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■ エッセイ集【私をそそる者達】より〜 死にたい!!
私とフゥーリィー【夫】との間に、ある種の恥じらいや気取りが、全く無くなってしまったのは、一体、何時の頃からなんだろう・・・・・・。
元々私達は、気心の知れた、長年の友達だった為、ロマンチックな『出会い』から結婚に至る・・・・・・、と言う過程を踏んで来たカップル達と比べれば、かなり、付き合い出した頃から、緊張感に欠けていたのは、事実なのだが・・・・・・、そんな気楽さや、安心感や、例えば、(座薬も入れ合える仲)と言う親近感が、何時までも、仲良しでいられる理由かも知れない。
『オナラが出来ないようでは、本物の夫婦とは言えない』という、持論(?)が、ハナから二人の間に在ってか、私達が、まだ同じベッドで眠っていた頃、(今は、フゥーリィーの鼾と歯軋りが酷い為、別々に寝ている)「おはよう」の挨拶代わりが、オナラだった時期が有る。(爆)
どちらが、より大きなオナラを出せるかで、勝敗が決まる。
負けた方が、コーヒー係や、朝食係をさせられるのだ。(変?)
私は負ける事が多く、大体何時も、ご飯作りをさせられていたが、たまには勝つ事も有ったのだ。(笑)
サテ・・・、時は、遠かりしその頃の早朝のこと。
私は、何時ものように、思いっきり、目覚めの一発をかもし出したのである。
その時に限って、自分でも、正に、改心の一撃! と言えるべく、それはそれは、立派な音だった。
『プゥ〜!』とか『ブゥ〜!』、の域を越えてブゥワオ〜〜ッ!!っと、辺りの物が揺れ動くかと思われるほどの、それは爽快で、完璧な音だった・・・・・・。
「ダハハ・・ハ、今日は勝っただろう!」( ̄^ ̄)
そう、ほくそ笑み、うっすらと目を開けた私は、余りの事態に我が目を疑った。
「う”・・・、家じゃない・・・・・・!!!!!」
私は、自分の置かれた状況を把握するまでに、しばしの時間を要した。
その頃私は、深夜まで『洋風居酒屋』を経営しており、昨夜、(正確には今朝方)自宅で寝入りばなに入った処、若い大常連客の(K)から、自宅に電話が入り、たたき起こされたのだった。
「ごめん、マキ姐(ねぇ)。もう寝ちゃってた? こんな時間に悪いけど・・・、頼む!実は、大至急付き合って欲しい所が有るんだよ・・・・・・」 と、彼は何やら、何時に無く深刻な口ぶり。 (ノーと言えない日本人(^^;である私は、待ち合わせをする為、彼の指定する某ファミリーレストランに、早朝にも関わらず、わざわざ出向いて行ったのである。
寝ぼけていたせいか、ドジな私は、時間を間違え、約束の時間よりも、三十分も早く着いてしまったのだ。
ハデハデ茶髪の男性店員に、カプチーノと、ケーキを注文し、単行本を目で追っている内、睡魔が襲ってきた私は、つかの間ではあるが、つい、居眠りをしてしまったらしい。
そして、何時もの癖で、目覚めしな、ついつい大きな一発を、かもし出した訳である。
(聞こえちゃった・・・・・・?・・・か・し・ら・・・・・・( ̄_ ̄ i) タラー・・・)
幸い、平日の早朝だったせいか、ファミレスに、客はまばらだったが、早朝向けの静かな音楽の中、まさか、聞こえないワケが無い・・・・・・。
私は恐る恐る、辺りを見回した。
私を凝視する者・・・・・・。
慌てて視線を逸らす者・・・・・・。
ハデハデ茶髪の店員は、下を向いて唇を噛みしめ、肩を揺らしながら、何かと必死に戦っている様子だった・・・・・・。
明らかに、恐れていた事態で有る事は確かだった・・・・・・。
私は闇雲に、伝票を鷲掴みにすると、茶髪の店員に「お、お釣りはいいから(^^;」と、千円札を押し付けて、逃げるようにその店を後にしたのだった。
その晩、案の定、店にやって来た(K)は、「マキ姐、待ってたのに何で来てくれなかったんだよぅ」と、ブゥーブゥーで、私を責めた。
「あぁ・・・、あの、実は、チョ・・・、チョット急用が出来ちゃって・・・・・・。あはは・・・。ごめん、ごめん。電話しようかと思ったんだけど、携帯、店に忘れちゃったらしくて、番号、解かんなかった物だから・・・・・・」と、私は苦しい言い訳に冷や汗をかいた。
「で、一体、用事は何だったのよ?」
気を取り直して、そう聞く私に、彼は、重い口を開き出した。
「うん、実は、直美(妹)の事なんだけど・・・・・・チョット気がかりな事が有って・・・・・・」
彼の妹は、まだ高校生の筈である。彼は大変、妹と仲良しで、彼の妹思い振りは、仲間内でも有名である。
「ふむふむ・・・、で、直美ちゃんが、どうかしたの?」
「直美の友達に聞いたんだけど・・・、実は今朝、マキ姐と待ち合わせをしてたファミレスに、付き合い始めたばかりの彼氏が勤めてるらしいんだよ・・・・・・。でも、友達に言わせると、そいつ、ド派手な茶髪で、かなりの遊び人らしく、評判が今イチなのさ。・・・で、マキ姐なら、先見の目がありそうだし、どんな奴だか一緒に観察してもらおうかと思ってさ・・・・・・。ねぇ・・・、今晩店が終わったら、チョットだけ付き合ってよ」
(∇ ̄;;; ゲゲゲのゲ!
私は、思わず、飲みかけの水割りグラスを、落としてしまった。
2002年07月25日(木)
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