冒険記録日誌
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2022年03月31日(木) ドラゴンクエストII 悪霊の神々[下巻] (樋口 明雄/双葉文庫)その13

(ネタバレ注意。プレイ予定の方は読まないでください。)

 ムーペタの町から旅の扉を抜け、邪神の像を使うと、ロンダルキアの洞窟に到着した。ここは原作で悪名高かった高難度ダンションなはずだが、ゲームブック版では敵一匹いない一本道という本当にただの洞窟だった。
 洞窟を抜けると、パーティ一行は幻のローレシア城に佇んでいることに気づく。ルビスの守りで幻影を打ち砕くと、ハーゴン神殿の禍々しい姿が登場した。そして呆然とする主人公一行の足元には稲妻の剣が転がっていたのだ。って、展開早いな。
 稲妻の剣を拾ってLv5に到達したところで、一旦、地上に戻ってペルポイの町へ向かい、武器屋で破壊の剣と交換してもらう。

 ハーゴン神殿に戻って、神殿内を探索すると、次々とモンスターが登場する。
 リビングデットを葬った後は、ドラゴンフライ、そして鏡だらけの部屋で魔法をしかけてくる妖術師との戦闘を勝利。邪教の大神官ハーゴンの前に辿り着く前に、最後の敵ラリホーアントが立ちふさがる!

( ゚д゚)マジカ

 いやいやいやいや。原作ならアトラス、バズズ、ベリアルといった、中ボス3連戦のタイミングだぞ。ここでラリホーアントとか、少しでも原作を知っている人には想像もできないだろう。作者はおろか、編集者も原作をやったことがないに違いない。ちなみにラリホーアントのクセに、Lv3以下なら問答無用でゲームオーバーになる強敵扱いである。
 その後、悪魔の鎧を着てしまった主人公の呪いを解くために、町まで帰還するトラブルがあったものの、今度こそハーゴンと相まみえる。
 ハーゴン戦では、バトルポイント制の戦闘に突入して敗北。杖からレーザー光線を発射してくるという謎の攻撃を食らって、下巻2回目のゲームオーバーとなる。パペットマンの時は逃げて先に進めたが、流石にここは倒さないとクリアできない。仕方なく、下巻で初となるバトルポイント表の書き換えをして再挑戦の末、今度は勝利。ハーゴンの杖のエネルギーが切れたスキに、ハーゴンを倒すことができた。アイテムに頼りすぎて自滅するとか、どうもこのハーゴンは小物っぽい。

 ハーゴンを倒すと、真のラスボスである破壊神シドーが登場。
 「私の名は、シドー。この世の暗黒を支配する者。ロトの子孫たちよ。私を倒さねば、真の平和はこぬぞ」
 原作では無言だったシドーが、セリフを吐いて最終戦を盛り上げてくる。こいつは金縛りや激しい炎で攻撃し、ベホマで完全回復も忘れず、とさすがにラスボスの貫録を見せつけてきた。しかし、原作で一番嫌な攻撃だった、デカすぎるグラが、ステータス画面にまで食い込んで、ムーンブルクの王女のMPが見えなくなるという技はない。(当たり前だ。)
 奴の吐く炎を破壊の剣で弾き飛ばし、主人公が宙高く飛び上がって、シドーの脳天に剣を突き立てて勝負はついた。
 ついに世界に平和を取り戻し、エンディングでは、ローレシア城に戻って、祝賀パーティに出席する主人公一行。割れんばかりの拍手と歓声をあげる人々の前で、3人が礼をするところで完となった。これでめでたくゲームクリア。

※※※※※※

 クリアしたところで、ゲームブック版のドラクエ2を振り返ってみる事にします。
 まず気になったのはリプレイでも散々話した通り、モンスターの分布がメチャクチャという事です。他にもムーンブルクの王女がベギラマを使う、しびれくらげがホイミで回復する、玉ねぎ型のはぐれメタル(ただしイラストは正しい姿)と遊んでいて違和感が多かった。
 これは想像ですが、原作の発売日から7か月後に出版という事から、作者はまだゲームの情報があまりない状態で書いていたのでしょう。しかし、ルプガナのパフパフ娘、ペルポイの歌姫アンナ、逃亡中のラダトームの王様といった単なるフレーバーキャラがしっかり登場しているので、わかる範囲ではなるべく原作を再現しようとしていたのではないでしょうか。
 宿屋や道具屋等の店員は町によって個性があり、モンスターの性格もいろいろ違っていて戦闘中もどこか陽気な感じです。その一方で、スターウォーズネタを初めとするメタな会話や面白くないギャグがよく出てくるのは、興ざめというか、特に上巻はそれが顕著で、ノリについていけない読者も多かったと思います。
 意外に思ったのは、RPG原作のゲームブックとしては、ルールが軽くて遊んでいて快適だったことです。バトルポイント制の戦闘は嫌いとは言いましたが、サイコロを振らないのでテンポが良いという長所がありますし、戦闘中の描写があるのも悪くありません。当初は、和製ゲームブックの最高峰とされる鈴木直人作品のような本格派と比べると、いろいろゲーム性が甘いと思っていました。しかし、これはこれで遊びやすくゲームバランスが取れている作品だったのです。
 また下巻は、船を入手してからクリアまでをよく詰めこめたなと感心します。塔や洞窟がいくつか省略されていますが、ゲームブックという範囲で、かなり忠実に再現されているのではないでしょうか。一部アイテムの配置が違うのは、原作を遊んだ人でも楽しめる部分ですし、ダンション要素が殆どないのは、パラグラフ数の節約のためでしょうが、ストレスなく話しが進むので、一概に短所とは言えません。ただまあ、上巻の方は、銀の鍵やドラゴンの角が省略され、主なイベントが2人の仲間を見つけるだけなので、その分、勇者の泉と月の塔の部分をしっかり作り込んでほしかったところです。特に幽閉されたムーンブルクの王女を助けに月の塔を登っていくのは、面白い改変だっただけに勿体ないと感じました。
 まとめると、一見、しょーもないギャグの多い軽薄な作品に見えるが、原作のゲーム性を残しつつも、軽快に遊べるよう工夫されていた良作だった、というのが今回遊んでみての感想です。パーティの3人は仲が良く、他の二次創作作品にありがちな恋愛絡みのエピソードもないので、終始雰囲気が明るくて、遊んでいて楽しい作品でした。

※※※※※※

 最後に蛇足ですが、ドラクエ2のゲームブックは、実はエニックス文庫からも出ていて、そちらの方も序盤だけ遊んでいます。基本は一方向システムがメインのようで、サマルトリアの王子の妹が、主人公にくっついて勇者の泉まで同伴するとか、良くも悪くも独自の展開が多いです。
 ドラクエ2のゲーム性を再現したのが双葉文庫版、ドラクエ2の物語を掘り下げたのがエニックス文庫版と考えると良いかもしれません。エニックス文庫版は、双葉ゲームブックの最高傑作「未来神話ジャーヴァス 救世主の章−新世紀を救え!」と同じ作者でもありますし、遊んだ人の感想を読むと、高評価なことが多いので、いずれは最後まで挑戦して感想を書きたいと思います。


(さらに蛇足追記)
 読み返してみたら、ラリホーアントは上巻にも登場していました。
 しかも、ハーゴン神殿と違って、こっちでは普通にローレシアの王子一人で倒しているんだが。
 なんなんだいったい。


2022年03月30日(水) ドラゴンクエストII 悪霊の神々[下巻] (樋口 明雄/双葉文庫)その12

(ネタバレ注意。プレイ予定の方は読まないでください。)

 再び満月の塔に挑戦するが、今回のプレイではバトルポイント表はなるべく書き換えない方針でやっている(単に書き換えポイントまで戻るのが面倒というのもある)ので、パペットマンの前で、試しに逃げる選択肢を選んでみた。
 すると、逃亡に成功しただけでなく、そのまま上の階に上がることができた。続いてゴールドオーク5体が襲ってくるが、今度はLv3以上という事で自動的に勝利。そして最上階にあった月の欠片を入手する。
 このように満月の塔は、迷路も仕掛けもなく、わずか2回の戦闘があるだけである。いくらなんでも塔の中がスカスカすぎる。上巻でもそうだったが、このゲームブック版にはダンジョン要素がほとんどない。ゲームブックの容量を考えると、仕方ないのかもしれない。物足りなさを感じるのは確かだが、単調な迷路をさまようだけという内容にされるよりは、ずっとマシかもしれない。
 最後に塔の上で大群のスライムに追いつめられ、風のマントを羽織って脱出するイベントがあった。なるほど、ここで風のマントが役に立つのか。

 次は海底洞窟のある流氷で囲まれた小島に向かう。
 月の欠片で周囲の流氷を溶かし、洞窟の中に入ると、ルビス神が登場して、3つの紋章と引き換えにルビスの守りをくれた。なんとここは、予想していた海底洞窟ではなく、ルビスのほこらだったのだ。
 あと、公式設定ではルビスは女神だったはずだが、ゲームブック版のルビス神は爺さんだった。ゲーム進行に影響のある話しではないが、ちょいとテンションが下がる。

 ルビスの守りも手に入り、あと探し出せていない必要アイテムは、天つゆの糸と邪神の像のみとなった。どちらも、原作の入手場所であるドラゴンの角や海底洞窟が存在しないので、どこを探せばいいのか見当もつかない。
 見落としがないかと、各町を再訪しながら回ってみる。
 そのうちに、再び遭遇したしびれクラゲなどの海上モンスターを倒すと、海中から邪神の像が浮かび上がってきた。
 最初に倒した時は出なかったのに、と疑問に思ったものの、どうやら前回のLv2の時はバトルポイント制の戦闘で勝利したのに対し、今回はLv3以上の自動的勝利なので、同じ倒したでも戦利品が違うという事らしい。そういえば、他のモンスターとの戦いでも、バトルポイント制の戦闘で勝つより、高レベルで倒した方が得られるゴールドが多いようだ。
 理屈はわかったが、この調子だと、天つゆの糸も雑魚モンスターのドロップ品なのかもしれない。そうなると各地の雑魚敵も、改めていちいち戦って調べなくてはいけないのかと、少々うんざりした気持ちになる。

 ここで非売品装備のガイアの鎧も見つかっていないことを思い出した。ガイアの鎧は主人公のLv4装備であり、すでに上位のロトの鎧があるので必要ないのだが、行き詰まっている事だし、気分転換に探してみようかという気になった。原作ならガイアの鎧はデルコンダル城にあったので、デルコンダル城内をうろうろ、出たり入ったりした挙句に、今まで見落としていた場所を発見。そこには天つゆの糸とガイアの鎧が一緒に安置されていた。
 天つゆの糸はこんな洞窟の中より、風の塔にでも配置した方がそれっぽいのに、とか思いつつ、テパの村に行って、水の羽衣を作ってもらい、Lv4にレベルアップする。
 これで敵の本拠地であるロンダルキアに向かう準備は整った。いよいよ最終盤へ突入だ。

続く


2022年03月29日(火) ドラゴンクエストII 悪霊の神々[下巻] (樋口 明雄/双葉文庫)その11

(ネタバレ注意。プレイ予定の方は読まないでください。)

 航海に戻ると、次はある海岸に上陸してしばらく歩く。ポツンと出現した一軒家の金の扉をあけると、そこは地下に広がるペルポイの町だった。
 家の外で泣き言言っていた男も大喜びで入っていくが、これは原作にはなかった描写なので、ほっこりする。
 HPが減っていたので宿屋に行ってみると、宿賃は120ゴールドでこの世界では最も高かった。田舎の宿屋だから、と主人公は話していたが、こんな地下に立派な居住区があるなんて、むしろハイテク都市だと思う。
 道具屋で牢の鍵を購入後、それから町にある牢屋の奥に隠れていた脱走犯のラゴスから水門の鍵をいただいた。
 あと、ここの武器屋は驚くべきことにドラクエ2では最強武器の破壊の剣を持っていた。非売品で店主曰く「稲妻の剣となら交換してやる」との事だそうだ。なんだかお手軽すぎて、逆に罠ではないかと疑いそうだが、実はゲームブック版では破壊の剣は呪われておらず、破壊の剣を装備してないと最終戦で負けてしまうのだ。昔のプレイでも印象的だったので、このことは覚えていた。

 続いて、ムーンペタの町にあった金の扉と牢の扉を開ける。牢の中から襲ってきたベビルを倒して、水の紋章を手に入れる。これで紋章は3つ全部そろったわけだ。

 さらに続いて、テパの村で水門の鍵を使って、水門を開ける。これで干上がって川が元通りになり、後で船で川を上って満月の塔に向かう事ができる。
 ついでに水の羽衣を作ることが出来る織物職人のドン・モハメに会ったが、には、聖なる織機と天つゆの糸と愛情の3つがいるそうだ。天つゆの糸が見つからないので、ゲームブック版なら聖なる織機だけでも作ってくれるかもと期待したのだが甘かったようだ。愛情?肩たたきすればいいらしいのでこれはOK。Lv4以上にするのに必要な装備なので、満月の塔や海底洞窟に行く前までには手に入れたいところだったが、一旦あきらめるしかないようだ。

 水門を開けたので、さっそく川に向かったが、前に見つけたはずの川が見つからずに難儀した。ザハンの町のように、一定方向からの移動でしか見つからない可能性が高いので、完成した海図を見直しながら、検証を続けて行くと、ある地点を一度上陸して再び船に乗った直後に北上することで、川を発見できることが判明した。なんじゃ、それは。
 川を上って満月の塔に入ると、パペットマン3体が襲ってきた。ここでバトルポイント制の戦闘に負けて、パペットマンのザラキで全滅してしまった!
 下巻初のゲームオーバーである。上巻で死にまくりだったことを考えれば、むしろここまでゲームオーバーにならなかった事が凄いのだが、それにしてもパペットマンって、ザラキ使えたっけ?

