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■ おあずけ
きょうは血液検査の日だった。
朝ごはんぬきで連れてくるようにいわれていたので、きのうの夜にはごはんを片付けてしまい、けさはもちろん器はからっぽのまま。にょらは、わたしがすわっているか立ち止まって何か用事をしているときは、少し離れたところできちんとおすわりして熱い視線を送り続け、歩き出すととたんに愛想よく駆け寄ってきて、二階にある自分のお食事処へ案内しようとする。そこを素通りすると、「えっ、ウソ!」といった表情で一瞬かたまってから、あわてて追いかけてきてつきまとう。そういうことが何度か繰り返されたのち、わたしが階段を下りていくと、今度はついてこない。半分ほど下りたところで振り返ると、にょらは階段の上からショックな中にも怒りを秘めた目でこちらをみつめていた。わなわな……という音(?)が聞こえてくるようだ。かわいそうだけどかわいい。
せいぜい食べたい気持ちを高めておいてくれたまえ。
久しぶりの病院のせいなのか、ごはんをもらっていない怒りのせいなのか、きょうは待合室でも大騒ぎだった。いつも診てくださる院長先生は別の患者さんでお取り込み中のご様子で、採血だけ女の先生がしてくださった。にょらは人見知りが激しいため、やや緊張ぎみ。……というか、ごはんの怒りをまだひきずっていたせいだとしたら、ごめんなさい、先生。
検査の結果が出て院長先生に呼ばれ、診察台の上でキャリーから出すと、今度はずいぶん落ち着いていた。そういえば院長先生の場合、にょらは最初から大丈夫だった。ふだん、お客さんがくるとどこかに逃げ込んで出てこないにょらだけど、ごくまれに自分から近寄っていくこともある。どんな人ならOKなのか。――独自の統計によると、その秘密は声のトーンと話し方にあった。先生はその条件を満たしていたのだ。
検査の結果は、腎疾患の指標となるクレアチニンの値が正常値をほんの少し超えていた(;_;) 少しでも成績がよくなるようにと、100%療法食をクリアしてから検査に行こうと決めたのに〜。これからもがんばって療法食を食べてもらわなくては。
おなかがすいているからしっかり食べるはず。そう思って、病院から帰るとすぐごはんを入れてやった。ところがにょらは、ごはんを見てもしらんぷりでどこかへ行ってしまった。おお、そうきたか。朝のしかえしのつもりだね。 しかし、しばらくしてわたしが目を離したすきに、こっそり行って食べていた。ふふふ。見えてなくても音でわかるのだよ。わたしをだまそうなんて、10年早い。(10年後にはだましていいから、それまで生きててよ。)
2002年05月14日(火)
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