四十九日

 にょらの四十九日が過ぎた。

 病気が悪くなってからのほとんどの時間をにょらが過ごした2階には、まだにょらの面影がいっぱい残っている。毎晩一緒に寝たベッド、いつも邪魔しにきたパソコン机、幸せそうに外を眺めていた窓、さわられたくないときに入っていたキャットタワー、最期の日に病院へ行く前にいたパパさんチェア……。階段のそばを通るときには、途中の段ににょらがすわっているように見えてふり返ることもある。にょらが使っていたトイレのドアを少し開けておく習慣は、夫もわたしもまだぬけない。食べかけのカリカリや、カプセル詰めした薬、使用途中の輸液(未使用のものは病院に返した)、強制給餌に使った注射器などは、まだ処分する気になれない。全部にょらが闘った証だ。

 わたしはしばらく胃痛が続いたり、頭痛がたびたび起こったりした。何もしたくなくなり、好きで一生懸命やっていたことも、どうでもよくなった。信号待ちのときに、「いま飛び出せばにょらのところへ行けるかなあ」なんて考えたりもした。死にたいというより、もうどうなってもいいという感じ。投げやりというか、無気力。人前では普通にしていられるけど、ひとりになると、泣くかぼんやりしていることが多かった。結局ペットロスだったのかな、といまは思う。その一方で、ちびらをかまったりHPをいじったりして大笑いしている自分がいて、それに気づいては落ち込んだり……。それでもちびらにはずいぶん癒されたんだと思う。

 にょらが苦しんだ姿を思い出しては涙するのは、たぶん一生続くと思う。自責の念も消えないと思う。でもそろそろ以前の生活ペースにもどさないとね。そして、元気だったころの姿もいつも思い出していたい。




2003年12月15日(月)
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