冒険記録日誌
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| 2009年12月01日(火) |
ウィザード家の秘宝(下村家惠子/アニメージュ文庫) |
このゲームブックは、アニメ「名探偵ホームズ」を原作としています。 ページ頭のカラー口絵を見る限り、その中でも第16話「魔城!ホームズ生か死か」というエピソードを土台に使った内容のようです。 昔からゲームブックをご存じの世代なら、このアニメは知っているかもしれませんね。 有名なシャーロック・ホームズシリーズのパスティーシュ作品の一種ですが、登場人物は全員擬人化した犬たちであったり、家主のハドソンさんがうら若い美人のヒロイン役だったり、モリアーティ教授がタイムボカンの悪役のような憎めないやられ役だったり、いい意味で普通のホームズものとは別の世界観を出していました。 私も好きなアニメで放送当時は時々見ていました。ただ残念なことに、「魔城!ホームズ生か死か」の回はみそびれたようで記憶がありません。
さて、このゲームブック版はどんな内容かというと、ホームズとワトスンの2人が地下ダンションに潜入して宝物を探し出すというもの。 ゲームブックとしては極めてオーソドックスすぎるというか。 このアニメを取り上げるならロンドンの街での捜査を中心にしたストーリーにしてほしかったところで、どうも作者が安易にゲームブックにしやすい題材だからこのエピソードを選んだのじゃないか?という穿った見かたをしてしましました。 なぜなら、ゲームそのものは双方向システムで作られた迷宮に罠とアイテムを配置しただけという単調な作りだったからです。 最初は自分も真面目にマッピングをしながらゲームを進めていたのですが、地下2階部分(ゲーム全体の舞台は地下1〜3階の迷宮構造で、地下2階からゲームスタート)のマッピングが終わったあたりで、我慢できなくなって投げ出してしまいました。 もともとマッピングは苦手というのもありますが、イベントシーン以外は「三叉路についた。北へ行くか?東へ行くか?西へ行くか?」というパラグラフがずっと続くだけではさすがに飽きてきてしまいますよ。 何よりモリアーティ教授が登場しないのがおかしい。 このアニメでモリアーティ教授がいないなんて、ドロンジョ様がいないヤッターマンに近いものがあります。 元にしたエピソードにも登場しなかったのかもしれませんが、そこはゲームブックですから登場してくる展開を一つくらい加えても良かったんじゃないかと思いますがね。
そんなわけで、悪い感想しか出てこない作品でしたが、作中に度々みられるホームズとワトスンのやりとりは、上手にアニメの雰囲気を再現しているんじゃないかと思います。 何気ない会話や、お互いに負傷を気遣いあうところなどは2人の温かい友情を感じて心地よいし、バットエンドが決定したパラグラフで2人が一本のパイプを交互にふかしあって最期を待つシーンは印象的でした。 問題は地下迷宮で飛んでくる槍を避け鍵を集め蛇やヒルと戦い……といった内容だけで、パラグラフ400のゲームブックにしたのは、無理があったのじゃないかということで。圧縮してはみ出しゲームシリーズのサイズにしたぐらいが丁度良かったでしょう。
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