冒険記録日誌
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2016年05月01日(日) アメリカンドリーム(スーパー頭脳集団アイデアファクトリー/桐原書店)

 本書はアメリカ大統領を目指すゲームブックです。
 アメリカ大統領選挙が特に面白い今年に、ふと本書の存在を思い出し、一度読んでみたいと先日の日記に書いたところ、親切な所有者から本書を貸していただける事になったのです。本当にありがとうございます。

 19世紀に移民1世としてアメリカ大陸に渡り、主人公の世代交代を重ねながら西部開拓時代からはじまり、ゴールドラッシュ、そして数々の戦争と、アメリカの歴史を追体験しつつ、最終的には大統領を目指すというストーリー。
 なにか歴史小説みたいな壮大さでカッコイイ内容じゃないですか。

 さて、貸出人様から届いた本書を本格的に遊ぶ前に早速ちょっと試し読み……をしたら5分でクリア。大統領になってしまいました(汗)
 パラグラフ300クラスのゲームブック(正確には全パラグラフ304)でこれだけ早くクリアした作品は滅多にないです。
 理由は、1パラグラフあたりの、選択肢を除いた本文の文章量がわずか3行前後しかないせいだと思います。
 そのうえ主人公が事業を始めたと思ったら、次のパラグラフでは、もう会社をたたんで次の新生活が始まっている、と展開が目まぐるしいことこの上なし。
 主人公の仕事が落ちついたかと思えば、次のパラグラフからは子や孫が新しい主人公になって、まったく新しい展開が始まってしまうあたり、歴史小説というより、一族史の年表を読んでいるような気になってきました。
 あんまり早くクリアできてしまうので、いろんなルートで何度も遊んでみましたが、難易度はかなり低いようで簡単にクリアできます。
 一応、ゲームオーバーもあることはあり、例をあげると

 マフィアのトップとして暗躍したはいいが、警察に捕まったうえ脱獄にも失敗して死刑

 とか、

 大統領にはなれなかったが事業を成功させ、悠々自適な生活を手に入れた

 とか、

 保安官としてショットガンで、ならず者を退治したが、数日後に森でスカンクにくさいのをかけられ廃人になった

 などがあります。どうでもいいですが、最後のは直前の展開(ショットガンとライフルのどちらを使うかという選択肢)と結末がまったく関係ないですね。
 どちらにしてもゲームオーバーは例外的な結末で、大概はたとえ事業に失敗しても別の土地で仕切りなおしてすぐに立ち直れるようです。
 まあ、やり直しのチャンスがあるのも、アメリカンドリームの世界なのかもしれないですね。現実の大統領候補のトランプ氏だって何度も会社を潰しては復活しているらしいからな。
 中盤までは幅広い展開が用意されているので何度も遊べると言いたいですが、終盤の大統領選あたりではわずか2・3パターンの展開に収束するので、実際は数回プレイすればすぐ飽きてしまうのが欠点。
 ルール面は基本的に単純な分岐小説で、時々コイントス(※)の表裏によるランダム判定があるくらい。冗長なルールが当たり前の、スーパー頭脳集団アイデアファクトリー作品とは信じられない簡素な作りです。
 それにしても世界観が摩訶不思議なものばかりの他のスーパー頭脳集団アイデアファクトリー作品達と比べると、本作が真面目なドキュメンタリー風ゲームブックに感じるから不思議だ。
 全体としてあっさりしすぎて物足りない作品ではあるけど、狙いは良い作品だけに、終盤のバリエーションを増やすとか、歯ごたえのある難易度にするとかもう少し改善されていたら、案外良作になっていたかもしれませんねぇ。



※ コイントスはこのゲームの雰囲気にはぴったりですが、実際にやるのは面倒なので、サイコロとかで代用した方が楽かもしれません。
 私は適当にページをめくって開いたページの右端のパラグラフ数が、偶数(表)か奇数(裏)かで判定して遊びました。


山口プリン |HomePage

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