冒険記録日誌
DiaryINDEXpastwill


2021年03月20日(土) 帝王の涙(真田信幸/JICC出版局)

 ちょっと軽めの男が織りなすスペースオペラって内容のゲームブックです。
 主人公のモズは、フリーのルポライター。モズはプロローグ部分で宇宙マフィアの悪党グリンブによって、体に中性子型爆弾を埋め込まれてしまいます。このスイッチ一つで体が溶けてしまうぞ、解除してほしくば帝王の涙という秘宝を入手しろ、と命じられるのがストーリーです。
 帝王の涙の手掛かりとなる探検家に会うため、ある寂れた星に向かうところからゲームは始まります。主人公に展開によって同行する仲間が違ってくることもあり、また誤った選択肢を選んだらペナルティを受けて本ルートに戻されるって事もなく、そのまま進ませてもらえるので、一方向システムにしては、割と自由を感じられます。
 実は、主人公の役割は、この世界の大きな物語の中では脇役に近く、ライトソードみたいな武器を振り回すヒーロー的な人物は別に登場します。モズが見当はずれのことをして時間をロスする展開になっても、モズには何が起こったのかわからないまま、いつの間にか紛争や問題は解決しました、グリンブはやっつけられていました的なENDが時々見られます。もっともモズみたいなタイプの人間が、惑星を救うヒーローだ!と言われても無理があるような気もしますが。
 もちろん、モズ自身がどうなるかは読者次第。グリンブの体へ爆弾を移し替えて立場逆転、あわれ今度はグリンブが奴隷の身に、みたいなハッピーエンドから、爆弾スイッチを握ったままの女と結婚するという、ある意味死ぬより地獄なバッドエンドまで終わり方もいろいろ。
 一応、戦闘ルールや簡単なフラグチェックがある作品ですが、そんなに戦闘は多くありません。ストーリー重視の作品なので、戦闘の方は無視して勝ったことにして進んでもいいかも。
 軽快なノリで話しが進むのは読んでいて楽しく、幕間に登場人物達やモブキャラによる漫才みたいな会話劇が始まるのも面白い。昔どこかで聞いた何かのアクションアニメのちょっとノー天気なBGMが、ずっと脳内に流れていました。
 ライトノベル型ゲームブックとして、悪くない作品だと思います。


山口プリン |HomePage

My追加