冒険記録日誌
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| 2005年10月12日(水) |
暗黒城の領主(ジーン・ブラッシュフィールド/富士見書房) |
「ウェイレスの大魔術師」と同じく富士見のAD&Dゲームブックシリーズの一冊ですが、本書はオリジナルストーリーとなっています。 簡単にいうと主人公はジェーレン・シェアブレードという聖騎士で、吸血鬼に支配された村を救うため、アイリーナという村娘と共に吸血鬼の住む屋敷へと潜入するという内容です。
このゲームのルールについてですが、能力値の方は、生命点、戦闘技術点、機敏度、賢明度、経験点の4つで、感覚的には他のシリーズ作品と大きくは変わりません。ただ、冒険中はこのシリーズでは珍しく双方向システムとなっていて屋敷の中を自由に移動できるようになっています。 吸血鬼は強敵ですが、屋敷の中にはなぜか吸血鬼退治に使える聖なるアイテムや、魔法の道具がゴロゴロしていますので、まずはそれを捜索するのが冒険の最初の目的です。 ちょっと面白いのが、「事前運命点」という数値を使ったシステム。ゲームの最初にサイコロを振って、3つの数字を決めておくのですが、この数値によってアイテムの設置場所が変化するのです。また各部屋で登場する吸血鬼の配下の敵も、サイコロを振ってランダムに登場するキャラが変わるので、繰り返しのプレイなんかにはいいのじゃないでしょうか。 ただこの屋敷内はそんなに広くなく、容易に目ぼしい部屋に移動することができるので、アイテムの位置が変わってもあんまり変わりばえしないかな。なかなか良いルールだとは思うだけに、このへんが少々残念です。
実際に遊んだ感じでは、主人公というかAD&Dの聖騎士という職業は、なかなかに強力らしく、雑魚相手の戦いではサイコロの目がよっぽど悪くないかぎり負ける気がしないという感覚でした。しかも回復魔法をはじめとする各種呪文も習得しており、ゲームブックの主人公にしては無類の強さです。 そのかわりこのゲームには、レベルドレインというルールがあって、吸血鬼の攻撃を受けると主人公の戦闘力や抵抗力、使える呪文の数などが減少します。一度でも喰らうと立場は一転して苦戦はまぬがれないでしょう。 肝心の吸血鬼との戦いも、レベルドレインさえ喰らわなければ勝てる相手ですが、そこは吸血鬼。普通の武器は通用しないし、倒しても煙になって逃げてしまうやらしさを発揮しています。ここは戦いの前までに入手したアイテムがものをいうわけですが、クリアした時は序盤であっさり手に入ったアイテムで勝ててしまい、必死で集めた他のアイテム達の出番はなし、というちょっと肩透かしな展開でした。
うーん。悪くはないのですが、エンディングとか吸血鬼との決戦あたりの文章をもっと書き込んで欲しかったし、全体的にもオドロオドロしさが欲しかったな。あとゲームバランスが大味な気も。 もう少しパラグラフ数を使って舞台を広くして、謎解きの要素も入れて、文章も改善して、ゲームバランスもうまく取ることができれば、名作に化けていた作品だと思いました。 でもそこまで変えたらもう別の作品かも。(^^;
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