冒険記録日誌
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2017年01月31日(火) たけたろうの冒険番外編 ──剣士対妖怪 魔境の秘薬 その12──

(ネタバレ注意。プレイ予定の人は読まないでください。)

6回目のプレイ

 3つの鍵を拾い集めて、大扉を開けます。待ち構えていた土蜘蛛と再戦です!
 今回も絡みつく糸の回避判定にサイコロを1個振りますと、今度は戦闘に入る前に道具を使う余裕ができました。虎の子の黒水晶を思いっきり土蜘蛛に向かって投げつけます!
 黒水晶は黒い煙に変わって、土蜘蛛を苦しめているようです。これならどうにか勝てそうです!

土蜘蛛 技術ポイント10 体力ポイント10

 サイコロの目は絶好調。なんと一撃も食らわずに土蜘蛛を退治できました!
痙攣する土蜘蛛の死体を後にして、通路の奥に向かってヨロヨロと歩きます。
 青銅の箱を発見して開けると、中に小さな壺が収まっていました。壺の中にはとろみのある金色の液体が入っています。
 舐めてみると、たちまち体が元気で満ち溢れます。間違いなく、これが秘薬のようです。
 兄さんはやりましたよ!早く家に持って帰りましょう!

 洞窟を出た私は、護符を天にかざします。
 しばらくすると、魔境に連れてきてくれたカラス天狗がやってきて、私の前にふわりと舞い降ります。
「ここまで来たとは驚きだ。とても強い男には見えなかったがな」
 なんとでも行ってください。愛する家族のためなら、誰よりも強くなれるのですよ。
「はっはっ、言うではないか!いいだろう。わしは護符を持っているものを無事に送り届ける事になっておる」
 カラス天狗は、私を掴むと空に舞い上がり、あっという間に江戸の町まで送り届けてくれました。

 屋敷にかけこむと、病に伏せっているともみを抱き起して秘薬を飲ませます。
 ともみの頬に赤みがさし、生気が戻ってきました!ともみは大きく伸びをします。
「ああ、元気になったらお腹すいた!食べるものはある?」
 ともみは何杯もご飯をお代わりします。ちょっと、ともみ。胃腸が弱っているから食べ過ぎは禁物ですってば。
「だって、この世界は1食につき体力が1点しか増えないのよ。10食以上は食べないと体力が全快しないじゃない!」
 ともみはニッコリ笑って答えます。
 はははっ、まあ、これでいつものともみに戻ったわけですね。大人しくて可愛いともみもちょっと良かった気もしますが。えっ!?
 唐突に私のほっぺにきた唇の感触。ともみが珍しく照れています。
「ま、こんなときくらいはね。私のために体を張ってくれてありがとう。兄貴」
 いいですよ。その表情を見るだけで、辛い旅なんて吹っ飛びましたからね。



2017年01月30日(月) たけたろうの冒険番外編 ──剣士対妖怪 魔境の秘薬 その11──

(ネタバレ注意。プレイ予定の人は読まないでください。)

5回目のプレイ

 3・4回目の探索で全ての支道を調べたわけですが、あと1本の鍵の位置がわかりません。どこの洞窟を取りこぼしたのかな?
 十一本目の支道のヌリカベに斬りつけたら、ヌリカベは「助けてくれ〜」と叫んで逃げて行きました。人のことは言えませんが、意外に小心者です。
 次にニ番目の支道ですれ違っただけの妖怪と対峙してみます。その正体は‟三目八鬼(ミツメヤキ)”でした。
 私を発見した‟三目八鬼”は凄いスピードと回転速度で体当たりしてきます。闇雲に振り回した刀が(サイコロ1個で判定)偶然、こいつの頭の一つに突き刺さったようで、恐ろしい声をあげながら逃げていきました。
 運が悪かったら、こちらが即死でした。それに鍵はここにはないようです。

 こうなると消去法で、三番目の支道で眠っている大蛇が怪しいですね。本当に巨大な大蛇なのですけど。
 眠っている敵なら倒しやすいかもと、大蛇の前でそっと刀を抜きます。
 すると、鞘走りの音に大蛇は目を覚まして、たちまち私をパクリと丸呑みしてしまいました。(汗)
 あわわわわわわわわわわ!必死で大蛇の胃袋から刀を突き刺しますよ!

大蛇 技術ポイント8 体力ポイント14

 なんとか大蛇の腹を裂いて脱出に成功。おまけに胃袋の中で3本目の鍵を発見しました。いよいよゴールは近いです。

 九本目の支道の先にある大扉を3つの鍵を使って開けます。
 また広い洞窟が続きます。歩き出すと、前方から無数の白い糸が伸びてきました。
 その先には巨大な蜘蛛が見えます。強敵中の強敵、妖怪‟土蜘蛛”です。
 絡まってきた糸から身をよじって必死に逃れようとします。(サイコロ1個の判定を2回繰り返す)
 なんとか糸から脱出できました。刀を振りかざして戦闘にはいります。

土蜘蛛 技術ポイント14  体力ポイント41
※各ラウンド毎にサイコロを1個振ること。6の目が出たら土蜘蛛の吐いた糸が体に絡まる。(絡まったらまた脱出の判定を行い、1/2の確率で脱出失敗、即死)

 いや、勝てる実力差じゃないですよ……これ……。体力ポイント41とか意味わからないです。どうやって倒すのですか、これ?
 あっという間に糸に体を巻かれて、頭からムシャムシャ食われてしまいました。



