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■ エッセイ集【私をそそる者達】より〜 友達
友達
友達と言うものは、真にありがたいものだ。
ずっと疎遠になっていても、いつ何時現れて、又、どんな風に繋がっていくか、どんな風に助けになってくれるか、計り知れないのが、友達の楽しさ、不思議さでもある。
私は、経済的な理由からしても、本来の、怠慢さからしても、決して、自分から出向いてマメに友人たちとのコミュニケーションを図ろうとしている訳ではない。 自分の方からは、めったに誘わない。いえいえ、誘いたくても誘えないのが内情。(苦笑)
ニモカカワラズ、友達は、私を見捨てないでくれている。皆、内情を知ってる為、私に会いたくなると、向こうから、お呼びを掛けてくれるのだ。(申し訳ない・・・)(^^;
だから、友達から誘いがあれば、尾っぽを振って付いて行く。(情けなっ・・・!)
女だてらに、結構飲めるので、特に、飲み友達は多い。
つい先日、私の古くからの親友で、ナイトラウンジを営んでいる(T)から久々に呼び出され、彼女に、店の『チーママ』敵役割を担ってくれないか・・・・・・? との相談を受けた。
「え〜っ? こんなババァにかぁ? 客逃げるぞ!」
ま、元々私は、三十人ほど収容出来るような洋風居酒屋を、長年にわたり経営していた事もあり、一応その道の、プロではある。
が、しかし、彼女の店と、私の店とは、チト様子が違う・・・・・・。
私が経営していた店は、若者向けの、今で言う、『カフェバー』の、走りのような店だった。
飲んだり食べたりしながら、カラオケも歌えて、ピアノが置いてある為、時たま、Jazzやシャンソンのライブ等のイベントも行っているような、小(こ)洒落(じゃれ)てはいるけど安くて気軽な店だったのだ。 スタッフもジーンズだろうが、モンペ(?)だろうが、良かったのである。
一方、(T)の店は、カワユ〜イお姉ちゃんが、隣に座り、「ハイ、お口、あぁ〜ん!」等の接客をしてくれる、いわゆる、クラブに近い、高級スナックだ。
『う〜ん・・・・・・デモ・・・自信ないなぁ〜』
私は迷いに迷った。
彼女の話では、昼間のパートより、時間が短い割には、全然時給も良いし、体力的にも楽でしょうが・・・・・・、との事である。
『う〜ん・・・・・・デモさぁ〜』
貴女には、沢山のお客も付いている事だし、料理も上手いし、(これは、社交辞令?)もし、貴女のお客がくれば、売上の何パーセントか、バックしてあげるわよ、とも言う。
『う〜ん・・・・・・まぁねぇ』
極め付きに。
「貧乏から、開放されたくないの?」
とも・・・・・・。
『う〜ん・・・』
と、もう一度悩むフリをして、私は即座に、OKを出した。(爆笑)
取り敢えずは、昼間のパートをすぐに抜ける訳にも行かないので、次のパート社員が見つかるまでは、夜の十時半くらいまで、様子伺いで手伝う、と言う事で、彼女も納得してくれた。
ただ、だ・・・・・・、問題なのは、今まで、三千円くらいで飲み食べ出来ていた私の店の若い客達が、その倍以上は取られてしまうような、高級な店に、果たして来てくれる物だろうか? と言う不安が有った。チーママと名がつく以上は、少しくらい客が呼べなくては、サマにならない。
が、蓋を開いてみれば、なんのその・・・・・・、やっぱ男は、スケベェなもので、(失礼!)カワユ〜イお姉ちゃんたちには、めっぽう弱いものなのですなぁ〜。
『なぁ〜んだ、結構来てくれるもんじゃんかぁ〜。この、ドスケベどもが〜』 (≧▽≦)うひゃひゃひゃひゃ!!!
そんな具合で、昼間の仕事場にも、新しいパートが無事に見つかり、つい先日から、夜一本。晴れてチーママになった訳です。
やはり、私は、根っからの深夜族なのか、この手の店では、水を得た魚のように(?)イキイキとしてくるんですねぇ・・・、コレガ。
得意な料理の腕前も振う事が出来るし。大好きな歌も歌えるし・・・・・・。
私の店の客達も、私との再会を望んでいたらしく、『そうだよ〜。早くこういう場所を持って欲しかったんだよなぁ〜。婦人服売り場じゃ、俺たち行ってもしょうがないし・・・、やっぱ、マキ姐ぇは〜、こういう雰囲気じゃなきゃ・・』と、大喜び。
嬉しい・・・・・・。本当に、嬉しい。
(T)には申し訳ないが、(T)の店を借りながら、私の店を再オープンさせてもらったような気分である。
最も、愛しい店をたたんだのも、道路拡張で、已む無く立ち退きになったからだ。
他所での出店も考えたが、異次元から現れた幻のBARのように、アノ、奥まった場所に存在する、アノ、レトロっぽい、アノ、何とも言いがたい雰囲気が私は大好きだったのだ。 僅かの立ち退き料では、私が望む店作りは無理に等しい・・・。 場所や、店の雰囲気を換えてまで、店をやり続けていく自身も気力も無かった。
そして、運良く(?)立ち退きになった直後、私は子宮癌になってしまったのだから、これで良かったのかも知れない。(^^;
その後、一年半程、静養しつつ、のんびりと暮らしていたのだが、これは余談だが、その頃にPCを買い求め、初めて文章なるものを打ち始めたのだった。 やがて、貯金も底を突きはじめ、それでブティックのパートに出るようになったのだ。
接客業は好きなのだが、やはり私は、夜の雰囲気が合っている。 客達とのリラックスしたコミュニケーションが持ちたかった。 昼間のパートでは、何時も何処かに物足りなさを感じていた。
こうして、再び夜の世界に返り咲いたのも、再び私の仲間達と、楽しい時間を持てるようになったのも、(T)が声を掛けてくれたからである。
本当に友達とは、何時なんどき現れて、どんな世界を与えてくれるか計り知れない。 だから友達は、大切に付き合いたい。
(T)に感謝感謝である。
by マキュキュ
※ このエッセイは、今年の4月に書いたものです。
2002年07月24日(水)
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