続く


2022年03月28日(月) ドラゴンクエストII 悪霊の神々[下巻] (樋口 明雄/双葉文庫)その10

(ネタバレ注意。プレイ予定の方は読まないでください。)

 金の鍵を握りしめて、各地を再びまわる。
 サマルトリア城の金の扉を開けると、ロトの兜を入手。
 ローラの門の洞窟にあった金の扉を開けると、そこは旅の扉で、ベラヌールの町とつながっていた。
 ムーンペタの町の金の扉を開ると、牢屋で行き止まりになっていた。

(; `д´)ナン…ダト!?

 確かに原作でも、ここは牢の鍵が必要なんだけど、てっきりゲームブック版は牢屋の鍵は省略されていると思っていた。という事は、次は牢屋の鍵を売っていると思われるペルポイの町を目指すべきだろう。

 ここでストーリー進行は一旦置いておいて、モンスターと戦って金策をすることにした。そろそろ装備を整えてレベルアップしたい。
 目標は1000G。Lv3になるだけならそこまで必要ないが、どうせなら、店売り最強装備を揃えた方が後々楽だろう。
 余談だが、ゲームブック版は上巻に比べると下巻は装備品の価格が、なぜか大幅に下がっている。例えば、ミンクのコートは上巻は1000Gなのに、下巻では200Gと大暴落。もし上巻で下巻用の装備を購入したら、泣きを見ること間違いなしである。
 金策の話しに戻ると、竜王の城近くで遭遇する魔術師を狩り、そのあと近くのリビングデットを狩り、また戻って魔術師を狩るという作業を繰り返した。魔術師はLv2以上なら無条件で勝てるうえ60Gを得られるし、リビングデットは甘い息を風下で使って自滅するというギャグみたいな奴で遭遇しただけで20G得られる。1000G貯めるのは思ったより簡単だった。
 サイコロのようなランダム要素がないので、金策中は愚直に繰り返しページをめくり続けるだけだ。せっかちな方は「何回も戦って勝った事にして、好きなだけゴールドを増やせばいいじゃないか。」と思うだろう。でも、それだと原作のような、レベルアップの苦労と達成感が味わえない気がするので、必要回数分キッチリとページをめくった。とはいえ、これが目標が5000Gとか言われたら、自分もゴールドは無限増殖して、金策は省略したと思う。(汗)
 なんだかんだゴールドが貯まり、主人公用の光の剣と、クッキー用の魔法の鎧と、マリア用のミンクのコートを購入してLv3になった。
 Lv3になると、デルコンダルの城の闘技場で、サーベルウルフを打ち負かす事ができる。喜んだデルコンダルの王様は、月の紋章を譲ってくれるのであった。

続く


2022年03月27日(日) ドラゴンクエストII 悪霊の神々[下巻] (樋口 明雄/双葉文庫)その9

(ネタバレ注意。プレイ予定の方は読まないでください。)

 次は海路を進んでベラヌールの町に着く。この町はイベントこそ特にないが、世界樹の葉、稲妻の剣、太陽の紋章、ラゴスという囚人の事など、町の人から情報が多く手に入る。しかし、それより遥かに重要なのが、町の牢屋の先にある3つの旅の扉のうちの1つで、ハーゴンの本拠地であるロンダルキアに飛ぶ事ができるのだ。
 牢屋の鍵はゲームブック版に存在しないので、今の時点でロンダルキアまで渡れたのだが、邪神の像を持っていないとこれ以上は進めないとの事で、すぐに引き返した。邪神の像は原作なら海底洞窟にあったはずなので、海底洞窟も見つけなくてはならない。どのみち今のLv2で行くのは無謀だろう。

 これでこの世界の大半はまわったので、そろそろ金の鍵を手にいれなくてはならない。
 金の鍵と言えば、広い海上にポツンとある小島の町、ザハンだ。島を探すからには船を使うわけだが、ゲームブック版は航海中にモンスターにはほとんど遭遇しない。そんなわけで島探しはそんなに苦労しないと思ったのだが、なかなか見つからない。
 航海をずっと続けると、流氷に周囲を覆われた小島を発見した。月の欠片があれば島に上陸できるそうなので、ここはザハンではなく、海底洞窟なのだろう。月の欠片は持っていないので、今回は場所だけ覚えておくことにした。
 それにしてもザハンはどこだ?
 探している最中にペルポイの町を発見した。町全体が地下にあって、金の鍵がないと入れないので後回し。ザハンは見つからない。
 続いてテパの村までつながっている川を発見したので船で登って行ったが、予想どおり途中で川が干上がって進めずに後回し。ザハンは見つからない。
 仕方がないので、本格的に調べるため、航海中はマッピングをすることにした。船での移動はどうも距離感がつかめないので、マッピング作業は最初難航すると思っていたが、完成した海図は、3×4の碁盤の目のようになっていて、東西南北はループしている簡単な構造だった。驚いたことに大陸にぶつかって迂回するという事が発生しない。こちらの想像と違っているので、距離感が合わなくても無理はなかったのだ。これでは気球船に乗っているようなものではないか。
 さらに変なことに、海図が完成したのにザハンはなかった。そんなはずはないと、ぐるぐると回り続けたあげく、やっと発見した。どうやらザハンの町のある島は小さすぎて、普段は見落としてその海域を素通りするが、ある地点から南下した時だけ、小島を発見できる仕掛けらしい。ザハンを見つけにくくするため、そう工夫したのかもしれないが、なんとも意地の悪い仕掛けだ。
 
 ザハンの町に到着すると、すぐにここ掘れワンワンで金の鍵を発見した。
 またザハンには神殿がある。神殿内にはダメージを受けるバリアが張られていた。LV2以上ならクッキーが対バリア呪文のトラマナを覚えているということで、無事に神殿内に侵入して聖なる織り機も入手する。(原作でもそうなんだから泥棒とか言うな。)
 なお、ゲームブック版のクッキーは、たいていは剣で戦ってばかりいるので、彼が呪文を唱えるシーンは珍しかったりする。
 町を出て航海を再開すると、しびれくらげ等のモンスターの群れが襲ってきた。昔の記憶が正しければ、ここは海上モンスターが登場する唯一の場所だ。LVが足りなくて苦戦したが、バトルポイント制の戦闘で勝利できた。
 さて、各地の金の扉を開けに行こう。

続く


2022年03月26日(土) ドラゴンクエストII 悪霊の神々[下巻] (樋口 明雄/双葉文庫)その8

(ネタバレ注意。これから遊ぶ予定の方は読まないでください。)

 ムーンブルグ城の周辺地域を探索していく。上巻でペルポイの町に行けたらしいのだが、下巻では南方面は行き止まりになっていた。その代わりに西には進めたので、行ってみるとテパの村についた。原作では発見にそこそこ苦労するテパの村に、ムーンブルグ城方面から歩いてあっさり到着するとは思わなんだ。
 テパの村についたといっても、今の段階では、水門の鍵もないので特にすることもない。金の扉つきの家があったが、水の羽衣を織ってくれる爺さんでもいるのだろうか。もしかすると材料を集めるイベントは省略されて、最初から完成品の水の羽衣がどこかで手に入る可能性もあるかな。
 他にテパの村と言えば、2回攻撃で有名なはやぶさの剣を売っている事も特徴だが、ゲームブック版でははやぶさの剣は他の町でも売っているのでレア感はない。しかも、ゲームブック版はローレシアの王子のLv1用武器という、原作のおおかなづちくらいのポジションになっていて気の毒である。
 ここで、はやぶさの剣を買えばLv1になるのだが、代わりに力の盾を購入しておく。力の盾は最後まで使えるので、こちらの方が無駄がないだろう。

 陸路はこれ以上進めないようなので、ローレシア城まで戻って船で再び海へ出る。
 ラダトーム城を目指しているつもりが世界樹の島に到着。上陸して、世界樹の番をしていた悪魔神官を倒して世界樹の葉を入手した。(ゲーム的には戦闘でパーティの一人が死ぬ展開になった時に救済する力を持つ。)
 再びラダトーム城を目指して船旅を続けると、今度は竜王の城がある島の方へ先に到着したので、ここも上陸してみた。
 ゲームブック版では竜王の城はなんと観光名所になっているという設定で、受付の婆さんから入場料が必要と言われる。ギリギリゴールドが足りたのでチケットを買って入ると、観光収入で生活しているという僧服姿の竜王の子孫が登場し、ロトの剣とさらにロトの盾までいただく。ありがたいのだが、どっちも貴重な展示物だったのじゃないかな、これ。あっさりもらうのも有難味がないので、譲る条件に竜王の子孫が謎かけの一つでも出してくれれば面白いのにと思ってしまった。
 何はともあれ、装備条件が満たされたのでLv0から一気にLv2へレベルアップだ。

 竜王の城からお暇すると、いよいよラダトーム城に到着。ラダトームの王様が行方不明で武器屋に隠れているのは原作と同じで、こちらでは店員に変装していて接客までしてくれる。絶対バレるだろこれ。
 特に得るものはなかったが、町の人から3つの紋章を集めるとルビスの守りが手に入るという情報を教えてもらった。原作より2つ紋章の数が少ない。
 しかし、原作のドラクエ2では制作秘話の話題になると、ファミコンの少ない容量にイベントを削り、工夫しながらデータを節約したというエピソードを聞く。その点ではゲームブック版も、船入手後からクリアまでを、下巻の450パラグラフに詰め込むのはなかなかに難しそうだ。約35年ぶりの今回のプレイでは、頑張って原作を表現しようとする作者の苦労が垣間見える気がした。

続く


2022年03月25日(金) ドラゴンクエストII 悪霊の神々[下巻] (樋口 明雄/双葉文庫)その7

(ネタバレ注意。これから遊ぶ予定の方は読まないでください。)

 リリザの町に向かうと、町の入り口でサイクロプス2匹とスカルナイト2匹が酒盛りをしている。戦おうとすると「俺たちよりも、酒が強ければここを通してやろう」と挑戦を受け、なぜか飲み比べという戦闘に突入した。
 飲み比べは通常の戦闘ルールを使う。レベル0なので、今回はバトルポイント制の勝負になるが、数値的には勝率が2割しかなかった。
 「どうした、ホレ、もう一杯だ!」とスカルナイトのお酌という攻撃を食らって、ダメージ(酔いが回ってゲ〇でも吐いたのだろうか?)を負ってしまう。しかし、逃げずに粘ると、次は1割の勝率になったにもかかわらず奇跡の勝利を治めることができた。
 かくして酔いつぶれたモンスター達を跡に、一人平気なマリアが酔っ払った王子2人を引きずって町に入って行くのであった。
 リリザの町では、ダメージの回復に宿屋行きを真っ先に選択した。しかし、宿でも王子2人はべろんべろん状態。女将さんから「酔っ払いは割増料金だよ」と言われながら一泊して、翌朝、二日酔いに悩まされるオチが付くのだった。
 昔のプレイは大半忘れてしまったけど、モンスター達と肩を組んで歌って酔っ払っている姿とか、マリアが実は酒豪だったとか、負け続けるとクッキーが急性アルコール中毒で死んでしまうとか、ここは印象的だったのでよく覚えている。本来なら原作の雰囲気ぶち壊しと言うべきなのだろうが、なにか好きなので許せてしまう。

 リリザの町を出ると、サマルトリア城へ立ち寄り、ローラの門から海底トンネルを抜けてムーンペタの町へと移動するが特にイベントはなかった。
 ただ、どこも金の扉があったので、鍵を手に入れたらまた来なくてはならないようだ。扉の向こうは原作の感覚なら、サマルトリアはロトの盾、ムーンペタは紋章が入手でき、トンネルは旅の扉行き、という所だろうか。
 廃墟のムーンブルグ城では、王様の亡霊は出現せず。マリアとの対面がどうなるのか気になっていただけに肩透かしになる。しかし、登場したメドゥーサボールを倒すと、ロトの鎧を入手してしまった。こんなところで、大物アイテムの出現とは驚いた。
 ゲームブック版はアイテムの配置がかなり違うから、この分ではさっきの金の扉たちも何が隠されているかわからない。意外性を楽しめるのは、悪くないと思うけどね。
 風の塔では、入り口で管理人のおばちゃんが清掃中という変な状況で入れなかった。雇い主はハーゴン教団だろうか。

続く


2022年03月24日(木) ドラゴンクエストII 悪霊の神々[下巻] (樋口 明雄/双葉文庫)その6

(ネタバレ注意。これから遊ぶ予定の方は読まないでください。)

 あてもなく東に向かって航海をしていると、陸地に出会った。上陸してみると、そこはデルコンダル城の近くだった。
 城に入ると早々に王様が「闘技場で戦ってはどうだ」とけしかけてくる。断わる選択肢もあるが、空気が読めてしまう自分としては断りづらい。
 対戦相手はやはりサーベルウルフだった。数値上では意外と弱い感じだったが、負けてしまったので、城から追い出されてしまう。なんて失礼な。まだ、町の見物すらしていないんだぞ。
 しかし、デルコンダル城に来たおかげで現在地は把握できた。船に戻ると北上して、ローレシア城に到着した。
 立ち寄ったついでにローレシアの王様(主人公の親父)に挨拶をすると、なんとここで風のマントをもらってしまった。意外な場所で意外なアイテムが出てきたものだ。ドラゴンの角がないのにどこで使うのだろうか。

 ローレシア城から離れると、上巻の舞台だった場所を再訪してまわる気になった。船はここに係留されたままなので、後で戻ってこなくてはならないが、そのくらいの不便は気にしない。そんな事で面倒くさがる人間なら、今の時代にゲームブック版なぞやってないのだ。
 マリアがトヘロスの呪文を常時かけていると説明があるので、下巻でこの辺を歩いてもスライムや大ナメクジみたいな敵は登場しない。(追記:読み返してみたら一ヵ所でスライムが登場してました。)しかし、キラーマシンが出て、一度ダメージを受け、命からがら逃亡した。
 上巻から思っていたが、モンスターの配置は本当にメチャクチャである。作者は原作の攻略本くらいは読んだかもしれないが、ゲーム自体はやってないに違いない。

続く


2022年03月23日(水) ドラゴンクエストII 悪霊の神々[下巻] (樋口 明雄/双葉文庫)その5

(ネタバレ注意。これから遊ぶ予定の方は読まないでください。)