(後で他のパラグラフ等を調べた限り、どうやら土蜘蛛の体力ポイント41は14との誤植のようです。それでもたけたろうの戦力では、普通に倒すのは無理っぽいですが)


2017年01月29日(日) たけたろうの冒険番外編 ──剣士対妖怪 魔境の秘薬 その10──

(ネタバレ注意。プレイ予定の人は読まないでください。)

4回目のプレイ

 山口プリンさんのお慈悲で、ここからは最初からでなく、洞窟のの入り口から再開してよいそうです。
「終盤までの攻略ルートはできているようだしな。それに新年最初のゲームブックのプレイだから、今回はサービスだ。」
 と、山口プリンさんは言っていますが、本当は自分がやり直すのが面倒くさいだけじゃないですかね?
 あ、プリンさん。いえいえっ!何も言ってないですよ!さあ、まだ様子のわからない九本目の支道から調べましょうか。

九本目の支道──鍵穴の3つある大きな扉に遭遇。3本目の鍵さえ見つかれば、ここがゴールですね!
十本目の支道──地下水路に足を取られそうになるけど、無事脱出。何も見つからず。
十一本目の支道──奥でぶよぶよした壁に遭遇。体当たりしてみると、正体はヌリカベだったらしく、ひょいと避けられ、勢い余った私はつんのめって、洞窟の深い深い亀裂に落ちてしまう。

 あっ、ああああああああぁぁぁあぁぁぁぁぁ〜〜……。


完(まだまだまだまだ!)


2017年01月28日(土) たけたろうの冒険番外編 ──剣士対妖怪 魔境の秘薬 その9──

(ネタバレ注意。プレイ予定の人は読まないでください。)

 洞窟に向かう細い山道は、一本道で迷う心配はありませんでした。
 ただ、このあたりはしばらく雨が降っていないらしく、草木に元気がない様子が気になります。
 半日も歩いたところで、毛深くて大きな目をした妖怪が襲ってきました。魃鬼──別名、日照り神と呼ばれる妖怪です。今まで出会った妖怪とは殺気が違います。うーん、これは死ぬまで襲ってくる厄介なタイプですよ。
 ここでは刀で戦う他に、黒水晶、赤水晶、水筒が使用できるそうです。
 黒水晶は持っているけどギリギリまで温存したい、赤水晶は持っていない、ここは水筒を使いましょう!こいつは水が苦手みたいです。
 水筒の水をふりかけると(サイコロ1個で判定)、‟魃鬼”は素早くかわしたもの、わずかに水をかけることに成功。
 ‟魃鬼”はもがいて苦しんでいます。刀でトドメを!

魃鬼 技術ポイント8 体力ポイント8

 その後は、通りすがりの一つ目小僧と挨拶をしたくらいで、何事もなく洞窟に到着しました。
 洞窟に入ってしばらく歩くと、天然の大広間に到着しました。前にここに来た誰かがたいまつを何本か置き去りにしているので、拝借することにします。(提灯を持っていたけど、今回は使い道がなかった模様)
 大広間からは入り口へ続く道も含めて、12本も支道が伸びています。
 この支道を一つ一つ探索していって、秘薬のある扉と、ヌラの言っていた3本の鍵を発見しなくてはならないようです。支道はどれも静まりかえっています。

 緊張のあまりゴクリと喉をならすと、探索していきます。(支道を4本調べる度に1日経過)

一本目の支道──遭遇した雪女に襲われるも、たいまつで応戦して辛うじて撃退。
二本目の支道──奥から異様な気配が近づいてきたので、岩陰に隠れてやり過ごす。そのまま奥まで進んでも何も見つからず。
三本目の支道──眠っている大蛇を発見。起こさずに引き返す。
四本目の支道──狼の群れに遭遇するが、先手で一匹を傷つけると、共食いを始めたので逃げ切る。
五本目の支道──ふわふわとニ匹の光る蛾が飛んでまとわりつくので、一匹を捕まえると、蛾は一本目の鍵に変わった。
六番目の支道──奥に大中小の3つの箱があったので全部開ける。箱の一つは罠で箱の中に吸い込まれてしまうものの、持っていたお札の力で脱出に成功。他の2つの箱からは二本目の鍵、体力回復薬を入手。
七番目の支道──小人が住んでいて、鍵は八番目の支道にあると教えてくれる。
八番目の支道──岩がゴロゴロするだけで何もなし。詳しく調べていると、支道の入り口がいきなり崩れて塞がってしまう。

 八番目の支道内に閉じ込められたまま、餓死して終了……。


完(もう少しです!もう少しですよ!)


2017年01月22日(日) たけたろうの冒険番外編 ──剣士対妖怪 魔境の秘薬 その8──

(ネタバレ注意。プレイ予定の人は読まないでください。)

3回目のプレイ

 3度目の自宅で、ともみに必勝を誓います。寝床のともみは首を重そうに向けると、「無理しないでね」と言ってくれました。
 ああ、ともみ!いつもの罵りはどうしたのですか。兄貴は何回戻ってきているの?とか嫌味とか言ってくださいよ!
「……私って、いつもどういう風に思われているわけ?早く行ってきて」
 あ、少しいつものともみになりました。

 魔境の様子もわかってきたので、中盤まではさすがに順調です。
 買い物は2回目の時と同じにして、序盤の渡し船はつかわずに小判を節約しました。今回は護符を無くすような事もなく、手に入れた黒水晶も温存しています。
 賭博中の天狗達のところで、賭博に参加してみますと、あっさり4両の負け。所持金を減らしたくないので、いかさまだと言って護符を見せびらかす事にします。
「あの方のお知り合いとは知らず、とんだ失礼をいたした。」
 天狗達はかしこまって、路銀として5両を渡してくれたうえ、しばらく先まで飛んで私を運んでくれました。
 序盤に護符を見せたカラス天狗の態度といい、護符をくれたヌラという老人は、天狗一族に影響があるのでしょうか?

