冒険記録日誌
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2016年02月27日(土) オルフェウス作戦 海上原子力発電所を奪回せよ!(ワールドフォトプレス/光文社文庫)

カバー裏の説明文より
 ゲリラ・グループが、日本初の洋上原発を占拠!!しかもそのグループには、あなたとともに保安システムの構築を担当したあなたの妻がいた?太平洋全域を死の海を化すメルト・ダウンまで6時間!妻を求めて核の牢獄をさまようあなたは、太平洋を救えるか。



 本作は「F-4Jファントムラインバッカー作戦」と同じワールドフォトプレス作品なんですが、ストーリーらしいものはないF-4Jと違って、こっちはストーリーメイン。近未来の原子力発電所を舞台にテロリストの仕掛けたゲームに巻き込まれてしまうという、映画みたいな内容です。
 いきなり死体の散乱する部屋で一人生き残った主人公という状況から始まり、フラッシュバックで、主人公もテロリストとの関与を疑われて公安の暴力的な尋問シーンだの、すれ違った結婚生活の末に失踪した妻の回想など、ちょっとした小説仕立てでストーリーが流れます。
 前フリが異様に長いのはF-4Jと同じで、こっちもゲーム開始前のページが60ページもあります。長いプロローグの他には、ゲームの舞台となる海上原子力発電所の施設概要や見取り図、原発事故が発生した時にどのようなシナリオで悲劇が起こるのかという内容を事細かく語っており、ゲーム自体のルール説明なんて、ほんのおまけにしか見えません。
 ゲームは、主人公が相棒のクモみたいなロボット�爛�ッド・ジョン”と一緒に原子力発電所内をさ迷い、施設内のあちこちに設置されたコンピュータ端末から、いくつかのパスワードを見つけ出してテロリストの仕掛けたゲームに勝利することが目的です。しかし、施設を占拠したテロリスト達や乗っ取られた保安ロボット等が主人公を襲ってきます。
 これをゲーム的に解読すると、双方向システムのダンションで宝さがし。敵が設置されているフロアに行くと戦闘になるよ、という割とシンプルな作りとなっていることがわかります。

 さて、ゲームを始めてみると、パラグラフ1から血まみれの死体から武器などの装備を剥ぎ取るハードな展開から始まり、テロリストや保安ロボット相手に自分や敵の頭が簡単にふっとぶ、R指定な暴力シーンが続きます。
 最初はルールどおりに遊んでいましたが、パスワードを3つ発見したところで、一度ゲームオーバーになり、次のプレイは戦闘などの判定を全て成功した扱いで進めてクリアしました。
 基本的にはルールどおりにゲームブックを遊ぶ主義の私ですが、このゲームで発生する判定は、失敗すると必ず主人公が死亡して即ゲームオーバーなんですよね。しかも、必ず通過するうえ、選択肢で危険を回避することもほとんどできません。つまり、判定はゲームをストップさせる意味しかないので、ゲームとしての面白みが皆無なのです。
 ルールは基本的にF-4Jと同じで、さらにフラグチェックが追加されているくらいですが、周回プレイを前提としたF-4Jと違って能力値の変動もほとんどないし、本作ではこのシステムは相性が悪かったかな。

 次に気になったのは、原子力発電所内の現在位置がなかなか把握できないこと。
 現代の双方向システムのゲームブックなら、登場するマップには各部屋毎に番号が振ってあって、本文で「ここは19番の部屋だ」とか説明しているものが主流だと思いますが、対してこちらは、詳細な施設の見取り図は用意されているものの、現実に作成された海上原子力発電所の設計案を使用しているらしく、リアルすぎて逆にわかりにくいのです。
 ただ、ゲーム中は現在地の部屋の形状や天井の高さ、場合によっては壁の材質までこと細かに描写されています。これが現実の設計図と合わせることで、現在地を把握する手掛かりになり、リアルな探索気分が味わえる効果はありました。なので、これを欠点とするかは一概に言えないところですが、あまり一般受けはしないかもしれません。

 さて、ここまで低評価なことを書き続けてきたのですが、実は私は本作が好きです。なぜならエンディングが素晴らしいのですよ。
 洋画の「猿の惑星」や「セブン」などを彷彿とさせる、事件は解決したが真実を知って主人公を衝撃を受けたところでENDという、後味の悪さを残す結末で印象的です。最後はバグった選択肢で終わるというゲームブックならではの演出も、主人公の動揺がわかる秀逸な表現です。
 全体の雰囲気もいいだけに、ゲーム部分の弱さが勿体なさすぎる〜。
 自分なら テロリストの仕掛けたゲームにパズル要素を持たせるとか、戦闘で判定に失敗しても体力を減らしてゲームは続行可能にするとか、ここに選択肢を入れたいとか、いろいろ考えてしまいました。もういっそ、版権を私に貸してリメイクさせてくれ!と言いたくなる作品でした。


山口プリン |HomePage

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