 2人の仲間も揃って、下巻のプロローグに入った。
 船の舵輪を握るサマルトリアの王子クッキー。ムーンブルクの王女マリアが、琴を奏でながら唄う美声が聞こえてくる。そんな甲板の船尾で、主人公のローレシアの王子は最初の行き先を検討していた。

 というわけで、下巻に地図が掲載されているので、プレイ前に確認してみる。町や城については、原作にあったものは、ほぼあるようだ。ザハンのある島がないが、昔の記憶ではあったはずなので隠されているのだと思う。
 世界樹の島というのもあるので、世界樹の葉は存在するらしい。上巻では湖の洞窟とドラゴンの角が省略されていたが、下巻の地図を見る限りでは、満月の塔はあるが、大灯台はなさそうだ。海底洞窟も地図にないが、これも隠されているだけかもしれない。
 続いて下巻のルールを確認する。能力値の方は、3人パーティになっても全体で1つのHPを管理するのみだ。MPは存在しないが、回復魔法があるのに、宿屋に泊まる以外ではHPが回復しないところを見ると、下巻のHPはMPと合わさったものらしい。
 装備を揃えてレベルアップするシステムも健在だが、今度はローレシア王子の装備だけでなく、仲間の装備も全て揃えないとレベルアップできない。下巻ではLv0からスタートしてLv5まである。
 それぞれ何の装備が必要なのか、レベルチェック表を眺めてみると、3人の最強装備は次のようになっていた。

ローレシアの王子(主人公) 稲妻の剣(もしくは破壊の剣)、ロトの鎧、ロトの兜、力の盾
サマルトリアの王子(クッキー) ロトの剣、魔法の鎧、ロトの盾
ムーンブルクの王女(マリア) 水の羽衣

 なんとクッキーはロトの剣を装備できるのだ。原作のリメイク版を先取りしているではないか。ロトの剣は主人公のLv2武器でもあるので、彼のおさがりをもらう形にはなるが、原作のようにロトの剣が最後は道具屋に2ゴールドで叩き売られることもなく、クッキーも鉄の槍が最強装備と揶揄されることもない。素晴らしいことである。
 他に気になるのは、2人の王子の盾が反対じゃない?というのと、マリアの武器がないことだろうか。雷の杖くらいあっても良いと思うのだが。
 下巻で唯一の追加ルールは、港のチェックというもので、これは船がどの場所に停泊しているかを記録するものである。

 ひととおり説明は終わったので、下巻の冒険をスタートさせる。
 いきなり海上なので、世界のどのあたりにいるのかよくわからない。ルプガナの近海であれば、ラダトーム城が近いはずだが、どこに進むべきだろうか。
 船に乗ると急に世界が広くなって放り出される感じは、ドラクエIIの特徴であり、シナリオを追いかけていくだけのRPGが嫌いな私にとって、ドラクエシリーズの中で2が一番好きという理由である。双葉のゲームブック版は、そこは良く再現できているのではないだろうか。
 適当に船を進めて、発見した小島に上陸する。そこには地下洞窟があって、旅の扉と太陽の紋章があった。いきなり重要アイテムの発見だ。紋章集めが必要というヒントが、ここまでの道中にあったかは定かではないが、もちろんありがたくいただく事にした。

続く


2022年03月22日(火) ドラゴンクエストII 悪霊の神々[上巻] (樋口 明雄/双葉文庫)その4

(ネタバレ注意。これから遊ぶ予定の方は読まないでください。)

 ゲームを再開。Lv3になっているので、弱い敵を倒してゴールド稼ぎをすることにする。ローレシア城のすぐ東にいるオークが、多めのゴールドをドロップすると分かったので、ここを往復して金を貯め、鋼の鎧と鋼の盾を購入。これに聖なる剣を合わせると、上巻の最高レベルであるLv5に到達した。
 レベルアップしたところで改めて風の塔に再挑戦する。原作では大灯台にいた道案内をする老人がこんなところで登場するなど、面白い仕掛けもあったが、Lv5の勇者の敵ではなかった。モンスターを蹴散らしながら塔の中の探索を続ける。
 塔の最深部らしきところに到達すると、狼みたいな猛獣に遭遇した。狂暴だが普通のモンスターと明らかに様子が違う。ラーの鏡を突きつけると、猛獣は見目麗しい美少女に変身した。ムーンブルクの王女マリアだ。
 マリアは礼を言うと、キメラの翼でプルガナの町に先に飛んで行った。

 上巻ももう少しで終わりそうだ。
 ここで、サマルトリアの王子クッキーをまだ仲間にしてなかった事を思い出した。原作でも不憫な奴なのに、これはすまないことをした。(汗)
 勇者の泉までの道中を塞いでいたゆうれいは、Lv5でも無条件には勝てず、バトルポイント制の戦闘に突入して敗北、ゲームオーバー。なにせ、戦闘を始めると、ゆうれいの助太刀によろいムカデと地獄の使いが登場するのだから、とんでもない話しである。モンスターの分布がデタラメじゃねぇか。
 仕方がないのでここで初めてバトルポイント表を書き換えるルールを使用して、やっと勝利した。
 泉のほとりにたたずむ老人から、クッキー王子はサマルトリア城に戻ったと聞き、サマルトリア城に移動するとやっとクッキー王子と遭遇した。
 ちなみにサマルトリアの王子と言えば、「いやー探しましたよ。」が名言という、のんき者のイメージだが、ゲームブック版にはそのセリフはなく、逆にちょっとカッコいい系のキャラである。むしろローレシアの王子の方が、三枚目な扱いになっている気がする。

 クッキー王子ともルプガナの町で落ち合う約束をして別れたが、もうやり残した事もないので自分もルプガナの町に向かう。
 厳密に言えば、さらに粘ってドラゴンキラーやミンクのコートのような強力な装備を入手しておくと、下巻の冒険を有利に始められるが、もう上巻の冒険は十分だ。さっさとルプガナの町で少女を襲っているグレムリンを退治して、助けた少女に港まで案内してもらった。
 お礼に譲り受けた船には、すでにクッキーやマリアが乗船していて主人公に手を振ってきた。

 これにて上巻はクリア。

 最後に、上巻のエピローグの話しをするが、エピローグは船上で3人が会話するシーンで、海図が欲しいな!よし、作者のヒグチアキオとかいう男に地図を貰いに行こう!という、メタなオチで終了している。雰囲気ぶち壊しである。
 双葉のゲームブック版は、このエピローグに限らず、町の人やモンスターに、スターウォーズネタとか、しょうもないギャグを飛ばす奴が多いので、時々ノリについていけない所がある。
 ゲーム的には原作の再現が結構出来ているだけに、勿体ないなぁ。


 下巻の冒険に続く。


2022年03月21日(月) ドラゴンクエストII 悪霊の神々[上巻] (樋口 明雄/双葉文庫)その3

(ネタバレ注意。これから遊ぶ予定の方は読まないでください。)

 HP不足を補うために薬草を購入する事に決めた。今まで鋼の剣を買うためにゴールドを惜しんで薬草は買わなかったのだが、ルール説明を改めて読んでみると、薬草はHPが0になった時でも自動的に消費されてHP10で復活できるらしい。凄い効能なので使わない手はない。ゲームブック版では、リリザの町の道具屋はバーゲンセールとか言って相場より安値で売ってくれるので、ここで薬草を買い込む。
 それから先程死んだ毒の沼地でラーの鏡を無事に入手した。しかし、犬に変えられたムーンブルクの王女は原作と違ってムーンペタの町に居ないのだ。昔のプレイの記憶もないし、どこにいるのだろうか。
 (追記:読み返してみたらムーンブルクの王様が「娘は風の塔に幽閉されている」と教えてくれていました。)
 ムーンブルク城より南に行くと、バーサーカーとか原作では中盤に登場する敵が集団で登場して、4度目のゲームオーバー。このあたりの敵の強さは異常で、Lv4以下は負け確定、Lv5ならバトルポイント制による戦闘に突入するが、その勝率が1割くらいしかない。この手のモンスターに遭遇したら逃亡するしかない。勝たせる気がないという作者の意図を感じたので、この先は恐らくクリアに必要なルートではないと判断して、西に向かった。

 余談だが、原作では船の入手後でないと辿り着けないペルポイの町に、ゲームブックではこの上巻でも行ける。今回のプレイでは発見できなかったので、このあたりの強敵を倒した先にあるのではないだろうか。もっともこの時点では金の鍵がないので、ペルポイに到着しても、1人残された村人の泣き言を聞くだけで意味はない。作者のお遊びみたいなものかもしれない。

 引き続きムーンブルク城周辺を探索していると、原作では覚えのない場所に祠を発見。そこには旅の扉があった。(一応説明すると、旅の扉とはワープトンネルみたいなもので、どこか別の旅の扉とつながっている。)踏み入れてみると、驚いたことに辿り着いた先はルプガナの町の近くだった。
 どうやらゲームブック版ではドラゴンの角を省略しているらしい。ちなみに湖の洞窟と銀の鍵も存在しない。
 ルプガナの町についたはいいが、町でグレムリンに襲われている少女を助けようとして、戦闘に負けてまたゲームオーバー。もう何度目のゲームオーバーか覚えられなくなってきた。
 仕方がないのでグレムリンは、もっと強くなるまで避ける事にして、プルガナの町を探索。ここで鋼の剣と皮の盾を購入して、やっとLv3になる。
 ところが、その後、ムーンブルク城へもう一度行って、今度は地下室を探索してみると、宝箱から聖なる剣を発見する!聖なる剣は、原作にはない武器だが、Lv5で必要になる剣で、もちろん鋼の剣の代用になる。マジか。さっき鋼の剣を買った金を返せ。
 しばらく地団駄を踏んだ後に、またムーンブルク城周辺の探索を続けると、なんと風の塔を発見した。ドラゴンの角がないという事は、風の塔に行く目的である風のマントが不要なわけで、てっきり風の塔も省略されているのかと思っていた。
 試しに塔に潜入してみると複数の扉が登場、適当に入ってみるとミイラ男に襲われてゲームオーバー。ここはまだ早いようだ。

続く


2022年03月20日(日) ドラゴンクエストII 悪霊の神々[上巻] (樋口 明雄/双葉文庫)その2

(ネタバレ注意。これから遊ぶ予定の方は読まないでください。)

 ローレシア城を出て東に進むと、すぐにオークが襲ってきた。スライムじゃないのね。
 Lv3以上か問われるが、当然まだLv1なので、勝負はバトルポイント制による判定になった。負けてゲームオーバー。
 開始開始早々これかぁ。
 その後はスライムや山ネズミと遭遇したが、このあたりは倒せたので、少しずつゴールドを稼いでいく。Lv3以上になれば弱めの敵には確実に勝てるようになるので、まずは鋼の剣と皮の盾を購入することが当面の目標となるようだ。

 ちなみにLv2の条件装備である銅の剣と皮の鎧は、リリザの町で安価に売っているので、その気になればすぐにLv2になれる。ただ、「Lv2以上なら」という分岐は作中に一度も登場せず、最大HPもLv2に上がるタイミングでは増加しない。つまりLv2になることにメリットはまったくないので一気にLv3の装備を求めた方がいいのだ。これなら最初からLv2でスタートすれば良いような気がする。原作ならこれが初期装備だし。
 また、ルール説明ではHPの初期値は10と書かれているが、巻末に掲載されているレベルチェック表によると、Lv1の最大HPは5という矛盾がある。レベルチェック表どおりに最大HPを設定すると、ゲーム中の処理が変に感じる箇所が複数あったので、レベルチェック表の数値を2倍にしてゲームを進めることにした。

 リリザの町を過ぎると、サマルトリアの城に到着する。サマルトリアの王様から食事の歓待を受けながら、王子のクッキーは勇者の泉に向かって旅立った、と教えてもらった。
 ところが勇者の泉に向かう道中では、でかい鎌を持ったゆうれいと遭遇し、戦闘で負けて2度目のゲームオーバー。こいつは仲間もいて手ごわいので、レベルをあげるまで後回しにしようと判断した。
 原作ではサマルトリアの王子を仲間にしないと通行できないローラの門は、ゲームブック版では制限がない。そんなわけでローラの門から海底トンネルを抜け、襲ってきたバブーンとの戦闘を切り抜けると、ムーンブルク城に近いムーンペタの町へ到着した。
 うーん、この町で鋼の剣を買いたいが、ゴールドをもう少し貯めないと買えないな。
 ゲームブック版のムーンペタの町は、太っ腹にも宿泊料が無料(ただし、下巻では有料)なので、とりあえずここで1泊する事にする。

 翌日、ハーゴンに滅ぼされて廃墟になったムーンブルク城に向かう。
 普通にモンスターも出る危険地帯だが、玉座の間で亡霊となったムーンブルクの王様に遭遇する。ここでラーの鏡がある場所についてヒントをもらうことができた。原作でもお馴染みの、犬に変えられたムーンブルクの王女の呪いを解除する重要アイテムだ。
 さっそく、ラーの鏡が置いてある毒の沼に到着すると、捜索開始。しかし、沼の毒ダメージでHPが0になり3度目のゲームオーバーになってしまった。

続く


2022年03月19日(土) ドラゴンクエストII 悪霊の神々[上巻] (樋口 明雄/双葉文庫)その1

 他の家庭でもそうだったのかもしれませんが、ファミコンが流行っていた当時、TVゲームは子どもに悪影響があると親に思われていましたから、ファミコンはまるで悪い事でもしているかのように時間を盗んではコソコソ遊んでいました。皆が寝静まった後に隠れてファミコンで遊んでいると、「ゲームの音を聞くと頭痛がする。」と言いながら祖母が目を覚ましてくる始末で、音も出せない事が多かったです。そんな中でこの双葉文庫版ドラクエIIは、私がファミコンのドラクエIIを遊べない時に、その欲求を満たすものとして遊んだ、特に思い出深いものになっています。
 出版社もビックタイトルのゲームブック化に気合を入れたようで、双葉ゲームブックとしては唯一の上下二巻にわたる長編になっています。
 ところで、ドラクエIIの面白さは思い出補正もあってのものだろうかと、何年か前にファミコンを引っ張り出してドラクエIIを遊んだところ、当時と変わらずとても楽しく遊べました。むしろファイティングファンタジーシリーズの難易度がゲームの標準となっている私にとって、リメイク版のドラクエの方がヌル過ぎて遊べません。(笑)
 では、ゲームブックの方は今遊ぶとどうでしょうか。そんな疑問から今回は約35年ぶりの再プレイをしてみたいと思います。(本作品は、2002年6月23日の冒険記録日誌で一度話題に上げていますが、それすら20年前だという事実に驚く。)

