冒険記録日誌
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| 2009年08月13日(木) |
サムライ・ソード(???/ボビージャパン) その2 |
まず、作者の表記について。リメイク版は、ジャクソンとリビグストンが作者という表記になっています。本当の作者は、Mark Smith と Jamie Thomsonです。社会思想社版でもJ・トムスンとM・スミスと表記されています。ジャクソンとリビグストンは監修者ですからこの嘘はいけませんなー。作者にも読者にも失礼な気がします。
次に翻訳について。私はなぜか「サムライの剣」だけは原書をもっているのですが、意外にリメイク版の方が原書に忠実な箇所もあったりします。たとえば社会思想社版「銀斎」がリメイク版で「銀星」となっている件ですが、キャラが女性化してるのはともかく、原書ではGinsei。次に社会思想社版「鬼女」がリメイク版で「死股眼」原書ではShikome。こんな調子で名前はリメイク版の方が原書の読みに近かったりするものが多いです。 大きいのは炭焼きの若者に弓を射るシーンで、どの矢を使うかという選択肢(パラグラフ207)です。社会思想社版では柳葉の矢(ダメージ2)か、かぶら矢(ダメージ1)の2択であるのに対し、リメイク版は柳葉の矢(ダメージ2)か、腸破りの矢(ダメージ3)の2択になっています。つまり社会思想社版は普通に攻撃するか脅かす程度にするかの選択肢であったのに対し、リメイク版は普通に攻撃するかはっきり殺傷を狙うかと、選択の意味合いが変わっています。これは原書ではWas it a willow‐leaf arrow or a Bowel‐raker?と表記されていますので、この箇所に関してはリメイク版の方が原作どおりです。 また、銀星とのイベントの後にろくろ首の村へ向かう選択肢は、社会思想社版はこの箇所がバグか誤植じゃないかと思えるほど文章的にストーリーがぶつ切れになってみえるのですが、リメイク版は案内役の老人が追いすがってやってきて案内を申し出ることが、もう少しわかりやすく書かれているので文脈が自然につながっています。ここは結構嬉しいな。 ただ、当て字のセンスがひどい。 「八幡国」が「蜂漫国」、「長谷川喜平」が「馳皮奇兵」になってしまったのもなんだかなーですが、さっきのShikomeだって「死股眼」ではなく「醜女」が正しいと思うし、ちゃんとした固有名詞である河童を「喝破」って翻訳するのは無茶すぎでしょう。というわけで、翻訳全体については社会思想社版の方が圧倒的に好きですね。
他のことでは前の2作もそうでしたが、プロローグとエンディングが原作より書き込まれているのはやはり良いです。私的に原作にいなかった忍者がプロローグで登場していたのがポイント高いです。 それから「サムライソード」は技術点11・12くらいがあれば、ある程度は力押しなクリアも可能な作品です。それでも十分に難しいですが、「デストラップダンション」と「ハウスオブヘル」はどちらも正しいルートを外れるとバッドエンド確定という、本作をさらに上まわる高難易度ですから、リメイク版で初めてゲームブックに触れる人でクリアに自信がない場合は、こっちからやった方がいいかもしれません。
ボビージャパンからはまだ3作しか出ておらず、今のところ次回作の噂も聞かないシリーズですが、この調子でいいですからリメイク版をどんどん出しちゃってください。当たり外れがあっても、それはそれで楽しめますから。ほんとお願いしますよ。
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