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みんみん



 濃淡

久しぶりだとタイトルづけに悩みます。
「久しぶり」じゃそのまんまだし、また久しぶりになってしまうとリアリティがないし(そうならないようにしなくては、なのですが)。


さて、特に忙しくしているわけでもなく、普通に過ごしているだけなのに、こちらの更新が滞りがちでした。
読んだ本をメモするくらいのことはしてもいいのに、外題だけじゃなくて3行くらいは何かしら書いた方がいいか、などと思うとずるずると来てしまいます。

先月来、東京・松阪・奈良・京都などを電車で移動しました。
旅に出ると、車中、移動の時間に読書が出来るのが楽しみです。
最近は保坂和志の作品をずっと読んでいます。小説を「読む」ことそのものの楽しさを味わわせてくれる作品です。読んでいる時間そのものの幸福というか。
何でもそうかも知れませんが、ひとつの行為は、常に同じ濃度や密度で行われるかといえばそんなことはなく、時に流しつつ、時にはっと気づいて集中する、というようなことの繰り返しであるように思います。保坂作品を読む私は、「読む」という行為の濃淡を楽しんでいます。淡い流し読みの心地よさと、あるフレーズの持つ強い引力と。
テーマは?要旨は? というようなことを私たちはしばしば要求されるし要求もするのだけれど、それが(無視は出来ないにせよ)すべてではないということを実感します。

少し前にやはりまとめて読んだ長嶋有の作品は、文体の持つ力について改めて考えさせたのですが、長嶋作品にしても保坂作品にしても、10年前に読んでいたとしたらまた違った読み方になっていただろうと思います(実際、保坂和志の作品は10年ほど前に手に取ったことがありますが、その時は特に関心を持ちませんでした)。


今日は金沢に行って(実は明日も、明々後日も行きます。ついでに明後日は金沢からお客様がいらっしゃるのですが)、友人@昼休み中と会い、福音館書店に行ってきました。
福音館書店へは、フロアが移ってからは初めて行きます。絵本や児童書専門のお店になったと聞いていたのですが、すばらしくてため息が出ました。
心の中で興奮しつつ、外見にはそんな風には見えない感じで、でもぐるぐるぐるぐるとフロアを落ち着きのないくまのように何度も歩き回ってしまいました。
1冊購入したのは、中川李枝子さく・大村百合子え『いやいやえん』(福音館書店)。タイトルはもちろん知っていました。でも実際に手に取ってみたのは初めてでした。
うへー!

「ぞうのいい人。」(「くじらとり」p15)

「ぞういい人。」ではありません。しびれます。
こういう本を今になって読んだりして、子供の頃はなんだかけっこう面倒くさかったのかなー、と思ってみたりします。いや、それはそれでまあいいんですが。
他にも心ひかれた本が多くありましたが、また次回。

2005年04月29日(金)
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