冒険記録日誌
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| 2009年08月30日(日) |
ルパン三世 フリーファントム作戦(集 新矢/双葉文庫) |
双葉のルパン小説シリーズ第5作目。2・3作品の中・短編を収録していた今までとは違って、今回は一冊まるまる1話の長編です。 ちなみにこの話しは、ネタバレすると面白さが半滅するタイプのものなので、ちょっと粗筋はぼかして書きます。
まずこの冒険は5章編成になっていて、第1章でいきなりルパン一味が1人ずつ惨殺されていくという、ショッキングな出だしになっています。第2章の冒頭でみなさん元気に復活していますけどね。 ルパン達は表向き死んだことにされたまま、「R」という謎の人物の依頼を受けて、人類を作ったともされる謎の宇宙人の基地に潜入することになるのです。宇宙人の本拠地はなんと地球人になじみ深くあのでっかい月そのもの!という突拍子もないというか、奇抜というか、凄いストーリーです。この話しによると、MJ−12文書やUFOによる誘拐事件、全ての血液が吸い取られた動物の死体(ミューテレーション)など宇宙人からみとされるオカルト事件も、本当に宇宙人がやったこととして紹介されているのですねー。 さらには宇宙人とアメリカの上層部の一部は結託しているそうで、基地には人間の兵士も登場。マッドサイエンテストみたいな医者まで登場して、誘拐した人間を実験台に、動物とかけあわせるショッカーみたいな実験などやってます。もっともおぞましい姿になった被害者達が生きたまま悶えているところに出くわしたり、誘拐された8歳の少女が爬虫類に改造されたりするシーンには嫌な気分になります。 ルパン達も宇宙人が相手となると、情報不足のためか勝手が違うらしく、あっさり捕まったまま脱出もロクにできず、銃や刀などの武器も押収され、ただ敵にいいように扱われてばかり。辛うじて反撃できたのは、拳銃も通じない怪力男どもを、五右衛門が拳法で気絶させた場面くらい。(でも刀なしで戦う五右衛門ってのは新鮮でいい) 終盤のドンデン返しのような真相の判明からは、やっとルパンらしい派手な反撃がはじまります。でも脱出したあと、不二子が体内に隠し持っていた小型核爆弾内蔵のライフル弾で基地を爆撃するというのはやりすぎではないだろうか。
ネットを見てると、結構この作品について好評な意見が多かったのですが、私的にはこの作品の人体実験からみのエピソードや、最初のルパン一味皆殺しのオチについて、物語の演出効果よりは嫌悪感の方が先に感じてしまい、そのせいでどうもこの作品が好きになれなかったのでした。 中盤でルパンが宇宙人が人類を創造したことに対して精神的なショックを受けるシーンも違和感感じたし。ルパンをしかりつける次元に対して「わかってあげて。キリスト圏の人間には私たちには想像もできないほどショックなことなのよ」みたいなことを不二子が言っていましたが、ルパンって敬虔なクリスチャンだったのかな? そもそも物語の設定に無理がありすぎます。アメリカが陰湿な面をもった国だという、作者の意見は別に否定しませんが、ハッタリにも限度があるだろうとね。読んだ方そう思いませんか?
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