 海路と陸路の分岐では、今回は海路を選択します。
 船に乗ろうとしましたが、まだ様子を見た方がいいと言う、船宿の主人の忠告を素直に聞いて、海の荒れが落ち着くまで2日間逗留します。ともみの病気を考えると残り日数が気になりますが、海で遭難よりはマシです。
 その甲斐あってか、予想していた船幽霊を始め、何の怪異も出会うことなく、対岸の‟水虎”の出没するという漁師村まで到着しました。
 ‟水虎”の弱点を教えてもらう為、‟水精の翁”に5両渡すと、「‟水虎”が血を吸った死体を火葬せずに、畑に作った草庵の中で安置して腐らせると良い」と教えてくれました。
 この理屈のわからなさは、いかにも妖怪退治って感じですねぇ。たけたろうは好きですよ、こうゆうの。おかげで直接戦わなくてすむなら文句なしです。
 村に戻ってさっそくそのとおりに実践しました。死体が腐りはじめると、姿は見えないのにどこからか苦し気な‟水虎”の鳴き声が聞こえてきます。
 やがて鳴き声が途絶えると、巨大な河童のような化け物が息絶えているのを発見しました。
 ただ、‟水虎”は北の洞窟の事が書かれた巻物は持っていませんでした。助けを求めるあまりについた、村人の嘘にひっかかったようです。
 それに死体が腐るまで3日間もかかったのも問題です。私に力があれば直接戦って、すぐに退治できたでしょうに。ともみ、ごめんよ。

 村を離れ、しばらく街道を進むと、また小さな村に差し掛かりました。
 村人に訪ねてみると、1人が宿に案内してくれたのはいいのですが、1両よこせとシツコイ。私の性分ではありませんが、こういった輩には舐められてはいけません。素手で殴りつけます。

男 技術ポイント8
※素手の戦いなので男から受けるダメージは1だが、こちらも2発当てる必要がある。

 捨て台詞を吐いて逃げ出すゴロツキを尻目に宿に入ります。食事は1両、宿泊は3両だそうです。
 金を払って酒と食事をとっていると、隣の席の老人がひょいと、私の杯を取って酒を飲みました。図々しいと思って、顔をみるとなんと、ヌラ老人ではないですか。ヌラは人の好さそうな笑みを浮かべて話し出しました。
「お武家様、ようここまでおいでになりました。ここまでくれば、お探しの洞窟はもう少しですよ。」
 老人は洞窟で3つの鍵を探す必要があると教えてくれ、まだ護符は持っていますか?と尋ねてきました。
 酒をおごれば再び護符をわけてくれるそうですが、大丈夫です。ヌラ──たぶん正体はぬらりひょん──に厚く礼を言って別れると、宿に泊まることにしました。
 さあ、明日はいよいよ、最後の試練です。


続く


2017年01月21日(土) たけたろうの冒険番外編 ──剣士対妖怪 魔境の秘薬 その7──

(ネタバレ注意。プレイ予定の人は読まないでください。)

 ‟夜道怪”を追い払って小道を進むと、池のほとりで妹そっくりの後ろ姿をした女が、今にも池に身を投げそうになっています。
 「どうせいたずらですし」と無視していたら、池の傍の草むらから‟蟹坊主”という化け物が登場して襲われました!
 黒水晶を使う選択肢があったので、夢中で投げつけると‟蟹坊主”は漆黒の炎に包まれて消滅します。
 凄い威力ですが、黒水晶は消耗品だったようで一緒に燃え尽きてしまったようです。残念。

 続いて遭遇した賭博中の天狗や、あの怪しげな椿の木の女を無視して、先に進むと、開けた海辺に到着しました。
 近くには船宿と街道があり、北に進むには海路か陸路のどちらかと選ばないといけないようです。
 あたりを伺っていると、まるで仙人のような姿をした老人の釣り人に遭遇したので、この先の様子を聞いてみます。
「船には幽霊、陸には人と花」
 老人はこっちも見ずに謎めいた返事をします。
 人と花の方はよくわかりませんが、船に幽霊はなんとなくわかりましたよ。海で幽霊と言えば‟船幽霊”が登場するのでしょう。壊れたヒシャクがどこかに落ちていないですかねぇ。

 悩んだ末、陸路を歩くことにしました。
 道中、困っているドクロを助けてあげたり、‟朱の盆”という強敵を倒したり、小鬼に大岩を転がされて坂道を必死に走って逃げたりしましたが、なんとか先に進みます。
 やがて漁師の村に到着した私は、漁師たちが泣きわめいているのに遭遇しました。

 あー、なにか嫌な予感がしますね。

 気が進まないまま、村人にわけを聞くと、なんでも‟水虎”とかいう化け物が浜辺に出没しては、村の子どもを食べてしまうのだそうです。妹の治療薬のある北の洞窟の事を聞くと、‟水虎”がそのことを書いた巻物を持っているだとか。やっぱり退治するしかないのですよねぇ?
 ここでの選択肢は、浜辺に行って小細工なしで‟水虎”と戦うか、近くの泉に住む偏屈な性格の‟水精の翁”を訪問して‟水虎”の弱点を教えてもらうことだそうです。
 さすがに‟水虎”は一回斬りつけたくらいで、逃げてはくれないでしょうねぇ。
 とりあえず、なるべく戦わない主義の私としては、‟水精の翁”のもとへ向かいます。

