冒険記録日誌
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2009年12月24日(木) ベッキーと魔法の扉(原作:氷川へきる/スクウェア・エニックス)

 この「ベッキーと魔法の扉」は、「ぱにぽに」っていう漫画のコミック13巻に初回限定特典としてついていた、いわゆる付録扱いのゲームブックのタイトルです。
 ゲームブックの付録につられて本を買ったのは、「ながされて藍蘭島 パーフェクトガイドブック」以来ですよ。
 私はこの作品の存在は、コミック発売前からネットの情報で知っていたのですが、肝心の「ぱにぽに」って漫画をアニメ版も含めてまったく知らなかったので、当初はスルーしていました。
 ところが、ぱにぽにの作者が氷川へきると知って、「あー、なーんとなく絵柄とかたまに見かける漫画家さんだなぁ」「そういえはこの前の“ハヤテのごとく”のゲームブックの執筆陣の一人に加わっていたなぁ」と思って、まあ買ってもいいかなぁ、とか思いながら本屋に行ってみると、時すでに遅し。
 すでに、ぱにぽに13巻は通常版しか店頭に置いておらず、どこの本屋にいってもないし、じゃあネットショップと思っても、初回限定版は「お取り寄せ」扱いとか不安な表示しかされておらず、結局ヤフオクを利用して新品を定価購入することに。
 振り込み手数料と郵送料がかかった分、損しちまったなぁ。

 というわけで、なんとか手元に入ったぱにぽに13巻の初回限定版。
 そこそこの厚みのある冊子がゲームブック部分として独立しており、付録にしては立派な印象でして、少し意外でした。
 ともかく、原作を少しは知らなきゃ、ゲームブックを遊んでも意味がわかるまいと、まずは本編のコミックの方から読んでみました。
 もっともその本編にせよ、いきなり13巻から予備知識なしで読むわけで、いろいろ登場しているキャラの相関図とかわかるはずもなく。しかもこの巻のストーリーは、主人公が失踪中というか主人公の存在が抹消されたパラレルワールドという、ぱにぽにの中でも特にややこしい状況になっていまして、ますます収集がつかなくなったのですが。

 おもしろいじゃん。

 ぱにぽには、1ページくらいでオチがある短い漫画が積み重なって、ストーリーが進行するタイプの漫画だったようです。
 もともと四コマ漫画雑誌とかが好きな私には、細かい設定はわからなくても気にせず読む性質なので、十分楽しめました。
 この巻はストーリー的には世界が破滅するかの瀬戸際で、パラレルワールドが混じりあっていろいろ大混乱という非常事態なのに、そんな設定はどこを吹く風な登場人物達の独特なゆるゆるテンポがなんともいいねぇ。
 思いがけず、ぱにぽにファンになるかも。
 とりあえず、今は6巻の小学校編も買って読んでいます。1巻から買えよって説もありそうですが、読み手だってゆるゆるでいいじゃんってことで。


 話しがだいぶそれましたが、ゲームブック版の方の感想は、あんまりないかなぁ。ゲームブックファンの立場で購入したのに、むしろ本編の方が楽しめたような気がします。
 ゲームブック版の方のストーリーは本編とは独立した番外編です。
 主人公のレベッカ宮本(通称ベッキー)が目覚めたとき、見知らぬ部屋に連れてこられており、その部屋にはただ3つの扉があるだけだった、という状況からゲームは始まります。レベッカは3つの先に待ち構えてある冒険をそれぞれクリアしなければなりません。
 早い話しがパラグラフ数172のゲームブックの中に3つのミニ作品が、収録してあるといったほうが早いかも。異次元に通じる扉の先は、ファンタジーRPG編、SF編、魔法少女編の3つのアドベンチャーならぬパニベンチャーとなっています。
 ゲーム性の方は、基本は単純な分岐小説タイプ。大したヒントもないのに、選択肢を誤るといきなりバッドエンドになることが多い感じですが、短編ゲームブックだからこれは許容範囲かな。
 あと、本編では存在の希薄なメソウサ(主人公が連れているいつも泣いてるウサギ)が、こちらでは妙に活躍しています。ただメソウサが協力してくれる回数には制限があるので、使用のタイミングを考えるのがこのゲームをクリアする一番のポイントです。
 付録のゲームブックとしては変に戦闘ルールとかを採用するより、これくらいの方が丁度いいと思います。
 問題はストーリーの方で、あまり締りがなく、なんとなく進めていればなんとなく終わってしまうような味気がない印象ですが、これは原作がゆるゆるだからいいのか?
 でもこっちは漫画じゃないので、あの独特の間がゲームブック版にはないのですよ。レギュラーキャラ達の行動も本編に比べると真っ当な様子で、地味な印象を受けました。もっとギャグを盛り込むとか、超展開なストーリーに変貌するとか、本編に負けないくらいに暴れてほしかったところです。

 まあ、ゲームブックとしては無難な出来ですが、あくまでおまけってことで割り切りましょう。お買い得かどうかでいうと、コミックの付録でこれだけやってるのはかなり優秀だと思います。今ならまだ初回限定版を購入できる可能性は高いでしょう。
 なにはともあれ、本編の方も楽しめる方が買うことが吉です。クセがある漫画なので、ご購入は計画的に。


(追記)
 初回限定版13巻を本屋で発見しました。なんで買った後に……。orz
 それから、ぱにぽにのスピンオフ作品の「新感覚癒し系魔法少女ベホイミちゃん」も読んだのですが、こいつが相当におもしれーです。
 ゲームブックの企画をやるなら、ベッキーよりベホイミちゃんが主人公の方がゲームブック的に向いていたかも?魔法少女万歳ッス!!


山口プリン |HomePage

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