 プレイ前に簡単に上巻の内容を説明すると、主人公であるローレシアの王子が、仲間となるサマルトリアの王子クッキーと、ムーンブルクの王女マリアを見つけ出すのが目的です。2人とも出会うと、後で再会の約束をして、すぐにキメラの翼を使って消えてしまうので、実質はドラクエIと同じく、ローレシアの王子単独の旅となっています。港町プルガナで2人に再開し、船旅を始めるところで上巻は終了です。
 ゲーム的には双方向システムで、管理する数値はHPとゴールドのみ。経験値は存在しないのですが、レベルは上巻ならLv1からLv5まであり、それらは主人公が何を装備しているかで決まります。例えば木刀と布の服を持っていればLv1、銅の剣に皮の鎧を持っているならLv2、銅の剣でも布の服のままならLv1という感じです。このレベルアップシステムは、経験値による能力値の成長と装備品による強化を簡潔にまとめて、プレイヤーの負担を減らした秀逸なシステムだと思います。
 ゲーム中の戦闘は、モンスターに遭遇すると、まず指定されたLvに達しているか否かで、展開が分かれ、続いてバトルポイント制というA〜J欄に1〜10の数字を当てはめたものを使って勝敗をつけるというものです。バトルポイント制は、双葉ゲームブックにはお馴染みのルールですが、あまり好きではありません。10面体のサイコロで代用しようかとも考えましたが、今回は普通に遊ぶことにします。
 さて、冒険のスタートです。

※※※※※※

 世界征服を企み、ムーンブルク城を滅ぼした、邪悪な大神官ハーゴンを討伐するため、皆に見送られながらローレシアの王子はローレシア城を跡にした。
 ここで信じられない展開が。以下、原文。

──────
 途中、武器の点検をするため立ち止まる。腰につけた剣を抜いてみた。
「あれ?」鋼の剣だと思っていたが、何と木刀じゃないか。そうなんだ。ぼくはうっかりと、練習用の木刀をつけてきてしまったのだ。いまさら引き返すのは、ちょっと恥ずかしいぜ。どこかの街に着いたら、剣を買おう。
──────

 マジか。鋼の剣といえばLv3の装備じゃねぇか。それが主人公のうっかり&恥ずかしいというポンコツ理由で、Lv1の武器から始めなきゃいけないなんて。そのくせ、後でローレシア城に戻ってきても、何故か鋼の剣に交換しないので武器屋から買うしかない。アホすぎる。
 もっとマシな理由付けがなかったものかと、この先の展開に若干の不安を感じてきたが、気を取り直して続ける。ファミコン版ドラクエIだって、王様がしょぼい支度金しかくれないから、竹やりかついで世界を救いに行く羽目になるからな。これくらい大したことはないか。

続く


2022年03月18日(金) ルパン三世ゲームブック さらば愛しきハリウッド復刻版 追記

 塩田さんのツイッターに復刻版のバグ情報が掲載されている事に気づいたので転載しておきます。
 プレイ予定の方は参考にしてください。

P126 項目179が連続しておりますが、左は180です。
P153 項目233の次に230がありますが、234の誤りです。
P210 項目352の選択肢、左は「3以下」の誤りです。

(引用元)
https://twitter.com/Yen_den/status/1453461139589787651?cxt=HHwWhsCrgZXN3asoAAAA

 やっぱり、デバック作業って難しいようですね。どのバグもゲーム進行に致命的とまでは思わないので、まだ幸いかな。
 ゲームブックはエンピツで書き込み修正すればいいので、パッチ処理は楽だ。


2022年03月17日(木) ルパン三世ゲームブック さらば愛しきハリウッド復刻版(吉岡平著・塩田信之編/双葉社)

 ゲームブックブーム当時に、双葉文庫がファミコンゲームを次々にゲームブック化していたのは有名ですが、その一方でルパン三世を題材にしたゲームブックもシリーズ化していました。
 シリーズは全19巻にも到達しており、ルパン三世というコンテンツの根強い人気ぶりがうかがえます。共通の世界観を使ったゲームブックの作品数としては、和製ゲームブックではぶっちぎりの最多です。
 ちなみに私自身としては、ブーム当時はプレイした事のないシリーズでしたが、2004年07月にシリーズ全作品をプレイし、冒険記録日誌には簡単にですが感想を書いています。

 さて、そんなルパン三世ゲームブックですが、なんとシリーズ第1巻の「さらば愛しきハリウッド」が去年に復刊しているではありませんか。こりゃびっくり!いや、以前にも一部作品が電子書籍化したとか、ルパン三世ゲームブックのストーリーが漫画化されたこともあるので、意外に双葉社に見捨てられてはないコンテンツなのか?と思ったことはありましたが、復刊までこぎつけるとは嬉しい限りです。
 最近ルパンの新作アニメシリーズをやっていた背景もあるのかな、と考えつつ購入すると、ゲーム本編の前後に合わせて30ページ以上にも渡って、塩田信之さんによるゲームブックの解説がありました。
 解説を読むと、この復刻版は塩田さんのご尽力があってこそ成立した企画だったようで、創土社で鈴木直人作品などを復刊させた酒井さんを思わせるような情熱を感じました。凄い、凄いよ、塩田さん!

 そんな興奮を落ち着かせて、改めて復刻版を見てみます。本編より先に解説から読んだ方も多いと思いますが、私は本編のゲームブックを遊ぶ方を先にしました。
 本作のゲームシステムですが、基本的には体力ポイント、武器ポイント、情報ポイントの3つの能力値を管理するだけで遊べます。サイコロなどの乱数要素もありませんし、ルールは難しくありません。10点を3つの能力値に好きに振り分けて自分のルパンの特徴を決めてスタートします。私は体力4・武器3・情報3で遊びましたが、ギリギリ各判定を成功させ、クリアする事ができました。実際に遊んでみるとわかるのですが、例えば体力8・武器1・情報1という極端な振り分けをしても、高ポイントが生かされる判定がないので、結局は3つの能力値は均等に振り分けた方が無難です。ここはちょっと残念なところ。
 本作品のストーリーは、ハリウッドを舞台にルパンが映画撮影のスタントマンとして潜り込みながら、ある幻の映画を映した一本の古いフィルムを盗むというものでして、終盤で判明するそのフィルムの秘密(ルパン自身は初めから知っているがプレイヤーは知らされていない。)がお洒落なのですよ。ルパン三世の世界観もちゃんと再現されており、ある程度は選択肢を好きに選んでも問題なく進められる難易度も相まって、今遊び返してもちゃんと面白かったです。シリーズ中でも上位の良作だと思っています。本編の著者である吉岡平さんの新装版あとがきを読むのも感慨深いです。

 そしてゲームブックの解説の方ですが、こちらの筆者の塩田さんと言えば、双葉で多くのゲームブック執筆を手掛けていた方で、ゲームブックがほとんど出版されなくなっても、現在に至るまで折に触れてはゲームブックの事を語ってくださっている印象がある方です。
 本編前にゲームブックとは?という説明、ルパン三世ゲームブックシリーズの解説、吉岡平さんのプロファイルがあり、本編後には私見も交えながらゲームブックの歴史を丁寧にまとめられています。もし、ゲームブック講座とかするなら、そのまま使えそうなくらいの完成度です。その後は、ゲームブックの書き方を説明してくれますが、これがかなり具体的かつ実践的なものなので、ゲームブックの制作に興味がある人なら必見の内容でしょう。
 総じて、非常にゲームブック愛にあふれた内容でして、古参ゲームブックファンの私なぞは、読んでいてほっこりした気持ちになりました。お値段こそ、1,900円と高めですが、ファイティングファンタジーコレクションや、ウォーロックGMの値段を考えれば、商業ラインにのせるには仕方がないのかなと感じます。それにルパン三世が題材な時点で購買層は高めと思われ、価格面はさほど問題じゃないかもしれません。
 ちょっと気になったのが、ルパン三世ゲームブックシリーズの解説が冒頭にくる本書の構成でして、この解説はカラーページになっていて目立っています。なんというか「さらば愛しきハリウッド」の復刊というより、塩田さんの解説メインの本に感じてしまうのですよね。カラーページを使うなら、「さらば愛しきハリウッド」の舞台地図やイラスト入り登場人物紹介のページをカラー化して、あくまで本編を第一にすべきじゃないのかなと感じました。吉岡平さんのプロファイルも後書きでの紹介で良いかと思います。
 最後に、塩田さんの希望によると、さらなるシリーズの復刊も狙いたいとの事ですが、身も蓋もない本音を言うと、全巻面白いわけではないので、ベストセレクションにすべきと思います。例えば、塩田作品を復刊するなら、単調な迷路でしかないシリーズ5巻「暗黒のピラミッド」は飛ばして、7巻の「謀略の九龍コネクション」を選びたい。そして「謀略の九龍コネクション」にしても、五右衛門が“ガチョーン”のギャグをとばすのはどうかと思うので、いろいろ現代風に改訂して欲しいところです。
 一番嬉しい理想は、新作を出してもらうこと。樋口明雄さんや塩田さんの新作ゲームブックとか胸アツですよ。などと、我儘な希望を言いましたが、そんな期待も込めつつ今回の感想を終わります。


2022年03月16日(水) たけたろうの冒険 ──FF番外・火吹山の魔法使い1.5編 その2──

(ネタバレ注意。これから遊ぶ予定の方は読まないでください。)

 こんにちは!ともみです!今回は「火吹山の魔法使い1.5」に挑戦するように山口プリンさんに言われてやってきたの。1.5だよ。たけたろう兄貴が先に挑戦したけど、収穫がなかったようね。
 さあ、冒険の準備を始めましょうか。私も能力値は兄貴と同じ「技術点7 体力点14 運点7」です。荷物は、剣とかは常識で持っているとして、わざわざアイテム欄に書くような物は今のところないわ。

 冒険は、火吹山の麓についたシーンから始まった。まずは酒場に行きましょう。
 お酒を注文して、村人の話しを聞いていると、「ザゴールは生きている!」と店主が重々しく言ってきた。ここで最初の選択肢だけど、「ザゴールなんてもういないってw」と笑って答える。
 店主はニヤリと笑う。
 「あんたは冷静なようだな。ここにゃ、財宝の夢よもう一度って、頭に血が上った輩がよく来るんだ。奴らには何も見えちゃいない。だが、俺も話しを合わせて、いい気分で金を使ってもらうのさ。」
 そう言って店主は自分をムースと自己紹介してくれた。ああ!ムースって“火吹山の魔法使いふたたび”に登場するとか聞いたことがある人だ!
 「まあ、地下迷宮で幻を見たら一度冷静になるんだな」
 とムースは忠告してくれた。(以後、ザゴールという名前のあるパラグラフに来ると、幻影を見破る隠された選択肢を選ぶ事が出来るようになる。)

 こうやって準備を整えた私は、ついに火吹山の地下迷宮に侵入した。入り口で眠りこけているオーク歩哨に遭遇したけど、冷静に観察すると、それはただの古びた骨だった。へー、こうやって戦闘を回避できるわけか。でも兄貴は、ここでオーク歩哨と戦って、装備品を手に入れて技術点を1上げたんだよね。ここは、あえて戦った方が良かったかな?
 その後に遭遇した、ゴブリン2人がドワーフを拷問している場面でも、よく見れば埃っぽいだけの部屋だった。
 それから川の渡し場に到着すると、みすぼらしい老人が登場。「渡りたければ、金貨3枚。ビタ一文まけぬぞ」と言ってくる。金貨が足りなかったので、ここで初戦闘に突入!

人ネズミ  戦闘力14(技術点7) 体力点4

 倒すと「くそっ、ザゴール様が復活さえすれば……」と最後にそいつは悪態をついた。と聞こえたのだが、そこにはただの汚いネズミが鳴いているだけだった。今のも幻覚?
 その後に到着した4人組のドワーフのいる部屋では、一緒にカードゲームをしてみた。これも気が付くと空っぽの部屋に変わっていて、“7と書かれたカード”だけが残されていた。
 「イカサマを見破るときに使え。」「あいつは、ずる賢い。勝ったと思っても安心するなよ。」そんなドワーフ達の声が聞こえた気がする。きっとこのカードと言葉は、ザゴール戦の重要なヒントなのよ、きっと。
 ほどなく、地下迷宮の最深部に到着。ここで火吹山の魔法使いザゴールが登場!と、思ったものの、冷静に見回すとこの部屋にも誰もいなかった。正直、ザゴールよりも傍に転がっている折れたYの字の棒の方が、私は気になってしょうがないんだけど。なんの意味があるの、これ?
 探すとさらに奥に小部屋があって宝箱が置いてあった。でも、兄貴の言っていたとおり、中は空っぽだ。
 ん?この宝箱、底が二重底になっている……。

(核心部分だから自主規制するわ。気になる人は自分で挑戦して!)

 結論から言うと、ザゴールはいなかった。少なくとも実体をもった存在としては。でも私は彼の言葉を聞き、そして見逃してもらったらしい。
 これもドワーフさん達のヒントのおかげだ。具体的じゃなくて、解釈も分かれそうで、ちょっと意地悪なヒントだったけど。
 ザゴールはいつの日にか復活するのだろう。その時は、技術点7の私にはちょっと荷が重いかな。いずれにしても今回の私の冒険は終わり。後の事はどこかにいる英雄に任せて退散するわ。
 それじゃ、またね!


