冒険記録日誌
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2016年12月31日(土) 今年はゲームブックを遊んだなぁ

 あいかわらず、日付の扱いがいい加減な冒険記録日誌(実際に書いている今はクリスマスイブ)ですが、12月31日ということで年内最後の日記です。
 ゲームブックの事に限って、今年を振り返ると、今年はゲームブックを遊んだなぁと思います。冒険記録日誌も今年は珍しく、最後まで中断することなく続けられたしね。
 ここ10年くらいの中で一番ゲームブックを遊んだんじゃないだろうか。
 きっかけは、新年の肩慣らしとして遊んだ「奥義大全書特別篇 キム皇のファミコン神拳110番」のミニゲームブックです。(2016年1月1〜3日の冒険記録日誌を参照)
 ここ近年は息をするのも面倒くさがっていた山口プリンは、ゲームブックをプレイするのも、メモを取らず暗記だけとか、ページに印刷されたサイコロを使ってのプレイばかりだったのです。
 それが、このミニゲームブックで、久しぶりに本物のサイコロを振りまくって遊んだのですね。すると「ああ、サイコロふってちゃんとメモして遊ぶのもやっぱりいいものだな」とふっきれて、今年は昔のようにゲームブックを遊ぶスタイルが戻ってきたのです。
 あとはプレイ時間が確保できれば、来年は「ドルアーガの塔」を始めとして、何年も前からいつか遊ぼう遊ぼうと思っていた大作ゲームブックに取り掛かれるかもしれません。


 続いてゲームブック新刊の話題です。
 今年の年末はゲームブックの新刊がなくて寂しいのぅ、とボヤきながらドロシーさんのブログを見に行ったら、知らない間に 「たったひとりのサバイバル・ゲーム! 極寒の雪山を脱出せよ」がつい最近に出た事が判明。慌てて購入しました。
 感想は来年の日記に書くとして、ドロシーさんのゲームブック発売情報は、いつも参考になるなぁ。ここで初めて存在を知ったゲームブックとかもありますし。

パラグラフの狭間で
http://parahaza.seesaa.net/

 なお、市内の本屋には置いてあったりなかったりで、このたったひとりのサバイバル・ゲームシリーズの全国的な書店での取り扱いは、果たして良いのか悪いのかイマイチわからないところ。
 ゲームブック倉庫番サイトで、過去に発売された数々のゲームブックレーベルを見てもわかる事ですが、えてして短命レーベルというものは第三弾で終わることが多いので、是非のりこえて次も出るくらい売れてほしいところです。


 最後に前回のクラシックミニ ゲームブックの日記に反応した方が、オリジナルの30冊セレクトをメールで送ってくださいました。
 最近、いろんなゲームブックサイトの掲示板等でも活発なコメントをお見掛けするマイケル村田さん考案のリストです。

1.オーディーン 光子帆船スターライト(西崎義展、愛沢ひろし 学習研究社)
2.ルパン三世 ダークシティの戦い(飯野文彦 双葉社)
3.鉄人28号 東京原爆作戦(樋口明雄 光文社)
4.機動戦士ガンダム 最後の赤い彗星(山口宏 ケイブンシャ/バンダイ出版)
5.機動戦士ガンダム 灼熱の追撃(山口宏 ケイブンシャ/バンダイ出版)
6.スーパーマリオブラザーズVol.2 大魔王ネオ・クッパの挑戦(池田美佐 双葉社)
7.スーパーマリオブラザーズVol.3 マリオ軍団出撃(池田美佐 双葉社)
8.グラディウス 未知との戦い(飯野文彦、吉川剛史、大出秀明(伊吹秀明) 双葉社)
9.デビルマン誕生編(大出光貴(伊吹秀明) 講談社)
10.ウルトラマン 東京救出作戦(滝沢一穂 講談社)
11.ディーヴァ 女戦士ミリスの挑戦(刀堂光貴(伊吹秀明)、草野直樹 ケイブンシャ)
12.終末の惑星 遥かなる西の帝国(塩田信之 双葉社)
13.超時空パイレーツ おみそれ三人組の冒険(樋口明雄 双葉社)
14.熱核姉妹ツインノヴァ 惑星ディクターの陰謀(草野直樹 バンダイ出版)
15.スパイラルゾーン 脱出!悪夢の時空域(上泉信綱、剛須戸雷太、不動哲也、江原まち子 バンダイ出版)
16.ガンヘッド コンピュータクライシス(鎌田秀美、吉田正彦 バンダイ出版)
17.コナミワイワイワールド(塩田信之 コナミ出版)
18.スペースハリアー ホワイトドラゴンの勇者(塩田信之 双葉社)
19.ファンタジーゾーン 異星からの侵略(塩田信之 双葉社)
20.ファンタジーゾーン2 異星への旅立ち(塩田信之 双葉社)
21.ルパン三世 戒厳令のトルネイド(富沢義彦 双葉社)
22.銀河の三人 復活のヴィザーン(滝沢一穂 双葉社)
23.禁断の黙示録 クリスタル・トライアングル(草野直樹、黒トレス ケイブンシャ)
24.装甲騎兵ボトムズ 復讐の惑星シド(スタジオ・ハード(上原尚子、草野直樹) ケイブンシャ)
25.聖戦士ダンバイン 妖魔城塞ザーウェル(山口宏 ケイブンシャ)
26.オリーブたちのアブない放課後 トラブルくらぶ事件ファイル(沙籐いつき 双葉社)
27.死神くんは恋のジャマ(樹かりん 双葉社)
28.放課後のキス泥棒 トラブルくらぶ事件ファイル2(沙籐いつき 双葉社)
29.メタルギア(一本橋わたる(伊吹秀明)、望月雄太郎、日高誠之 コナミ出版)
30.アシュギーネ 爬人の邪都(滝沢一穂、木川明彦 ケイブンシャ)

