冒険記録日誌
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| 2009年11月26日(木) |
力道山のアメリカ遠征(スーパー頭脳集団アイデアファクトリー/桐原書店) |
スーパー頭脳集団アイデアファクトリー第6弾のゲームブックで、テーマはプロレス!珍しい題材ですね。 私はプロレスは詳しくはないですけど、タイトルに出ている力道山くらいは知っています。世代が違うので、あくまで知っているだけですけど。 でも、このゲームブックが出版された時は、力道山はすでに故人じゃないでしょうか。ゲームブックファンの年齢層から考えると、ここであえて力道山という狙いがマニアックすぎてわからないなぁ。それとも、発売当時はプロレス人気が今より高かったし、ゲームブックも人気の絶頂期でしたから、あの頃なら需要があったのでしょうか。 さてはて、この作品は売れたのか?気になります。
内容を紹介します。主人公は力道山ではなく、彼に憧れてプロレス界に入門した新人レスラー。そんな彼がプロレスの本場アメリカに、武者修行のため遠征にいくという設定です。 一応、プロレスを知らない人のために、当時のメジャーな世界的プロレスラーの人物紹介や、基本的なプロレス技を解説しています。プロレスの知識のない私は、ここは素直にフムフムと読むくらいにします。
ゲームはいきなり試合開始のゴングが鳴った瞬間から始まっていました。 そこからは懐にとびこむか、相手をロープにふるか、ラフファイトの挑発にのるか、ドロップキックを狙うか、4つ手に組んだ状態からアーム・ホイップにいくか、などなど試合での動きにかかわる選択肢のみがずっと続きます。試合の勝敗が決まると次の試合かトレーニングシーンに続き、最終戦で力道山とタッグを組み、その試合に勝利すればクリアというシンプルさ。コミカルな描写なんかも一切なく、非常にストイックな作りです。 要するにこの作品は、リングの外の人間模様などのサイドストーリーは一切排除しており、純粋にプロレスの試合のみをシュミレートしているのですね。 対戦相手はいずれも冒頭の蘊蓄で紹介されていた有名プロレスラーですが、相手レスラーが何か喋るわけでもなく、紹介時の描写以外はどの試合相手も単に名前が違うだけの存在になってる気もします。もしかすると試合運びは、モデルになった実在プロレスラーの行動パターンをシュミレートした展開になっていて、わかる人にはわかるような緻密な作り込みになっているかもしれませんが。ここは、スーパー頭脳集団アイデアファクトリーの見識の高さを信じて、そうゆうことにしておきましょう。
ゲーム性ですが、主人公には5つの能力(スタミナ・スピート・テクニック・根性・ラフファイト)が設定されており、それぞれサイコロを振って決定します。能力は行動の成否に影響しますが、そんなに判定するシーンは多くないので、クリアするまで一度も使用しない能力があった、なんてことはざらにありました。 ちなみにサイコロを使用する箇所は、全編を通しても最初に能力を決定するここしかなく、ゲーム中にはランダム要素がないのがなんとも中途半端。それなら能力の決定も100ポイントを自分の好きに割り振るとかにして、サイコロ不要で統一してくれた方が楽で良かったような気がするし、逆にどうせサイコロを使うなら、試合中にもサイコロを使うようにして、ランダム性を出してくれた方がゲーム性が向上して良かった気もします。
一言で感想を言ってしまうと食い足りない感じ。内容が試合のシュミレーションのみに絞っている点は、これはこれでありじゃないかなと思いますが、それなら繰り返し遊ぶことができるゲーム性という前提で作った方が面白くなったんじゃないかな。 サイコロと能力値をもっと使用して、自分がどのタイプのレスラーかを自覚して戦法が変えなければならないとか、今回はハイリスクハイリターンな戦法に賭けてみるべきか判断をせまられるとか、トレーニングで能力強化した結果が次の試合でもっと実感できるようにするとか。T&Tソロシナリオの「カザンの闘技場」(戦闘のみで構成された剣闘士シュミレーションゲームブックみたいな内容です)のようなイメージで。 いろいろ不満点を書きましたが、フォローしておくとトンデモ系な作品ではないので普通に遊べますよ。逆にトンデモな内容を期待していた人には別の意味で残念かも。まー、力道山云々という設定自体がトンデモともいえなくもないのかな。
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