 ‟水精の翁”が居るという湖に到着すると、大声で「ごめんくださーい」と叫びます。
 すると、湖面から老人の姿がせりあがったと思うと、水上を歩きながら近づいてきました。
「お若いの。水虎のことを聞きにきたのであろう。しかしな、水心あれば魚心と言うであろう?」
 何かあげないといけないらしいです。渡せる候補は、黒水晶、赤水晶、小判の3種類だけ。
 持っているのは小判だけなので差し出そうとすると、老人は「5両で手をうとうじゃないか、お若いの」と言ってニッと笑いました。
 残念ながら3両しかないんですよね。もう少し安くなりませんか?
 途端に老人の顔色が変わります。
「人間の分際で、このわしを愚弄する気か。この中で10年程反省しておれ!」
 老人は小さな水瓶を取り出すと、不思議な力でその中に私を吸い込んでしまいました。


完(ま、まだ負けません。再々挑戦しますよ!)


2017年01月15日(日) たけたろうの冒険番外編 ──剣士対妖怪 魔境の秘薬 その6──

(ネタバレ注意。プレイ予定の人は読まないでください。)

 鬼女と別れたあと、沼のほとりで寝ていた私の足に、沼から延びた長い黒髪がいつのまにか絡みついています。
 そっと、髪を近くの大木の幹に巻き付かせると、やがてきしむような大きな物音と共に、髪が大木を根こそぎ沼へ引きずり込んでしまいます。
 やがて沼は静かになりました。沼女郎の本体は現れなかったですが、怖い怖い。

 また夕暮れになって、今度は人一人が寝ころぶのに丁度いい、平らな岩のうえで寝ます。夜中に聞こえたささやき声を頼りに、翌朝、岩の傍の地面を掘ってみると、氷の玉と拳くらいの大きさの黒水晶を発見。
 氷の玉はすぐに溶けてしまいましたが、体力を全快させる効果がありました。黒水晶の方は今後役に立ちそうで、思わぬ拾い物です。

 その後は、謎の鬼火を隠れてやり過ごしたり、正体不明の盗賊の襲撃をはねのけたりしつつ、暗い森を抜け、‟夜道怪”とまた遭遇します。
「そこのお侍さん。役にたつもんがぎょうさんありまっせ!寄っていって損はしまへんで。わしが保証しますさかい」

手ぬぐい     3両
赤水晶      5両
膏薬       2両
食料3食分    1両
小箱       3両
水筒       2両

 赤水晶と小箱が何なのか気になりますが、こちらもお金に余裕はありません。膏薬、食料、水筒の3つを購入します。これで残り所持金が金貨3枚です。
 ‟夜道怪”は私の持っている黒水晶に気づくと、是非売ってくれと言い出します。断ると‟夜道怪”はよっぽど欲しいようで、襲ってきました。

夜道怪 技術点10

 傷は負いましたが、こちらからも一撃与えて追い払います。酷い目に遭いましたが、これは逆に黒水晶が重要品という証拠みたいなものですね!


続く


2017年01月14日(土) たけたろうの冒険番外編 ──剣士対妖怪 魔境の秘薬 その5──

(ネタバレ注意。プレイ予定の人は読まないでください。)

2回目のプレイ

 家から再スタートとなった私は、まだ意識が朦朧としている、ともみの手を握り締め、必ず秘薬を持って帰ると誓って再び旅立ちます。
 老人から護符をもらい、カラス天狗に魔境まで運んでもらった私は、侍のいる百姓家で買い物をします。
 意外と魔境でもお金は使う機会が多いようなので、今回は慎重に選びましょう。侍の売り物は次のとおりです。

丸薬(体力を2回復できる) 1両
食料二食分         3両
お札            1両
数珠            2両
ちょうちん         2両
縄             2両
小柄            2両
短刀            3両

 そうですねぇ。
 前回の経験だと体力ポイントには思ったより余裕があったので、丸薬と食料を切り捨てましょう。この世界では食料を食べても体力は1点しか回復しませんし、後で遭遇した‟夜道怪”は食料3食分をたった1両で売っていました。
 数珠は前回役にたったけど、今回は違う道を選ぶつもりなので、出番がないと予想してあえてパス。短刀も高いのでパス。他は購入で残り所持金は13両です。

 金銭に余裕を持たせた私は、続く大きな川にある船付き場で、渡し賃5両を払って、対岸まで運んでもらいます。船付き場を下りると、そこは前回も通った「魔の路」「怪の路」の分岐路です。
 船に乗ると、川の上流を歩くまわり道と比べて、時間の節約になるはずなのですが、前回まわり道を選んだときも別に日数ポイントを消費しなかったですしねぇ。んー。なんだか5両損しただけな気がしてきました。
 そんなことを考えながら、今回は「怪の路」を進みますが、こちらは険しい悪路という事でキツイ道のりでした。でも、体力点は消耗しなかったし、こちらの道では妖怪には遭遇しなかったので、結果的にはこちらの道が安全だったようです。