 ふーむ。
 山口プリンが一冊も入れなかったケイブンシャからの出典も多いです、というかマイケル村田さんはスタジオハード作品のファンなのですね。
 ガンダムものとかアニメ系ゲームブックをガンガン入れています。アニメの知識のない山口プリンには弱点分野なので、新鮮だ。
 そして、一般向けゲーマーやアニメファン向けのセレクトかなと思わせつつ、「アシュギーネ 爬人の邪都」とか「熱核姉妹ツインノヴァ 惑星ディクターの陰謀」のマニアックぶりが凄い。「オーディーン 光子帆船スターライト」にいたっては、学研ゲームブックでは唯一のアニメ原作ものだそうですが、恥ずかしながら存在すら知りませんでした。
 マリオやペパーミントシリーズのセレクト、そして樋口明雄作品に「超時空パイレーツ」を持ってくるセンスは、実は山口プリン好み。
 ペパーミントシリーズの中からなら、トラブルくらぶ事件ファイルシリーズと「死神くんは恋のジャマ」を入れるのは大正解ですよ!(*´∇`)

 他にも、こんなセレクトはどう?というゲームブックファンの方がいたら、是非おたよりをくださいな。
 俺は洋物ゲームブックだけだぜ!と、ボビージャパンのゲームブックを大量にぶっこむリストとか、熱い想いが伝わる奴を待っています。


 さて、次回はもう正月の更新です。
 来年は大作ゲームブックのリプレイや、以前のウォーロック特集みたいな長めのネタもやりたいと思っていますが、更新ペースは、今年くらいが丁度良い感じなのでこのまま行きたいと思っています。
 では、良い年越しを!


2016年12月30日(金) クラシックミニ ゲームブック

 最近発売されたニンテンドークラシックミニ ファミリーコンピュータ、通称ミニファミコンが未だに手に入りません。
 今でも現役ファミコンでドラクエ2やソロモンの鍵を遊んでいる人間だけに、すでに満ち足りているので、別に慌てて欲しいわけではないですが、なかなかの大人気ぶりですね。
 ところでミニファミコンに収録されている30本の収録ソフトというのが、素晴らしいと思うのですよね。なるべく万人受けする有名なものを入れつつ、ちょっとはマニアックなソフトも入っているという、なかなか練りに練られたセレクトではないかと、結構感心しています。
 これが例えばゲームブックに当てはめると、どうなるのかと妄想してみました。仮に現実に実現したとしてもキンドルでバラエティーパックみたいな形になりそうですが、本にこだわる私としては、児童向け世界名作全集(もちろん全30巻)のように出して欲しいところです。
 実際は版権とか面倒くさそうですが、妄想の世界なら自由(それでも洋画原作とか、かなり復刊が厳しそうなものは外した)ということで、いろんな出典からちょっとずつ集めたセレクトをしてみましょう。
 
 まず、基本1冊完結の単発作品を入れます。 ソーサリーを入れたら、次はドルアーガ三部作を入れたくなるし、いやいやそこはドラゴンファンタジーシリーズでしょ、ブラッドソードも5巻翻訳つけて入れて!などと言い出したら、それだけで30冊近くなっちゃう。
 次にレトロゲームの趣旨から、1984〜1991年のゲームブックブーム中に出版されたゲームブックに限定します。
 入れるべき作品の多くは知名度と歴史的ポイントも考慮しましょう。「火吹き山の魔法使い」は必ず入りますね。ミニファミコンのドンキーコングみたいなものだ。
 他にミニファミコンにファミコン初期のシンプルなソフトが何本か収録されているように、遊びやすい単純な分岐小説タイプみたいな作品も数作品は入れたいです。
 世界観は良くても、ルール通りだと実質クリア不可能な劇ムズ作品は、入なるべく避ける方向で考えます。そして最後に、マイナーだが山口プリンの趣味による一押しも2・3本入れて完成。

そうなると、リストは次のようになりました。

1.ソーサリー 魔法使いの丘
2.ソーサリー 城塞都市カーレ
3.ソーサリー 七匹の大蛇
4.ソーサリー 王たちの冠
5.ドラゴンの目
6.ゼビウス
7.スーパーブラックオニキス
8.ネバーランドのリンゴ
9.展覧会の絵
10.火吹き山の魔法使い
11.死の罠の地下迷宮
12.サソリ沼の迷路
13.海賊船バンジー号
14.モンスターの逆襲
15.ドラキュラ城の血闘
16.魔城の迷宮
17.ムサシの剣
18.ドラゴンクエスト―蘇る英雄伝説―
19.未来神話ジャーヴィス 救世主(メシア)の章―新世紀を救え!
20.魔界横断ドラゴンラリー―栄光への戦い―
21.桃太郎電鉄─めざせ!大社長─
22.終末の惑星―遥かなる西の帝国―
23.少年魔術師インディ―マジカルインフェルノ―
24.ルパン三世 戒厳令のトルネイド
25.クォーラス城からの脱出
26.悪夢の妖怪村
27.失われた体  魔法使いディノン1
28.タイムバブルからの脱出
29.人食いライオンを撃て!
30.サバイバルゲーム(さいとうたかを漫画ゲームブック)

