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■ 【愛猫エッセイ】又もう一つの死
つい先日、仕事に出ようと車を走らせたら、前方の車たちが何かをよけている。
車道の隅に猫の屍が転がっていたのだ。 車を停めて見て見ると、ノラのブチである。 そう・・・、この秋生まれた2匹の赤ちゃん猫の母親だ。 2匹の仔猫を連れ、よく家の庭で遊んでいた、あの臆病者のブチ・・・・・・。 物陰からそっと、我が子がじゃれる姿を見守っていた、あのブチ・・・・・・。 最後まで人には懐かず、私が近寄ると威嚇して逃げてしまうのだが、私は時折、ミュウーの餌を小皿に移しては、母子の放浪猫たちに内所で与えていたのである。
病死だろうか・・・交通事故死だろうか・・・・・・。 外傷は見当たらず、綺麗な屍では有ったが、私は物凄く胸が痛んだ。 本当ならば今の内に何処かに埋めてやりたい所だが、時間が無い・・・・・・。 仕方なく市役所に電話を掛け、処分してもらう事にしたのだ。
「どうか、あのままでは車に引かれてしまいます。あまりにも可愛そうなので早く処理してやってください・・・」
それだけを言うと、私は後ろ髪を引かれる思いで、車を走らせた。 仕事中もしきりにその事が頭を離れなかった。 泣き出しそうになるのを必死に堪えながら、仕事をした。
恐る恐る仕事の帰りに見てみたら、ちゃんと処理が施されてあった。 何の跡形も無かったのは、少し私を安心させた。 きっと病で倒れたのだ。 綺麗なままで、葬られたのだ。 せめてそう思うことにした。
それから暫くの間、母親を探しながら狂ったように泣き叫ぶ、仔猫の声だけが聞こえていたが、その度に心が痛み、飛び出してはみるのだが仔猫の姿は見当たらなかった。 最近ではその声もしなくなってしまった・・・・・・。
2匹の仔猫たちはどうしているのだろう・・・・・・。 あの子達は母親の死を知っているのだろうか・・・・・。 ちゃんと何処かで餌を確保し、生きているのだろうか・・・・・・。 ミュウーやタロウチャンが怖いのか、家の庭には現れなくなってしまったのだ。
まだまだ小さな仔猫達。 そんな幼い仔猫を残して逝った母猫は、さぞや無念だったろう・・・・・・・。
これからの松本は、とても寒くなる。 2匹の仔猫が仲良く、何処かで無事に生きている事を願わざるを得ない。
何か、とても辛い・・・・・・。
今日の一首
寒空に 虚しく倒る 屍よ 我が子を残し さぞ辛かろに
2003年10月29日(水)
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