2022年03月15日(火) たけたろうの冒険 ──FF番外・火吹山の魔法使い1.5編 その1──

(ネタバレ注意。これから遊ぶ予定の方は読まないでください。)

 こんにちは、たけたろうです。今回は「火吹山の魔法使い1.5」に挑戦するように山口プリンさんに言われてやってきました。ええ、1.5です。「火吹山の魔法使いふたたび」じゃないのかって?冗談じゃありませんよ。あれはリビングストンさんの作品ですよ。私じゃ絶っっっっっ対に序盤で死んでしまうじゃないですか。1.5ならまあ、なんとかなるかなと思いまして引き受けたわけです。
 さあ、冒険の準備を始めましょうか。もしあなたが、長年この日記を読んでくださっている方なら、わかりますよね。私の能力値は「技術点7 体力点14 運点7」です。装備は普通の剣や背負い袋、ランタン等の一般装備で特筆するものはありません。

 冒険は、私がヘロヘロになりながら、まる2日間かけてやっと火吹山の麓についたシーンから始まります。まずは情報収集と休息を兼ねて、近くの村に行ってみます。
 酒場に入って村人の話しを聞いていると、「ザゴールは生きている!」と店主が重々しく言いました。ここで最初の選択肢です。私は、空気を読んで人の意見に合わせる性格なので、「うんそうですよね」と答えます。すると店主は気前よくビールを一杯奢ってくれました。運点も1つ増えて良い選択だったようです。(実は1.5では能力値に原点という概念がないようで、この場合は運点を8にしちゃっていいのです。体力値の方は初期値が上限らしいですけど、ともかくこれはありがたいですね。)
 こうして少しは元気も出たので、いよいよ火吹山の地下迷宮に踏み込みます。入り口付近にコブリンみたいな生き物が眠りこけています。平和主義者の私としては、そっと通り抜けたいところですが、運試しで失敗して襲われると怖いので、ここは不意打ちで攻撃する選択肢を選びます。相手に一撃与えたところで初戦闘です!

オーク歩哨  戦闘力13(技術点6) 体力点3

 さすがにこいつには楽勝でした。勝ったら装備品を手に入れて技術点も8にアップしました。これは助かりますね!
 はっ、と気が付くと敵の死体は、オーク歩哨だったと思われる年月の経過したような骨になって転がっていました。今のは幻?でも技術点が上がっているのは事実だし、なんだったのだろう。
 この後は、小箱から古びた鍵を入手。続いては2匹のコブリンがドワーフを拷問しているところに遭遇したので、戦いに挑みます。

第一のコブリン 戦闘力12(技術点5) 体力点5
第二のコブリン 戦闘力12(技術点5) 体力点5

 蹴散らすと、ドワーフが安堵の息を吐きながら「わしは死んでしまったが、お前さんのおかげで、最後に救われたよ」と変なお礼をしてきました。さらに自分の同胞に会うように勧めるような事をドワーフが言うと、、、、、、気が付くと小柄な3体の骸骨が転がる埃っぽい部屋にたたずんでいました。また幻でも見たのでしょうか?
 それから探索をしばらく続けると、また鍵を一本拾い、そして、頭に手足が一本づつ生えている変な金属を発見しました。しかもそいつは生きていて、戦闘になりました。

鉄の一つ目サイクロプス  戦闘力15(技術点8) 体力点5

 見た目に反して、私にはなかなかの強敵でしたが、なんとか倒します。今回は幻覚ではなかったようで、サイクロプスの眼窩を調べるとサイクロプスの宝石を発見しました。やったーーーっ、と喜んだのもつかの間、よく見る(よく読み返す)と「サイクロプスの宝石の欠片」だそうです。ぬか喜びですが、サイクロプスの宝石はザゴールに絶大な威力をもっていたので、欠片といえもども必ず役に立つと思います。
 それから川に到着しました。渡し場でいつの間にかボロボロの服を着た老人が現れました。「渡りたければ、金貨3枚。ビタ一文まけぬぞ」と言ってきます。
 素直な性格の私が金貨3枚を渡すと、老人はそれをひったくってしまうと、「船はない。浅瀬になっているからそこから渡れるぞ」と言い捨ててきました。ひどい。腹を立てて攻撃する選択肢もありましたが、よく考えると老人は「船で渡してやる」とは言っていないので詐欺ではないですね。大人しく私は、体力点を1減らして川を渡っていきます。臆病とか言わないでくださいよ、戦闘でもっと体力点を失う事を避けた戦略的行動ですから!
 続いて、4人組のドワーフのいる部屋に到着(※)して、仲良くカードゲームをしますが、これも気が付くと骨と埃しかない部屋に変わってしまいましたよ。さっきから、なんなのですか、これは?
 そうぶつぶつ言いながら地下迷宮の最深部に到着しました。するとついに現れましたよ、火吹山の魔法使いこと、ザゴールさんが!戦闘に入ります!

火吹山の魔法使い  戦闘力18(技術点11) 体力点18

 やっぱり強い!だけど、こちらには奥の手があります。「サイクロプスの宝石の欠片」を突き出すと、ザゴールが苦悶の表情を見せると同時にあきらかに動きが鈍くなりました。

火吹山の魔法使い  戦闘力14(技術点7) 体力点12

 かなり弱体化はしました!しましたが、私にはそれでも強敵です。でもそれでも倒すしかありません。私もやるときはやるんですから。そりゃそりゃそりゃそりゃーっ。
 戦闘中に運試しに挑戦して一度失敗するという墓穴もありましたが、なんとかこちらの体力点が残り3のところで撃退できました!
 そしてザゴールの宝箱に恐る恐る近づきます。鍵は2本しか持っていません。これは、宝箱の前でさめざめと泣くしかないのでしょうか。
 しかし、宝箱は錠前が壊れていて、開けると空っぽでした。よく見ると宝箱も古びて、ガラクタ同然になっていることに気が付きました。
 さっきのザゴールも幻だった?よくわかりませんが、この地下迷宮は打ち捨てられた廃墟にすぎないようです。私はガッカリしながら、村に向かって帰ります。だけど、今は生きているだけで十分です。少なくとも次のチャンスはあるのですから。




※本当はミノタウロスのいる部屋に行きたかったのですが、残念ながらこっちのルートは何度挑戦してもミノタウロスに勝てませんでした。


2022年03月14日(月) 火吹山の魔法使い1.5〜火吹山ひとたび半の冒険(藤波智之/新紀元社)

 「火吹山の魔法使い1.5」とは、「GMウォーロック」という雑誌(ムック本?)の第2号に収録されているパラグラフ数60の短編ゲームブックです。
 「GMウォーロック」とはなにかと言うと、TRPGやカードゲームそれにゲームブックも含めた最新のアナログゲーム情報を主に扱う総合誌というのが私の主観です。はるか昔のゲームブックブームの際に、「ウォーロック」という雑誌が発売されていたわけですが、根強いファンに支えられて、こうして雑誌が復活したわけで、本当に凄いことだと思います。
 ただ、昔の「ウォーロック」は当時からその存在は意識していたものの、各号を買いあさるには金銭的に厳しく、また近くに売っている本屋がなかった、さらにはTRPGの方はさほど関心がなかった事もあって、私にはどちらかと言えば縁遠い存在でした。そのせいか今回の「GMウォーロック」もあまり食指が動かずにこれまで購入はしていませんでしたが、今回この作品の為だけに第2号を購入しました。

 さて、「火吹山の魔法使い1.5」に話を戻すと、「火吹山の魔法使いふたたび」が日本で初お披露目される背景の中で、藤波智之さんが執筆した作品です。ざっくりしたストーリーを説明すると、時間軸は「火吹山の魔法使い」で主人公に倒された邪悪な魔法使いザゴールがまだ復活を果たしておらず、「火吹山の魔法使いふたたび」に至る前のエピソードです。本当にザゴールは滅びたのか、まだ見ぬ財宝が残されているのかを確認するために、主人公は廃墟と化した火吹山の地下迷宮に潜り込むという内容になっています。
 さすがに短編だけあってあっという間に、迷宮の最奥に到着してしまいますが、蛇と鍵の入った小箱だの、川にネズミ男など、「火吹山の魔法使い」を連想させるものが沢山登場します。しかし、今回の作品で凄いのは、そんなノスタルジックを感じさせる部分ではなく、最初の酒場の親父の質問に答える最初の選択肢です。なんと、ここの答えによって、その後の冒険がまったく違うゲーム性になっており、その2つの冒険は多くのパラグラフを共有しているのです。この作品を書くには、パラグラフの番号の振り分けが滅茶苦茶難しかったのではないかと思われ、作者の藤波智之さんの力量に驚きます。同氏のこれまでの作品でも、挿絵に隠された数字に気づいてパラグラフジャンプするとストーリーが分岐という仕掛けはありましたが、今作はそれにさらに捻りが入って、何が幻想か、うつつかというこの作品独特の奇妙な雰囲気が、さらに強調される素晴らしいアイデアだと思います。
 不満点の方は特にありませんが、強いて言えば戦闘システムが従来のファイティングファンタジーシリーズと違う事でしょうか。これは戦闘時にサイコロを2個振った数値と主人公の技術点を加えたものを、表示されてる敵の戦闘力と比べ、勝った側が相手の体力点を2減らす、を繰り返して、片方の体力が0になると終了というもので、サイコロを振る回数がオリジナルの半分になるので遊びやすいルールです。一応、のぞむ人は敵の戦闘力を7減らして、ファイティングファンタジーシリーズの戦闘ルールで遊んでも良いとも説明されています。でも、他作品ならともかく、仮にもファイティングファンタジーシリーズの原点とされる「火吹山の魔法使い」を継承する作品なら、ここは遊びやすさよりも定番の安心感を重視して、ここは初めから旧来の戦闘システムでやってほしかったところです。なお、私自身は戦闘時の運試しルールを積極的に使いたいタイプなので、オリジナルルールの方で遊んでいました。
 総じて言うと「火吹山の魔法使い1.5」は、短編ゲームブックらしく1回のプレイ時間が短くて気軽に挑戦できるのに、濃厚さも兼ね備えているという、とてもよく出来た作品でした。こんなレベルの作品が毎号掲載されるなら、私も「GMウォーロック」を定期購読しちゃうだろうと思います。


2022年03月13日(日) 火吹山の魔法使いふたたび(イアン・リビングストン/SBクリエイティブ) その2

 そんなわけで「火吹き山の魔法使い ふたたび」は、私的にあまり期待していない状態で遊んだわけですが、遊んだ後の感想は、意外というかとても面白かった、というものでした。
 ただ、さっき書いたリビングストン作品の欠点は、そのまま残っています。火吹山の中では、「死の罠の地下迷宮」でいう宝石、「恐怖の神殿」でいう竜の置物、「迷宮探検競技」でいう指輪にあたる、竜の牙集めをさせられ、それを集めきった上に、鬼畜にパワーアップしたザゴールとの戦闘に勝利しなくてはなりません。カードを燃やされただけで泣いていた純朴な彼はどこに行ったのか。
 アイテムが足りないままザゴール戦まで突入しても、技術点12ならなんとかなるかもしれない、弱い主人公なら、竜の牙を集めきってザゴールを弱体化すれば勝てるかもしれない、というバランスが本来の姿だと思うのです。初期のファイティングファンタジーシリーズでは「真の道なら弱い主人公でもクリアできる」と説明してあったのだから。
 もっとも、私も心得ていたというか、昔よりは頭が柔らかくなっていたので、今回は主人公の技術点は最初から12点固定でプレイしました。このおかげと、元々の期待値が低かった事もあって、ゲームバランス的な問題は、それほど気にせずに遊ぶことができました。
 それよりもリビングストン作品の長所である完成された世界観や物語が、それを補って余るほどに素晴らしかった。火吹山に入る前の野外の冒険は、正統派のファンタジー小説を読んでいるようでしたし、ダンションに入れば「火吹き山の魔法使い」を遊んだ人への作者のサービス精神が感じられ、モンスターとの目玉食い競争や、オークの足の蚤を食べないと死んでしまう毒など、良い意味でヘンテコな仕掛け達には、ニヤニヤが止まりませんでした。まあ、「ダンションに入ってすぐの何気ないところに必須アイテムなんか置くなよ」とか、グチもこぼしながらのプレイではありましたが、アランシアの世界で再び冒険できる懐かしさもあり、不満点も素晴らしい挿絵も全部ひっくるめて帰ってきたという気分になれました。
 まとめるなら、「ゲームブックを知らない人に勧めるには難しいが、このシリーズのファンなら、本作の為だけでもコレクターセットを買って損はない作品」というところでしょうか。もしゲームブック未経験者が遊ぶなら、素直に前作の「火吹き山の魔法使い」から始めましょう。

 出版元もこのセットに一定の手ごたえを感じたのか、ファイティングファンタジーコレクションボックスは、第二弾が現在、予約受付中です。
 今回は5冊のうち3作品は「死の罠の地下迷宮」「サイボーグを倒せ」「地獄の館」の復刊です。山口プリン的にはどの作品も、死んで覚えて行くしかないゲームの難易度は嫌なのですが、それ以上の魅力が感じられる名作揃いだと思っています。また、タイタン世界の作品しか復刊対象にはならないのだろうと思っていたので、「サイボーグを倒せ」と「地獄の館」の復刊が地味に嬉しいです。ゲームブック未経験者でも、アメコミの世界観やホラーが好きな方には、勧められるかもしれませんね。
 残りが日本初翻訳作品で、実質新作が現代で2作品も遊べるという素晴らしさ。良い時代になった事を素直に感謝したいと思います。


(追記)
 もしも、そのまた次のコレクターセットが出るなら、「フリーウェイの戦士」を入れてほしいです。遊んでいて「ガソリンが少なすぎる」とか文句も出るけど、そんな理屈なんか関係なく、リビングストン作品では一番好きなんですよ。新装丁のインターセプターとアンバーちゃんの姿が見たいので是非。


