吐き魔

 夜中、あの《深夜超高速階段往復及寝台襲撃》(6月2日「襲撃」参照)がはじまった。先生によると、これはハンティングなどのイメージトレーニングで、寝ている人間を岩や倒木に見立てているらしい。わたしはふとんを頭までかぶって襲撃にそなえた。ところがいつもは3〜4回繰り返される襲撃も、このたびはなぜか1回で終了。

 安心してまた眠りにおちかけたそのとき、今度は別の音で目がさめた。あわてて飛び起き、ティッシュの箱をつかんで走る。そう、にょらが吐きはじめたのだ。廊下、階段と移動しながら吐き続けるにょらを、片手にティッシュの箱をかかえ、片手で床をふきながら追いかける。連続8回。さいわい今回はカーペットやベッドに被害はなく、フローリングのところでのみ吐いてくれたので、後始末は楽だった。

 自分でも悪いことをしていると思ったのか、最後のほうは家具のうしろに隠れてしまい、呼んでも出てこない。しばらく様子を見ていたけどもう吐きそうにないので、わたしはベッドにもどることにした。

 昔からにょらは吐き魔で、しょっちゅう吐くけどあとはケロッとしている。一時に比べたら最近はその頻度が低くはなっているものの、病気がわかって以来、ちょっと心配。

 ふつうならにょらはあとからベッドにくるはずなのに、いくら待ってもこない。気になってさっきの部屋まで見にいってみると、別の部屋から「なにか?」と出てきた。
「もうだいじょうぶ? 気分悪くない?」などと声をかけていると、人の心配をよそに、なんとしばらく興味を示さなかったネズミのおもちゃにちょっかいを出しはじめた。
 
「やめてよ〜こんな時間に〜」
 午前3時半にネズミのおもちゃ(ゴムひもつき)を振り回すはめに。おかげできょうも寝不足だ。




2002年06月13日(木)
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