冒険記録日誌
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| 2009年09月04日(金) |
ゼビウス(古川尚美/創元推理文庫) その1 |
(本書カバー裏より抜粋) 地球を征服し、人類を支配しようとたくらむ、ガンプという名の邪悪なバイオコンピュータがあった。その野望を阻止するため、優れた超能力戦士であるP・Jがゼビウス星に乗り込んだ。あなたはESPを駆使してガンプにいどむP・Jとなり、ゼビウス星において冒険をくりひろげなければならない。地球人類の運命はあなたの双肩にかかっているのだ!
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ゲームブックファンには、説明の必要もないかもしれないほど有名な作品。発売当時は学校のクラスメイトもよく遊んでいて、世間一般的にも結構な人気作品だったという認識を私は持っています。 原作はこれまた説明の必要もない人気のビデオゲーム「ゼビウス」ですが、元ネタがシューティングゲームでありながら、この作品がゲームブックとして成功したのは、原作の世界観のみを生かし、双方向移動のできるRPG風に仕上げたことでしょうね。この双方向システムという同じ場所をいったりきたりできるタイプのゲームブックは、日本ではこの作品が元祖的存在でして、「やり残したことがあっても、戻ってやり直すことができないゲームブックには常々不満を感じていたので、この作品には飛びついた」という思い出を書いているサイトも見かけたことがあります。
このようにゲームブックの日本史的にも存在感のあるこの作品ですが、私は実は遊んだことがないのです。 双方向システムのRPG風なゲームブックというと、当時の私には大好物なはずですから、なんでこれはやってなかったのか自分でも不思議なくらいですが、私がゲームブックの存在を知ったときは、すでに「ドルアーガの塔」や「ネバーランドのリンゴ」などさらに進化した双方向システムのゲームブックが沢山でていたというのもあるかもしれません。 また、ボス以外の敵にHPの概念がなく、戦闘は基本的に1ラウンドで決まり、その勝敗によってパラグラフが分岐するという戦闘システムも不満に思っていました。(同じ作者の書いた「ドラゴンバスター」も同じシステムですがこちらも遊んでない) しかしそんな原因は、多種多様なゲームブックを遊んで鍛えてきた、今の私にとってはまったく問題にはなりません。それにマイナーな作品をよく遊んでいるくせに、ゼビウスを遊んでないのはどうかという気もしなくもなく。 というわけで、非常に今更ながらですが、これから挑戦してみます。
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[1人目のP.J]
俺がシオナイトのいる部屋に入ると、そこには老人が一人、座禅を組んで瞑想をしていた。 シオナイトとは人類と供に戦ってくれる異種族である。人類を遥かに凌ぐ知性をもっているが、生物学的には鉱物に近い存在でもある。シオナイトはコミュニケートを取りやすいようにと、俺に老人の幻影を見せているのだ。 老人はゆっくりと目を開け俺を見据えて言った。 「よくきたな、ピップ・ジュニアよ」 「違います。俺の名前はポール・ジョーンズです」 俺が訂正すると、老人はかすかに笑って謝罪する。そして今回の使命について語り、6つある超能力の中から一つを選んで修行するように伝えてきた。 「お前の超能力には才能があるが、今は1つの能力を開発する時間しかないのだ。残りの超能力は、惑星ゼビウス内で習得するがよい」 半月後にサイコキネシスを習得すると、いよいよゼビウス星まで送り込まれることになった。移動手段は宇宙船ではなく、超能力によるテレポートである。 俺は8人の超能力者に囲まれ、部屋の中央に立つ。彼らは一生懸命に神経を集中している様子だ。 このテレポートは制限重量が厳しく、身にまとう服以外には食事1回分に相当する栄養剤を、たった1粒しか持っていけなかった。ナイフ一本の武器すら許されないのは厳しい話しだが、テレポートが失敗してハエと合体するとかは、まっぴらだから不満も言えない。 強い念動力に衝撃を受けたかと思うと、唐突にゼビウス星の荒野に一人で立っていた。
戦力点 8 体力点 21 超能力 サイコキネシス 所持品 食料(1食分)
続く
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