冒険記録日誌
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2021年03月02日(火) ウィル(仲田政一/JICC出版局)

(昔のミクシィの日記から抜粋修正しました)

 どちらかというと私のあまり遊んでいないJICC出版局のゲームブックレーベルの一冊です。なにかのPCゲームが原作らしいですが、自分はよくわかっていないので、純粋にゲームブックの感想だけ書きます。
 ルールはフラグがついているものの、シンプルな分岐小説ゲームブックです。ただ、やりごたえはなかなかありました。
 クリアできる展開は絞られるのでゲームオーバーにはなりやすいですが、ストーリーの分岐のバリエーションが多くて、飽きさせないのは良い点です。

 ストーリーを紹介します。時は米ソの冷戦時代。マッドサイエンティストが核爆弾で、アメリカ政府を脅迫してきた。「48時間以内に米ソのメインコンピュータに自分のコンピュータを接続するよう要求する、良い返事がもらえない場合は、ワシントン、ロンドン、パリ、東京、モスクワに核を落とす。」という強迫をしてきます。
 要求を呑めないアメリカは、秘密裏にマッドサイエンティストが居る南国の島に核を落とすことを決定。
 しかし、偶然なのかソビエト外相一行が飛行中の嵐でこの島に避難しているという状況でした。核を落とす前に特殊部隊を派遣し、マッドサイエンティストのアジト制圧とソビエト外相一行の救出を試みるという背景ストーリーとなっております。
 特殊部隊は全員で13人くらい。2部隊に分かれて、それぞれ核の阻止とソビエト外相の救出を目指します。

 このゲームブックはストーリー的には2部構成でして、主人公も変わってしまいます。最初の主人公は、ソビエト外相の救出組のリーダーである”大佐”です。
 主人公の使命は、核の阻止を目指す組が失敗した場合は、救出したソビエト外相と一緒に島の海上まで脱出し、潜水艦に救出されるという使命を達成する事。小軍隊を指揮するこの辺は、ミリタリーもののゲームブックとしてなかなか面白くできていました。
 しかし、この辺がこのゲームブックの一番の不満点なのですが、この大佐の前半パートは、いくら頑張っても遅かれ早かれ必ず失敗してしまいます。

 部隊が壊滅すると、生き残った最後の部隊員が新しい主人公となります。ここから後半パートの始まり。
 後半は途中で出会うヒロインとともに事件の真相に迫るという展開ですが、この時代にはない高度な科学技術も絡んでSF要素が強い感じでした。
 悪くはないのですが、終盤の双方向迷路部分は、テンポが悪くなるだけなのでいらなかったような気がします。しかも迷路は研究所という、なぜここで迷路?というつっこみをはじめ、SF展開の設定にもいろいろ疑問は湧いてきます。
 原作のパソコンゲーム的には、後半パートの方がメインな気がしましたが、 むしろ部隊として行動しているミリタリーな前半部分の方が面白かったです。

 前半の主人公が‟大佐”の時に最善の選択肢を選んでいくと、当初の目的通り、外相をつれて脱出ポイントまでたどり着けるのですが、救出にきた潜水艦が敵に爆破されるという、主人公側にはどうしようもない理由でゲームオーバーなのですよ。
 最後までプレイすれば、核は使用されずにすむエンディングなのですが、前半パートでも、強制的なバッドエンドにせずに、島は核で吹き飛ばされるものの、外相の救出という最低限の目的を果たし、小部隊の一部メンバーは生き残れたという、一つのグッドエンドを用意してほしかったところです。


山口プリン |HomePage

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