冒険記録日誌
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2016年04月09日(土) 光文社文庫ゲームブック総まとめ・改

 レーベル全プレイ感想掲載記念!一度まとめを書きましたが、改めて総まとめの書き直しと追記をしました。

 正直なところ光文社文庫のゲームブックは、発売当時は存在すら知らなかったし、古本屋でゲームブックを集めるようになっても、面白くなさそうに思えたので、購入を見送ったりもしていましたし、最近までいつか遊ぶ未読のゲームブック脳内リストの中でも最下位レベルの作品群でした。
 それが先日、ちょっとしたメールをいただいたのをキッカケに、全て読破したのですから、何か起こるかわからないものです。
 レーベルは全11作品で、その内容は製作者別に4グループに分けられます。ちょっとリスト化してみましょう。


○ワールドフォトプレス作品
•F−4Jファントムラインバッカー作戦
•戦闘宇宙艇SRV4−B シャングリラ作戦
•オルフェウス作戦 海上原子力発電所を奪回せよ!

 軍事ものなどリアル志向の内容。ゲーム本編前の設定解説などが異様に長いのが特徴です。


○若桜木虔作品
•一緒にアクシア 大遺産を探せ!
•秘密諜報大作戦

 運任せ選択肢と無限ループ迷路の地獄です。


○RED BOX作品
•日本縦断 キャノンボール火の玉レース
•サバイバル 東京ひとり暮らし
•マネーゲーム きみも億万長者になれる
•爆走バイク! アメリカ大陸縦断レース

 作品数が一番多いRED BOX作品。車だの都会生活だの、チャラ男向け雑誌を読んでいそうな学生を購買層に狙っていたイメージ。マネーゲームを除けば3部構成になっているのも特徴です。


○スタジオハード作品
•妖魔館の謎
•鉄人28号 東京原爆作戦

 双葉ゲームブックでお馴染みスタジオハード。原作付きというのがこのグループの特徴です。


 さて、せっかく全作品を遊んだので、11作品を独断と偏見でランキング化してみましょう。
 すると次のようにランク別に4グループに分かれました。


1位 鉄人28号 東京原爆作戦
2位 爆走バイク!アメリカ大陸縦断レース
3位 マネーゲーム きみも億万長者になれる
4位 F−4Jファントムラインバッカー作戦

 ランキング上位の第1グループです。他の出版社と比較して大傑作というものはないですが、良作には違いないので、安心して遊べます。
 1位の鉄人28号は、この中では最も安定した面白さですが、手軽に遊べる作品の多い同レーベルの中では珍しくメモが必要です。
 光文社文庫ゲームブックらしい面白さ、という意味なら2位・3位のRED BOX作品の方が相応しい気がしますね。
 4位のF−4は、好みで評価がわかれそうな作品ですが、シュミレーションゲームブックとしては完成度が高いと思います。


5位 オルフェウス作戦 海上原子力発電所を奪回せよ!
6位 日本縦断キャノンボール火の玉レース

 第2グループにして、いきなりイマイチな出来のゲームブック。
 とはいえ、5位のオルフェウス作戦は、ゲーム部分に問題があるものの、映画のような世界観は魅力的です。比べると6位のキャノンボールは、ゲーム、ストーリーともに淡泊過ぎます。
 私的には、同じ点なら全てが平均した作品より、オルフェウス作戦のような長所と短所のある作品の方が好きです。


7位 秘密諜報大作戦
8位 妖魔館の謎
9位 一緒にアクシア 大遺産を探せ!

 第3グループは、 スーパー頭脳集団アイデアファクトリーも裸足で逃げ出すグループ。3作品の差はほとんどありませんが、塩田作品と若桜木作品の内容は全然違います。
 妖魔館の謎(塩田作品)はゲームブックとして目指しているものは正しかったが、仕上がりが未完成品。一方、残りの2作(若桜木作品)はあまりバグもなく、文章も手馴れた出来で、仕様通りに作れているのはやはりプロですが、無限ループをセールスポイントにする時点で方向が根本的に間違っている。
 結果としては塩田さんは、この後「メトロイド」のゲームブックやオリジナル作品「終末の惑星」など、評価の高いゲームブックを書いているのに対し(「暗黒のピラミッド」みたいな悪名高いゲームブックも出していますが)、若桜木さんは一部例外(「誘拐犯はエイリアン?」)を除き、どれも同じような無限ループ迷路のゲームブックを出していて良い評判は聞きません。
 まあ、これらの作品の時点ではエイリアンVSプレデター的な勝負には変わりありませんが。もちろん、彼らの犠牲になる人類とは読者です。


10位 戦闘宇宙艇SRV4−B シャングリラ作戦
11位 サバイバル 東京ひとり暮らし

 問題の第4グループ。認めん。ゲームブックとは断じて認めんぞ!
 10位のシャングリラ作戦は選択肢がほとんどないという、ゲームブックの前提を根底から覆している問題作。最下位の東京ひとり暮らしは選択肢が選択肢になっていないので、ゲームブックとして成立していません。
 猫も杓子もゲームブックを出版していた、当時のゲームブックブームの勢いを知らしめてくれる証人です。


 光文社文庫はレーベル開始わずか一年程で撤退しているので、いかにもゲームブックブームに乗って出してみましたという感は拭えません。私の直感も一部は当たっていたようですが、編集部が甘かったのか双葉文庫以上に粗製乱造という言葉がイメージされます。
 光文社文庫ゲームブックの特徴は、ゲームブックとしては対象年齢層を高めに設定していることです。また、いわゆる定番のファンタジー冒険ものが一作品もありません。そのせいか、いつもと一味違うゲームブック体験ができて新鮮味を感じたのは確かです。
 光文社文庫ゲームブックは現在でもプレミア価格はあまりついていないので比較的入手が楽なのは良い点です。まあ、万人にオススメする作品は少ないですが、楽しんだもの勝ちということで。


山口プリン |HomePage

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