長渕剛 桜島ライブに行こう!



直立不動で聴きましたか? (桜島ライブ17)

2004年09月13日(月)

『直立不動で聴きましたか?』−桜島ライブ(17)

                 text  桜島”オール”内藤





「MUSIC PRESS」。僕も今日買いました。
表紙だけじゃありません。
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M-6 激愛 −アルバム『昭和』(1989)−



「おおおおーっ!」

それを歌うのか!というニュアンスが入った、
感嘆の声が多くの観客たちから上がったのは、
スローテンポのイントロが流れた瞬間でした。

深く静かに地に潜って行くような、
そのメロディに、
『情熱』でざわめいていた客席は、
一気に静まり返りました。

振り上げる拳、ただのひとつもなく、
声援を飛ばすことなく立ち尽くし、
暗めのライティングで照らされたステージに目を向ける。
この桜島ライブで、初めて訪れる観衆の静寂。

『激愛』!

気持ちを切り替えるかのように、
イントロのメロディを、目を閉じて聴く剛。
ステージに両足を踏ん張り、
滝のような汗を吹き出しながら、
切々と、切々と、歌いました。

舌を噛み切った
絡み合う 唇のなか
二人はよじれ合い
激しく 揺れていた


お祭り騒ぎで上気した脳みそに、
冷や水をぶっかけるような、
あまりにも凄惨な歌詞の内容。
『情熱』で思いっきりハイに入れて、
『激愛』で思いっきりロー。
この揺さぶり・・・やるなァ、と思いました。

シングル『とんぼ』の大ヒットのあと、
リリースされたシングル『激愛』・・・。
当時は『とんぼ』でファンになった人が多く、
その流れで買った『激愛』の凄まじさに、
大変な衝撃を受けた人も多かったはず。

この僕も、
初めて聴いたアルバム『Never Change』、
初めて買ったシングル『とんぼ』、
そして、それに続いて『激愛』を買いました。
当時は、シングルCDではなく、
シングルカセットというものを買いました。

壁に頭をつけて、
おなかをすかせた子犬のような哀しげな目を、
カメラに向けた剛の写真。
それが『激愛』のジャケット写真でした。

家に帰って、そのカセットをかけ、
曲が始まってから、終わるまで、
身じろぎもせずに聴きました。

そのつもりではなかったのですが、
あまりにも、歌詞が物凄いので、
まるで金縛りにあってしまったように、
直立不動で聴くしかありませんでした。

こんな重い歌、世に出していいのだろうか?
と、そんなことを思ったことを覚えています。

『情熱』を間に挟んだものの、
『とんぼ』のあとに演奏されたこともあって、
当時受けた衝撃が、再び蘇ってくるような気がしました。

そんなことを考えて立ち尽くしていましたが、
ふと気付くと、まわりでは、
ビニールシートに座って聴いている人が多かった。
アップテンポでは立ち、
バラードでは座るという、
オールナイトライブであることを考えれば、
当然考えなければならないことではありましたが、
なぜか、座る気にはなれませんでした。

友人は、
『激愛』が始まるやいなや座っており、
体力温存に抜かりがない。

「座れるときは、座ろう。
 キャプテンで思いっきり燃えられるように」

と事前に何度も言っていたのは僕なのに、
結局、ライブ中はまったく座ることのないまま、
朝まで立ち続けることになってしまいました。

間奏に突入し、鳴き続けるギターの音だけが、
無言で固まる7万5千人の観客に、
大音量で降り注いでいました。

オリジナルに忠実な演奏でした。
前日のリラックスしたリハーサルから一転、
シリアス度100%の『激愛』。
時間はほぼ23時。
『激愛』の凄みが増す時間帯でした。

今聴いても、剛の歌の中で異彩を放つ『激愛』。
一貫して、生きることにこだわる詩を書いてきた剛が、
死をテーマにして書いたのが『激愛』でした。
このステージで『激愛』をメニューに入れた理由を、
剛の口から聞くことができる日が、
いつかくるでしょうか・・・。

歌っている剛だけではなく、
じっと立っている僕の額にも、
頭からの汗がいくつも伝っていました。
グッズのマフラータオルで拭いました。
『激愛』を聴いているあいだにも、
何度も何度も拭いました。

じっとしていると、
興奮しているときには気がつかなかった、
自分の体の疲れを実感するものです。
両足のふくらはぎが張っていました。
振り上げ過ぎた右腕にも疲れがありました。
昼まで睡眠を取っていたので、
眠気はまったく感じませんでしたが、
会場に来るまでの疲労と、
ライブ前半ではしゃぎ過ぎたのと・・・
それに、この日はいささか汗をかき過ぎました。

まだまだ始まったばかり、
気をひきしめなくては・・・

首に巻いていたマフラータオルを外し、
胴体に巻きつけて、ぎゅっと結びました。
おなかが引き締められて、気が入りました。
生まれて初めて、ふんどしを締める、
という言葉の意味がわかった気がしました。

ステージでは、静かに、
『激愛』のエンディングの演奏が流れていました。
待ちかねたように、拍手と声援が沸きあがりました。

いずれにしても、
アップテンポな歌だけを羅列するライブではないことが、
この『激愛』を演奏したことでわかりました。
いったい、この先、
どんな歌が用意されているのか・・・

公然の事実のように噂されていた、
80曲という演奏曲数。

演奏開始から1時間。
まだ、6曲目が終了したばかりでした。



続く


<次回予告>
ZEPPでも演奏した弾き語りのあの曲が、
意外にも、第一部のベストチューンになった!
涙腺をメガヒットする、剛のMC!
ここに来て・・・ほんとうに良かった!

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