寝返り

 にょらは夜、わたしのベッドで寝る。寒いときは布団の中にもぐりこんでいたが、最近は掛け布団の上で寝るようになった。わたしはいつも横を向いて寝るのだけど、にょらのご要望で、いすにすわるような形に脚を曲げていなければならない。直角に曲げた脚のうしろにすっぽりはまって寝るのが好きらしいのだ。

 ベッドに乗ってくるとまず爪を出していない前足を、穴を掘るようにさっさっさっとすばやく動かして地ならしをし、気に入ったならし具合になったらでんと横になる。ところがわたしが脚をのばしていると、あちこち掘ってみてなかなか寝る位置が決まらないのだ。しかたなく曲げてやると、すぐに落ち着く。

 脚を直角に曲げた状態でにょらにくっつかれて寝るのは、けっこう苦痛。体には乗っていないとはいえ、最初の掘る作業で布団がひっぱられているので、意外と重い。(布団に余裕をもたせようとすると、ひざが出てしまう。)しかしそれよりも大変なのが、寝返りだ。寝相のいいわたしは、ベッドに入ったときの姿勢で朝目覚めることも多いが、どうしても寝返りを打ちたいこともある。脚を直角に曲げて右を向いて寝ている状態から左に寝返りを打つのを想像してみてほしい。しかも掛け布団の上にはにょらが乗っている。どうです、むずかしいでしょう? そのまま寝返りを打つと、まちがいなくにょらをはねとばしてしまう。にょらを起こさないようにしようと思うと、まずそーっとひざを胸に引き寄せるようにし、体育ずわりの格好になってからそのままの形で左を向き、またそーっと脚をにょらの横にすべりこませるのだ。しかも直角に。

 わたしがこんなに苦労しているのに、お姫さまはすやすやとお休みになっている。最近、朝起きたときに疲れが残っているのは、にょらのせいだったのか。



2002年06月23日(日)
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