冒険記録日誌
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| 2009年11月22日(日) |
ゾーヤブレイク3 ゾーヤの記憶(テイチクレコード) |
(ゾーヤブレイクシリーズの物語の基本背景) 1920年の出来事です。ボールマン博士という人物が、テレポートの実験を試み、失敗しました。その日以来、実験台になった4歳になる孫娘のゾーヤの姿を見たものはいません。ゾーヤは、潜在意識のみの存在となって、いくつもの時空に飛び散ってしまったのです。
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ゾーヤブレイクシリーズ第三弾であり完結編。 この「ゾーヤの記憶」は、前2作とはストーリー性もゲーム性も大きく変わっています。トラック数(ゲームブックならパラグラフ数)は、前2作と比べると3分の1程度しかなく、ゲームブックの構造としても極めてシンプルです。 それから今作では「イグモ」という重大な新設定が登場します。あんまりよく理解できなかったのですが、イグモとは5000年前から存在した潜在意識のネットワークシステムです。ほとんどの人間はその存在すら知らないものの、例えば睡眠時にみる夢はイグモの影響なのだそうです。ボールマン博士はこのイグモの存在を早くから理解していた数少ない一人で、彼のテレポート理論もここから始まっています。 主人公はこのイグモの世界を冒険するわけですが、潜在意識の世界が舞台だけあって、切れ切れの夢の中をめぐるような内容になっています。 学校の廊下で友達と立ち話しをしていたかと思えば、「イグモシステムが接続しました」というナレーションと共に、「何色の扉を開けますか?」などの抽象的な選択肢を聞かれ、気がつけば海岸に佇んでいるという不条理っぷり。つまり各トラック(パラグラフ)が全てバラバラのシーンになっていて、連続したストーリーになっていないので、ゲームブック形式であることに無意味さすら感じてしまい、途中からサーチボタンも押さずに普通に流して聞くことにしました。 終盤ではついにゾーヤと対面することができたのものの、セリフがないせいか感慨は薄かったかな。悲運の少女ゾーヤの秘密がついに明らかに!……なったような、余計に謎が残ったような結末。このシリーズの存在自体がレアすぎて、今さらこのCDを聞く人がいるのかは疑問ですけど、一応ネタバレになるので書きません。 CDの解説書にはエッシャーの絵のようなヘムルート式建築物など、ゾーヤブレイクの世界の用語解説が少しばかりと、物語中で聞き手が連想したイメージを基にした心理テストの診断結果が載っています。この3作目にはちょっと不満が残りましたが、思えばこのシリーズは、ゲームブックと心理テストとリラクゼーションCDがミックスされるという不思議な企画でした。ゲームブック以上にマイナーな存在(あの膨大な情報量を誇る“ゲームブック倉庫番”にも昔は載っていなかったので、当時の管理人にお願いしてこのシリーズを入れてもらったくらい)ですが、聞いた人はかなり印象に残ったようで、mixiにも少人数のコミュニティが成立していました。極少数にしか理解されないような内容と思いますが、このシリーズを聞いてよかったと思っています。
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