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■ (日記)湖のベンチに座り
昨日は天気も良かったので早目に家を出、仕事までの時間がかなり余ったので、缶コーヒー片手に諏訪湖のベンチに座り、美しい風景を眺めながら独り物思いに耽っていた。
真っ青な空とヒンヤリとした心地良い風。 湖を遊覧する白鳥号を眺め、波間で戯れるカモ達の遊泳を眺め・・・・・・。 (ステキ・・・・・)と独り呟いていた。
こんなに良いロケーションが目の前にある。 こんな場所で仕事が出来ている。 それだけでもなんてシアワセで、喜ばしい事だろう・・・・・・。
遊覧船が波止場に止まり、母と子と祖母らしき3人が桟橋を降りて来る。 一瞬私は強く目をこすった。
かつての私と息子と私の母がそこに居た。 いや・・・、確かに一瞬そう見えたのだ・・・・・・。
そうだ・・・・・・。
そう言えば昔、こんな風景が有ったよなぁ・・・・・・。
幼かった息子を連れ、母と三人で諏訪湖に遊びに来た時、あの遊覧船に乗ったっけ・・・・・・。
5〜6歳だった愛くるしい息子と、まだまだ元気一杯だった母と、店をオープンして張り切っていた頃の私・・・・・・。 初めて乗る遊覧船に、すっとんきょうな声をあげ、はしゃいでいた可愛い息子。 遊覧船の上で頬張った、亡き母のにぎった脂の乗った【時ジャケ】のおにぎりの味が懐かしく蘇る。
私はその時の記憶としばし遊び、アクビを一つ噛み殺し、仕事先のホテルに向かう・・・・・・。
生憎客数は少なく、最初はまばらだが、徐々にお試し客が後を引き、皆の疲れを癒し、中身の濃い会話に花が咲き、湯上りどころに笑いの渦が巻き起こる。
その頃から段々ソワソワ・ワクワクし始める。 息子とデートの約束をしていたのだ。 息子は13日に22歳の誕生日を迎えた。 そのささやかなお祝いをしてあげるためだ。
22年前の11月13日の金曜日に(笑)この世に産まれた息子。 私が陣痛で汗水たらしていた時間、看護婦の詰め所からは、11PMのスキャットが流れていたっけ・・・。(笑) いかにも深夜族の私の息子らしい・・・・・・。ただでは産まれない。(笑)
そんな事を思い出しながら、独りほくそえんでいる内、約束の時間が来た。 息子へのプレゼントが何も無いので、ホテルのみやげ物売り場をうろついて、息子にお金が溜まるようにと500円の風水招き猫を買う。(爆)
待ち合わせ場所に行き、息子の車に乗り、格安のステーキハウスへ・・・。 グラスワインで乾杯し、980円のステーキセットを2つ注文する。
『ゴメンね? ショボイお祝いで・・・・・・』
「いやいや、とっても嬉しいよ」
『今日ね〜、諏訪湖で17年前の私達を見かけたんだよ・・・・・・』
「へぇ〜・・・・・・」
しばし昔話に花が咲き、僅かにシンミリした感慨深き時を過ごす。
 【彼女からのプレゼントのジャケットを着、ご満悦のテツ】
と、そこへ息子の携帯に彼女からの電話。
私の顔をチラチラ見ながら、なにやらヒソヒソ話している。 そこで急に私に代わろうとするではないか・・・・・・。
【ドキッ!!】
『あぁ・・・は、は、始めまして・・・・・・。い・・・、何時も息子がお世話になってまして・・・・・・』
「あ・・・。い、いえ・・・こ、こちらこそ・・・・・・」
お互いに上がり切って、二人でコチコチの挨拶をする。 何をどう喋ったのかも解らない内に、息子に携帯を取り上げられる。(笑)
食事をしながら彼女の感想を聞かれた。 『どう? って言われても、これだけじゃねぇ・・・・・・』
まずい、まずい! 母親モード丸出し。(笑)
「俺、来年結婚しようかと思ってるんだ・・・・・・」
『10年早いんじゃないの? 足が地に付いてからじゃないと、私達の似の前になるぞ〜』
「うん・・・・・・。でも彼女、しっかりしてるし、年上だしね。でさ、でさ・・・・・・・・・・・・・・・」
息子の声が遠ざかり、消えていく・・・・・・・・。 もう何も耳に入って来ない・・・・・・。
22歳になった凛々しい息子の顔と、幼かった頃の息子の顔がダブる。
私はボンヤリと、今日の諏訪湖の母子連れを想っていた・・・。
今日のみそひともじ
諏訪湖にて ベンチに座り うつろいつ 幼き息子の幻を見る
2003年11月15日(土)
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