 連作はさける方針でしたが、結局ソーサリーは外せなかった。ミニファミコンでいうところのスーパーマリオ的存在ですから。
 人によっては「魔法使いディノン」より「送り雛は瑠璃色の」の方がとか、「スーパーブラックオニキス」より「パンタクル」がとか、「サソリ沼の迷路」より「ロボットコマンドゥ」がとか、「死の罠の地下迷宮」より「盗賊都市」がとか、いろいろ意見が出そうです。ブレナン作品は単発で完結している「ドラキュラ城の血闘」を入れましたが、ブレナン節という意味では「暗黒城の魔術師」の方が良かったかもしれません。
 「タイムバブルからの脱出」とか「人食いライオンを撃て!」みたいなマイナーかつレアな作品がまざっているのは、古き良きジュブナイルSF小説や、教育漫画風なゲームブックもあったという、その幅の広さを知ってほしいという考えで入れました。もっとマニアックに選ぶなら、少女向けペパーミントゲームブックやハーレクインゲームブックまで入れるんですが。
 創元推理文庫や双葉文庫が出典の作品が多くて、勁文社やJICC出版局のゲームブックが一冊もないとか、偏りもありますが、山口プリンはそっちのレーベルの知識が疎かったので仕方がない。他にもマリオのゲームブックとか、タイガー暗殺拳とか、入れたかったなぁとか思うこともあったのですが、バランスとか考えると、こんなものかと。
 異論は認めます。他のゲームブックファンならどんなセレクトにするのかな。


2016年12月26日(月) 奈落の帝王(ポール・メイソン、スティーブ・ウィリアムズ/社会思想社) その2

 今回は特にリプレイ仕立てにするつもりはないので、初プレイの状況を簡単に言いますと、しばらく旅を続けて無人の村からベタベタの液体をかぶった少女を発見して故郷の村に送り届ける。(ベタベタの液体は少女の師匠の魔法使いによってつけられたもので害はなく、むしろ敵を避ける効果があるらしい。耳なし芳一が、体にお経を書いてもらったようなものでしょうか。)
 東の果てにせまりくる軍隊を見た主人公は、いろいろ事情を知っていそうな少女の師匠を探すことにしました。ところが変化の森に入ったら、いつまでたっても抜け出せません。これは無限ループじゃないか!体力点を消耗し続けて、野たれ死にEND。
 延々終わらないわけじゃないだけ、若桜木虔ゲームブックの無限ループより親切……なのかな。

 2回目も平均的な能力値の主人公で大体同じように進みましたが、今回は変化の森を抜け出すヒントを忘れなかったおかげで、無事に脱出できました。
 でも、敵軍の将軍と一騎打ちで、あえなく撃沈。
 アイテムがないとこいつには勝てないようです。どこで取りこぼしたのだろう?

 3回目は魔法使いの捜索を後回しにして、カラメールの街に一旦戻るルートを選びました。
 道中で、主人公の師匠なる人物に遭遇。おや?FFシリーズの主人公は無色透明なものですが、こんな設定があるのは珍しい。なにか必殺技みたいなものを授けてもらいます。
 街に帰ると、出発時と違って衛兵がずいぶん横柄です。強引に突破しようとして返り討ちになってしまいました。

 4回目、5回目とかけて、カラメールの街でのひと悶着も解決したのですが、やっぱり敵の将軍には勝てず。勝つためのアイテムは、謎かけ盗賊が持っているらしいとは、以前パラ見した時に知っていましたが、どこにいるんだ。
 嫌な奴だが、会えないとそれはそれで腹の立つ奴だ。

 6回目で謎かけ盗賊にやっと遭遇!こんなところで登場するのかよ。
 将軍は倒したが、その後に向かった変な異次元空間で置いてけぼりくらって、END。

 こんな感じで10回目くらいでクリアできたでしょうか。
 後半の異次元空間っぽい世界での冒険は独特な雰囲気。ラスボスとの戦いは文字通りスケールのデカい戦いですが、ちょっとノリはついていけなかったかなぁ。まぁ、FFシリーズで、たまにはこんな展開もいいのかもしれません。
 それよりもプロローグで思わせぶりに登場したり伏線の出た、冒険者仲間のソフィアや英雄ラメデスの扱いが酷いのが気になりました。道中に登場する物乞いの方がキャラが立っているくらいです。
 ゲーム的な面はどうかというと、本作の特徴として時間ポイントが存在します。寄り道するのが基本のFFシリーズで、寄り道するほど時間を消費するこのシステムは意地悪な気もしますが、実際のプレイではそれほど負担に感じませんでしたし、適度な緊張感の演出になって良かったのじゃないでしょうか。
 戦闘バランスの面でも後半のFFシリーズでは珍しいことに、アイテムや必殺技をうまく使いこなすことで、強敵相手でも敵を弱体化したり戦闘自体を避けられる作りになっているので好感がもてます。ただそれだけに、一箇所だけ強敵との戦闘が避けられない点が惜しい。その相手がストーリー的に何の関係もない雑魚だけに、ここの戦闘を逃亡可能にしてくれていれば、例え最低能力でもクリアを狙えたのに。残念無念。
 他に体力の回復手段が、最初に持っている食料5食分以外にあまりないので、終盤はいつも体力不足気味でちょっときつかったです。技術点11・12クラスの主人公なら問題ないでしょうが。

 本作は完璧な作品ではないのですが、不満はどれも細かいレベルや好みの問題といったものばかりで、本質的には私も良作だと思います。
 以前、「FFシリーズ日本版最終巻は狹袈要塞アーロック”より、こっちの方がふさわしかったのに」という意見を見かけたことがありますが、まーわかる気がするな。アーロックが変化球とすると、こっちの方は王道路線の冒険をそのまま豪華にした、といった感じだしね。


2016年12月25日(日) 奈落の帝王(ポール・メイソン、スティーブ・ウィリアムズ/社会思想社) その1

 冒険記録日誌を振り返って、和訳されたFFシリーズは、リプレイなり感想なり、一通りネタにしたのかなと思ったら、一作残っていたのに気が付きました。それがこの「奈落の帝王」です。
 この作品って、発売当時は本屋でチラリと立ち読みした程度です。将来こんなに古本価格が高騰するなら買っとけばよかった、、、というのは終盤のFFシリーズ全てにいえるので、まあいいとして、なんかネバネバの液体がかかった少女を助けるシーンだけが記憶に残っていますね。
 映画みたいにドラマティックなストーリーだとかで、ゲームブックファンの間の評価は高いみたいです。雑誌ウォーロックの紹介記事でもベタ褒めでしたし。
 私はちょっと苦手でした。作者がリプレイ本「謎かけ盗賊」の作者と同じだったということで、謎かけ盗賊がNPCとして登場しますが、私はこいつ嫌いなんですよね。
 スケールのデカすぎる終盤の展開もなんだかついていけず。という事で、いわゆる食わず嫌いで遊んでいなかったのです。

