夜、寝床で嫁がショボーンとしながら告白した。
「今日、タク(2ヶ月)を床に落としちゃったの…」
昼間、児童館で娘・R(2才)を遊ばせており、帰り際Rに声を掛け
ようとした時にタクがずるっと嫁の腕の中から落ちて行ったらしい。
「だ、大丈夫なのか?」
「タクは大泣きしたんだけど…周りのママ友が皆集まって来て
『すぐ泣いたから大丈夫!』とか『今日吐かなければ大丈夫』
とか励ましてくれたんだけどおおおお」
嫁は今にも泣きそうな顔で今日の出来事を述べた。嫁の慌てぶりが
目に浮かぶようだ。勿論僕だってその場に居合わせたらどんなに
動揺してしまうか分かったものではない。速攻で救急車を呼んで
しまいそうだ。嫁のママ友達に感謝である。
当のタクはすやすやと何事もなかったように眠っている。幸い吐く
こともなく、今のところ大丈夫のようである。嫁は情けない表情で
「ゴメンネゴメンネ」
寝ているタクに謝っていた。しかしそんなに自分を責めることも
よいと思った。無論僕も責めることは出来ない。育児にトラブルは
付きものであるし、Rとタクふたりも抱えてると絶えずドタバタして
いるのだろうし。
僕もRを「高い高い」した時に照明にRの頭をゴンとぶつけた時が
ある。あ、でもその時は嫁に猛烈に怒られたなあ…おかしいなあ…。
ともあれ、取り敢えず無事なタクの寝顔を眺めながら、
「落とされて災難だったねえ…」
と頭を撫で撫でしながら「タクの落とし子」などというどうでも
よい駄洒落を思い浮かべたのであった。