冒険記録日誌
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2006年03月06日(月) たけたろうの冒険 ──FF番外・王子の対決編 その1──

(ネタバレ注意!プレイ予定の人は読まないで下さい。“王子の対決”はシステムが独特な作品ですが、2002年10月21日の冒険記録日誌に紹介しています)


 気がつくと私は皮鎧と剣を携えて旅したくを整えていました。
 後ろは王宮の城下町。
 前方へ進む道路はただっぴろい荒地につながっていて、埃っぽい風が吹き付けてきます。ここは町の出入り口のようです。

 あれ?

 えっと、次の冒険は確かSFが舞台の“電脳破壊作戦”でしたよね。
 私はなんでファンタジー世界の格好なんかしているんでしょう?
「心配するな、するな、するな、するな、するな……」
 ああ、天空から残響音付きで響くその声は山口プリンさん!
「いつも、お前の一人旅じゃ、マンネリだからなぁ、なぁ、なぁ、なぁ……。たまには趣向を変えて、二人用ゲームブックに挑戦してもらうことにしたわけじゃよ、じゃよ、じゃよ、じゃよ……。まあ、二人でがんばりたまえ、まえ、まえ、まえ、まえ……。健闘を祈る、祈る、いのる、いのる……」

 な、なんですって!
 二人用ゲームブックといえば“王子の対決”じゃあないですか!
 と、なると背後にそびえ立つ町は、黄金都市ガンドバッド。私はこの国の王子様ということでしょうか。
「何を寝ぼけておる。たけたろう王子」
 驚いたことにいつの間にか、町の入り口付近の広場に大勢の騎士たちが集結しています。その中心部に豪華な衣装を着たガンドバッドの王様が立って、私を見つめています。
「そなたはこれから、試練の冒険に旅立ち、世の跡継ぎの資格の証明となる宝石をもって帰ってこねばならん。それまではこの国に帰ってくるでないぞ」
 そんな唐突な。と、呆然とする私を無視して王様はさらに話し続けます。
「あやつにはすでに、先ほど旅立った。追いかけて一緒に旅をするも、別々に歩むも自由だ。だがもちろん、王たる者はいつの世も一人!旅立つのは二人でも、成功するのは一人だけだ。お前も負けるでないぞ」
 そこまで言うと、周囲の騎士たちが王様を取り囲み、王の姿は見えなくなりました。私は、騎士たちに追い払われるかのように、町の入り口から飛び出て、荒地へ進む道を歩き始めました。
 歩きながらもまだ疑問がいっぱいです。二人用ゲームブック。旅立つのは二人。
 …でも私には男の兄弟がいないのですよ。誰がライバルになるというのでしょうか?私は戦士ですから、ライバルは魔法使いになることはわかりますが。

 その疑問は小一時間も歩かないうちに、解決しました。
 道はY字路に差し掛かり、その真ん中に立ち木がありました。
 そのとき私は、その立ち木の木陰で休んでいる小柄なローブ姿を発見したのです。緊張してしばらく離れた位置で立ち止まると、様子を伺います。気難しい魔法使いなら、出会い頭に魔法をかけられてヒキガエルにされかねませんからね。
 ところが、その人影が顔をあげて私を見たとき、私の顔はひきつってしまいました!
 ローブの中にいたのは、長い黒髪を束ね、なかなか美人ですけど、ややきつめの目つきをした娘だったのです。それも私のよく知っている人物。私は思わず大声をあげます。
「ともみ!なんでお前がこんなところにいるのですか!」
「何って決まっているでしょ。私も女王の座を目指して、旅をしているのよ。たけたろう兄貴って、そんなことも知らなかったの!あきれた」
 思いもかけぬ腹違いの妹の登場に、口をパクパクをしながら、かろうじて次の言葉を搾り出します。ともみは服のほこりを払って立ち上がりました。
「だって、…これは王子の、男の対決じゃないですか!」
「王子だって、王女だっていいじゃない。とにかく、私とたけたろう兄貴が、王の座をめぐって争うことになってるの!そろそろいくわよ。たけたろう兄貴が先に行ってよ。私は反対の道を行くから」
「ええぇ!待って待って。一緒に同じ道をいきましょう。その方が安全ですし」
「いやなこった。私は一人でいくわ」
「そんな寂しいこと言わずに。ともみだって、能力値は最低なんでしょ。絶対危ないですって」
「魔法が使える分、たけたろう兄貴よりは大丈夫よ。もう私はこっちに行くことに決めたわ。じゃあね。ついてこないでよ」
 そういって、ともみは左の道を歩いていきました。
 しょうがないので、私はもうひとつの道を進むとしましょう。やれやれ、どんな冒険になることか…。


<たけたろう:戦士>
 技術点   7
 体力点  14
 運点    7
 所持品:剣、皮鎧、金貨10枚

<ともみ:魔法使い>
 技術点   5
 体力点  14
 運点    7
 魔力点  14
 所持品:杖、ローブ、金貨10枚 

続く


山口プリン |HomePage

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