 でもまぁ、今までパラ見をしただけですし、実際のところはよくわかりません。ちゃんと遊んでから感想を書きたいと思います。
 とりあえず、技術点10、体力点20、運点9みたいな普通の冒険者ができたので、プレイを開始しました。
 プロローグはカラメールの街に、主人公が呼び出されたところから始まります。街の軍隊が北へ進軍している今になって、東から急使がやってきて、村々から人が消えているという報告が届いた。東からどんな脅威がせまっているのかわからないが、街を救ってほしいというものです。英雄で無敵のラメデスは折り悪く秘宝を求めて冒険中につき不在だという情報やら、街の重要人物とかが大勢登場するので覚えるのが面倒くさい。後で何か関係が出てくるんだろうなぁ。
 街にとどまって防御を固めるか、軍隊を呼び戻しに北へ行くか、東へ行ってどんな脅威が迫っているか調査に行くかの3択。ここは東に向かうのが、お約束でしょう。

 続く


2016年12月24日(土) 侮れないアドベンチャーブックス

 講談社から出ていた児童向けゲームブックのアドベンチャーブックスレーベルの一つ「UFO54−40地球攻撃す」のカール大公氏による面白すぎる記事が出ていたので紹介。

セントラル・ステーション分室
http://perry-r.hatenablog.com/entry/2016/12/12/172235

 冒険記録日誌でもアドベンチャーブックスは、「天才コンピュータAI32」「スペース・パトロール」「ドラキュラ特急」「謎のピラミッドパワー」「地底のブラックホール」「殺人犯はだれだ」と過去に6作品ほど感想を書いていますし、他にも感想を書いていないけど遊んだ作品はありますが、内容はどれも低年齢向けで、ゲーム性とかイラストとか結末とかいまいち食い足りない内容が多いシリーズです。
 しかし、シリーズ後半になると、話しは違ってきます。山でサバイバルとか、深海で宝さがしとか、よくある展開はすでに使ってネタ切れになったのか、妙な設定が多くなるのです。
 わかりやすく「ゲームブック倉庫番」のサイトからタイトルと粗筋を引用してみます。

ゲームブック倉庫番
https://www23.atwiki.jp/gamebooklist/pages/1.html


○ジンカ博士の異次元空間 アドベンチャーブックス14
 ぼくの家のとなりに,カール・ジンカという博士が越してきた。 数学の天才だといううわさだ。 ある日,博士の研究室に案内してもらった。 円形のへやのまん中には,バスケットボール大の球が設置された台があり, そのわきには赤と緑のレバーがついている。 完成したばかりの,ハイポレーザーという機械で,異次元空間へ旅すること ができるという。 「赤いレバーがそのスイッチだ。 」博士はそういって,いきなりレバーを引いた。 一瞬にして,博士はかげもかたちもなくなってしまった。 ぼくもレバーを引くべきだろうか……。

○幽霊殺人犯を追え アドベンチャーブックス15
 解説なし

○UFO54‐40地球攻撃す アドベンチャーブックス16
 ぼくはいま、ニューヨーク・パリ間をむすぶ超音速旅客機コンコルドに乗っている。 90分ほどでパリに着くというとき、とつぜん窓の外に、ぎらぎら光る白い円筒形 の物体を発見した。 ぼくにむかって、まっすぐに進んでくる。 あぶない!思わず目をつぶった…。 気がつくと、いつのまにか、ぼくはUFOの中にいた。 どこからともなく声のようなものが聞こえてきた。 「われわれはU―TY星の支配者だ。 きみは銀河系動物園の標本として選ばれた。 協力をこばめば、ソモに送る。 」ソモとはなんなのか、UFOのねらいはだれもしらない。 刻々と、地球に危機がせまってくる。 話題のゲームブック。

○バダーホフ城救出作戦 アドベンチャーブックス17
 時は1942年、第2次世界大戦のさなか。 ぼくはフランス・レジスタンスのメンバーだ。 ある晩、ぼくとシモーヌ、ラウールの3人は、大佐によばれ、新しい指令を受けた。 「ドイツ・アルプス山中、バーダーホフ城にとらわれている仲間を救出するのだ。 時間の余裕はない。 ゲシュタポの惨酷な取り調べで、レジスタンスの秘密を白状するおそれがある…。 」ぼくたち3人は、パラシュートで敵地にのりこんだ。 だが、とつぜん銃声が聞こえた。 なぜ、こんなに早く、ナチの山岳部隊に発見されたのだ!? 生死をかけた救出作戦のはじまりだ!話題のゲームブック。

○人間爆弾デミトリウス アドベンチャーブックス18
 ぼくはアメリカ合衆国の情報機関SSAの情報部員だ。
 リーン,リーン……。朝の3時,電話が鳴った。緊急事態発生だ! ワシントンにある特別地下司令室で,上司のTからつぎのような指令がくだされた。
「デミトリウスという男をさがすのだ。この男は,ソ連で透明人間をつくる実験のさいあやまって,人間爆弾になってしまった。爆発すれば,その威力は原子爆弾と同じ危険がある。ソ連もこまっている。悪いことに,この男はタイムトラベル能力がある。一刻も早くさがしだし,世界平和のために説得するのだ。」

