冒険記録日誌
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2016年12月04日(日) 天才コンピュータAI32(エドワード・パッカード/講談社) その2

 全ルートクリアしました。
 読む前の予想と違う点は、主人公の相棒となる第六世代コンピュータAI32(名前はコンラッド)は、最初から人工知能による自我を持っていた事ですね。
 主人公とコンラッドは主に音声会話で、どんなことをしようかと決めていきます。展開次第ではいつの間にか、主人公とコンラッドの間には友情みたいなものも芽生えています。妄想レビューでは絵本を引き合いに出しましたが、むしろドラえもんに近いのかも。
 ちなみにこの第六世代コンピュータというのは、人間の脳に近い「イオン化脳神経系統モジュール」という仮想テクノロジーが使わていて、人間の頭の良さが一人ひとり違うように、一台一台の性能が違うそうです。
 ただし、どんなに外れの個体でも現代のパソコンよりは遥かに高性能。その出来は実際にコンピュータを使い始めるまでわからない。果たして主人公に到着したコンラッドは、第六世代コンピュータの中でも超天才だったのです。
 どのくらい高性能かというと、主人公の音声を聞いただけで、主人公の学校や家庭の事まで判明できるほど。もう超能力のレベルです。他の例では、主人公が人類を平和にしたいとコンラッドに相談したら、すぐに電話回線で政治中枢機関のコンピュータをハッキングして、メールで交渉もして、米ソどちらの大統領と会話したいですか?という次の選択肢が発生するほど。こりゃ、凄いわ。

 選択肢でいろんな展開に話しが広がっていくのは、予想通り。これはシリーズ作品の共通点だから、不思議ではないです。
 コンラッドの大きさもテレビくらいで、そんなに予想から外れてはなかったのですが、部屋に引きこもっているわけでもなく、主人公は車や台車や飛行機で結構コンラッドを連れまわします。
 予想したマネーゲーム展開は簡単に金持ちになって予想以上にあっさり目の展開でした。金持ちになってもさらに金を求め続けようとすると、やはりロクな結果になりません。他にコンラッドのスーパー性能を欲しがる悪党に襲われたり、学者がコンラッドを使わせてほしいと秘境への冒険や宇宙旅行に主人公とコンラッドを同行させてくれる展開とか、かなり自由に変化します。危険な思いをするシーンも結構あります。児童向けなのか、主人公が無残に殺されるようなゲームオーバーはないとはいえ、悲惨な結末だってあるので、安心してはいけません。一つ一つのエピソードは短いので、もう終わり?と思ってしまうようなあっさりした結末も多いです。
 今読むと、コンピュータが魔法と同じような感覚で思われていたこの時代にしか書けない作品と思いますね。挿絵のコンラッドのデザインも昔のマイコン風だし、電話は黒電話っぽいし。
 でもなんだろう、そんなノスタルジックなところも含めて、同シリーズの中では一番好きかもしれないです。他のシリーズ作品がイマイチというのもあるけど。。。


山口プリン |HomePage

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