冒険記録日誌
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2016年03月05日(土) サバイバル 東京ひとり暮らし(RED BOX/光文社文庫)

 光文社文庫特集は終わったはずですが、その後購入したので追加レビュー。


 本書はゲームブックと名乗ってはいますが、厳密にはゲームブックではないです。じゃあ、なんなのかというと、ゲームブック形式のハウツー本です。
 内容としては、東京で一人暮らしを始めた一般的な男子大学生の生活をシミュレートしています。シンプルな分岐小説タイプですが、小説と呼ぶほどのストーリー性もなく、本当に単なるシミュレーションです。
 最初に親の仕送りが月いくらで家賃がいくらで光熱水費がいくらで東京生活を始めるという解説から始まり、テレビや冷蔵庫は購入するか?レンタルするか?買わないですませるか?という内容が最初の選択肢。買うを選べば、電気街の秋葉原の解説が始まり、修理や値引き交渉の時のポイントについて触れ、レンタルを選べば学生向けのレンタルサービスを扱う業者の存在について説明が始まり、なんと具体的な業者名とその電話番号まで実際に表示されています。全体的にこの調子。
 中には「NHKですが、と言って集金人がきた」と「お宅、新聞とっています?と、新聞の勧誘員がやってきた」の2択みたいな、選択肢ともいえないような選択肢も多いです。本書における選択肢は主人公の行動を選ぶというより、どんな状況の解説を知りたいですか?と問うスタンスのようで、ゲーム性は無いと言ってもいいでしょう。
 ゲームブックでハウツー本を出すというのは、一過性とはいえゲームブックが当時いかに流行っていたかを伺わせますね。ハウツー本と考えれば、ゲームブック形式は面白く学べる工夫としてはありかもしれません。ただ、ピンポイントで調べたいときは、どの情報が本のどのパラグラフにあるのか探すのに苦労しそうです。
 3部構成で、1部が賃貸生活を始めるときの準備、2部が東京暮らしが始まってからの生活トラブル、3部が彼女との付き合いという風に大まかな内容が分かれています。
 1番面白いのは3部で、女性とのデートノウハウや避妊のことから始まって、場合によっては相手の両親との挨拶や訴訟まで話しが進行するかと思えば、テレクラやソープランドに行くという選択肢まであり、展開が幅広いです。それから、悪徳商法に対して消費者生活センターを紹介するなどの無難な1・2部のノウハウと違って、3部はデートでの殺し文句とか、助言がちょっと怪しい。今だったら完全にセクハラおっさんの戯言なのですが、当時はそれでよかったのか?
 さらには、大学内の勉強や就活に関する事はほとんど触れておらず、最終エンドが結婚とかソープ嬢のヒモになるとかばかりで、親でなくてもお前は何をしに大学行ってるんだと突っ込みたくなります。発売当時はバブル絶頂期だから、学生もイケイケで遊んでたのだろうな。
 今読んでみると、当然時代遅れの知識ばかりです。30年も経過してますもんね。でも80年代の学生の様子や風俗がまとめてリアルに描かれているという意味では、当時の雰囲気を知る資料としての価値があるような気もします。
 テレクラを利用したらどんな風な流れで進行するのか具体的な会話が出たりして、話しには聞いていたけど、実際に利用した事のない山口プリンとしては、へぇーテレクラってそうだったのか、と感心することしきりでした。


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