冒険記録日誌
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| 2009年09月16日(水) |
魔界横断ドラゴンラリー 栄光への戦い(高野富士雄/双葉文庫) |
高野富士雄作品の中では一番好き。 魔界に迷い込んで戻れなくなってしまった中学生の拓也と真美が、人間界行きの切符をかけて、魔界のラリー競争に挑戦するというストーリーなんだけど、バギーカーを疾走させる主人公と助手席でバズーカを担いで撃ちまくるヒロインという構図が決まっている。
ゲーム性の方は実にオーソドックスで、特別な仕掛けもなく、戦闘も双葉作品に多いバトルポイントシステムを採用したもの。謎解き要素や意地悪な罠はないかわり、選択ミスや戦闘結果による突然のデットエンドが多いというもので、ラリーという内容から考えれば、この単純明快さが丁度いい感じ。 もっとも間違った道を選んだだけで死ぬような、文字通り交通事故のようなデットエンドが多いため、そのたびに普通にやり直すのはちょっと大変。私は途中で遊び方を変えて、ラリーのチェックポイント的な意味がある「呪文のカケラ」を入手したパラグラフをセーブポイントとして、死んだらその時点からやり直すというオリジナルルールで遊びました。
ようするに世界観重視、雰囲気重視のゲームブックなのですが、全体に遊んでいて爽快感があるのがいい。ゴールのドラゴンマスター城まで、巻末に掲載してある魔界の地図とにらめっこしながら、バギーでひたすら疾走するのが基本で、時にはバギーから降りて暗黒樹海、封印魔城、魔界大学のようなチェックポイントを探索するなど、展開にも起伏があります。 ライバルの出場者も個性的で、悪賢いゴブリン兄弟とか、気はいい奴らだが手ごわい魔界電信電話恐団(通称MTT)など多数登場して、こいつらとの掛け合いやら戦闘もまた楽しい。 イラストレーターとのコンビもよく、例えば戦闘アニマという文中の説明だけだと単に武装したアンデットみたいなライバルが、イラストではバズーカぶっ放す軍服着た姐さんという、全然別物のナイスな絵になっているとか、普通ならダメなんですが、本作に限ってはいい感じにこの作品の世界観を補完していますね。 あと仲間キャラでは、ゲンさんという関西弁を喋る妖怪もいるけど、こいつはムードメーカー? 魔界の知識があって魔法も使えるので、ねこまんまのポチよりは役に立つかな。もちろん高野富士雄作品らしく、ねこまんまのポチも仲間じゃないけど途中の町で登場しますよ。 テレホンアドベンチャー版もあったようですが、この作品は聞いてみたかったなー。
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