○ナブーティの宝石殺人事件 アドベンチャーブックス19
 夏休みのある日、ぼくはボストンに住むいとこから電報をもらった。 ナブーティの宝石がぬすまれたので、すぐ来て、さがしてほしいというのだ。 ナブーティの宝石とは、2個のダイヤモンドと2個のルビーからなる4個の すばらしい宝石で、おじさんが数年前、モロッコで買ったものだ。 宝石は宝のありかを解く四つのかぎで、これを持つものは幸福と名声を得るが、 なくしたりぬすまれたりしたときは、苦しみや死をまねく力がある…という!? はやくとりもどさなければたいへんだ。 ぼくはすぐ、パリ経由でモロッコへ飛んだ。

○過去からきた狩人 アドベンチャーブックス20
 チャーリーおじさんは、ニュージーランドの大学教授で、考古学を研究している。 200年前に消えさったマオリ族の一支族とその工芸品をさがす探検旅行に、 ぼくは、参加するようにさそわれた。 ジャングルの奥深く、沼地をすすんでいたぼくは、なにかに足をとられた。 けものをとるわなだ。 ひっしにわなをはずそうとしているとき、とつぜん目の前に、マオリ族の 狩人があらわれた。 まぼろしの部族と遭遇だ。 顔にはいれずみをしている。 狩人はすばやく小さな刀をだして、わなを切ってくれた。 「ついてこい。」と、こわい顔をしていった。 敵か!?味方か!?

 どれも怪しさに満ちたものばかりです。「バダーホフ城救出作戦」など比較的まともそうな内容もあるのですが、低学年向けゲームブックとして考えると、ゲシュタポとか登場する作品は珍しいのではないでしょうか。
 ただでさえ、マイナーなシリーズなので、今となってはシリーズ後半の作品なんて入手する機会はほぼないでしょう。数年前にヤフオクでこれらシリーズ後半がセットで出品されていたときは、ゲームブックの出品物としては過去に見たことがない恐るべき高値で落札されていました。お金をかけずに読むなら、今は国会図書館くらいしか手段がありませんし、その国会図書館ですら一部所蔵がないくらいです。
 だからこれらの作品は、刺激された妄想だけが膨らむ状態となっていますので、カール大公氏のお気持ちはよくわかりました。
 しかし、「UFO54‐40地球攻撃す」で一番気になっていた、「ソモとはなんなのか?」に結論が出なかったのは残念です。いつか東京に行くことがあれば、国会図書館までソモの謎を解きに行くべきかもしれません。
 あと、「UFO54‐40地球攻撃す」のベストエンディングがズルなしでは到達不可能というのは、単なるバグなのかが気になるところ。もしも伝説の楽園惑星「ウルティマ」とやらが、あまりに常人の想像力から離れた世界と描写であれば、(ルールを守る良い)子どもはまだ見ちゃいけませんよ、という作者の配慮に基づいて考えられた発狂防止的な趣向という可能性もありますが、考えすぎか。
 
 ちなみに私も「ジンカ博士の異次元空間」と「人間爆弾デミトリウス」は、昔から気になって気になってしょうがなかったので、「人間爆弾デミトリウス」の詳細なレビューが載ったときは感激しましたね。

『文学部ゲームブック科』+道化の真実雑記帳
http://foolstruth.blog.shinobi.jp/%E3%82%B2%E3%83%BC%E3%83%A0%E3%83%96%E3%83%83%E3%82%AF%E5%80%89%E5%BA%AB%E7%95%AA%E6%9B%B4%E6%96%B0%E6%83%85%E5%A0%B1/%E3%80%8E%E4%BA%BA%E9%96%93%E7%88%86%E5%BC%BE%E3%83%87%E3%83%9F%E3%83%88%E3%83%AA%E3%82%A6%E3%82%B9%E3%80%8F

 冷静に考えると、作品のクオリティはシリーズが進んでも、あまり変わっていなさそうなので、実際に読んでみると出オチゲームブックだったなぁ、という感想で終わりそうな気もします。
 出会うまでが楽しいゲームブックシリーズなのかもです。



(追記)
 セントラル・ステーション分室で、「UFO54−40地球攻撃す」のソモやエンディングの謎について追記がありました。いい仕事してますねぇ。
 ベストエンディングに真っ当に進めないのが仕様とは斬新すぎる。PS版メタルギアソリッドで、「メリルの周波数はパッケージの裏」という仕掛けがあったのを思い出しました。
 反則といえば反則だけど、アドベンチャーブックスシリーズは全部同じ仕様という印象があったので、逆に安心したかも。私は平凡な作品に比べると、酷くても印象に残るくらいの作品の方が、好きだったりしますし。なんだか逆に読みたくなってきたぞ。


2016年12月18日(日) 老いぼれクーティ亭の冒険(杉本=ヨハネ)

 ムック本「トンネルズ&トロールズでTRPGをあそんでみる本」内に収録されているミニゲームブックです。
 作者の杉本=ヨハネさんは、同人ゲームブックの世界ではよく名前を見かける方で、ちょっと気になっていました。私には初めてのプレイになります。

 老いぼれクーティ亭の冒険は、もちろんT&Tのソロ・アドベンチャーです。
 タイトルの「老いぼれクーティ亭」は、単に最初にスタート時に主人公がいた酒場の名前であんまり特別な意味はありません。酒場の主人の紹介で、領主お抱えの魔女イズキエルダからの依頼を受けた主人公が、いくつかの冒険をするという内容です。
 キャラクターメイキングは省略され、レベル1の人間戦士限定。能力値も固定で男性(力が多め)か女性(器用さが多め)かの2択から選ぶことになります。
 キャラクターメイキングはTRPG最大の楽しみだろ?!とも思うのですが、この冒険はT&Tのルールがまったく知らない人でもわかるよう配慮されたT&T自体のチュートリアル的な内容なんですね。
 ゲーム前にルール説明はなく、最初に練習用の小さな遺跡に入ることになります。イズキエルダに短剣を借りて、命じられたとおりに遺跡に入ると、何かアクションがくる度に、セービング・ロールの説明とか逐次入ってくる趣向です。今どきのゲームなら珍しくないですが、ゲームブックブーム当時はこんなのはなかったな。パッと思いつくのは「ウルフヘッドの誕生」(創元推理文庫)くらいだ。

