与太郎文庫
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2004年05月24日(月)  敵前逃亡 〜 脱走兵の晩年 〜

 
http://d.hatena.ne.jp/adlib/20040524
 
 脱走は、銃殺に相当する重罪である。外国に逃亡した期間は除外され
るので、時効は成立しない。拉致された日本娘は、彼が脱走米兵である
ことを知った上で、結婚に応じたのか。
 
 拉致された日本娘は、一度は日本国籍を失ったが、このたび帰国して
抹消されていた戸籍を回復した。二人の娘が、母の祖国で永住権を得る
ことも困難ではない。問題は、夫の亡命を日本が受け入れるかどうかだ。
 
 日本がアメリカに「許してやってくれ」と頼んでも、夫はアメリカ人
を裏切った犯罪者だから、軍法会議によって、すくなくとも重労働数年
を課されたのち、大統領の特別恩赦がなければ自由の身になれない。
 
 小泉首相は「日本に来れば、私がなんとかしよう」と云ったのだろう。
だが、妻以外の日本人など知らないアメリカ人が、黄色い顔の政治家を
初対面で信用するはずがない。せめて在日米人に説得させるべきだった。
 
 ジェンキンス軍曹(第1騎兵師団8連隊1大隊C中隊の分隊長中士)脱走は
二十五歳のとき(19650105)である。北朝鮮では彼を“反米帝英雄”と
して迎えいれた。のちの“よど号ハイジャック犯”の前例となった。
 
 彼らの待遇は、たぶん金 日成の急死(19940708)によって一変した
のではないか。翌年は田宮 高麿が変死(19951130)している。彼らの
妻子も居心地がわるくなったので、あいついで帰国(20010515)した。
 
 ジェキンス&曽我一家の人々は、それぞれの国籍順位がことなる。
 夫(ACB)妻(BCA)娘(CBA)←A=米/B=日/C=朝
 この順位を得点に換算すれば、CBA(朝←日←米)の順となる。
 
 われわれが「日本に住むべきだ」というのは、自由と豊かさである。
(たぶん、日本の現状を体験した妻も、これを実感したにちがいない)
 夫は、もともと謝罪して服役する意志がない。二人の娘はどうか?
 
 一家が一緒に暮すことが必要なら、いままでどおり北朝鮮でよい。
 母娘が裕福に暮すなら、夫を残して、日本に移住すべきである。
 曽我ひとみさんは、両国を往復し、半分は妻、半分は母として暮す。
 
 二人の娘にとって(混血による差別など)は、日本が望ましいのだ。
 曽我ひとみさんには、もうひとつ気ががりなことがある。やもめの
老父を(双子の妹は他家に嫁いで久しいので)できれば介護したい。
                        (Day'20040525)
 
── 親と子──「青年時代に家族と別れることは健康なことである」
としたうえで、ほとんどの人にとって必ず夜の食卓の団欒に帰ってくる
時が起きるという。そして「この団欒こそ人たちをして再び人の子に、
人の親に、祖父母に、もっと簡単にいえば、人間にするのである」と語
る。 ── 《世界の古典名著・総解説 19931130 自由国民社》P443
── モーロワ/河盛 好蔵・訳《結婚・友情・幸福 19.. 新潮文庫》
 
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 兵役拒否の州兵は「脱走」イラクへ戻らず有罪判決
 
 イラクから一時帰国したまま所属部隊に戻らず、良心的兵役拒否者と
しての取り扱いを求めていた米フロリダ州兵、カミーロ・メヒアさん
(28)は21日、ジョージア州で開かれた軍法会議で脱走罪で禁固1
年と懲役除隊の有罪判決を受けた。 メヒアさんはイラクで治安維持任
務中だった昨年10月に休暇で米国に戻ったが、「戦闘の巻き添えにな
ったイラク市民の死に耐えられない」と帰隊しなかった。ロイター通信
によると、メヒアさんは判決を言い渡される前に「(帰隊拒否を)後悔
はしていない。 ── 和田 浩明《毎日新聞 20040522 ワシントン》
 
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 となりに脱走兵がいた時代
 
数年前、テレビ朝日系の『驚き、もものき、20世紀』で『ベ平連、
友情の大脱走作戦』という番組が放映されたことがあった。なかなかよ
くまとまったドキュメンタリだったし、出演した鳥越俊太郎は最後に涙
を見せ、また、壇ふみはジャテックの活動について「こういう日本人が
てくれて私は誇りに思いますね」と語っていた。
しかし、北海道の弟子屈でジェラルド・メイヤーズらの逮捕をもって
北の出国ルートが閉ざされたことと関連した画面では、「それはアマチ
ュアがプロに破れたときだった。その後ベ平連による脱走兵の国外脱出
は行なわれていない」というナレーションがあった。本野はそれを見た
とき、「このコメントは歴史的事実に反する」という手紙をディレクタ
ーに送ったという。実は、アマチュアがプロを破っていたのだというこ
とが、今、本書で明らかにされたのだ。
 
 逮捕後、死の脅威にさらされたメイヤーズ
 
弟子屈で逮捕された後のメイヤーズ2等兵が、どんな扱いを受け、ど
んな暮らしをしてきたかも、関係者のずっと気にてきたことだった。
『驚き、もものき、20世紀』のスタッフが所在をつきとめて以後、
坂元良江とメイヤーズとの間では、多くの書簡が往来したが、そのメイ
ヤーズの手紙で初めて知らされた逮捕以後の獄内での彼の体験も衝撃的
だ。カリフォルニア沖の監獄の中では囚人が虐殺され、メイヤーズ自身
も死の恐怖にさらされたのだ。この手紙を訳しているのが、両親がかく
まっていた脱走兵に抱かれていた当時2歳の本野拓であるのも感動を
誘う。(19980504)
http://www.jca.apc.org/beheiren/25tonarinidassouheinoitajidai.htm
 
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── 関谷 滋&坂元 良江・編/本野 拓・訳《となりに脱走兵がいた時代
〜 ジャテック、ある市民運動の記録 〜 1998 思想の科学社》


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