冒険記録日誌
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2016年10月01日(土) 進撃の巨人 ゲームブック ウォール・ローゼ死守命令850(藤浪智之/講談社)

 先日クリアしましたが藤浪智之さんのゲームブックでは、一番好きかもしれない。
 とにかく死亡フラグのシステムがインパクト絶大です。

 原作はちょっと前に社会的ブームになっていた人気漫画(アニメ)なので、名前くらいは知っている人が大半ではないでしょうか。
 昨年末に本作が発売された時に、さっそく遊ぶつもりでしたが、そのときは原作は名前くらいしか知らなかった私にとっては敷居が高かった。
 ゲームブック版にも基本的な世界観の説明はあるのですが、特殊な世界観を飲み込めず、ゲームスタート時点から登場人物も多くて、状況がうまく把握できずに挫折したのです。
 幸いテレビ配信の契約で進撃の巨人のアニメは自由に見れる環境だったのですが、山口プリンは人がボロボロ死ぬ話は苦手なのですよ。そこを押して今回はゲームブックの為にアニメを見てみました。
 感想は身もフタもなく言うと、巨人と言うインパクトを別にすれば、基本はゾンビ映画って印象でした。それにいろんな要素をつけているという感じ。
 人気があるだけあって、見始めると話しが一段落する13話まで一気に見てしまうくらいには面白かったです。あと、萌え狙いの作品ではないのですが、女の子は美少女揃いですね。
(原作を知らない人は適当に検索して内容を調べてくださいな。有名な作品でヘタな説明をしたくないです。なお、コミックの方は読んでいないので、この日記で原作というのはアニメ版のことと思ってください。)

 さて、そんなこんなでやっと仕切りなおして、遊ぶことのできたゲームブック版ですが、内容を理解して遊ぶと、これが予想以上に面白かったです。
 まずゲームブック版の概要を説明すると、ストーリーは番外編的なオリジナルではなく、原作をなぞっています。原作を知っている人向けに言うと、104期訓練兵の卒団後からトロスト区攻防戦の決着がつくところ、アニメでいうと5話から13話までです。
 原作を知らない人にネタバレを避けてごく簡単に説明すれば、無数の巨人が攻めてくる中、奪われた地区の奪還を目指して兵士達が戦うという粗筋です。
 主人公は原作のエレンではなく、エレンと同じ104期訓練兵のメンバーの一人という設定。原作に登場する登場人物の誰かというわけでもなく、言ってみればモブキャラみたいな存在です。ゲーム中の展開を見る限り、104期訓練兵の成績で上位10名には入れないけど、補欠枠で憲兵団は狙える順位らしく、腕前はそこそこのようです。
 原作と同じストーリーというのは、原作既読組には先の展開がわかってしまうという、仕方のない欠点を抱えているのですが、一兵士の立場という違った視点で物語を経験するという新鮮さが、この問題を緩和できています。
 おおまかな展開は原作そのままに進んでいるものの、主な登場人物たちの生死は主人公の行動次第で結構違ってきます。
 選択肢次第では原作のあのキャラがやっていたことを代わりにやってみる、なんてことも可能です。でも主人公気分でエレンと同じことをすると、あっさり巨人に飲み込まれてゲームオーバーになりました。エレンみたいな死に急ぎ野郎が生きていられるのは、やはり主人公特権のおかげだったか。

 本作のルールはシンプルで能力値やアイテムの管理は不要、フラグチェックと多少の情報メモを記録するだけです。サイコロのようなランダム要素はありません。あと、一部登場人物とは親密度の点数があるけど、これはほぼクリア後のエンディング分岐にしか影響しません。
 それで、このフラグチェックの方法が秀逸。登場人物たちの顔イラストつきで紹介ページがあるのですが、その人物が死ぬとそこに×をつけるのです。まさに文字通りの死亡フラグ。
 フラグ処理の役目だけでなく、マルコが生き残ったり、アルミンみたいな重要人物が死んでしまうなど、原作と違う結末でゲームを終えた時なんか、自分だけのストーリーを作れた気になるという、ゲーム性とストーリー性を兼ね備えた1粒で2度美味しいシステムですよ。原作の世界観にもピッタリだし、素晴らしいの一言。

 なお、本文イラストは3人の方が書かれているようで、原作の漫画の一部をそのまま写したもの、パズル要素のあるもの、ゲームブックオリジナルのシーンを描いたものの3パターンあります。
 ゲームブックオリジナルのイラストで印象的なのは、ハンナとフランツの結婚式のシーン。これはハンナとフランツの両名が生存している状態で、クリアできたときのみ進めるエンディングというもの。もしもの展開を代表するような良エピソードなのですが、これが一番到達が難しかった!ハンナはともかく、フランツが序盤で死んでしまうのに、救出可能ルートが見つけ出せなかったです。
 まあ、戦争前にいちゃいちゃラブラブしているバカップルなんて、最初から死亡フラグが立っているようなものですが。アニメ見た時もそう思ってましたし。

 クリアそのものはさほど難しくなく、1プレイにそんなに時間はかかりません。ひととおりの展開を見るまで繰り返して楽しめるので、コストパフォーマンスも良。
 なによりこの世界の登場人物の一人として参加できるのは、ゲームブックを知らない原作ファンでもたまらないでしょう。
 原作に興味がある人なら、間違いなくオススメの作品です。


山口プリン |HomePage

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