冒険記録日誌
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2016年12月03日(土) 天才コンピュータAI32(エドワード・パッカード/講談社) その1

 ぼくは、コンピュータのプログラミング・コンテストで優勝してしまった。 賞品は、なんと最新鋭の第六世代コンピュータAI32。名まえはコンラッドという。コンラッドはスイッチを入れ、ボタンを押したあとは話しかけるだけで、なんでもしてくれる天才コンピュータだった。
 さて、ぼくはこの天才コンピュータをどのような目的に使ったらいいのだろうか。大金を手に入れるため、それとも人類の平和のため、はたまたぼくの大好きな、宇宙の謎を解くために使おうか。

(カバー裏の紹介文より)


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 講談社のアドベンチャーブックスシリーズの一冊です。
 このシリーズはどちらかというと、小学校低学年くらいの児童向けに作られていて、どれも全100パラグラフ程度の単純な分岐小説となっていますが、本作も同じです。
 シリーズの内容は、サバイバルものだったり、SFものだったり、ミステリーものだったり、いろいろなジャンルで作られていますが、今回は主人公の少年がひょんなことから入手した高性能コンピュータを使って、どんなことをしようかという内容です。
 内容としては、選択肢の先によりどんどん展開が広がって、他の選択肢の先と収縮しません。どのルートもエンディングまでが短く、いろんな展開の話しが詰まっているタイプのゲームブックです。
 まず主人公が大金を手に入れようとすると、コンピュータを使ったマネーゲーム(といっても子ども向けだから簡単に書いていますが)が始まり、宇宙の謎を解くことをしようとすると、ノーベル賞がもらえるといった具合です。
 中には神様について研究しようとして、コンピュータが神としての自我をもってしまうという、少しホラーっぽい結末までいろいろあります。まるで星新一のショートショートみたいだけど、宗教問題に敏感なアメリカでこの展開をよく出せたな。
 現実的に高性能コンピュータを持った子どもがどんなに頑張ったところで、こんなことはできないだろうというのは、子どもでも重々わかるでしょう。それでも全体的に「これから僕はいろんな事ができるんだぞ!」というメッセージと夢を感じさせます。
 主人公がずっと部屋に引きこもったままなのはどうかと思いますが、コンラッドは業務用コピー機くらいの大きさだから仕方ないか。当時のスーパーコンピュータとしては驚異的なほど小型化している設定でしょうけどね。
 タイトルは忘れたし、うろ覚えですが、以前読んだ絵本を思い出しました。女の子がこんな自転車が欲しいなと、いろんな物を自転車に乗せはじめ、終いにはテレビや友達や家まで完備してビルくらいの大きさになった荷台の自転車を軽々漕いでいるメルヘンな内容です。
 このゲームブックもそんな絵本ゲームブックとした方が似合っていたのかもしれないです。まだコンピュータが夢の新技術だった時代の作者が描いた、未知への期待。それを具現化したお話しとして、ほのぼのした気分で読むのが正解な作品ではないでしょうか。

 ……と、カバー裏の紹介文を読んだだけで、以上のような嘘っぱち妄想レビューが浮かんできたのでそのまま書いてみました。(笑)
 今から遊んでみますが、実際はどうなのでしょう?

続く


山口プリン |HomePage

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