冒険記録日誌
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2006年02月13日(月) ブラッドソード3 悪魔の爪を折れ!(デイヴ・モリス オリバ−・ジョンソン/富士見書房) その5

(ネタバレ満載です。ブラッドソードをプレイ予定の方は読まないで下さい)

 ササリアンの家を出て、チラリと振り返るとやつは窓からこちらを見て笑っていた。
 きびすを返して、船を調達するために海沿いの村に入っていった。
 村に入ると痩せこけた子供達がたちまち物乞いに集まってくるので、モリスが金貨一枚を指ではじいて投げてやる。
 金貨を掴み取った子供は、それが金貨だとわかると信じられないという顔をした。まわりの子供も一緒に静まり返ってこちらを見る。
「おじさん…いいの?」
「ああ、とっておけ」
 モリスの言葉を聞いて、子供達が歓声をあげて道を下っていった。子供達が去っていったあとは、老婆が一人たたずんでいた。
「神は親切な人に、必ず褒美をくださいますよ。私の家で休憩をしませんか」

 老婆の小屋に入って、苦いコーヒーをご馳走になる。何気なく部屋の中を見回すと、黒檀の木馬が中央に据えられているのが目に入った。リー・チェンがバーガンを突っつく。
「おい、あれを見ろよ。昨日のじじい(老水夫)が話していた木馬にそっくりだぜ」
「本当だ。おい、モリス。あのハンドルをまだ持っているか?ちょっと差し込んでみようや」
 木製のハンドルを木馬に差し込むと、なんと木馬は動き出して、少し浮き上がった!あの老人の話しはまんざら嘘ばかりだけでもなかたようだ!
 この馬があれば、海などひとっとびで飛んでいけるだろう。無理を承知で老婆に馬を売ってくれるように頼む。
「いいですよ。乗ってお行きなさい。でも、あなた方から代金をもらうつもりはありません。この年になると、いい人と悪い人の区別がつくものなのですよ」
「え?しかし、この木馬はお婆さんの宝物ではないのですか?」
「ええ、でも私は今後、あなた方がこの馬で飛んでいく顛末を、近所の者に話して聞かせることができるのです。そうすれば彼らは私にお金を払ってくれるのですよ。ですから馬を持っていかれても、私は素晴らしい楽しみが残るわけです。ご安心なさい」
 なんともわからない理屈だ。これがターシム人特有の文化というものなのか。しかし有難いことだ。
 改めて老婆に厚く礼を言ってから、木のハンドルを押して空高く飛び上がった。そして海のほうへ向かって、勢いよく木馬を滑らせた。
 町も港も砂糖菓子のように眼下に小さく見える。景色はすぐに海上の姿になった。風が服をはためかせて少々寒いが快適だ。
「おい、もう少し前へ体を動かせよ」
「無理だ。これ以上動いたら俺が落ちてしまう」
「こらこら、動くな。バランスを崩したら真っ先に私が落っこちそうじゃないか!」
 木馬に大の大人が3人も乗っているのは少々窮屈だったが。
 ほどなくマラジット湾が見えてきたので、少しだけ方向転換をする。そしてハンガックの船が現れるといわれる海上の近くに小さな島を発見すると、木馬を着陸させた。
 あとは、ハンガックの船がやってくるのを待つだけだ。


続く


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 マラジット湾に向かう方法はいつくもあるのですが、唐突に空飛ぶ子馬なんて小道具が登場するこの方法はその中でも特にユニークです。
 この巻はそんな唐突で楽しい仕掛けや展開が、まだまだ沢山登場してかなりワクワクさせてくれます。


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