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JIROの独断的日記
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2004年08月14日(土) 「<美浜原発事故>最薄部分は0.6ミリ 立ち入り検査」銀行は毎年検査するが、原発は28年間検査しないの?

◆記事1:<美浜原発事故>最薄部分は0.6ミリ 立ち入り検査

関西電力美浜原発3号機(福井県美浜町)の高温蒸気噴出事故で、経済産業省原子力安全・保安院は13日、電気事業法などに基づき同原発への立ち入り検査を実施した。その結果、破損した配管の肉厚が最も薄い部分で0.6ミリだったことを明らかにした。

 薄さが0.6ミリになっていたのは、配管の破損した切れ目にできたV字型のくぼみ付近の2カ所。同院は運転中の減肉によるものか、破損時の圧力によるものかは現時点では判断できず、データを詳しく解析する。

 この配管は76年の運転開始当初は肉厚10ミリで、安全性維持に必要な肉厚は4.7ミリとされる。関西電力は9日に最も薄い部分は1.4ミリと発表していた。

 検査では、同院の片山正一郎審議官ら計15人が、破損した配管の状況を調べたほか、破損個所が点検のリストから漏れていた経緯などについて、小鍛治市造所長ら同原発の担当者約15人から事情を聴き、関係書類を収集した。今後はデータを持ち帰り解析、減肉のメカニズムを分析する。検査結果は同院が設置した事故調査委員会などに報告される。

 終了後に会見した片山審議官は「相当データが取れた。検査の結果はまとめて公表したい」と話した。(毎日新聞)


◆記事2:<美浜原発事故>破損した配管、28年間一度も検査せず

 福井県の関西電力美浜原発3号機で水蒸気が噴出し、作業員4人が死亡、7人がやけどを負った事故で、配管が破損した部分は、同社の管理指針で「主要点検系統」に分類されていたが、管理システムに登録されておらず、運転を開始した76年12月以降、厚さを調べる超音波検査を一度も実施していなかったことが分かった。(毎日新聞)[8月10日12時10分更新]


◆コメント:カネの方が命より大事ですかね。日本政府は。

 

金融機関は所詮カネの問題であり、直ちに国民の生命に影響を及ぼすものではない。しかし、その公共性に鑑み、金融庁が毎年、検査に入り、適正な業務運営と内部管理体制が行われているかをチェックし、もし、それらに問題点が見つかれば、業務改善命令を出す。

一定期間の後に再度、金融庁が検査にはいり、前回問題点を指摘された項目について改善がなされていなければ、最も厳しい場合には、当該金融機関には業務停止命令が発せられる。

日本銀行は毎日、金融市場における 資金の過不足を観察して、全国の銀行間の決済に用いる日銀当座預金の資金量を調節している。ちなみに現在は超緩和政策だから、日銀当座には30兆から35兆円ものカネが常に用意されている。

 銀行一つが倒産したら、それは重大ではあるけれども、そのことで、直ちに人命が失われることはない。しかし、原子力発電所の原子炉にもしものことがあったら、それは原爆が落ちたのと同じことであり、放射能汚染により、短期的にも長期的にも多数の人命が失われることは間違いがない。しかし、そのような重大な施設を扱う会社が、内部監査を28年間行っていなかったという。

会社も悪いけれども、それを見逃していた経済産業省、昔の通産省の監督官庁としての責任も問われるべきだ。なんで、このような簡単なことが新聞は分からないのか。


◆Sense of proportionの欠如

 

物事の軽重を見極め、それぞれに注ぐ労力や時間を決める能力の事をSense of proportionという。

 今一度、繰り返すと、人命に直結する、しかも公共性が高い電力会社への国の検査が行われておらず、それをいいことに、会社もその社会的使命を考えずに四半世紀以上も発電設備の検査をしていなかった。

 しかるに、やはり公共性は高いものの人命に直結しない、金融機関にはしつこいほど検査に入っている。全体として日本政府はSense of proportionが完全に欠落している。お粗末さにあきれてものがいえない。

 今回、配管が破損した部分は、原子力発電所特有のものではない。火力発電所にもある。

 火力にしろ、原子力にしろ、要するに蒸気でタービン(巨大な風車)を回して電気を発生させる。火力なら熱源が化石燃料(石油、石炭など)であるのに対して、原子力発電では、ウランの核分裂反応を用いている。

ウランが核分裂して発生した熱で暖められた水が循環している部分を一次系というが、この水がそのまま蒸気になって、タービンを回しているわけではない。そんなことをしたら、放射能を浴びた恐怖の水蒸気が辺り一面にばらまかれてしまう。実際には、核分裂によって熱せられた水が、別の独立して循環している二次系の水を蒸気発生器という器の中であたためる。これによって発生した蒸気がタービンをまわす。

 今回の事故で破損したパイプは二次系の一部である。したがって、直接、放射能とは関係がない。しかし、もしも一次系で同じような破損が起きていたら、と考えると、恐ろしい。


◆重大なことほど、隠してはいけない。

 結論的に述べるならば、物事の重大性を認識しながら監督業務を怠ってきた経済産業省、内部管理体制を構築しなかった関西電力いずれにも非常に重い責任があり、それは、UFJ,ダイエーの比ではない。ただでさえ、危ないと思われている原発は会社と国がくどいほど検査して、しかも結果を隠さないこと。隠されたらたまらないんだよ。命に関わるんだから。


2003年08月14日(木) 「英首相府がイラクの脅威誇張 博士取材のテープで判明」 大変な事になりました。

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