 前回と同じあばら家で一泊し(今回も真夜中に地震が発生してまたひどい目にあいました)、翌日も北へ歩いていると、芸者風の色っぽいお姉さんが、食事でも一緒にと声をかけてくれます。
 今は、女の正体は鬼女とわかっていますからね。三十六計逃げるに如かずと、女を全速力で通り越して街道をひた走ります。ところが、うっかり崖から足を滑らせて落ちてしまいました。
 崖の途中に生えている木にしがみついて命は助かりましたが、(サイコロを一つ振って……偶数)そのはずみで護符を崖下に落として、失ってしまいます。いろんな意味でアイタタです。
「もし。お侍さん、大丈夫なの?」
 崖の途中で身動き取れない私の頭上から声をかけるのは、なんとさっきの女の人です。街道から崖へ長縄を垂らして助けてくれました。
 なんだか面目ない事態です。結局、夕食をご馳走になり(体力1増やす)、宿泊は丁重にお断りして、鬼女さんとは友好的にお別れしました。
 相手が妖怪でも必ずしも戦う必要はない。先入観で行動するのは止めましょうという教訓でしょうか?(汗)


続く


2017年01月09日(月) たけたろうの冒険番外編 ──剣士対妖怪 魔境の秘薬 その4──

(ネタバレ注意。プレイ予定の人は読まないでください。)

 ‟夜道怪”と別れてまた小道を進むと、池のほとりで妹そっくりの後ろ姿をした女の姿がありました。女は今にも池に身を投げそうになっています。
「ともみぃ!」
 すぐに助けに駆け寄ります。こんなところで無視する選択なんて、妹思いのたけたろうは絶対選びませんよ!
 もう少しで捕まえたと思ったら、女の姿がパッと消えてしまいました。
 ちょっと離れた場所で、おかっぱ頭の女の童がクスクス笑いながら見ています。
 どうやらからかわれたみたいです。それ以上の悪さをする様子はなく、その無邪気な妖怪は立ち去りましたが、なんだかどっと疲れが出ました。(体力ポイント2減らす)

 そのあとは賭博中の天狗2体に遭遇しましたが、もう手持ちの小判が残ってないので、関わらずに立ち去ります。
 さらに進むと、椿の木が立ち並ぶ小道に差し掛かりました。
 なんだか江戸の家を思い出す光景で癒されます。ともみは大丈夫でしょうか。苦しそうに咳き込む、ともみの姿を思い出し、足を速めようと、前方を見据えます。
 すると、道の前方を歩いている女の姿が見えました。

 またですかぁ?今回の冒険は女難の相でも出ているのでしょうか?

 話しかける、問答無用で斬りかかる、無視して歩く、護符を見せる、の4択ですか。護符はもうないですし、いきなり斬りかかるのもちょっと。
 今までのパターンから言うと、無視するのが一番な気もしますが、そろそろ話しかけると必要な品が手に入る展開にならないでしょうか?過去の冒険の経験から、やはり寄り道をしないと落ち着きません。これで間違っていたら、悪いのはリビングストン先生ってことで。

 女の人に話しかけると、愛想よくニッコリ笑って振り向いてくれました。
 あれ?あれ?なぜか急に意識が遠くなったと思ったら、自分が蜂の姿になっていますよ?
 ああ、女の人から良い匂いがします。近寄らずにはいられません〜。
 いつの間にか、女の人じゃなくて椿の木の花に吸い付いています。はぁはぁいいかおり、かいかん、おいしいですぅ、きゃっはぁっ、かんびなよろこびでとけてしまいそうです〜。

 椿の花がポトリと落ちます。蜂になった私はその花の中で完全に溶かされていました。


完(妹の為、最初から再挑戦で続く)
 


2017年01月08日(日) たけたろうの冒険番外編 ──剣士対妖怪 魔境の秘薬 その3──

(ネタバレ注意。プレイ予定の人は読まないでください。)

 夕方になった頃、人気のないあばら家が見えてきました。ちょうど良いので、家に積まれてあった藁を布団代わりに一泊させてもらいます。
 いい気持ちで寝ていると、夜中に地震がやってきました。
 慌てて刀を振り回すと、天井から大きな瓶(かめ)が落ちてきて、頭にスッポリハマってしまいます。
 目が!目が〜!
 やみくもにブンブン刀を振り回しているうちに、何かにぶつかって瓶は割れてくれましたが、衝撃で気絶してしまいました。キュ〜。
 翌朝、そのままの格好で目を覚ましましたが、何も異常はありません。
 昨夜の騒ぎはなんだったのでしょうか?不思議でありますけど、気を取り直して、北へと再び歩き始めます。

 今日もまた女の人に出会いました。今度は年は30歳くらい。芸者風の色っぽいお姉さんが、食事でも一緒にと声をかけてくれます。
 昨日のこともあるから用心しなくては〜と思いつつ、自宅に誘われてすっかりご馳走になってしまいました。誘惑されるまま一泊していると、女の人は目が赤く輝き、口が裂けた首を飛ばして、襲ってきました!