2022年03月12日(土) 火吹山の魔法使いふたたび(イアン・リビングストン/SBクリエイティブ) その1

 この冒険記録日誌を読むような方には当然のような情報ですが、海外産のゲームブックを愛好していた方には聖典のように崇められ(言い過ぎか?)、社会思想社から出版されていたファイティングファンタジーシリーズの一部が、昨年にSBクリエイティブから、コレクターボックスという形でめでたく復刊いたしました。「火吹き山の魔法使い」「バルサスの要塞」「盗賊都市」「モンスター誕生」に加え、なんと旧版では発売されなかった「火吹き山の魔法使い ふたたび」が、初翻訳されて抱き合わせセットで販売されたのです。復刊と言いつつも、日本のファンにとっては、実質シリーズの新作を遊べるわけで、テンションがあがらないはずはありません。残り4冊は、このセットを買うような人なら、過去にプレイ済という人が多いかと思いますが、シリーズ後期作品の「モンスター誕生」は初めて遊ぶという方はさらにお得でしょう。
 私も早速、昨年の夏にはセットを入手して「火吹き山の魔法使い ふたたび」を遊んでいました。こんな貴重な新作をたった1日か2日の日誌のネタで終わらせるのは勿体ない、と思っていたので、購入した当初は初プレイからクリアまでのリプレイをじっくり書いていくつもりだったのですが、実際に遊んでから、もう半年も経過してしまいました。
 残念ながらリプレイを載せるには、鮮度が落ちているどころか、即身仏になるくらい時間が経過しています。2回もクリアするくらいは遊んだので勿体ないのですが、今回は感想だけ書いておき、また程よくプレイの記憶が薄れて、本作をまた遊ぶ気になれば、今度こそリプレイを載せたいと思っています。
 そんなわけで「火吹き山の魔法使い ふたたび」は、どんな作品なのかと言うと、作者は共著だった「火吹き山の魔法使い」の片割れであるリビングストン氏。「火吹き山の魔法使い」の冒険から十年後を舞台に、火吹き山の迷宮の主である魔法使い「ザゴール」が蘇ったために、再び火吹き山に討伐に乗り込むというのが、粗筋です。ファイティングファンタジーシリーズ、いやゲームブックの原点復帰とも言ってよい内容です。

 と、持ち上げてみましたが、ここからは山口プリンの本音を書きます。
 私は、ゲームブックというジャンルを広く愛しているので、当然、ファイティングファンタジーシリーズも大ファンだったりします。なにせ、社会思想社のファイティングファンタジーシリーズ、創元推理文庫のスーパーアドベンチャーシリーズ、双葉文庫のファミコン冒険ゲームブックシリーズの3大柱が、私のゲームブックへの愛着の土台になっているのですから。
 しかし、どのシリーズも全作品が大好きというわけでもなく、むしろ昔はリビングストン作品が嫌いでした。
 嫌いな理由その1。ゲームバランスが滅茶苦茶だから。
 彼の作品の大半では、1回の冒険中に戦闘力が異常な奴と戦う羽目になることが必ずあるので、ルール通りに能力値を決めて遊ぶと、技術点7のキャラクターは、まずゲームをクリアできません。そこまでの道中で、救済アイテムを入手できていれば、戦闘を避けられる、もしくは低い能力のキャラクターでも、戦闘を有利に出来るというギミックなら、問題ないのですが。それが、必要なアイテムがなければ、強敵とは戦闘すらできずに即死。アイテムを持っていて、初めて技術点11や12クラスの化け物と真っ向から戦えるという狂った趣向ですから、ゲームをクリアさせる気がないとしか思えません。特に昔の私は、ゲームブックは必ず説明されたルール通りに挑戦しなければならず、ルールを端折って、戦闘は自動的に勝ったことにして進むとか、プレイヤーとして邪道としか思えない石頭だったわけですから、相性が良いはずはありません。
 嫌いな理由その2。クリアを目指すと行動の自由がないという事。
 「運命の森」や「トカゲ王の島」といった初期作品は別として、多くのリビングストン作品では、クリアに向かうルートは基本的に一本道、さらにアイテムの取りこぼしを一つでもすると致命傷という事も珍しくないので、リビングストン氏が用意した真の道を探すゲームと割り切るしかありません。そう割り切っても常識的に選ばない選択肢が、クリアに必要な行動という事も多いので嫌になります。具体的な例では、「恐怖の神殿」の序盤でポートブラットサンドに立ち寄るシーンがありますが、そこではいかにも怪しい奴が主人公を町の路地裏に案内しようとします。理性的に考えれば、こいつは強盗でもするつもりだろうから無視するべきと思え、また実際にそいつを信用してノコノコついていけば、襲われるわけですが、そこで倒した敵から入手するアイテムがクリアの必需品なのです。強盗がそんな物を持っていたのは、単なる偶然なので、意地の悪い仕掛けとしかいえません。初見でクリアする気なら「リビングストン作品だから、ここは寄り道をするのがクリアのコツだろう」というメタな発想をするのが攻略法になるわけです。
 要するに私がゲームブックに求めている「自分が思うように行動して、物語を作っていける本」という考えとは反対なわけですね。
 この2つの問題は、他の作者も含め、ファイティングファンタジーシリーズの多くの作品にありがちですが、リビングストン作品は特にその傾向が強く、むしろリビングストンこそが、その悪いスタンダードを作った犯人ではないかと思うわけです。

続く


2022年03月11日(金) 本棚のゆとりは心のゆとり

 タイトルは私の信条でして、本棚は、本の上に少し空間を空けるようにしますし、幅いっぱいに本をギッチリ入れないのが好みです。
 捨てられない本が溢れるほどあるので、それがまた自分の首を絞めるのですがね。
 ところで、今日(R4.2.19)は本棚に飾りつけでもしようかと、アートギャラリーのお店に行って、文庫本よりちっちゃい絵画(有名人ではないが、本格的な額縁付きの原画)を買ってきました。
 それで本棚に苦労して空きスペースを作って、絵を置こうとしたら落として、額のアクリル板の真ん中に薄い傷をつけてしまいました。
 照明でよく照らすと気づく程度の傷なので、気にしなければいいのですが、絵を見るたび「あー、この位置から傷が見えていないかなぁ」と考えてしまう自分は損な人です。

 それに対して、ゲームブックの状態(美品がいい)とかは、意外にもルーズな性格なのか気にならないので、そのあたりは我ながら助かっています。純粋なコレクターの方だったら気になるでしょうが、遊ぶ分には問題ないかなと。
 そう思いながら改めて本棚を眺めると、棚にずらりと並んだファイティングファンタジーシリーズ(社会思想社版全巻)の背表紙が目に留まりました。
 昔は輝くような白い背表紙だったのに、今は薄汚れているなと気づき、30年以上前に出版されたゲームブックに時の流れという感慨を感じるひと時。創元推理文庫の赤や双葉文庫の青や黄の背表紙もしかり。
 しかし、「ファイティングファンタジーコレクション」や、創土社版「鈴木直人のドルアーガの塔三部作」、「ルパン三世ゲームブックさらば愛しきハリウッド復刻版」が入っている方の棚を見ると、どれも背表紙がツヤツヤで、いっぺんに現在に戻されました。
 今も昔もゲームブックが元気でいてくれて嬉しいよ。


2022年03月10日(木) レジェントオブシャイニングイージスサーガ エピソードV

 以前、「オレのRPGノート」を、娘っ子のみーちゃんと遊んだ事があるのですが、なんといつの間にか、我が娘っ子のみーちゃんがその続編を書いていました。
 「オレのRPGノート」が何なのか知らない人は、2014年12月23日の冒険記録日誌で紹介しているので、そちらを見てください。
 見るのが面倒くさい、と言う人の為に、ここでしぶしぶ説明しますと、「オレのRPGノート」は、ゲームブック風のノートという体裁で、本なのか文房具なのかよくわからない扱いで売られていたものです。見た目はノートですが、中を見ると、落書き風の短編ゲームブック「レジェントオブシャイニングイージスサーガ エピソードIV」が、ノートの前半分に印刷されています。
 残りは空白のページになっていて、普通のノートとして使ってもいいですが、「ゲームブックの続編を書いてもいいよ」って感じになっているのです。
 前置きはこれくらいにして、さっそくプレイしましょう。

 きみは再び、城へとやってきた。
 王様「よく戻った勇者よ!早速じゃが、またお願いがあってのぉ。悪いお姫様がおってのぉ。だから、やっつけてくれのお」(注1)
 勇者「ふーん」

 ↓

 お姫様の前で
 ・剣を借りる。
 ・剣で戦う。
 ・逃げる。

 ↓

〔剣で戦うを選ぶ〕
 お姫様がこちらに「危険なからあげ」(注2)を投げてきた!
 ゲームオーバー


…………。
うん、最高傑作のゲームブックです!(親ばか)


(注1)イラストでは王様の傍にそのお姫様がいます。
(注2)「危険なからあげ」とは、「レジェントオブシャイニングイージスサーガ エピソードIV」に登場した、お姫様が作ったお弁当に入っていたおかずで、勇者もラスボスも瞬殺する強烈な毒物。


2022年03月09日(水) うざいリプレイを書いてみた 惑星不時着(安田 均・グループSNE/創元推理文庫)その3

 惑星不時着したシーンから再プレイ。
 今度は町で襲われていたところを助けた女性から、戦力能力が一時的に上昇する薬を3錠入手できました。(1錠で、その戦闘に限り、与えるダメージに+1できる効果がある。)
 さらに首都の武器屋で、剣を購入して、終盤の戦闘に備えます。
 そして管制官に会話をせずに、いきなり飛び掛かる(という選択肢を選ぶ)と、隠れていた警備員に銃で撃ち抜かれて、即ゲームオーバー。

 3回目のプレイで、なんとか警備員達を撃退します。
 すると1巻に引き続きサイバーの一人が、真の黒幕として登場しました。
 サイバーに銃を突きつけられる大ピンチですが、原作には頻繁に登場するお馴染みのシーンです。選ぶ選択肢は「サイバーに短剣を投げる。」の一択でしょう。
 敏捷力の判定に成功すれば、不意をついた短剣の一投で見事にサイバーは絶命します。
 原作でも毎度のように、このパターンでサイバーが負けてしまうので、本当にサイバーは賢いのかと疑問を感じてしまうところですが、デュマレストと対峙したサイバーはほぼ死亡しているので、他のサイバー達が学習できなかった事情もあるでしょう。デュマレストと再び対決したサイバーは、原作ではサイバーアヴロという人物ただ一人です。
 サイバーを倒した後は、水晶像に隠された機能により地球の情報が間もなく手に入る!というところで、サイバーの手下に邪魔され、またもや地球の情報は断片しか手に入りませんでした。これもお馴染みの展開。

 エンディングでは、墜落した宇宙船のある島に戻り、回収した水晶像を原住民に渡して、シャラナは解放。宇宙船を修理して、デュマレストとシャラナは、改めてハスラー星へと向かうところで本作は終了します。
 前にも書いた通り、ゲームブック版デュマレストの第3弾は発売されていません。これでは打ち切りENDですが、実は原作も似たようなもので、最終巻(31巻)の「最後の惑星ラニアン」では、「ついに地球の座標を発見したぞ!」というところで終了しています。

 ちなみに、第31巻が最終巻というのは、和訳されたデュマレストであって、原書ではここから12年後に第32巻「The Return」、さらに11年後に第33巻「Child of Earth」が出版されています。
 第32巻と第33巻も私は手に入れているものの、英語なので、私には当然のようにまったく読めません。
 知っている限りのことを話すと、第33巻は過去に発表した未収録の短編が2話収録されているようなので、実質は第32巻が物語の最後のようです。
 では、第32巻のラストはどうなっているのか。それは、デュマレストが、ついに地球の付近まで接近したものの、サイクラン(サイバー達の組織名)による攻撃で乗っている宇宙船が撃墜され、地球に(またもや)墜落同然で不時着するというものです。原文では──Earth! His search was over. He was home.──で終了しています。
 地球に帰還というデュマレストの悲願は達成したものの、サイクランとの決着がついていないどころか、大ピンチの場面で終了という状況。つまり原書でも未完となっているわけです。残念ながら作者のECタブ氏は、すでにご逝去されていますので、この後の展開は妄想するしかありません。

 原作の話しが長くなりましたが、本書は原作の再現性やゲーム性ともに、「巨大コンピュータの謎」を超える良作でした。未完なところまで再現しなくてもいいのにとは思いますがね。
 デュマレストファンの長々と垂れ流した独り言を、ここまでお聞きくださり、ありがとうございました。


2022年03月08日(火) うざいリプレイを書いてみた 惑星不時着(安田 均・グループSNE/創元推理文庫)その2

 運勢値の判定に成功すれば、デュマレスト達は無事に惑星に不時着して生き延びることが出来ます。
 もしかすると「いやいや、いくら不時着と言っても、宇宙船が落下して生存って無理があるだろ。」と言う方がいるかもしれません。しかし、原作でも「聖なる惑星シュライン」「テクノ惑星カモラード」「刺客の惑星ヒアカーヌ」と数々のエピソードで、デュマレストの乗った宇宙船は次々に落下しますが、ちゃんと彼は生き延びています。つまりこれも原作通りで、何も不自然ではないのです。

 宇宙船が不時着した際のショックで気絶していたデュマレストですが、その間にシャラナは原住民に連れ去られてしまいました。幸い宇宙船は修理すれば再び飛ぶことができるそうです。
 シャラナを連れ去った原住民ですが、粗末ながらちゃんと服も来ているし、ある程度の文明的生活はしているようです。ただ、閉鎖的な社会でよそ者には非常に警戒感が高いのが特徴です。
 彼らはシャラナを開放する代わりに、彼らの宝物である水晶の女人像が盗まれたので、取り戻してこいと条件をつけてきました。
 ここで終盤でわかるネタバレを言うと、この水晶の女人像というのは、実は地球の星座である12星座の乙女座をイメージしたものでした。排他的社会かつ地球に関連するものを崇めているという特徴から、彼らの正体は原作でも滅多にその姿を現さなかった、オリジナル・ピープル(聖地教徒)と呼ばれる人達ではないかと思ったのですが、このゲームブックではそのことに触れられていません。

