冒険記録日誌
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2016年10月23日(日) タイムトラベル大戦争 過去の国からSOS(池田美佐・前川陽子/双葉文庫)

 双葉ゲームブックといえば、オリジナル作品でもルパン三世やペパーミント、セクシーシリーズを除けば、少年魔術師インディみたいにゲーム世界というイメージの作品が多いです。
 この作品は、そんな双葉の青色背表紙の一冊ですが、いつもの双葉のノリとは違って、ゲームよりも小説がメインっぽい感じでした。後書きを読む限り、前川陽子さんがメインが書かれて、池田美佐さんが手伝って書かれた作品のようです。
 プロローグは中学2年生の男の子が、公園で息絶えている一人の男を発見し、彼が装備していた謎の装置でタイムスリップしてしまうところから始まります。
 ゲームがはじまり、到着した先はなんと戦国時代!桶狭間の戦いの直前という状況でした。
 いやぁ、日本でタイムスリップに巻き込まれると、戦国時代に到着する可能性は高いですね。そして織田信長様に遭遇する可能性もこれまた高すぎ。
 恐竜時代にタイムスリップすれば、ティラノサウルスに追いかけられる可能性くらい高いのではないでしょうか。

 気を失っていた主人公は、謎の美少女に介抱され状況を説明されます。死んでいた男は、実は未来から来たタイムパトロール隊員だったのです。
 なんでも未来では、人間そっくりのロボット達が波乱を起こしており、ロボットたちは過去にタイムスリップして、著名人達を抹殺して歴史を変えようとしているのだそうです。これまたターミネーター的な王道展開ですな。
 少女は一緒に同行できないそうで、銃などの装備とともにすぐに一人になった主人公。なぜか自分が戦国武将たちをロボット達の暗殺から守る役割を押し付けられてしまいました。
 ゲームルールはシンプルな方で、フラグチェックと戦闘に使うバトルポイント表、能力は体力値のみの管理となっています。当然、まずい選択肢を選ぶと体力が下がってしまいます。
 ひとまず遊んでみましたが、ある場面で織田信長を助けたとすると、すぐに次の別の合戦の場面にタイムスリップして、豊臣秀吉など別の武将の救出に向かうといった繰り返しでストーリーが浅い印象がしました。
 後半からはタイムパトロール隊員の本拠地である未来にタイムスリップしてロボット軍隊との対決という、本当のSF展開になるのですが、ここからはあまり分岐はなくなって完全な一本道です。展開はそれなりに熱いのですが、ここまでくる前の戦国時代で、体力を消耗したり、アイテムを取り逃したり、逆に余計なアイテムを持っていると、ふるい落とされてゲームオーバーになるだけという、こっちはゲーム的な方でイマイチかも。
 私的には地味な作品でしたが、遊びやすくはあったので、戦国武将達と主人公の交流とかをもっと深めたストーリーにしていれば、ジュヴナイル系SFゲームブックとして楽しめたかもしれないです。ちょっと残念かな。


山口プリン |HomePage

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