鬼女 技術ポイント8

 ろくろ首じゃないんですね!?なんとか斬りつけると「ぎゃあー」と絶叫を残して逃げ去っていきました。
 変な下心を出したせいじゃないですよ?今回も過去の冒険を経験してきた条件反射でつい寄り道を。悪いのはリビングストン先生ですってば。

 寝不足の頭をふりふり、立ち寄った沼のほとりで、少し昼寝をすることにしました。
 気が付くと、足に長い髪の毛が巻き付いています!慌てて、髪を引っ張ると、沼から一人の女が浮き上がってきました。沼一面は黒髪だらけでうねっています。今度は‟沼女郎”の登場です!
 護符を使うかという選択肢が出たので、使おうとすると、黒髪がうねって護符をに巻き付き、取り上げられてしまいました。
 沼女郎はそれで満足したらしく、微笑みを浮かべるとまた沼へ沈んでいき、何事もなかったかのようにあたりは静かになります。
 ああ、護符を失ってしまった。後で困らなきゃいいんですけど。

 また夕暮れになって、今度は人一人が寝ころぶのに丁度いい平らな岩に遭遇します。今夜はここで寝るのに、おあつらえ向きな条件です。
 さすがに用心深くなった私は、岩を無視して草地に寝ころび、初めての平和な夜を迎えました。

 翌日、雑木林の道を歩き(また二手に分かれていたので、最初の選択肢を進む)、唐笠お化けと遭遇するけどお互い無視し、枝にぶら下がった馬の足に蹴飛ばされながらも森を抜けます。
 今度は修験者みたいな姿をした‟夜道怪”という妖怪が登場して、品物を道端に並べ始めます。
 「そこのお侍さん。役にたつもんがぎょうさんありまっせ!寄っていって損はしまへんで。わしが保証しますさかい」
 いろいろ品はあるけど、小判が少ないので、水筒と膏薬だけ購入して別れます。久しぶりに友好的な妖怪にあったのはいいのですが、なぜ大阪弁なのでしょうか。
 

続く


2017年01月07日(土) たけたろうの冒険番外編 ──剣士対妖怪 魔境の秘薬 その2──

(ネタバレ注意。プレイ予定の人は読まないでください。)

 川の小さな船着き場の船を恨めしく眺めながら、ため息をつきます。
 仕方ありません。大きな川なので泳げそうにないですが、上流なら川幅が小さくなるかもと、川に沿って歩きましょう。
 少し歩くと、もう使っていない様子の水車小屋が見えてきました。小屋の傍には数え年で16・17かという女の子が立っていました。白い肌の綺麗な子です。
 どう見ても怪しいので無視して歩く選択もできたけど、ここは気になりますね。美人ですし。
 フラフラと近づこうとすると、腰の力が抜けてペタンと地べたに尻もちをついてしまいました。(体力ポイントを半分失う)
「ふふっ、ごちそうさま」
 女の子はいたずらっぽく笑うと、川へザブンと飛び込んで消えてしまいました。‟川姫”という妖怪に生気を吸い取られてしまったようです。
 うううっ、別に色気に捕らわれたわけじゃないのです。寄り道すれば何か後で必要な品が手に入るかもと、過去の冒険を経験してきた条件反射でつい。悪いのはリビングストン先生ですよ。

 そろそろ川も浅瀬に近づいたかなというところで、ススキの原に行き当たりました。分け入ろうとすると、頬に小さな痛みが走しりました。手を当てるとわずかに血が流れています。妖怪‟頬撫で”が潜んでいて、小さな刃物で斬りつけているのです。危険は避けて、ススキの原を迂回する選択をします。
 それにしても、さっきの川姫に続いてマニアックな妖怪ですね。カマイタチさんみたいな有名妖怪を差しおいて登場するとは、さすがは魔境です。
 その後は、道中の祠に隠されていた正体不明の薬を飲んで体力を全回復させ、浅瀬を渡ることに成功しました。

 川の対岸から伸びる街道を歩くと、道はニ手に分岐してしまいました。それぞれ「魔の路」「怪の路」と趣味の悪い立札が立っています。
 まあ、昔の人が冗談でつけた名前かもしれませんしね。と、無理矢理笑っておきましょう。私は迷ったら最初の選択肢と決めてますから、ここは「魔の路」を進みます。
 正解の道だったのか、しばらくは何にも問題はありませんでした。一度道から見える河川敷で、一生懸命砂かけの練習をしている‟砂かけ婆”を見たくらいです。妖怪の舞台裏も見られるとは、さすが魔境ですねぇ。
 おっと、妖怪‟釣瓶落し”が大きな顔を逆さまにして、唐突に襲ってきましたよ。初戦闘です。

鶴瓶落し 技術ポイント10
※数珠を持っていれば、技術ポイントを2点減らすことができる。

 良かった!侍から数珠を買ってます。素早く刀を抜いて一太刀浴びせると、釣瓶落しは逃げていきました。
 今のところ順調ですよ。


続く


2017年01月03日(火) たけたろうの冒険番外編 ──剣士対妖怪 魔境の秘薬 その1──

(ネタバレ注意。プレイ予定の人は読まないでください。)

 霧雨の中を私は走っていました。神無月の江戸の町はすっかり夜も更けて、私の足音のみが闇にこだましています。絞り出すように唇から声がもれてしまいます。
「ともみ……。私が助けますから待ってくださいよ」
 7日前のことです。
 生まれてこの方、病気らしい病気をしたこともない、腹違いの妹のともみが、高熱を出して倒れたのです。床にはいったともみに、必ず治るから大丈夫と励まします。
 いつものちょっときつめの目も今は見る影もなく、ぼんやりとして私を見つめています。
「兄貴…じゃない、お兄…様…。ありがとう」
 それだけつぶやくと、ともみはまた寝入ってしまいました。
 キャラまで変わっているじゃないですか!
 それに、このところお粥すらロクに食べていません。あのともみに食欲がないなんて!

