冒険記録日誌
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2009年09月15日(火) ハヤテのごとく!SS 超アンソロジー大作戦!!(築地俊彦ほか/ガガガ文庫)

 名探偵コナン君のゲームブック「名探偵コナン『嗤う黒猫』殺人事件」が出たばかりなのに、今度は「ハヤテのごとく!」のゲームブックが発売されたと聞いて購入しました。少年サンデーつながりで続きますね。次のゲームブック化は、絶対可憐チルドレンあたりか?
 ネットでの情報では、コナンと同じく簡単に本屋で購入できるということでしたが、何件か本屋をまわってもどこにも置いておらず入手に苦労しました。結局、ライトノベル系の書籍が市内でも一番充実している本屋で発見。平積みしていました。店によって扱いが両極端ですな。

 ざっと遊んだ程度の感想ですが、先日出たコナンのゲームブックは、キャラものであることを捨ててゲームブックを前面に押し出している感じだったのに対し、こちらは対照的なほどキャラとネタ重視でして、ゲームブック要素は味付け程度といったところでしょうか。
 体力点とかアイテムの管理が必要で、ルールはなんとなくグレイルクエスト風味。サイコロ2つの目×4で設定されるHPとか、パラグラフ14もそんな感じだし、キャラの似顔絵を描けとか途中で出てくる指令もそれっぽい。ゲームブック担当者が好きなのかな。
 ストーリーについては、いろんなエピソードがバラバラで散漫に広がっている印象です。共通点はハヤテが主人公であることくらい。これはもともと多数のライトノベル作家や漫画家が、「ハヤテのごとく!で遊ぼう」をテーマに自由気ままに書いたアンソロジーを、まとめて強引にゲームブックにしたという企画ものですから、よくもまあ、一つにまとめて仕上げたものだと、ゲームブックとして成立させてることだけでも感心しますね。
 また230ページ中、総パラグラフ数が74しかないので、移動先のパラグラフ番号を探すのが大変だったりしてチト読みにくかったりしました。

 あとは全体的な特徴としてはメタフィクショナルなギャグが多いというか。
 ストーリーは「ハヤテのごとく!」がベースなのは確かですが、ジャンプ漫画ネタからジブリアニメまで、ありとあらゆる漫画やアニメのネタが盛り込まれています。版権的にまずいキャラが登場したり、マニアックな話題も多数登場するので、伏字もいっぱい。
 執筆陣で自分が知っている人は「けんぷファー」を書いている築地俊彦さんくらいですけど、彼の書いたパートは伏字はないのですがフィギュアのネタで延々と書いていて、知らない世界を垣間見た気分になりました。「けんぷファー」で例えるなら、アニメ談義に熱くなる美嶋紅音と、話題についていけないが微笑ましい気持ちでそれを聞いている主人公みたいな感じです。(我ながらマニアックすぎる例えだ)
 他の作家さんのパートでもそうで、読者側にカードゲームとかそのネタに関する予備知識がないと置いていかれることが多いですね。
 私的には長野聖樹さんの書いたパートで、次々と雑魚敵Aのごとく扱われるハヤテの前世達のくだりはツボでした。だけど、フリーザに惑星ベジータごと吹き飛ばされていくサイヤ人の戦闘服を着たハヤテの前世については雑魚扱いは可哀想だと思うぞ?

 そんなわけでこの本は、「ハヤテのごとく!」ファンの為というより、アニメや漫画といったサブカルチャーが、どっぷり好きな人向けって前提で書かれていると思った方がいいです。
 私みたいな素人が手を出すと、マニアックなギャグネタの連続に、意味がわからない状態になってリタイヤしかねません。それでもなんとなく伝わるニュアンスを楽しむ感じでなんとか読みきりましたがね。この内容なら戦闘ルールはもっと簡略化するかいっそなくしてくれた方が良かったな。
 まあ、波長が合うならかなり楽しい1冊だと思います。


山口プリン |HomePage

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