長渕剛 桜島ライブに行こう!



一歩前の道を歩いていますか? (桜島ライブ18)

2004年09月14日(火)

『一歩前の道を歩いていますか?』−桜島ライブ(18)

                 text  桜島”オール”内藤





買おうと思ったけど、Lサイズオンリーだったので、
やめといた青Tシャツ。(僕はMサイズ)
ライブ当日は、かなり着ている人がいました。


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M-7 逆流 −アルバム『逆流』(1979)−



『激愛』で、すっかりクールダウンした会場。
でも、気温が下がったわけではありません。
暑苦しくはないけど、
汗まみれのTシャツがひんやりすることは、
朝まで、ついぞ、ありませんでした。

「そろそろ弾き語りでもやろうかな」

そう剛が言うと、わーっ!と歓声を上げた、
僕らのいるA−5ブロックでしたが、
向かって左のサブステージに
剛が向かおうとしているのを見ると、

「えーっ、剛、いかんといてーっ!」

と、ごねる声が飛ぶ。

「だいじょぶだよ。
 まだたっぷり時間あるんだから。」


と剛。
そりゃそうだ。

だいたい、ここまでの1時間、
最高の位置から剛のライブを楽しみました。
ブロックが良かろうと、悪かろうと、
みんな遠くから、全国から、
集まってきた剛ファン。
僕らだけがいい思いをしすぎては
バチが当たるというもの。

できるだけ、
いろんなところで演奏しておいでよ。
そんな気持ちでした。

さっきまで、表情まで読み取ることができるくらい、
近くにいた剛が、
あれよあれよと言う間に、
遠いサブステージに歩いて行きました。

ステージの横から、客席に向かって、
伸びるように突き出したサブステージは、
僕の位置から60〜70メートルくらいの距離でしょうか。
人の頭で剛の上半身しか見えません。
背伸びしながら、そして、
スクリーンで表情を確認しながら、
剛の姿を追いました。

逆に、剛が近くにきたA−3、4ブロックあたりでは、
ワーワーと歓迎の声を上げていました。

ここからはバンドは休憩時間。
剛だけの弾き語りコーナーです。
剛が遠くなったこともあり、
僕らはいくぶんリラックスした気分でした。

さあ、弾き語りの一曲目は?
ギターとハーモニカの音を確かめる剛。
ポジションを確かめる音を聞いただけで、
わかった!

約束どおりの、『逆流』!

ZEPPで、
「これ、桜島で歌おうか?!」
と言ったとおりです。

「俺のファーストアルバムから、
 ちょっとやってみようか。」


ヒュー!ヒュー!と、歓声が応える。

「逆流って歌、知ってる?」

知ってるとも!
『逆流』が入っているのはファーストじゃなくて、
セカンドアルバムだけど・・・(^_^;)

剛は、デビューする前から、
ずっと『逆流』を歌っている。
だから、収録したのはセカンドアルバムだけど、
ファーストアルバムに収録したような勘違いをしたのでしょう。

そんな些細な間違いなど、
剛のアコギの音色が吹き飛ばした。
ハンマリングオンとプリングオフが織り成す、
軽快な演奏が、桜島の夜空の下、なんとも心地よい。

「もっとギターの音、上げてくれる?」

剛の演奏位置が変わったので、
音声さんも調整が大変だ。

僕が ここを 出て行くわけは
誰もが 僕の居場所を
知ってたから あああ
優しさを敵に 回してでも
生きてる証が 欲しかった


ZEPPよりも、いい。
たぶん、剛から見て、
視界がわーっと開けているせいでしょう。
その気分が、演奏に乗り移っているように思いました。
声もすごく伸びている。

それに、僕の位置からは、
演奏する剛の背景は、桜島の夜空。
ぎっしりのおびただしい数の人の頭が、
剛の足下に敷き詰められ、
そこから浮き立つように、
ギターを弾きながら歌う剛が見えました。

なんていう印象的な光景・・・
『風の谷のナウシカ』で、
オームが作った金の道をナウシカが歩くシーンを、
僕は思い出していました。
ギターを持った剛が、ゆらめく人波の上を、
歌いながら歩いているようでした。

やつが ブーツのボタンを 
外していようとォ!
やつが人の生きざま
バカにしようともォ!

一歩前のォ! こーの道をォ!
行かな ければ
だって 僕は僕を 失う ために
生きて きたんじゃなーい!


この、サビの部分の感情の込め方、最高でした。
グイグイと引き込まれました。
剛はずいぶん遠くに行ってしまいましたが、
そんなのお構いなしに心をつかまれた。

もちろん、僕だけじゃない。
間奏のハーモニカのとき、
それほどベストのブロックではなくなった、
A−5ブロックの観客からも大歓声が上がりました。

ますます盛り上がる『逆流』。
最初に聴いたアルバム、
『Never Change』に入っていた、
セルフカバーの『逆流』を聴いて以来、
何度かライブでも聴いてきたこの曲が、
今、最高の輝きを放って、僕を感動させていました。

3回目のサビの繰り返しのあと、
演奏を止めた剛。
余韻を噛み締めるように間をおいて、
7万5千人に万感の思いをこめて叫びました。

このときの剛の言葉を思い出すと、
今でも胸が熱くなります。

「ねえ!
 俺、もう、涙出てるよォ!
 サイコーだよ、オイ!」


僕はその瞬間、喉元のあたりに、
なんともいえない感情がこみ上げてくるのを、
抑えられませんでした。

「だって、俺たち、
 信じて、一歩前の道を、
 ずっとずっと突き進んで生きてきたから、
 今、ここで、
 こんなことできてんじゃん!
 ねえ、違う?
 サイコーだよねえ!」


感動で震えた。
全身に電気が走った。
こんなに、説得力のある、MCは、
聴いたことがなかったから。
剛の言うことに、何の矛盾もなかったから。

感情のはけ口を探し求めるかのように、
剛はふたたび『逆流』を歌い出しました。

一歩前のォ! こーの道をォ!
行かな ければ
だって 僕は僕を 失う ために
生きて きたんじゃないー!


あんな感動的なMCのあとで・・・
反則だァ、剛。
必死で涙をこらえました。
危なかった・・・
友人がいたから、こらえたけど、
ひとりだったら、完全にやばかった。
今考えたら、別にこらえることなかったけど・・・。

「これ、俺がね、
 19歳のときに作った歌。へへっ。
 今もまったく変わんねえや!」


ほんとだよ。ほんとに変わらない。
この頑固者!
28年も変わらない、頑固者。

最高って、何度も安易に言わないよ。
よっぽどのことがないと、言わないよ。

サイコーだよ、剛。

30年近く前に作った曲、『逆流』・・・
何も変わらない、今の剛の『逆流』・・・
ほんと、サイコーだった。
ありがとう。


続く


<次回予告>
すっかりリラックスムードの桜島。MCも絶好調の剛。
フォークソングの王道とも言える、あの曲にすっかり癒されました。
気分は、まるで・・・70年代?

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