 とりあえず、たいした手がかりもなく、この惑星の首都がある島に単身で渡り、水晶像を探すデュマレスト。
 ここからは、今回は昔のプレイ記憶があったこともあり、最短ルートで終盤まで進めてしまいました。でも、この中盤部分は、一方向システムのゲームブックにしては、びっくりするほど行動の自由度が高く、艦船に乗って海上で海賊と戦ったり、金がなくなって鉱山で奴隷のように働く羽目になったりと、いろいろな展開に進めることができます。そこが本書の最大の魅力だけに、ちょっと勿体なかったかもしれません。しかし、デュマレストはアクシデントで回り道になる事はあれど、基本的に無駄なく行動する人なので、デュマレストらしく選択肢を選ぶのなら当然こうなるでしょう。
 またまた余談になりますが、この惑星ジェイドの貨幣は、金貨〇枚と表現しています。これは恐らく、主流だったファンタジーゲームブックに合わせることで、読者に親しみを感じてもらおうとした結果でしょう。それでも、デュマレストらしくないなと、本書で違和感を感じた数少ないポイントです。

 ゲームの結末の方ですが、水晶像を盗んだ一味のボスであった管理官を問い詰める場面で、警備員達との戦闘に負けてゲームオーバー。
 今回のプレイでは、かなり強い能力値を持つデュマレストですが、それでも負けてしまう程、本書は終盤の戦闘がきついのですよね。

続く


2022年03月07日(月) うざいリプレイを書いてみた 惑星不時着(安田 均・グループSNE/創元推理文庫)その1

 デュマレストゲームブック第二弾「惑星不時着」です。
 ゲームブックブームの頃、「巨大コンピュータの謎」の発売から「惑星不時着」まで、2年以上の期間が開いていたので、当時の私はもう発売されないんじゃないかと諦めかけていましたからね。本作をクリアした後は、この調子じゃ、3巻はいつ発売されるんだ?と当然のように疑問が湧いていましたが、残念ながらまだ発売されていませんねぇ。

 本作は続編ではありますが、所持金やアイテムはリセットされ、前回の能力値だけ引き継ぎます。前作を遊んだ人は、どれかの能力値を1点増やしてよいとなっていますが、実質、最初の能力決めのサイコロ2個に+1されるだけなので、あまりゲーム的にアドバンテージは感じません。とはいえ、前作で最大の能力値からスタートした私のデュマレストは、体力8、敏捷力10、知覚力10、となり、さらに無敵になった気分です。

 さて、本編を始めましょう。前回のラストから、ハスラー星が舞台になるかと思いきや、ハスラー星に向かう宇宙船内で、ゲームがスタートします。
 なにやら不穏な雰囲気が船員達に漂っているとおもったら、なんと本宇宙船には、暗殺用のプログラムを施された人工生命体(バイオロイド)が、隠れ潜んでいたのです。
 ペアで行動するために、仲間を一人選ぶところで悩んだ末、貴族のような青年をペアに選ぶと、彼は自分を犠牲にして、デュマレストを助けてくれるという胸アツの展開になりました。
 ちなみに、これは数ある展開の一つにしか過ぎず、デュマレストがピンチにはならないパターンや、別に選んだ仲間に裏切られるなんてパターンもあります。
 バイオロイドは、アメーバのように形状を変えて侵入や逃亡も可能という、「ターミネーター2」のT-1000のごとき奴で、なかなかの強敵でしたが、初回で殲滅には成功!しかし、この騒ぎでエンジンの動作に異常が出ていた宇宙船は爆発!直前にシャラナの予知能力でこの船の運命を知ったデュマレストは、他の船員達に知らせに行くか、2人だけで緊急脱出用の小型宇宙船に乗り込むかの2択に。原作第4巻「共生惑星ソリス」を彷彿とさせるワンシーンで、ここの選択は迷わず後者です。
 こうして間一髪、消滅する宇宙船から逃れた2人ですが、脱出の衝撃で2人の乗る小型宇宙船内は、警告灯が点滅しまくっているのでした。

 この「宇宙船内に危険な生命体が潜んでいる」という設定は、原作ではほとんどありません。9巻の「幻影惑星トーマイル」に本編の前哨戦みたいな扱いで、申し訳程度にあるだけです。でも、映画「エイリアン」みたいで、今遊んでもワクワクします。
 しかし、バイオロイドのエピソードは、本作でも前哨戦扱いで、この後、タイトル通りにデュマレスト達2人は、近くにある惑星ジェイドに不時着するのでした。こんな風に1冊にいろんな冒険が詰め込まれているのは、いかにもデュマレストって感じだなー。

続く


2022年03月06日(日) うざいリプレイを書いてみた 巨大コンピュータの謎(安田 均・TTG/創元推理文庫)その5

 シャラナが監禁された場所への潜入に成功しました。
 能力値が高いのは有利とはいえ、このゲームブックの後半は、選択ミスやサイコロを使った判定で、すぐに死ぬ事が多いので、油断はできないです。
 警備装置をどうやり過ごすかなど、デュマレスト的に判断した対処方法が、割と有効だった事もあり、無事にシャラナに合流。ここで彼女は自分が予知能力者であることを告白してくれます。
 ここからは同行するシャラナが未来予知をしてくれます。ゲーム的には運勢値を1つ消耗すれば、選択肢を選ぶ前に先のパラグラフを見ることができるようになるので、多少は一発死にも対処できるようになります。
 シャラナに導かれて、施設の最奥に到着したデュマレスト達を待っていたのは、宿敵サイバーの一人でした。

 ところでゲームブック版のサイクラン(サイバー達の組織名)とデュマレストの間には、特に因縁はなかったりします。本書の後書きによると、本ゲームブックは時系列的には原作の1巻と2巻の間になるとの事ですが、デュマレストがサイクランを憎むに至ったのは、2巻「夢見る惑星フォルゴーン」でヒロインのデライを殺されたことが最初のキッカケですし、サイクランがデュマレストを捕えようと血眼になるのは、4巻「共生惑星ソリス」での出来事が原因ですから。
 そんなわけで、いささか緊張感に欠けるクライマックス。今回のサイバーの目的は、アンフォルムの情報を全て我が物にして、惑星をサイバーの支配下に置くというものです。今回のプレイではサイバーを楽に倒せましたが、仮にデュマレストがサイバーを倒せなかったという展開でも、サイバーは装置の力により、情報を全て自分の頭に流し込もうとした結果、処理できずに発狂して自滅しまうという、いささか間抜けな結果になっています。
 今の感覚なら、「メモリカードにでも保存しろ」って言うところですが、音楽を1000曲再生することができる携帯機器(「希望の惑星アス」で登場)が、貴重品として登場するのがデュマレストの世界です。原作が書かれた年代を考えれば仕方がないところはありますね。

 いずれにせよ、最後には報酬の金でLV5の地球の情報を入手することが出来たデュマレスト。エンディングでは、シャラナの父親から、当面はシャラナの身の安全を確保するために、ハスラー星という他の惑星に娘を送るので、ついていってやってほしいと頼まれます。このハスラー星というのが、LV5の地球の情報を検索している時にも名前の出てきた星で、渡りに船とばかりにデュマレストが同意するというところで、この巻は終了です。

 しかし、アンフォルムでこれだけの地球の情報が入手できてしまうと、この後、原作の2巻に話が進むのは無理があります。やはり、ゲームブック版のデュマレストは、パラレルワールドとして楽しむ作品なのでしょう。


2022年03月05日(土) うざいリプレイを書いてみた 巨大コンピュータの謎(安田 均・TTG/創元推理文庫)その4

 フリッツと共に町から遥か離れた金の廃坑まで行ったのはいいのですが、鉱山の入口付近で、ロック・ディジェスターという、スライムみたいな敵に襲われます。ここでまさかのデュマレスト敗北でゲームオーバー。
 サイコロの目が振るわなかったとはいえ、本来はここで負けるような事はないはすですが、クリティカルヒットの存在する戦闘システムなのでこんなこともあるとしかいいようがありません。

 気を取り直して、再プレイ。
 今度は能力決めのサイコロで12を出しました!ふっ、今回でクリア確定だな。
 能力値の振り分けは、体力7、敏捷力10、知覚力10にします。原作では、デュマレストは終盤で突然鋭い推理を披露し、皆が驚くような真相を暴露する展開が割とあるんですよね。余裕があるなら、敏捷力の次は、知覚力を上げるのが原作に沿っているでしょう。
 高い知覚力もあることだし、今回は町のカジノで胡散臭い男の誘いにのる事にしました。ここで、知覚力チェックに成功し、男がカジノ客の一人からサイフをすり取ったのに気づく。男をつけて人通りのないところで話しかける。敏捷力チェックに成功し、銃弾をかいくぐって男を気絶させる。の展開を得て、15,000フォルと磁気カードを入手。
 これで闘技場に行かずに、フリッツと廃鉱山に向かえます。
 廃鉱山では、ロック・ディジェスターにもあっさり勝ったものの、フリッツは死亡。デュマレストは双方向システムの迷路をさまよったあげくに、金鉱脈を発見できずに町に戻るのでした。
 この徒労に終わる探索というのは、原作でも結構あります。地球の情報を知る人間がいると聞き、その星へ向かったはいいが、その人間は既に死亡していたとか。冒険中は運に恵まれている分、このあたりの運の悪さは、ある意味バランスが取れているのかもしれません。
 ただし、今回はまったく徒労でもなく、現在持っているナイフよりも品質の良いナイフ(ダメージが増加する)と、発見した死体からVIカードを入手しました。

 町に戻ると、若い女性が黒ずくめの男たちに襲われているところを発見!助けてやると、女性はシャラナと名乗って、礼をしたいと申し出ます。
 シャラナはアンフォルムで2番目の権力者の娘だったのです。これもデュマレストなら、まれに良くある展開ですねぇ。
 シャラナの父親に会ったデュマレストは、レベル3の地球の情報を見せてもらったうえで、10万フォルという多額の報酬と引き換えに、シャラナのボディガードを頼まれたのでした。
 それにしても、レベル3の地球の情報で、地球に別名「テラ」が存在することと、オリジナル・ピープル(聖地教徒)という宗派が地球の情報の鍵を握っていることを教えてくれるのは大判振る舞いです。原作の3巻以降から中盤にかけてやっと手に入る地球の情報が、こうもあっさり入手できるとは、ライブラリを見直したぞ。
 さて、ヒロイン守ることは多くても、ボディガードを正式に頼まれる展開は、第8巻「植民惑星ドラデア」くらいで珍しいのですが、それ以上に、ヒロインのシャラナは、現在でいう女子高生らしく学校の登下校にデュマレストがつきあったりしています。これは原作に登場する数々のヒロイン達より相当年齢が低く、珍しいヒロインといえるでしょう。もはやデュマレストは保護者に近い立場です。原作ではヒロインとすぐに一緒に寝るシーンも多いから、このゲームブック発売当時の読者層を考えると無理もないのかもしれませんが。原作で一番近いヒロインは、第2巻「夢見る惑星フォルゴーン」に登場したデライでしょうか。若いヒロイン(女子大生くらい?)で、デュマレストとは純愛に近く、後でわかりますがシャラナは超能力者で、能力は違えどその点も同じですから。

 ああ、また話しがそれました。こうしてデュマレストは、しばらくはシャラナの登下校などは護衛を続ける一方、シャラナのお願いを聞いて、宇宙友愛協会(※)に聞き込みをしたり、黒い噂のある会社に忍び込んだりと、情報収集をしていました。しかし、ある日、デュマレストの目が離れた隙にシャラナは何者かに誘拐されてしまったのでした。

続く


※宇宙友愛協会とは
 現代でいうキリスト関連の慈善団体みたいな存在で、全宇宙に情報網を持っています。
 デュマレストの宿敵サイクランとは対極の存在で、デュマレストとは助け合うことが多いです。
 ただし、本ゲームブックにある、彼らが勧める浄福灯を浴びて爽やかな気分になるという選択肢は、デュマレストなら絶対に選ばない行動なので避けました。


2022年03月04日(金) うざいリプレイを書いてみた 巨大コンピュータの謎(安田 均・TTG/創元推理文庫)その3

 情報惑星の心臓たるライブラリに行くと、登録料、使用料計300フォル(15万円)を払って、次の地球の情報を得ることができました。

「アース(Earth):大地、土、地面、泥などの意味を持つ語。L3」

 ひどくね?
 情報には料金別にLV1〜5のコースがあって、これは最低のLV1の情報なのですが、いくらそういっても詐欺。これがファンタジー世界の情報屋なら、剣で斬り付けるところです。本書が書かれた時代は、Wikiで手軽に情報が入手できる世界なんて想像できなかったでしょうけど。
 いずれにしても、まともな情報が欲しかったら、もっと金がいるということらしいです。
 ライブラリを出たデュマレストは、あてもなく街を探索することにしました。
 行先は、酒場、カジノ、闘技場、武器屋、情報屋を探す、です。
 ここでデュマレストなら絶対に選ばないのが、闘技場でしょう。闘技場はナイフで生死をかけて戦い、勝てば大金を得ることができる場所です。デュマレストの世界では、原始的な本能に訴えかける娯楽とされ、多くの惑星にあるものです。デュマレストが闘技場で戦う展開は原作では多いのですが、本人は足を滑らすだけで常に死が待っていると、血に飢えた観客達の前で命をかけて戦うという行為を好んでいません。それは食い詰めて仕方なくとか、どうしても他に方法がない場合にのみ戦う、最後の選択肢なのです。

 ちなみに原作31巻のうち、デュマレストが観客の前で戦う状況は13戦あり、ここに各試合の内容を書いてみます。
 本書の闘技場ではチャンピオン戦になると、デュマレストに対し闘技場側が妨害行為をしてきますが、これも原作にあったパターンということがわかります。