 最初の冒険が終わると、イズキエルダが「その貧弱な装備を、どうにかしてこい」と支度金の金貨90枚をくれるので、街へ繰り出します。
 必要最小限の装備が売られている店で、武器や鎧を買うと、次の冒険へ繰り出し解決したら、また街への繰り返し。
 イズキエルダの出す使命とは、オーク退治とか、物探しとか、いかにも低レベル冒険者向けらしい感じです。そんな一つパラグラフ数30程度の短い冒険を3つクリアしたら、イズキエルダの要求に全て答えたとの事でゲーム終了です。
 一つの冒険が終わる度に街に戻って、増えた所持金で装備を充実させたり、仲間を雇ったりと、ミニミニキャンペーンゲームっぽい要素を備えているのは楽しいですね。武器と防具のどっちを充実すべきかとか、装備に使う金を削っても仲間は雇うべきなのかとか悩むのは楽しいところ。
 文章は必要最低限の素っ気ないほど簡素なものですが、ゲーム性が面白いので最後まで気にせず遊べました。
 変な煙を吸ったら主人公の腕の骨が黄金になってしまった!といったT&Tソロらしい変な遊びを何気に残しているのも、ファンにはいい感じじゃないでしょうか。

 このノリで、T&Tソロのキャンペーンゲームが作られているのなら、もうちょっと遊んでみたいかもなぁ。今回は本当に肩慣らしといった冒険でしたし。
 同人を避けているのは、今でも未プレイ状態の積ん読ゲームブックが多すぎて、手を出すと収拾がつかなくなる、という理由だけなので特にこだわっているわけでもないし。チト考えてみるか。


2016年12月17日(土) トンネルズ&トロールズでTRPGをあそんでみる本(冒険企画局・グループSNE)

 発売されたばかりのムック本になるのかな?内容はタイトルのとおりです。
 実は山口プリンはアンチT&Tなので、本当は買うつもりじゃなかったのですが、今年の年末はこれといって購入するゲームブックがなかったので、寂しくてつい買ってみました。
 今年は別に「週刊少年ジャンプ秘録! ! ファミコン神拳! ! ! 」という、おっさんが当時のファミコンゲームを懐かしむだけの本が出ていまして、こっちはそのTRPG版みたいなものだろうと予想していたのも、気が乗らなかった理由の一つです。

 実際読んでみても、そんな要素は確かにあります。雑誌ウォーロックに関係していたような人達も大勢登場して、ちょっとした同窓会みたいです。
 ただ、対談を中心にひたすら過去を振り返っていたファミコン神拳とは違って、こっちは需要はどの程度あるかはともかく、新規ファンのためにTRPGの入門記事も丁寧に書いてあり、まだまだ頑張ってるよ感があって、読んだ印象はよかったです。
 正直にいえば、T&Tへの礼賛ぶりにはチト置いて行かれてしまったところもありますがね。
 社会思想社から出ていたT&Tソロアドベンチャーのゲームバランスの大雑把ぶりとよくわからない世界観は、発売当時の山口プリンにとっては合わなくて、嫌いなゲームブックの代名詞でした。今ならT&Tソロの中でも「カザンの闘技場」と「魔の海域」は割と好きで、まったく駄目というわけでもないのですが、T&Tに苦手意識があるのには変わりありません。

 記事は充実しています。ロードスリプレイ「帰らずの森のフェアリー」が雑誌ウォーロックからの単なる再録だったのはちと残念でしたが、他の楽し気なリプレイ小説の他、オリジナルのT&Tソロアドベンチャー(つまりゲームブック)、五竜亭の復活、数々のコラムと盛りだくさんです。
 T&Tの長所である武器の多彩さを生かしての、武器特集コーナーが山口プリン的には気に入ったかな。
 五竜亭も懐かしいですね。巻が進むにつれ、いつの間にか読まなくなりましたが、最初の「ファンタジーRPGクイズ 五竜亭の一夜」は本当に好きで何度も読み返したし、カールス達の質問と答えは今でも結構覚えていますよ。フンバルトさんがお気に入りでした。
 まだざっくり読み始めたばかりですが、同窓会で久しぶりに会ったら嫌いな奴でも懐かしくなった的な気分はあるし、記事の内容も濃ゆいし、掲載のソロアドベンチャーもなかなか丁寧に作りこまれているようですしで、なんだかんだ年越しまでチビチビ読んでじっくり楽しめそうです。

 ちなみにアマゾンで、ベストセラー1位の表示が出ていましたが、カテゴリが「テーブルトークRPG」とか範囲狭すぎだろっ、と最後に軽くつっこみ。


2016年12月11日(日) ディオゲネスクラブ殺人事件(ジェラルド・リーンツ/ボビージャパン)

 ディオネスクラブは、シャーロックホームズもののゲームブックの一作です。割と厚めの本で、文字もゲームブックにしては全体的にギッシリしているので、遊ぶ前からボリューム感を感じる作品でした。
 主人公はホームズでもその助手のワトスンでもなく、ワトスンの従妹という設定です。ワソトンのところに遊びに来て、興味本位で事件を手伝うようなノリなのかな。
 ゲームは一方向システムによるもので、ルールはフラグチェックの他に、観察力や情報収集力などの6つの能力値が設定されています。
 能力は6ポイントの中から自由に割り振ってよいそうですが、ポイントがない能力は−2点になるという大きなペナルティがある為、結局は全能力値に1ポイントずつふるのが得なのであまり意味はありません。

