冒険記録日誌
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2016年05月08日(日) ゲームブックはオワコンでもいいじゃない

【特集】ゲームブックはオワコンなのか ― 「ドルアーガの塔」を電子書籍化した幻想迷宮書店が語る今と未来

http://www.inside-games.jp/article/2016/05/06/98407.html


 いろんなゲームブックサイトが反応しているニュースというか対談記事ですが、ここでも一応感想を書いておきましょうかね。
 最近、創土社のゲームブックが次々に電子書籍化していると思ったら、背後で酒井さんが動いていたようです。
 実は3か月くらい前に、本当にずいぶん久しぶりにご本人様からメールを頂き、「今年からまたゲームブックの業務をやりますよ!」と謎めいたメッセージも入っていたので、もしかしてこれのことかな?とは思っていましたけどね。
 書籍形態だと復刊は困難でも電子書籍ならハードルが低いみたいで、すごい勢いで復刊していってくれるようです。
 記事もちょっと遊び心を加えつつも興味深いことを語っています。ただ、「当時、ゲームブックにトドメを刺したのは、『弟切草』と、その続編『かまいたちの夜』なのかなと思います」という酒井さんの見解だけははっきり違うと思う。※

 今回の記事で嬉しい事は、キンドルであの悪夢シリーズが読めるという事。
 単純な分岐小説を除けば、電子書籍との相性は一番いい気がするし、なにより私のお気に入りで今でもたまに遊ぶくらいですから、常にキンドルで読めるのはありがたい。
 悪夢シリーズの鳥居加奈子さんはもとより、少年魔術師インディ3で続編の予告をされていた井上尚美さんとか、いろんなゲームブックを書き、今もゲームブックへの関心を残されていると思われる山本弘さんや塩田信之さんの新作も読みたいです。
 もちろん新人ゲームブック作家達にも登場してほしいですが、最近のゲームブックは脱出ゲーム風とか、シンプルだけど世界設定にひねりがあるとか、すべてに独自路線を突っ走るとか、今までにない画期的なゲームブックを求めすぎて、自分のなかでコレジャナイ感がありまして。マンネリでもいいから、リビングストン作品みたいなベタな王道ゲームブックの新作が読みたいです。(さらに英ジャクソン作品のアイデアと米ジャクソン作品のゲームバランスが備わっていればより完璧!)
 あと電子書籍の話題の時は毎回いうけど、復刊ならブラッドソードはどうでしょうか。(もちろん5巻の翻訳も含めて!)
 と、好き勝手に書きましたが、新作も版権物もハードル高いのはわかりますからほどほどに期待しましょっと。

 残念なことは二つ。薄々わかってはいましたが、鈴木直人氏がパンタクル3を書く見込みがもうないことですな。ただ、氏との連絡は今も続いているようですから、鈴木直人監修という形でやる気のある方に、パンタクル3を書いてもらうのが良いとは思ってます。
 もう一つ残念なのは酒井さんが当面、電子書籍中心で活動するようだという事。
 電子書籍化の是非はともかく、自分自身が魅力を感じるかという本音のレベルでいうと、ゲームブックは書籍形態でゲームできるからゲームブックなのですよ。電子書籍はそれこそ、昔ファミコンの代わりにゲームブックをしていたように、電子書籍版やゲームアプリ版も遊ぶけどあくまで本当のゲームブックの代用品という感じなのです。
 記事にあったパラグラフ番号を消すアイデアといい、酒井さん的には「ゲームブック=ノベルゲーム」の考えに近いのかな。ゲームブックならではの醍醐味の一つとして、ズルができるとか、その気になれば本に書き込んで自由にルールが改変できるというのもあるのですがね。
 
 とはいえ、希望や夢をいうのは簡単ですが、それを実践するのは並大抵の事ではないですから、酒井さんに対しては尊敬の念しかありません。酒井さんは酒井さんのやり方でやっていってほしいと思います。
 私にできることは今まで通り、この日記でゲームブックの感想を書いていくだけです。まだまだ未読の作品の在庫も多いし、年に数作品の新作が読めれば今のところ大丈夫。ゲームブックのブーム再来なんてなったら、それはそれで新作を楽しめて大いに結構ですが、そこまでは望んじゃいません。
 最近、ゲームブックがマイナーゆえに、少数のファンだけで作られているゲームブック関係のネットの緩い雰囲気が気にいっているんですよ。これが有名ジャンルだと、どんな名作や名選手に対しても、ファンに喧嘩売るようなアンチ意見を書く人が必ず発生しますからねぇ。
 漫画で例えると、アニメ化で巻き起こったブームが終わるとファンは減るけど、残ったファンが原作をまったり楽しむ状態の方が好きというところです。まぁ、連載打ち切りにならない程度のファンは確保したいところでしょうけどね。
 酒井さんも冒険記録日誌を久しぶりに読んで、変わってない事に安心したそうですし、ちったあゲームブックファンの憩いの場として、ここにも意味があれば幸いです。(笑)









※ ゲームブック衰退の原因はいろいろな説があるので、ここでは論じませんが、ビデオゲームの中でもマニア向けなジャンルのサウンドノベル(もしくはノベルゲーム)を持ち出すくらいなら、普通にファミコンからスーパーファミコンへと家庭用ゲーム機が進化していくうちに、ゲームブックより手軽で面白いゲームが生まれて、ファンが移行したと考えた方がわかりやすいです。
 もそもそサウンドノベル自体は、アクションゲームや複雑なRPGよりも遥かにゲームブックで再現しやすい内容ですし、「弟切草」が出た当時は、まるで風来のシレンの「根絶やしの巻物」を読まれたかのように、とっくに書店からはゲームブックが消滅していた時期です。(都会の書店にはまだあったかもしれんが……)
 むしろ、高校の時に何かの授業で論文を書かされたときに、ゲームブックをテーマにして「弟切草が出た事がゲームブックの面白さが今も通用する証拠」とか前向きに書いた覚えがあるくらいです。


山口プリン |HomePage

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