冒険記録日誌
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2006年02月10日(金) ブラッドソード3 悪魔の爪を折れ!(デイヴ・モリス オリバ−・ジョンソン/富士見書房) その2

(ネタバレ満載です。ブラッドソードをプレイ予定の方は読まないで下さい)

 ジャブロの住む宝石市場の方へ、ぶらぶらと移動した。
「ところで、今でもそいつはそこに住んでいるんだろうな」
 モリスがバーガンに尋ねると、バーガンは肩をすくめた。
「俺も細かい住所は知らないんだ。まあ、そこらの子供にでも尋ねたらわかるだろう」
「おいおい、いい加減だな。しょうがない。おい、そこの坊や、ジャブロって奴の家を知らないか?」
 声をかけられた少年はニタリと笑って「ただじゃ、教えないよ」とのたまった。
 しぶしぶ金貨を取り出そうとするモリスを制止して、バーガンが真面目くさった顔で少年に話しかける。
「じつは、これは特別な任務なのだ。君は秘密を守ることができるか」
「秘密任務なの」
 少年はびっくりした様子で、バーガンの顔を見つめた。
「そうだ、君をフェロメーヌ同盟の特別工作員として命じる。ジャブロの家に案内するのだ。ただし、町の人間に悟られないようにな」
 少年ははじかれたように、道を飛び出して案内をはじめた。
 唖然とするモリスに、リー・チェンがくっくっと笑う。

 少年と別れた3人は、その建物の扉をノックした。
 年をとったターシム人が出てきたが、「ジャブロなら、二階の部屋さ」といってすぐに扉を閉める。二階に上がってみたが、ノックして反応がない。留守のようだ。
 ノブにさわると、鍵はかかっていなかった。そっと開けてみると部屋の中は、美しい絹のカーテンに、ベルベットのクッションが品よく設置してあり、香水の香りがかすかに漂ってきた。
「なんじゃこりゃ、ジャブロってのは女なのかい」
 あきれるモリスを無視して、バーガンはものすごい勢いで階下に降りると、外出しようとしていたさっきのターシム人の老人を捕まえた。
「ちょっと、待て。ジャブロ。古い友人が尋ねてきたのに冷たいじゃないか」
 ジャブロは、老人の変装をときながら、苦しそうにバーガンの手を振り払う。
「すまんかった。ちょっと今から総督の家で一仕事があるんだ。まさかお前を連れて行くわけにはいかんからな」
「わかったよ、行くがいい。だがな、そうやって古い友人に冷たくすれば、お前が死んだとき悪魔がお前の罪を数え上げて、大喜びするだろうよ」
「そういうなよ。昔のよしみで近くの宿を紹介してやるから。紫の玉座の塔という名前だ。もう一つ、いいことを教えてやる。そこで寝ているターシム人の老水夫の話しを聞くといい。最後まで聞けば、神様はお前の忍耐に答えてくださるだろうよ」
 バーガンはジャブロから宿屋の位置を教えてもらう。
「礼をいうぜ、ジャブロ。今夜の仕事がうまくいくように祈っているよ」
「お前も達者でな」
 ジャブロは立ち去っていった。
 バーガンはすぐに宿に向かわず、しばらくぐずぐずしていたが、噴水で水を飲んで休んでいる市民兵を見つけ出すと走り寄った。市民兵達は怪訝そうにこっちをみる。
「なんだ?道でも迷ったのか」
「うんにゃあ、違いますだよ。旦那様方。さっき、おっかねえ連中が、総督の屋敷を襲うのなんのと言っていたのを聞いてしまったんですが、大事にならなきゃいいと思いまして」
 奴らは水を拭きだした。
「な!いくぞ、腰抜けども!そんな奴らにやられてたまるか」
 市民兵達が慌ただしく走り去ると、夕方になった町は人気がなくなって見えた。
「いいのか?あんなことを言って」
「なーに。奴の仕事に花を添えてやったのさ。ジャブロはいつも多少の邪魔があった方がやりがいがあると行っていたからな」
 バーガンは笑うと、教えてもらった紫の玉座の塔の方へ歩きはじめた。


続く


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 冒険の中ではたわいもないエピソードですが、盗賊の魅力が現れている私のお気に入りの話しです。
 こうゆうゲーム性以外の魅力にも、小説のように読ませる力ももっているのが、ブラッドソードの魅力なんですねぇ。


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