 いろんな医者に診てもらいましたが、みなが首を振って、あと半月くらいの命だといいます。最後に診た医者が話した、横網町の居酒屋にいるヌラという老人なら治療法を知っているかもしれないという言葉にかけて私は走っているのです。
 居酒屋で遭遇した老人は、すでに私の用件を知っているようでした。
「お武家様。あなた様の求めている薬は、この人間の世界にはございますまい。あの病を治せるのは、魔境の秘薬のみにございます。」
 老人は小判ほどの大きさの金属の護符を私に差し出しながら、天狗党という蕎麦屋を訪ねるように教えてくれました。
 ともみの為です。老人に礼を言った後、再び町を夜通し走りました。朽ち果てた蕎麦屋にたどり着き、店の中で酒を飲んでいる大男に護符を見せて頼み込みます。
 大男は黒い翼とくちばしのカラス天狗に姿を変えて、私を抱えると大空に飛び上がりました。眼下に広がる大地を見て、高所恐怖症の私はギュっと目をつむります。
 ええい!ともみの為だ!今回の冒険は最後までやり遂げますよ!

技術ポイント 10
体力ポイント 16
所持金 小判20枚
所持品 刀
残り日数 16日
(ルールでは技術ポイントは9+サイコロ1個、体力ポイントは15+サイコロ1個で決める。残り日数とは、妹が病に耐えられる日数で、15日+サイコロ1個で設定。)

 カラス天狗は、人里離れた一軒の百姓家の前に私をおろすと、また飛び去っていきました。
 これからどうしたらいいのでしょう?
 途方に暮れていると、百姓家の傍の牛小屋から物音がしたので、覗いてみます。ちょうど牛が出産しているところでした。
 しかし、生まれた子牛は、私をみつめて「北の洞窟にいくことだ。そこに求めるものがある」と言うと、いきなり死んでしまいました。ええっ?
 母屋の方に入ってみると、なにやら身分の高そうな侍が待っていました。
「ふむ。それはクダンという妖怪だな。予言が終わると死んでしまうのだ。」
 侍はそう教えてくれ、旅に必要な薬やら食料やら数珠やら短刀やらを売ってくれるそうです。さらに日付のわかる時計を私にくれます。江戸時代で日付もわかる懐中時計なんて、高級品もいいとろではないでしょうか?それにしても何の自己紹介もないのですが、このお侍さん、何者なんでしょ?
 小市民のたけたろうとしては、時計なんていただいては、何か買わなくては申し訳ない気持ちになります。
 売り物は買い占めてもお釣りが出るくらいなので、気前よく全部買いました。残りは小判4枚ですが、ここは魔境だからこの後お金を使う事も少なそうですし。
 そう思いながら北に向かって街道を歩いていると、広くて深そうな川に遮られました。
 「渡し賃は5両」と書かれた立札がかかっています。

 いきなり、所持金が足りません。(汗)


続く


2017年01月02日(月) 剣士対妖怪 魔境の秘薬(上泉章吾/朝日ソノラマ)

 ハローチャレンジャーシリーズの一作で、正月といえば、和風!という安直な発想により新年最初にプレイしたのがこの作品です。本作のように江戸時代を舞台にしたゲームブックは意外と少ないんですよね。
 主人公は大藩の家臣、高山家の次男坊。重い病に倒れた妹の為、唯一の治療薬があるという妖怪が跋扈する魔境に、刀を携え旅立つというストーリーです。
 まず、ページを開くと作中の妖怪が総登場する見開きのイラストが目を引きます。九尾の狐、一反木綿、大入道といった有名なものから、朱の盤、三目八鬼、沼女郎といった珍しいものまでバリエーション豊かです。天女とか妖怪のカテゴリに入れてよいのかわからない奴まで混ざっています。
 なんとなく「悪夢の妖怪村」を思い出しました。ちなみに本作のイラストは木村直巳さんという漫画家が描かれているのですが、世界観に合っている絵で、実にいいです。

 最終盤の洞窟のシーン以外は一方向システムでして、ゲームを開始すると主人公は人気の少ない魔境の野道をひたすら前進していきます。道中、いろんな妖怪がバラバラと遭遇するので、それをあしらっていくのが基本展開でシンプルです。中には砂かけの練習をしている砂かけ婆を、遠目に発見して通り過ぎるみたいな、ただ登場するだけの妖怪もいるのはご愛敬でしょうか。
 魔王的な存在はいないので、ラスボスは強いもののちょっと地味。

 ゲームルールの話しですが、管理するのは、体力ポイントと技術ポイント、所持品、小判の枚数、経過日数の5点。
 ハローチャレンジャーシリーズの作品では珍しく、サイコロの使用を必須としているものの、本の端にサイコロの印刷がないのは、ゲームブックブーム初期の作品であることが伺わせます。(追記:ハローチャレンジャーシリーズ前作「魔法使いナシアン 双頭の竜」の初版本にはサイコロの印字がありました。なんでこっちにはないのだ? )
 妖怪との戦闘は、各ラウンド毎に攻撃力を競って、傷を負った方が体力点を2点(素手なら1点)減らすという、FFシリーズに近いルールを採用しています。
 戦闘で独特なのは、半分くらいの妖怪は体力ポイントの設定がなく、そういった敵との戦闘では、一撃当てれば敵が逃げ出して勝利になる点でしょうか。確かに日本の昔話でも、「正体を見破り一太刀あびせると、妖怪は逃げ出した」ってパターンが多いからわかる気がします。実際にプレイしてみると、戦闘に時間がかからない分、ゲームのテンポが良いですし、たまに体力点のある敵に遭遇すると、敵がガチで殺しにきた感が出ていたので、いい感じでした。
 戦闘バランスはそんなに厳しくなく、取りこぼすとクリアできないというアイテムもない(最終ダンションの3つの鍵は除く)のですが、歩いていた女に話しかけただけでゲームオーバーになるなど、ひっかかりやすい凶悪な即死トラップが時々あって、2・3回くらいのプレイではクリアはちょっとキツイかも。判断のつきにくい選択で失敗した場合は、アイテムの有無やランダムで救済できるよう配慮してほしかった。
 それでも能力が高い主人公はある程度力押しが可能で、低能力値の主人公なら最小限の危険で進めるルート(いわゆる真の道)を探すことでクリア可能という、FFシリーズで本来やってほしかったゲームバランスが、こちらではちゃんとできていたのは良かったですけどね。