 さて、事件の内容ですが、実際に遊んでみると、最初に競馬場を舞台にした別の事件を手伝うエピソードがあり、実質2つの事件が収録されていました。
 最初の事件は、本命馬がレースで大失速。馬には薬が盛られていたらしく、ホームズが馬主から犯人捜しの依頼を受けるというもの。
 ホームズはこれから用事があるそうで、代わりに主人公が捜査員としてホームズから推薦されるのです。
 関係者への聞き込みや厩舎などの現場検証をして、用事からもどってきたホームズに報告すると終了です。
 容疑者の中から犯人をちゃんと選択して、証拠となるフラグもたっていればホームズから褒められて事件解決となります。
 間違っていたら、ホームズは首をふって矛盾を指摘し、1時間くらい外出して戻ってきたホームズが正しい犯人を指摘して、これも一応事件解決です。この事件は短めで肩慣らしといったところでしょうか。

 この事件の後に続くのは本のタイトルにもなっている、ディオネスクラブ内でおこった殺人事件のエピソードです。
 ディオゲネスクラブといえば、シャーロックホームズシリーズのファンなら、シャーロックホームズの兄であるマイクロソフトが常連客となっている高級クラブという事はご存知かと思います。
 このクラブは会員制で私語は一切禁止。店員までも喋ることはないので、クラブ内はほぼ完全な無音状態です。客がただ思い思いに一人になって過ごすための場所という変わったコンセプトとなっています。今で言うネットカフェみたいなものか?
 そんなクラブの常連客の一人が店内で、突然急死したという事で、主人公は呼び出されます。
 事件当時はなんとホームズもクラブの客となっていたので、当時者の一人としてホームズ自身は捜査には関われないと、主人公にお鉢がまわってきたのです。
 ホームズが事件の現場にいたなら、解決したも同然じゃん、という気もしますが、彼は証人としては協力してくれません。クラブの入会時に店内では余計な詮索は一切しないと誓約したそうで、何も見ないようにしていたとの事。「生来の性質と正反対のことをするというのもおもしろい知的ゲームだよ」とはホームズの弁。
 そんなわけで捜査開始なわけですが、捜索方法は当時いた他の客や店員に聞き込みをするのが中心。大半のシーンはクラブの応接室に関係者を一人一人に呼び出しては、延々と質問していくだけで正直後半は飽きてしまいました。
 気になるマイクロソフト・ホームズも参考人の一人として登場してくれますが、ホームズの兄らしい描写はあるものの、特別な活躍とかはしてくれません。
 犯人探し自体は、犯人が答え当然の証拠も残しているので、そんなに難しくはないでしょう。ただ犯人は逃亡を図ることもあり、捕まえられるかは別の問題です。
 アクションシーンは終盤の犯人の追跡くらいで、地の文章が単調なこともあり、全体的に地味すぎる作品。
 原作の世界観はよく再現されています。これはもう、暖炉の傍の安楽椅子に座って、コーヒーとかブランデーを啜りながらじっくり読むのが、相応しい楽しみ方かもしれないです。


2016年12月10日(土) シティ・サバイバル(さいとう・たかを/西東社)

 さいとうたかを先生が書いたゲームブックでは最後の作品。
 先生お得意のサバイバル系の漫画ゲームブックですが、今回は巨大地震にみまわれた都会が舞台です。
 本の帯には「本書は恐るべき巨大地震に備えいかに生き抜くかを教えるサバイバルテキストである」と書かれていました。確かに無人島や砂漠での遭難よりは、遭遇する可能性は高そうです。
 ゲーム中にナレーションで、過去の震災の事例が流れるのは、いつものさいとうたかを節ですが、コラム内では実在する防災グッズの説明に、電話番号入りで販売会社の紹介までしています。
ゲームブックよりマニュアル本としての側面を強調しているのか、本作は西東社のゲームブックレーベルとは独立して出版され、なんと阪神・淡路大震災の年にも本書は再販されていました。
 東日本大震災の後にも、もしかすると再販されるかもと当時密かに思っていたのですが、なかったですね。さいとうたかを漫画のゲームブックじゃない「サバイバル」の方は再販されてましたけど。

 デパートで巨大地震に遭遇したら?とか、大火災に襲われたら?津波に襲われたら?とシュチエーション毎に進行していきます。
 どぎつい表現はしていないものの、間違った場所に避難すると、発生した大火災にまきこまれると主人公を含めた避難民達が丸焦げになるとか、なかなか壮絶なデットエンドが多いです。
本の趣旨から当然でしょうが、ちょっと危険を誇張しすぎな気もするな。あと、デパートのどの売り場が安全なのかという選択は、実際に地震警報が出てからそこまで移動する時間があるのだろうか。
 遊んだ印象ですが、娯楽性よりマニュアル性に比重があるのか、どうしたら安全に生き抜けるかを語っているだけで、漫画の主人公には何の設定もなく、ちょっと面白みに欠ける気がします。
 彼女と一緒に逃げるパートもあるけど、彼女はほとんど黙ってついてくるだけ。少しはストーリー性をつけてくれたらよかったのに。

 それからゲーム面の話しですが、大震災が発生したらどう逃げるべきか?とか、イラストを見てどれが安全なのか判断せよ、といったが選択肢が中心。
 ルールでは、所持品(懐中電灯やラジオなど。所持品というより避難道具?)の管理と、ゲームの達成点を示すポイントが存在します。
 ちなみに所持品は自由に選べず、中間地点でそれまでに獲得したポイントに応じて、指定された数だけ付属のスクラッチカードをコイン等で削って入手するというものです。なにがもらえるかはランダムという事で、ちょっと変わった仕掛けです。
 でも、繰り返して遊べないのは不便だな。勿体なくてスクラッチ削れないや。


