冒険記録日誌
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2016年12月11日(日) ディオゲネスクラブ殺人事件(ジェラルド・リーンツ/ボビージャパン)

 ディオネスクラブは、シャーロックホームズもののゲームブックの一作です。割と厚めの本で、文字もゲームブックにしては全体的にギッシリしているので、遊ぶ前からボリューム感を感じる作品でした。
 主人公はホームズでもその助手のワトスンでもなく、ワトスンの従妹という設定です。ワソトンのところに遊びに来て、興味本位で事件を手伝うようなノリなのかな。
 ゲームは一方向システムによるもので、ルールはフラグチェックの他に、観察力や情報収集力などの6つの能力値が設定されています。
 能力は6ポイントの中から自由に割り振ってよいそうですが、ポイントがない能力は−2点になるという大きなペナルティがある為、結局は全能力値に1ポイントずつふるのが得なのであまり意味はありません。

 さて、事件の内容ですが、実際に遊んでみると、最初に競馬場を舞台にした別の事件を手伝うエピソードがあり、実質2つの事件が収録されていました。
 最初の事件は、本命馬がレースで大失速。馬には薬が盛られていたらしく、ホームズが馬主から犯人捜しの依頼を受けるというもの。
 ホームズはこれから用事があるそうで、代わりに主人公が捜査員としてホームズから推薦されるのです。
 関係者への聞き込みや厩舎などの現場検証をして、用事からもどってきたホームズに報告すると終了です。
 容疑者の中から犯人をちゃんと選択して、証拠となるフラグもたっていればホームズから褒められて事件解決となります。
 間違っていたら、ホームズは首をふって矛盾を指摘し、1時間くらい外出して戻ってきたホームズが正しい犯人を指摘して、これも一応事件解決です。この事件は短めで肩慣らしといったところでしょうか。

 この事件の後に続くのは本のタイトルにもなっている、ディオネスクラブ内でおこった殺人事件のエピソードです。
 ディオゲネスクラブといえば、シャーロックホームズシリーズのファンなら、シャーロックホームズの兄であるマイクロソフトが常連客となっている高級クラブという事はご存知かと思います。
 このクラブは会員制で私語は一切禁止。店員までも喋ることはないので、クラブ内はほぼ完全な無音状態です。客がただ思い思いに一人になって過ごすための場所という変わったコンセプトとなっています。今で言うネットカフェみたいなものか?
 そんなクラブの常連客の一人が店内で、突然急死したという事で、主人公は呼び出されます。
 事件当時はなんとホームズもクラブの客となっていたので、当時者の一人としてホームズ自身は捜査には関われないと、主人公にお鉢がまわってきたのです。
 ホームズが事件の現場にいたなら、解決したも同然じゃん、という気もしますが、彼は証人としては協力してくれません。クラブの入会時に店内では余計な詮索は一切しないと誓約したそうで、何も見ないようにしていたとの事。「生来の性質と正反対のことをするというのもおもしろい知的ゲームだよ」とはホームズの弁。
 そんなわけで捜査開始なわけですが、捜索方法は当時いた他の客や店員に聞き込みをするのが中心。大半のシーンはクラブの応接室に関係者を一人一人に呼び出しては、延々と質問していくだけで正直後半は飽きてしまいました。
 気になるマイクロソフト・ホームズも参考人の一人として登場してくれますが、ホームズの兄らしい描写はあるものの、特別な活躍とかはしてくれません。
 犯人探し自体は、犯人が答え当然の証拠も残しているので、そんなに難しくはないでしょう。ただ犯人は逃亡を図ることもあり、捕まえられるかは別の問題です。
 アクションシーンは終盤の犯人の追跡くらいで、地の文章が単調なこともあり、全体的に地味すぎる作品。
 原作の世界観はよく再現されています。これはもう、暖炉の傍の安楽椅子に座って、コーヒーとかブランデーを啜りながらじっくり読むのが、相応しい楽しみ方かもしれないです。


山口プリン |HomePage

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