 遊んだ印象としては、日本版「火吹山の魔法使い」でした。野外とダンジョンの違いはありますが、あっちもストーリーは単純で、言ってしまえばミノタウロスやゾンビやコブリンが、無節操に登場しているだけだしね。クリア後に読んだ作者後書きでも「剣と魔法の世界をそのまま日本に移しかえることができないか」という考えで書いたそうで、まあ当たっていたかな。
 ゲームブックが登場した頃は、まだ西洋ファンタジーに馴染みのない日本人にとって「火吹山の魔法使い」の世界観は新鮮だったものですが、もしかして海外の読者が「火吹山の魔法使い」を遊ぶ時の感覚って、日本人がこの「剣士対妖怪 魔境の秘薬」を遊んだときの感覚に近かったのかな?


(追記)
 プレイ中にいくつかバグを発見したので、正誤表を書いておきます。

パラグラフ34
 誤 3・4・5なら →141へ
 正 3・4・5なら →144へ

パラグラフ48
 誤 土蜘蛛 技術ポイント14 体力ポイント41
 正 土蜘蛛 技術ポイント14 体力ポイント14

パラグラフ240
 誤 泊まる →32へ
 正 泊まる →206へ


2017年01月01日(日) たったひとりのサバイバル・ゲーム!極寒の雪山を脱出せよ(トレイシー・ターナー/角川書店)

 あけましておめでとうございます!
 さて、新年最初のゲームブックレビューは、「たったひとりのサバイバル・ゲーム!極寒の雪山を脱出せよ」です。最近、発売されたばかりの、パラグラフ数100ちょいの児童向けゲームブックです。
 関係ないけど、新年早々に雪山の冷えた空気を吸いこんで、初日の出を迎えると気持ち良いでしょうね。
 
 感想の方に入りましょう。
 本の帯にも「いざというときのサバイバル知識が身につくゲームブック」と銘打たれているシリーズですが、今回の舞台は雪山となりました。
 前回のジャングル編や砂漠編の時は、いざというときっていつだよ?という気もしたのですが、日本で遭難するとすれば大抵山岳地帯なので、今回は本当に使えるかも?
 南アルプスのアンデス山脈に家族と一緒にトレッキング旅行にきた主人公は、吹雪にあって家族とはぐれてしまい、雪山で一人ぼっちというところからゲームはスタートします。
 単純な分岐小説タイプのゲームブックで、主人公が自力で人里までたどり着いて救助されたらゲームクリアというのは、他のシリーズと同じです。
 今回の危険は、毒虫や水不足ではなく、睡眠時の体温の確保などになるわけですが、今回も他のシリーズ作品と同じく、動物には近づかない、危険な行動は避ける、の2点を守っていればクリアは簡単です。舞台は変わったものの、第三弾ともなるとちょっとマンネリ気味かもという気もしました。いや、サバイバルの原則は、そうそう変わるものでもないでしょうから、当然といえば当然ですけど。
 コラムのコーナーで紹介されていた、アンデス山脈に飛行機が不時着したウルグアイのラグビーチームの実例のように、生き残るために死んだ他の遭難者の人肉を食べるべきか?といったシュチエーションがゲーム中にあったりすると、ぐっと印象的になるけど、さすがに児童書でそれはなかった。

 ちょっと気になったのは、あまり迷う必要のない選択肢が時々出てくること。
 例えば「寝る前に火を熾すべきかどうか?」という選択肢は、熾さない理由は面倒だというだけですから、火を熾せるのなら熾した方が良いわけで、雪山ならなおさらです。作中の主人公は低温からくる、体のだるさと戦っているから、本来は苦しい選択なのでしょうが、プレイヤーには関係ないので、ただ安全策を選べばいいわけです。
 コンドルが食べている肉を横取りしようかという選択肢も、コンドルに襲われたり、肉が腐っている可能性を考えれば当然スルーするわけで、ここは主人公が腹をすかせている点をもっと強調してほしかった。
 これが能力値のあるゲームブックなら、「火を熾す気力がわくか、サイコロを2個振って根性ポイントと比べよ」と判定したり、「残り体力点があと2点だから、肉を食べないと餓死するかな?」と悩ましい感じにできると思うのですが、このシリーズはわかりやすさを優先しているから仕方ないか。

 ちなみに自分の初プレイでは、砂漠編にもあった、安全地帯で救助を待ってクリアというパターンになりました。素人が遭難したら、現実にはこれが正解でしょうね。
 もちろんこれは真のエンディングではないので、二回目に挑戦したのですが、今度は傷の手当をどうするかの選択を誤って、エンディング目前で死んでしまいました。クリアは簡単と思っていたのに、油断大敵だった。 
 なんだかんだ言ってもサクサク遊べるし、ゲームが終わっても別ルートを試したり、パラグラフの合間に沢山書かれた豆知識コラムも楽しめます。児童書ゲームブックとして今回も十分に楽しめるのではないでしょうか。


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