2016年12月04日(日) 天才コンピュータAI32(エドワード・パッカード/講談社) その2

 全ルートクリアしました。
 読む前の予想と違う点は、主人公の相棒となる第六世代コンピュータAI32(名前はコンラッド)は、最初から人工知能による自我を持っていた事ですね。
 主人公とコンラッドは主に音声会話で、どんなことをしようかと決めていきます。展開次第ではいつの間にか、主人公とコンラッドの間には友情みたいなものも芽生えています。妄想レビューでは絵本を引き合いに出しましたが、むしろドラえもんに近いのかも。
 ちなみにこの第六世代コンピュータというのは、人間の脳に近い「イオン化脳神経系統モジュール」という仮想テクノロジーが使わていて、人間の頭の良さが一人ひとり違うように、一台一台の性能が違うそうです。
 ただし、どんなに外れの個体でも現代のパソコンよりは遥かに高性能。その出来は実際にコンピュータを使い始めるまでわからない。果たして主人公に到着したコンラッドは、第六世代コンピュータの中でも超天才だったのです。
 どのくらい高性能かというと、主人公の音声を聞いただけで、主人公の学校や家庭の事まで判明できるほど。もう超能力のレベルです。他の例では、主人公が人類を平和にしたいとコンラッドに相談したら、すぐに電話回線で政治中枢機関のコンピュータをハッキングして、メールで交渉もして、米ソどちらの大統領と会話したいですか?という次の選択肢が発生するほど。こりゃ、凄いわ。

 選択肢でいろんな展開に話しが広がっていくのは、予想通り。これはシリーズ作品の共通点だから、不思議ではないです。
 コンラッドの大きさもテレビくらいで、そんなに予想から外れてはなかったのですが、部屋に引きこもっているわけでもなく、主人公は車や台車や飛行機で結構コンラッドを連れまわします。
 予想したマネーゲーム展開は簡単に金持ちになって予想以上にあっさり目の展開でした。金持ちになってもさらに金を求め続けようとすると、やはりロクな結果になりません。他にコンラッドのスーパー性能を欲しがる悪党に襲われたり、学者がコンラッドを使わせてほしいと秘境への冒険や宇宙旅行に主人公とコンラッドを同行させてくれる展開とか、かなり自由に変化します。危険な思いをするシーンも結構あります。児童向けなのか、主人公が無残に殺されるようなゲームオーバーはないとはいえ、悲惨な結末だってあるので、安心してはいけません。一つ一つのエピソードは短いので、もう終わり?と思ってしまうようなあっさりした結末も多いです。
 今読むと、コンピュータが魔法と同じような感覚で思われていたこの時代にしか書けない作品と思いますね。挿絵のコンラッドのデザインも昔のマイコン風だし、電話は黒電話っぽいし。
 でもなんだろう、そんなノスタルジックなところも含めて、同シリーズの中では一番好きかもしれないです。他のシリーズ作品がイマイチというのもあるけど。。。


2016年12月03日(土) 天才コンピュータAI32(エドワード・パッカード/講談社) その1

 ぼくは、コンピュータのプログラミング・コンテストで優勝してしまった。 賞品は、なんと最新鋭の第六世代コンピュータAI32。名まえはコンラッドという。コンラッドはスイッチを入れ、ボタンを押したあとは話しかけるだけで、なんでもしてくれる天才コンピュータだった。
 さて、ぼくはこの天才コンピュータをどのような目的に使ったらいいのだろうか。大金を手に入れるため、それとも人類の平和のため、はたまたぼくの大好きな、宇宙の謎を解くために使おうか。

(カバー裏の紹介文より)


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 講談社のアドベンチャーブックスシリーズの一冊です。
 このシリーズはどちらかというと、小学校低学年くらいの児童向けに作られていて、どれも全100パラグラフ程度の単純な分岐小説となっていますが、本作も同じです。
 シリーズの内容は、サバイバルものだったり、SFものだったり、ミステリーものだったり、いろいろなジャンルで作られていますが、今回は主人公の少年がひょんなことから入手した高性能コンピュータを使って、どんなことをしようかという内容です。
 内容としては、選択肢の先によりどんどん展開が広がって、他の選択肢の先と収縮しません。どのルートもエンディングまでが短く、いろんな展開の話しが詰まっているタイプのゲームブックです。
 まず主人公が大金を手に入れようとすると、コンピュータを使ったマネーゲーム(といっても子ども向けだから簡単に書いていますが)が始まり、宇宙の謎を解くことをしようとすると、ノーベル賞がもらえるといった具合です。
 中には神様について研究しようとして、コンピュータが神としての自我をもってしまうという、少しホラーっぽい結末までいろいろあります。まるで星新一のショートショートみたいだけど、宗教問題に敏感なアメリカでこの展開をよく出せたな。
 現実的に高性能コンピュータを持った子どもがどんなに頑張ったところで、こんなことはできないだろうというのは、子どもでも重々わかるでしょう。それでも全体的に「これから僕はいろんな事ができるんだぞ!」というメッセージと夢を感じさせます。
 主人公がずっと部屋に引きこもったままなのはどうかと思いますが、コンラッドは業務用コピー機くらいの大きさだから仕方ないか。当時のスーパーコンピュータとしては驚異的なほど小型化している設定でしょうけどね。
 タイトルは忘れたし、うろ覚えですが、以前読んだ絵本を思い出しました。女の子がこんな自転車が欲しいなと、いろんな物を自転車に乗せはじめ、終いにはテレビや友達や家まで完備してビルくらいの大きさになった荷台の自転車を軽々漕いでいるメルヘンな内容です。
 このゲームブックもそんな絵本ゲームブックとした方が似合っていたのかもしれないです。まだコンピュータが夢の新技術だった時代の作者が描いた、未知への期待。それを具現化したお話しとして、ほのぼのした気分で読むのが正解な作品ではないでしょうか。

 ……と、カバー裏の紹介文を読んだだけで、以上のような嘘っぱち妄想レビューが浮かんできたのでそのまま書いてみました。(笑)
 今から遊んでみますが、実際はどうなのでしょう?

続く


山口プリン |HomePage

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