」イラク派遣延長問題/2「存在」が最大の目的に迫る「12・14」イラク派遣延長問題/3 3種類の「延長幅」という、3本の記事である。

 かなり生々しい、官邸や防衛庁内部から取った情報が載っている。

 これを読むと、如何に、現在の日本政府が、ということはつまり小泉首相には、「アメリカ追従」という目標しか頭にないかが、わかる。涙がでるほど、情けない。

 いくつか、重要な意味を持つ部分を以下に記す。



◆「10月のデータを見てもイラクでは銃器を使った襲撃事件が週に500件以上起きている。これはもはや犯罪というレベルではない。戦闘状態としか表現できない」。首相官邸関係者ですら、そう口にする。

◆陸上自衛隊の幹部は「派遣時に出口を決めておくべきだった。政府内での出口戦略の議論に参加したこともあるが、結局、結論は出なかった」と戦略不足を率直に認める。

任務の終了はいつ訪れるのか。それが見えないまま、第4次派遣隊の約500人が今月中に順次、サマワに入り、第3次隊と交代する。

◆外務省内ではこんな「うわさ」も流れている。「米大統領選の後、首相が森派の幹部に『もしケリー(民主党候補)が勝ったら、自衛隊を引いたかもしれない』と打ち明けたそうだ」。しかし、ブッシュ大統領が再選された今、もはや仮定の話は成り立たない。首相官邸筋は「延長しなかったら、ブッシュは烈火のごとく怒りますよ」と撤退論をはねつける。


 

 特に最後の外務省内の噂は聞き捨てならない。小泉首相はケリーが大統領になったら、自衛隊を撤退させたかも知れないと森派の幹部に打ち明けたそうだ・・・。

 裸の王様の寓話と一緒で、本当は皆、知っている。

 小泉首相にとって、国際社会に貢献することなど、本当はどうでも良く、ブッシュの意向に如何にして沿うか、が至上課題なのだ。

 しかし、ここまでひどいとは・・・・。個人の私欲のために、数百人の自衛官の生命を危険に晒すことが、許される筈がない。

 何せ、アメリカ国民は、ブッシュに対して「イラク戦争は正しかった」というメッセージを送ってしまった(ただし、49%のアメリカ人は、イラク戦争は間違っていることを知っている)。

 ブッシュの次の狙いはイランだろう。そして、小泉君が内閣総理大臣の地位にいるかぎり、どこまでもアメリカに尻尾を振って付いていくだろう。

 それを防ぐのは、世論である。小泉政権は、米国支持を打ち出すと、支持率がどんどん下がるという現象を作ることだ。それは次の選挙では、必ず自民党が負けることを意味する。そうなったら、自民党が放っておかない。

 日頃から、首相官邸に抗議をする人が増えると効果的だ。一回やれば慣れる。


 11月18日の日記で首相官邸ホームページの「ご意見箱」に抗議の投書をした、と書いた。
 昨日、返事が返ってきた。といっても、いつも同じだが・・・。



 

 小泉総理大臣あてにメールをお送りいただきありがとうございました。いただいたご意見等は、今後の政策立案や執務上の参考とさせていただきます。
 皆様から非常にたくさんのメールをいただいておりますが、内閣官房の職員がご意見等を整理し、総理大臣に報告します。あわせて外務省、外務省、内閣官房安全保障危機管理担当、防衛庁へも送付します。

 今後とも、メールを送信される場合は官邸ホームページの「ご意見募集」からお願いします。(内閣官房 官邸メール担当)



2003年11月23日(日) 小泉君が平然としている理由=100人の専門家から成る「警視庁総理大臣官邸警備隊」の存在など。

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