1巻 嵐の惑星ガース モアドー戦(勝利) 筋骨隆々の大男相手に、素手の戦いで大苦戦しながらも首をへし折ることに成功。
3巻 迷宮惑星トイ イトツムギ戦(勝利) 沢山のイトツムギ(大型のクモ)相手に素手での戦い。この戦いには仲間がいたが、彼は最初縛られていたので、実質デュマレスト単独の戦いといえる。
6巻 聖なる惑星シュライン ギリアム戦(勝利) 突然変異により知能は劣るが怪力を持った大男と、木の棒を使って戦った。
8巻 植民惑星ドラテア クレル戦(勝利) 闘技場のために開発された巨大なダチョウのような怪鳥相手に槍1本での戦い。シリーズのベストバウト。
10巻 誘拐惑星オウエル クロム戦(勝利) 互いにナイフを持っての戦い。スプレーによる妨害にも動じずに勝利したうえ、相手の命は見逃している。
15巻 悪夢の惑星ホーガン ガルブレン戦(勝利) 筋骨隆々の大男相手に、素手の戦い。勝負はややデュマレスト優勢と思われたが、終盤にガルブレンは観客に気づかれぬように暗殺されてしまったため、完全勝利ではない。
16巻 野望の惑星ハラルド ガルブリオ戦(勝利) 互いにナイフを持っての戦い。サディスト相手にデュマレストは容赦なく心臓を一突きする。
18巻 希望の惑星アス イーマ戦(勝利) 互いにナイフを持っての戦い。イーマはなんとデュマレストよりも素早く、死をのぞきこむ気分での戦いだったが、冷静な戦いに徹することで制した。
19巻 砂漠の惑星ハージ サナク戦(敗北) 鱗に覆われた巨大なミミズのような動物を相手に網、槍、ナイフを携えての戦い。足を滑らせたところに尾の一撃で気絶。シリーズ唯一の純粋な敗北。
23巻 異形の惑星クルディップ ミュータント戦(引き分け) 猫と人間を交配させたような身長2.5メートルもある女闘士相手にナイフでの戦い。戦いの最中にデュマレストが、相手の体を踏み台にして塀を乗り越え、闘技場から逃亡して終了。これは強制された戦いだったことと、相手が女だったことから、デュマレストに戦う気がなかったことが原因と思われる。
28巻 超能力惑星バーツ ズッコ戦(勝利) 互いにナイフを持っての戦い。相手は筋骨隆々の大男のうえ超能力者。デュマレストの心を読んで、最初は優位に戦いを進めていたが、最後はデュマレストの素早い攻撃に耐えきれなくなった。
29巻 遊民の惑星ライカン エイボー戦(敗北) 互いにナイフを持っての戦い。闘技場側が仕掛けた目つぶしのストロボレーザーにやられてしまう。イカサマがバレて賭けは無効試合となったが、デュマレストは瀕死の重傷を負ってしまった。
30巻 生命の惑星カスケード マール戦(勝利) 素手での戦い。相手は筋力とガッツがある若者だが、デュマレストの方が一枚上手だった。

 さて、また話しがそれました。酒場、武器屋に行きますが、収穫はなし。カジノでは怪しい男が、胡散臭い誘いをかけてきますが、無視します。情報屋探しも一度は空振りしましたが、運判定に成功して、フリッツという爺さんの情報屋を捕まえることに成功しました。
フリッツは隠された金鉱脈を一緒に掘りに行って、大金を稼ぐことを提案します。ただし、そのためにはエア・ラフト(空飛ぶ反重力車)が必要で、1万フォルかかるそうです。
 1万フォルを持っていないデュマレストは、仕方なく闘技場で稼ぐことにしました。この展開で闘技場というのは、原作でもあるパターンなのでOK。あっさり勝利したデュマレストは1万フォルを確保し、フリッツと共に、鉱脈のある南の大陸へ向かいます。

続く


2022年03月03日(木) うざいリプレイを書いてみた 巨大コンピュータの謎(安田 均・TTG/創元推理文庫)その2

 宇宙船が到着すると、入国手続きの際の税関で、デュマレストは愛用のナイフをどうするか迷います。この惑星の市内では武器の所持が認められていないので、このままでは没収されてしまうからです。
 ここで嘘をついてナイフの所持を隠すか、正直に申告するかという、ゲーム初の選択肢となります。実は原作では、切羽詰まったときを除いて、宇宙船の乗降の際に彼が嘘をつくことはほとんどありません。身を隠す必要があるときでさえも、本名を名乗っています。噓発見器を使われるのでバレてしまうと説明があった巻もあります。なので、ここは正直にナイフの所持を申告する選択肢を選びます。
 係官にナイフの所持を伝えると、今度は賄賂を渡すかどうか、渡すならその金額が100フォルか300フォルかという選択肢が登場します。
 参考にと、このパラグラフでは、宇宙船の一回の渡航費用が、特等なら2000フォル、一等が1600フォル、下等が200フォル、持っているナイフの値段が300フォルと説明がありました。
 特等とは、惑星間の長い長い退屈な宇宙船の旅を、低速代謝という動く速度や生命活動が数十分の1になる薬を使って過ごし、数か月の旅が旅客にとっては実質数日になるという旅行法。次に1等の旅とは、これは原作にはでてこない表現です。おそらく、宇宙船の船員が時々するように、低速代謝を使用せずに旅をする、原作でいうミドルと呼ばれる旅行法の事と思います。そして下等は、家畜と同じく、冷凍睡眠の状態で荷物のように運ばれ、目的地で蘇生してもらうという格安旅行法です。ただし、15%もの人間が蘇生に失敗するリスクの高さが問題です。

 ところで原作では、このゲームブックのような各惑星固有の通貨単位はあまり登場しません。代わりにどの惑星でも通用する価値を表す単位として、渡航費用を基準にした表現をします。例えば「特等料金10回分の価値がある」、「それでは下等料金にも足りない」といった感じです。第一巻「嵐の惑星ガース」でも、モアドーという残虐な闘士を相手に戦いを挑むよう、「一度でもあの男を倒せば下等の渡航費を出すぞ、殺せば特等だ!」とデュマレストたちに向かって呼びかけるシーンがあります。
 本書の作者後書きでは、1フォル=500円と書かれているので、特等は100万円、下等は10万円の価値ということになるでしょう。
 しかし、原作を読む限り、本当にそうなのか、はっきりとはわかりません。
 デュマレストのような宇宙を旅する流れ者は、現実世界でいうバックパッカーみたいな存在で、辿り着いた惑星で路銀がつきれば、しばらく仕事をして、次の惑星へ旅立つ旅費を稼ぐという繰り返しで旅を続けています。そういった人たちにはこの乗船料は厳しい金額だと思うのです。
 原作で参考になるところでは、第4巻「共生惑星ソリス」で、デュマレストは下等料金の半分しか所持金のない状態でクロンという惑星にたどりつきます。そこでヒロインにマントやヘルメットなどの防寒具一式と護身用のナイフを買ってやると、彼女のもともと着ていた上等な衣服を売り飛ばしても、ほぼ文無しになってしまうという展開があります。また、第10巻「誘拐惑星オウレル」では、1000スターガル(その惑星の通貨)が特等料金2回分の価値であり、デュマレストと交渉していたごろつきが、カジノ付きの高級レストランで食べた肉料理が7スターガルでした。そこから考えると、山口プリン的には特等料金は50万円、下等料金は5万円程度が妥当だと思っています。
 もっとも、特等料金100万円、下等料金10万円(原作者にとって1000ドルと100ドル)説も、キリが良くわかりやすい金額で、ありえる気もしなくはないですが。

 話しが随分それました。とにかく100フォルの賄賂を渡してナイフの所持を見逃してもらったデュマレスト。街で話しかけてきた胡散臭い男は無視して、当面の宿を決め、早速、情報を売る「ライブラリ」へ向かうのでした。

続く


2022年03月02日(水) うざいリプレイを書いてみた 巨大コンピュータの謎(安田 均・TTG/創元推理文庫)その1

 原作はEC・タブの書いた大長編スペースオペラ「デュマレストサーガ」です。
 これは、いくつかの単発の小説は除きますが、少なくとも長編小説の中では、間違いなくマイベストワンのシリーズです。宇宙を渡り歩く流れ者のアール・デュマレストが、宿敵のサイバー達の罠をかいくぐりながら、生まれ故郷の地球を探してさすらうという物語です。日本では31巻(原作では全33巻)が発売され、なかなかの読みごたえです。
 私の場合、このゲームブック版(続編の「惑星不時着」も含む)を読んでから、原作を読み始めたのですが、6巻以降が絶版状態で、当時はアマゾンみたいな便利なネットサービスもなかったので、何件もの古本屋をまわっては数年がかりで全巻を集めたという。そちらの意味でも思い出深い小説でした。
 ゲームブック版の感想は、すでに2002年03月24日の冒険記録日誌に書いていますが、20年近く前の日記だと、今以上に稚拙な書き方ですから、日記を読み返すのも恥ずかしい内容です。思い入れの深い作品ですので、今回はもう一度リプレイという形で取り上げてみたいと思います。
 ところで一度はクリアした作品を、普通に遊んでは面白くありません。本作は一方向システムながら、選択の自由度が高い作品なのですが、あえて今回は、いかにも原作のデュマレストらしいという選択肢を選ぶように遊んでいきたいと思います。ついでに原作のことも熱く語りたいものです。
 そんなわけでリプレイスタート。今回もネタバレ満載の内容なので、遊ぶ予定の人は注意してください。

※※※※※※

 まずはキャラクターメイキングです。まずサイコロを2つ降って、出た数値を「体力」「敏捷力」「知覚力」に振り分けます。今回は8が出ました。
 各能力の最低値は5で、振り分けにより、最大10まで上げることが可能です。まずはゲーム的にも戦闘で最も重要な能力であり、生死を分けるようなシーンのサイコロ判定にも使われることも多い敏捷力を、9にします。原作でもデュマレストといえば常人離れした素早さが特徴で、「早い!こんな早い奴は見たことがねぇ!」みたいな事をしょっちゅう言われていますので、原作再現の意味でも当然といえるでしょう。
 続いて残る4ポイントをどこに振り分けるべきかですが、無難に体力を7、知覚力を7にしました。体力は戦闘で与えるダメージ量が「5・6」「7〜9」「10」と3段階に変化するので、最低7は欲しいところです。知覚力の判定も7以上にすれば成功率が50%以上となります。
 続いて運勢値をサイコロ一個+6で決めます。今回は11になりました。デュマレストは強運の持ち主という特徴もあるので、これは良い数値です。原作では、主人公補正というべきか、トラブルに巻き込まれたと思ったら、そのおかげでもっと大きな罠から結果的に逃れる事ができたり、敵に追い詰められたと思ったら、たまたまそこを別の権力者の目にかかって庇護を受けることになるという展開は日常茶飯事です。
 所持金は4200フォム(冒険の舞台の通貨単位)で固定です。これで冒険の準備は整いました。

 プロローグは、宇宙船の中です。今回の冒険の舞台となる情報惑星アンフォルムに向かう宇宙船に、旅費の節約のためアンフォルムまでの臨時の雇われ船員として、デュマレストは乗っていました。
 渡り者が、情報惑星なぞに何の用なのだ?と仲良くなった他の船員に問われ「自分は地球生まれなんだ」といいますが、なかなか信じてもらえません。 
 なぜなら地球の存在は完全に忘れられ、仮に知っていても行けば幸福になれる伝説の星という程度の認識しかもたれていないので、ふざけた冗談を言っていると思われるからです。そしてデュマレストは、荒廃した地球を飛び出すために、子どものころ宇宙船に密航し、無数の旅を続けるうちに、地球が伝説以下の存在になっていることに気づくという身の上話を語るのでした。
 ここは原作でも何度も登場するお馴染みのシーンなので、プロローグに相応しいでしょう。ちなみにアンフォルムという惑星はゲームブックオリジナルですが、原作の3巻「迷宮惑星トイ」も、似たように情報を売る惑星トイが存在します。
 さて、ここからいよいよ本編の冒険が始まります。

続く


2022年03月01日(火) また復活します

 まーた、半年ほど更新が途絶えてしまいました。
 でも、前の4年間も中断した時に比べると、特に近況で問題があったわけでもなく、数週間更新しなかったら、そのままずるずる止まってしまったというところです。本棚とその周囲は、グシャグシャに散らかり、さらには10年くらい使っていたパソコン2台が続けざまに壊れ、テンションが下がっていました。
 こんな時は、気分一新のために本の整理ってことで、年が明けてからは、ずっと本棚の本(1軍)を並び替えたり、ダンボールに入っている本(2軍)や実家に置いてある本(3軍)の入れ替えを行ったり、断腸の思いで一部の本を捨てたり(戦力外)していました。
 断捨離とかの考え方なら、読まない本は捨てるに限るわけですが、私は10年ぶりに急にある本を読みたくなるとか、よくある事なのですよね。
 電子書籍の方に移行という考え方もあるのですが、これは読み捨てレベルのものだけそうしています。例えば絵本なんかは手触りとかも含めて作品という部分もあるし、タッチパネルが苦手な私は、どうしても紙の本中心になってしまう。
 特にゲームブックは、希少価値とかコレクター的要素とか、アナログだからゲームブックだという感覚とかあるので捨てられないですね。

 今回の本棚の整理は、気分を変えるために、本の入れ替えを多めにしました。
 小説や漫画は読み返す事が多いものだけ本棚に残して、かなりのお気に入りだろうが、あまり読まない本は思い切って2軍に移行。その分、2軍3軍の中からゲームブックを多く本棚に入れることにしました。
 ゲームブックを読み返すことって、普通の小説とかに比べるとあまりないわけですが、ダンボールに入っていると、積読ゲームブックを消化できないですからね。
 今回のポイントは、あまり出来の良くない作品、俗に言うクソゲー、いやクソゲームブックを実家から持ってきた事です。この冒険記録日誌では、作品にケチをつけるような事はなるべく書かない趣旨ですが、持ってきた何冊もの本を見ていると、クソゲームブックランキングをつけたくなる気持ちが沸々と沸いてくるのを否定できません。

 あと、掲示板で、双葉社のルパンゲームブック 「さらば愛しきハリウッド」が、紙の本で復刊したという、目出度いことを教えていただいたのでさっそく注文しました。7月にはファイティングファンタジーBOX第二弾が出るとの事で、楽しみやらまた本棚が圧迫することが怖いやらで、複雑に嬉しいです。

 最後に、なんで2月12日に、3月1日付けの日記を書いているの?という疑問を生じている方がいるかもしれませんが、日付がいい加減なのは、冒険記録日誌の昔からの仕様なので気にしないでください。
 そんなわけで今回はいつまで続けられるかわかりませんが、またよろしくお願いいたします。


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