冒険記録日誌
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2021年03月03日(水) 装甲騎兵ボトムズ 復讐の惑星シド(山口宏/勁文社)

(昔のミクシィの日記から抜粋修正しました。少しネタバレがあります。プレイ予定の方は注意してください。)

 勁文社のゲームブックといえば、アニメ・特撮原作ものが売りなのですが、その系の作品では初めてのプレイです。 なぜなら予備知識なしにガンダムとか熱狂的ファンのいる作品で、ヘタな感想を述べようものなら、「へっ、にわかが何を言ってやがる」と言われかねないと考えてしまうのです。おそろしやおそろしや。
 もちろん原作をしらないと、ストーリーについていけないこともありえます。
 でも、この作品は原作の世界観だけ共有した、オリジナルストーリーらしく、舞台もまったく別の惑星で、もう一つのボトムズという感じだそうです。つまり原作の事を気にせずに楽しめるようです。

 そんなわけで、何度か挑戦してみましたが、これが結構難しい。
 戦闘が続くうえそのルールが複雑なのですよ。ロボット戦でも、パンチで戦うか射撃で戦うか使い分けたりするだけでなく、装備まで問うてくるので、いちいち細かい。ボトムズって戦争のリアリティが売りだったようですが、戦闘システムにもそれが反映しているのだろうか。 このルールは、今回のような一方向に進む展開ではなく、RPG型双方向システムのゲームブックでじっくり遊びたい感じがしました。
 ストーリーは、復讐のため主人公達を裏切った奴らを追いかけるというものです。しかも裏切り者らによって、主人公の体の中には爆弾が埋め込まれているのです。戦友もそれが原因で爆死しました。敵を倒しても爽快感より、敵のパイロットの死んださまとかを描写するしで、全体的な雰囲気は重苦しい。
 クリアへのルート探しが難航しそうなので、プレイの3回目からはとりあえず戦闘は全て勝ったことにしてプレイ。
 道筋の目途がついたら、戦闘もこなしての正式なプレイもして、ちゃんとクリアするつもりですよ。
 
 何度目かのプレイで攻略のキーとなるヒロインらしき人物には遭遇したものの、彼女に会う前にどこかで彼女の兄さんに遭遇していないと、そのままあっさり彼女と別れてしまうようです。
 そうなると、後で他の場所で主人公が裏切り者に追いつく手段を教えてもらうというイベントも発生せず〜で、バットエンドが確定らしい。
 その兄さんは主人公の知らない人物なのでどこにいるのか、ノーヒントでなかなか見つかりません。序盤の何気ない進路選択で兄に遭遇できるかが決まってしまいそうだなぁ。
 このように結構大変な思いでクリアできるルートは発見したものの、改めてルール通りに遊ぶと、ちょっとクリアは不可能なんじゃないかという、これまた厳し過ぎる戦闘バランスだと判明しました。
 正しいルートは、ロボットの乗り換えもしくは修理する機会が滅多にないので、絶対途中で力尽きる。せめて主人公の戦闘レベルを+2くらい増やして、初期装備にAT整備パック(ロボットの耐久力が回復するアイテム)を2・3個持っていたことにしないと、バランスがとれないと思いました。

 ストーリーの方はいいですよ。ヒロインを見捨てて逃げるしかない展開での永遠の別れが切ない。
 それに宇宙空間に飛び出してから巨大宇宙戦艦に単騎つっこむ終盤の盛り上がりは、アニメで格好良く脳内再生されました。
 しかし、このへんまでくると、例え主人公が死んでもその衝撃で体内爆弾が作動し、巨大宇宙戦艦が木っ端みじんに吹っ飛ぶENDになってるので、この時点で復讐は果たされているとも言えなくもない。こんなしつこくて危なっかしい奴がやってきたら、死ぬ気でやってきた主人公より敵の方が恐怖でしょうな。

 最後まで硬派な内容(ただし、ヒロインの妹と結ばれる方のエンディングは多少軟派に転がったか?)でしたが、本書後書きには、原作ボトムスの総監督である高橋良輔さんが寄稿しています。
 その内容が「しかし、その頃を頂点にしてロボット物に陰りが見え始め、その原因は創り手が余りにリアル志向に走った結果と言われちょっぴり苦い想いも味わうことになりました……。」で結ばれていたのが印象的でした。


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